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第12話 隣町にたどり着け!
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そうか、同じモンスターでもBPが違うということは、見た目は同じでも『個体差』というものがあるのか! などと、冷静に分析している場合ではない、すぐに対処しないと二人ともやられる!
モンスターと間合いをとり、剣を構えるアカリ。
僕たちとモンスターとの間に、重く張り詰めた空気が流れる……。
モンスターたちよ、なめるんじゃない。昨日までの僕たちとは違うぞ……!
いまの、自分たちの弱さを知り、それを認める強さを持った僕たちには、『どんなモンスターにも負けない必殺の戦法』がある!
そう……! つまり、とれる戦法は『伝家の宝刀』……!
「逃走だぁあああぁあぁっ! 逃げろアカリ~っ!」
「へっ? は、はいっ、トベさんっ!」
なんと、この世界の誰もが認める最弱のスライム3匹から、僕とアカリは一目散に逃げ出した!(?)
《爆笑wwww》
《草》
《クソワロタwwwww》
《結局逃げるんかいwww》
《最弱のスライムから逃げる天才美少女剣士wwwww》
《このチャンネルどういうコンセプトなの?wwwww》
《なにを視聴者にお届けしてるんだwwwww》
視聴者からの数々のツッコミで、羞恥心に顔が真っ赤に染まってはいくものの、背に腹は変えられない。幸いにもスライムの足(?)は遅いため、僕たちはなんとか回避してスライム3匹を撒くことに成功した。
「いいかいアカリ。戦っても勝てる見込みはない。もしモンスターに遭遇したら、恥も外聞もなく、徹底的に逃げて逃げて逃げまくるからね!」
「はいっ! トベさんの指示にしたがいますっ!」
《いや、指示にしたがいますっ!(キリッ)じゃねえよwwwどんな配信だよwwww》
《でもけして嫌いじゃないwwwむしろ好きwwww》
あれ……? 意外に楽しんでもらえてる……? これはいいことなのか……? いや、よくはないか……。楽しんでもらえてるというより、ただ馬鹿にされてるだけのような気も……。
い、いや、そんなことを気にしてる場合じゃない! 隣町までの道のりの半分ほど進んだところ、今度はスライムより強いモンスター、BP16のウルフが襲いかかってきた!
「逃げろ! 逃げて逃げて逃げまくるんだアカリ!」
「は、はいっ! でもこのモンスター……は、速いっ……!」
スライムと違いウルフは足が速く、走っても走ってもドンドン距離を詰められていく!
「くっ……! ま、まずい、このままじゃ追いつかれる……!」
「トベさん! こっちです!」
僕たちはフィールドを走り続けて、アカリがなんとか見つけたウルフが登ってこれない岩の上に退避した。
「グルルルルルル……!」
どうあがいても手を出せない岩の上に退避され、ウルフが低いうなり声をあげる。
なおも眼下から僕たちを狙い続け、そこから一向に退く気配がないため、僕たちは岩の上からウルフに石を投げつけた。
「ていっ! ていっ!」
「このぉ! さっきはよくもやってくれたな! このクソウルフめっ! このこのっ!」
遠距離から石を投げつけられたウルフは、しばらくガチギレしたようにうなり声をあげながらそこに留まっていたが、やがて無駄を悟ったのかようやくあきらめて退いてくれた。
僕たちはウルフが遠くまで行ったことを確認すると、岩を降りてまた隣町までの冒険を再開した。
配信画面に視聴者のコメントが次々と並んでいく。
《安全地帯から石を投げつけて回避wwwww》
《やってることが姑息wwww》
《正直ウルフのほうに同情したよなwwww》
《しかも回避のためだけじゃなく、トベちょっと私情入っててワロタwwwww》
《これじゃ冒険じゃなくて逃げ配信wwww》
《逃げ配信てまた新しいジャンル開拓してますやんwwww》
《いかん、ちょっと一周回って面白くなってきたwwww》
《これじゃトベじゃなくてドベだなwwwww》
く、くっそ~、言われまくりんぐだな。でも、現世での『無関心』や『なにも言われなかった』ことに比べると、なんだか嬉しい。どんな形でもこのチャンネルに『興味を持って』もらえているんだ、誰にも期待されないことよりも、それはどんなに幸せなことだろうか。
現世での絶望があったからこそ、そんな『ちいさな幸せ』にも気づけたんだなぁと、僕の生きてきた日々はけして無駄じゃなかったんだと思えて、とてもありがたい気持ちになる。
「トベさん? ふふっ、なんだか嬉しそうですけど」
「ん? いや、なんでもない。さあ、先を急ごうか、目指す町はもうすぐだよ!」
「はいっ! あっ、またスライムっ!」
とにかく遭遇した瞬間にモンスターから逃げまくり戦法(?)を繰り返すことで、僕たちは無事、隣町『ブシドータウン』にたどり着いた。
モンスターと間合いをとり、剣を構えるアカリ。
僕たちとモンスターとの間に、重く張り詰めた空気が流れる……。
モンスターたちよ、なめるんじゃない。昨日までの僕たちとは違うぞ……!
