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1章〜世界を気ままに生きさせて貰います〜
8話 ある元女学生のお話
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私の名前は、桜田美穂。いや、こっちの世界じゃマリアか。
そんな私は、ある日クラス全員で異世界転生?をしたらしい。
最初は、夢かと思ったけど、十年も覚めない夢はないよね…
今でも夢であることを切に願うけど………
ーーー
私の与えられた力はスキル『女神の癒し』とスキル『回復の心得』の二つだった。
『女神の癒し』は、どんな回復魔法も範囲魔法となり、自分の周囲5メートル以内に居る者すべてに回復がもたらされるスキル。
『回復の心得』は、回復魔法の習熟が早くなり、回復魔法の消費魔力も少なくなるスキル。
どちらも治癒師として有用なスキルだった。
だから、戦争では治癒師として働かされるとばかり思っていた。
戦争は嫌だったけど、治癒師ならなんとかと心を決めていた。
それなのに……
言い渡された戦争での役割は、慰安婦。
回復魔法を股間に使えば、何回でも出来るだろ?って騎士の一人が私に向かって下卑た笑みを浮かべながら私に言ったのが印象に残っている。
私の頭は真っ白になった。慰安婦?慰安婦って、あの…?
嫌だ嫌だ、いやだいやだいやだ、イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ
頭の中で何度その言葉を繰り返しても誰も助けてくれない。
親友であったはずの真由美でさえも、目を合わせない様にしていたのが、視界の片隅に入った。
私は裏切られたのだ。
その後、十歳までは貴族に引き取られるという事で、クシー家という上級貴族に預けられる事になった。
私はもう全てを諦めていたが、クシー家が迎えにきてくれた時、救われたと思った。
素人目から見ても高級と分かる程の宝石があしらわれた馬車、美女ばかりの使用人、クシー・ジェラルドと言う名の、高そうな黒い服を着た貴族。
何より、立ち振る舞いが紳士そのものだった。
そんなクシー家は私を温かく迎えてくれた。
家は、大豪邸と言ってもいいほど大きく、庭には様々な花が咲き誇っていた。
私は安堵した。これで十年は大切にされると。
しかし、家に入った途端、私の安堵感は恐怖に変わった。
壁に掛けられた手錠や鞭の数々、部屋の真ん中には裸の縄で縛られた女性が、天井から吊るされ海老反りになっている像が目に入った。
私は絶望した。
ーーー
それから十年が経った。
自分で動ける様になった時から訓練は始まった。
回復魔法のではなく、性技のだ。
来る日も来る日も性技を見せられたり、実際に行ったりさせられる。男性への接し方や、触り方、指先の一本一本から髪の毛の毛先まで神経を尖らせ、絶対にセクシーさを忘れない。それが十年で私が学んだ事だ。
私は完璧な慰安婦として育てられていた。
ただ、まだ初潮を迎えていない事もあり、本番行為はしたことが無かった。それだけが救いだった。
何度も逃げ出そうとした。
しかし、夜には手錠と目隠しをされる。
クシー家には、いや、この世界には、自由など微塵も無かった。
ーーー
生徒四十名が集められる場所に行った時、懐かしい雰囲気があって少し心を許した。
しかし、それは失敗だった。
男性陣19名からはイヤラシイ目線を、女性陣19名からは蔑む目線を向けられた。
日本ではあんなに人気者だった私には、もう一人も友達はいなかった。
そんな時、一名が脱走したという噂が耳に入った。
名前はアレク。日本では、いじめられっ子だった男の子だ。
日本での名前も覚えていない。だけど、私にとって朗報だった。
逃げ出した仲間がいる。ただそれだけで安心したのだ。
私も勇気を出して逃げ出そう。
このまま、慰安婦として生きるのは絶対に嫌だ。
そう、心から思った。
ーーー
この日、王城から一人の少女が忽然と姿を消した。
深いエメラルドグリーンの瞳に金髪でロングの髪をなびかせて歩くのが印象的な一人の十歳の少女。
将来は絶対に絶世の美女になる、そう思われるほどの顔立ちで転生した事が仇となり、戦争での役割を慰安婦に変更された可哀想な少女。
