上 下
40 / 48

第40説

しおりを挟む
「うぉおおぉおぉおっ!!なんじゃこりゃあっ!!デカっ!!城なんて初めて来たよ!!」

「ワイも遠くから見たことはあるけど、実際に来たのは初めてや!!いや~、それにしてもええ城やな~。魔王が一番欲しがっとるっちゅうのもよう分かるで!!」

城門の前の広場には、美しい天使の像や噴水が陽の光に輝いており、その周りをぐるりと取り囲むように、色とりどりの綺麗な花々が咲き誇っていた。

その風景を一目見ただけでも、この城を作った人たちが繊細で美しい感性を持っていることが、僕には伝わってきた。

アリュール城の気品のある荘厳な美しさを目の当たりにして、テンションが一瞬でマックスに上がりきる僕たち。

上がりきったテンションのまま僕たちは早速、城門の前で警備をしている衛兵たちに駆け寄った。

「すいません!!僕たちアリュール王に用があるんですが、お取次ぎお願いできますかね!!」

無骨な衛兵の一人はこちらをギョロリと睨むと、

「一体何の用だ!?王は多忙であられるため、許可のない者の謁見は禁じられておる!!」

ええっ……?こっちは敬語なのに、なんか初めからめっちゃ攻撃的だなぁ……。

僕は衛兵の当たりがあまりに強かったので、やれやれ、しょうがないなぁ、正体を現しますかと言わんばかりに、

「許可がないって、僕は勇者ですから。王は世界を救ってくれる勇者を探しているのでしょう?僕がその勇者なんですよ」

「ふん、よくもヌケヌケと。見ればレベルも1というところ。勇者ならば厳しい戦いを乗り越えてこの城へとたどり着くはず、そのような見え見えの嘘が通ると思うな!!」

ぐっ!!酒場の店主と同様痛いところを突かれた!!勇者に痛恨の一発!!(?)

「確かに敬愛する我が君主は、以前はご公務のお手すきの際など、タイミングさえ合えば旅の者にも門戸を解放しておられた。だが、魔王を討伐した者に、報奨金と姫様との婚約を発表した途端、自分は勇者だと嘘をついて、城に忍び込もうとする輩が後を絶たなくなってしまったのだ!!」

「そ、そんな輩と僕を一緒にしないでくださいよ!!そんな不敬の輩が増えすぎてナーバスになっているのは分かりますが、僕は本当に王が探し求めておられる勇者なんですって!!信じてください!!」

「ならば証拠を見せよ!!口先だけではない、貴様が勇者であるという確固たる証拠を!!」

……なに……?

『勇者である証拠』だと……?

ねーよそんなもん。(?)

そもそもそれがないから酒場を追い出されてここに来たのだし、ここに来れば問題が解決するかと思いきや、まさか余計に問題が広がってしまうとは……。

哀しいなぁ……。僕は本物の勇者なのに、酒場だけでなくここでも信じてもらえないなんて……。(泣)

「その様子では、どうやら証拠はないようだな。ならば行った行った!!まったく、勇者と名乗る者が現れたら、話も聞かず追い返すのではなく、確認はしてあげなさいなどと、我が王は優しすぎるのだよ……。だが、そのような王であられるからこそ、私も敬愛してお仕えできるのだが……」

なるほど、この人もこれまで勇者を名乗る不届き者を散々追い返してきたからこその、あの初めの攻撃的な反応だったのだろうし、この人を恨むのも筋違いというものだろう。(とはいえ、不届き者が大挙して押し寄せたことに関しては僕は関係ないのだし、もうちょっと言い方というものがあるんじゃないかとは思わないでもないけど)

しかし、これじゃ酒場を追い出された時から一向に状況が改善してないじゃないか……。(むしろ悪化?)

何か……何か言わないと……!!

このまま黙って引き下がる訳にはいかない!!

考えろ考えろ僕!!なんとか間を繋ぐんだ!!

「あの、ところで話は変わるのですが……」

「なんだ!?まだ何か用があるのか!?」

特に何か勝算がある訳でもなく、僕は苦し紛れのような感じで言葉をひねり出した。

「僕の仲間になりませんか?」

「なるかぁっ!!さあ帰った帰った!!」

決断はやっ!!もっと考える時間ちょ~だいっ!!(?)

はいはい!!まず衛兵を仲間につけて王に取り入る作戦は、一瞬にして失敗!!これじゃあ取り付く島もないって感じだねぇ!!じゃあ一体全体どうすりゃいいのよっ!?(半ギレ)

なんと、冒険者の酒場から追い出され、活路を見出しにアリュール城を訪れたものの、今度は衛兵に追い返され、王との謁見もままならず、僕たちの仲間探しは完全に行き詰まってしまった!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

染髪マン〜髪色で能力が変わる俺はヒーロー活動を始めました〜

仮面大将G
ファンタジー
金髪にしたらヒーローになっちゃった!? 大学生になったから髪を染めてみよう。そんな軽い気持ちで美容室に行った染谷柊吾が、半分騙されてヒーロー活動を始めます。 対するは黒髪しか認めない、秘密結社クロゾーメ軍団!黒染めの圧力を押しのけ、自由を掴み取れ! 大学デビューから始まる髪染めヒーローファンタジー! ※小説家になろう様、カクヨム様でも同作品を掲載しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

処理中です...