いまの、自分たちの弱さを知り、それを認める強さを持った僕たちには、『どんなモンスターにも負けない必殺の戦法』がある!
そう……! つまり、とれる戦法は『伝家の宝刀』……!
「逃走だぁあああぁあぁっ! 逃げろアカリ~っ!」
「へっ? は、はいっ、トベさんっ!」
なんと、この世界の誰もが認める最弱のスライム3匹から、僕とアカリは一目散に逃げ出した!(?)
《爆笑wwww》
《草》
《クソワロタwwwww》
《結局逃げるんかいwww》
《最弱のスライムから逃げる天才美少女剣士wwwww》
《このチャンネルどういうコンセプトなの?wwwww》
《なにを視聴者にお届けしてるんだwwwww》
視聴者からの数々のツッコミで、羞恥心に顔が真っ赤に染まってはいくものの、背に腹は変えられない。幸いにもスライムの足(?)は遅いため、僕たちはなんとか回避してスライム3匹を撒くことに成功した。
「いいかいアカリ。戦っても勝てる見込みはない。もしモンスターに遭遇したら、恥も外聞もなく、徹底的に逃げて逃げて逃げまくるからね!」
「はいっ! トベさんの指示にしたがいますっ!」
《いや、指示にしたがいますっ!(キリッ)じゃねえよwwwどんな配信だよwwww》
《でもけして嫌いじゃないwwwむしろ好きwwww》
あれ……? 意外に楽しんでもらえてる……? これはいいことなのか……? いや、よくはないか……。楽しんでもらえてるというより、ただ馬鹿にされてるだけのような気も……。
い、いや、そんなことを気にしてる場合じゃない! 隣町までの道のりの半分ほど進んだところ、今度はスライムより強いモンスター、BP16のウルフが襲いかかってきた!
「逃げろ! 逃げて逃げて逃げまくるんだアカリ!」
「は、はいっ! でもこのモンスター……は、速いっ……!」
スライムと違いウルフは足が速く、走っても走ってもドンドン距離を詰められていく!
「くっ……! ま、まずい、このままじゃ追いつかれる……!」
「トベさん! こっちです!」
僕たちはフィールドを走り続けて、アカリがなんとか見つけたウルフが登ってこれない岩の上に退避した。
「グルルルルルル……!」
どうあがいても手を出せない岩の上に退避され、ウルフが低いうなり声をあげる。
なおも眼下から僕たちを狙い続け、そこから一向に退く気配がないため、僕たちは岩の上からウルフに石を投げつけた。
「ていっ! ていっ!」
「このぉ! さっきはよくもやってくれたな! このクソウルフめっ! このこのっ!」
遠距離から石を投げつけられたウルフは、しばらくガチギレしたようにうなり声をあげながらそこに留まっていたが、やがて無駄を悟ったのかようやくあきらめて退いてくれた。
僕たちはウルフが遠くまで行ったことを確認すると、岩を降りてまた隣町までの冒険を再開した。
配信画面に視聴者のコメントが次々と並んでいく。
《安全地帯から石を投げつけて回避wwwww》
《やってることが姑息wwww》
《正直ウルフのほうに同情したよなwwww》
《しかも回避のためだけじゃなく、トベちょっと私情入っててワロタwwwww》
《これじゃ冒険じゃなくて逃げ配信wwww》
《逃げ配信てまた新しいジャンル開拓してますやんwwww》
《いかん、ちょっと一周回って面白くなってきたwwww》
《これじゃトベじゃなくてドベだなwwwww》
く、くっそ~、言われまくりんぐだな。でも、現世での『無関心』や『なにも言われなかった』ことに比べると、なんだか嬉しい。どんな形でもこのチャンネルに『興味を持って』もらえているんだ、誰にも期待されないことよりも、それはどんなに幸せなことだろうか。
現世での絶望があったからこそ、そんな『ちいさな幸せ』にも気づけたんだなぁと、僕の生きてきた日々はけして無駄じゃなかったんだと思えて、とてもありがたい気持ちになる。
「トベさん? ふふっ、なんだか嬉しそうですけど」
「ん? いや、なんでもない。さあ、先を急ごうか、目指す町はもうすぐだよ!」
「はいっ! あっ、またスライムっ!」
とにかく遭遇した瞬間にモンスターから逃げまくり戦法(?)を繰り返すことで、僕たちは無事、隣町『ブシドータウン』にたどり着いた。
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