そんな少女を探しだし捕まえるため数百名の部隊が作られるのはもっと後のお話。
そんな私は、ある日クラス全員で異世界転生?をしたらしい。
最初は、夢かと思ったけど、十年も覚めない夢はないよね…
今でも夢であることを切に願うけど………
ーーー
私の与えられた力はスキル『女神の癒し』とスキル『回復の心得』の二つだった。
『女神の癒し』は、どんな回復魔法も範囲魔法となり、自分の周囲5メートル以内に居る者すべてに回復がもたらされるスキル。
『回復の心得』は、回復魔法の習熟が早くなり、回復魔法の消費魔力も少なくなるスキル。
どちらも治癒師として有用なスキルだった。
だから、戦争では治癒師として働かされるとばかり思っていた。
戦争は嫌だったけど、治癒師ならなんとかと心を決めていた。
それなのに……
言い渡された戦争での役割は、慰安婦。
回復魔法を股間に使えば、何回でも出来るだろ?って騎士の一人が私に向かって下卑た笑みを浮かべながら私に言ったのが印象に残っている。
私の頭は真っ白になった。慰安婦?慰安婦って、あの…?
嫌だ嫌だ、いやだいやだいやだ、イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ
頭の中で何度その言葉を繰り返しても誰も助けてくれない。
親友であったはずの真由美でさえも、目を合わせない様にしていたのが、視界の片隅に入った。
私は裏切られたのだ。
その後、十歳までは貴族に引き取られるという事で、クシー家という上級貴族に預けられる事になった。
私はもう全てを諦めていたが、クシー家が迎えにきてくれた時、救われたと思った。
素人目から見ても高級と分かる程の宝石があしらわれた馬車、美女ばかりの使用人、クシー・ジェラルドと言う名の、高そうな黒い服を着た貴族。
何より、立ち振る舞いが紳士そのものだった。
そんなクシー家は私を温かく迎えてくれた。
家は、大豪邸と言ってもいいほど大きく、庭には様々な花が咲き誇っていた。
私は安堵した。これで十年は大切にされると。
しかし、家に入った途端、私の安堵感は恐怖に変わった。
壁に掛けられた手錠や鞭の数々、部屋の真ん中には裸の縄で縛られた女性が、天井から吊るされ海老反りになっている像が目に入った。
私は絶望した。
ーーー
それから十年が経った。
自分で動ける様になった時から訓練は始まった。
回復魔法のではなく、性技のだ。
来る日も来る日も性技を見せられたり、実際に行ったりさせられる。男性への接し方や、触り方、指先の一本一本から髪の毛の毛先まで神経を尖らせ、絶対にセクシーさを忘れない。それが十年で私が学んだ事だ。
私は完璧な慰安婦として育てられていた。
ただ、まだ初潮を迎えていない事もあり、本番行為はしたことが無かった。それだけが救いだった。
何度も逃げ出そうとした。
しかし、夜には手錠と目隠しをされる。
クシー家には、いや、この世界には、自由など微塵も無かった。
ーーー
生徒四十名が集められる場所に行った時、懐かしい雰囲気があって少し心を許した。
しかし、それは失敗だった。
男性陣19名からはイヤラシイ目線を、女性陣19名からは蔑む目線を向けられた。
日本ではあんなに人気者だった私には、もう一人も友達はいなかった。
そんな時、一名が脱走したという噂が耳に入った。
名前はアレク。日本では、いじめられっ子だった男の子だ。
日本での名前も覚えていない。だけど、私にとって朗報だった。
逃げ出した仲間がいる。ただそれだけで安心したのだ。
私も勇気を出して逃げ出そう。
このまま、慰安婦として生きるのは絶対に嫌だ。
そう、心から思った。
ーーー
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将来は絶対に絶世の美女になる、そう思われるほどの顔立ちで転生した事が仇となり、戦争での役割を慰安婦に変更された可哀想な少女。
そんな少女を探しだし捕まえるため数百名の部隊が作られるのはもっと後のお話。
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