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第8章 黒猫甘味堂
105話 朝からたいへん!
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朝市の喧騒を抜け、2人は黒猫甘味堂へ向かった。まだ朝の8時半。10時の開店どころか準備にも早い。店長もまだ鍵を開けに来てないはず? えっ?
店の前には、すでに30人程のお嬢様達の行列ができていた。
「あっ、黒猫様!」
1人の女子がレイシアを見て声を上げると、
「黒猫様だ~」
「制服着てる!」
「黒猫ちゃん!」
「「「きゃ—————」」」
と、黄色い声が響き渡った。
レイシアは常連客の間では、メイド服の色と店の名前から「黒猫ちゃん」「黒猫様」などと呼ばれていた。二つ名何個目?
「黒猫ちゃん制服着てる!」
「本当に学園生なんだ」
「お嬢様は黒猫様の方!」
「かわいい~」
「今日から復帰! やった~」
「待っていたのよ! 黒猫ちゃん!」
口々に叫ぶので何を言っているのか分からない。
「みんな静かに~!」
ファンクラブの会長が叫ぶと一瞬で静かになった。
「黒猫ちゃんの復帰に声を上げたくなるのはよく分かるわ。でもね、黒猫ちゃんと近隣住民に迷惑をかけてはダメ! みんなで温かく迎えましょう。『黒猫様、お帰りなさいませ』はいっ」
「「「黒猫様! おかえりなさいませ~」」」
「は、はい」
「「「きゃ—————」」」
サチは冷めた目をしていった。
「レイシア様、今度は何をやらかしたのでしょうか?」
「なにもやってないわ」
「へぇ—————」
「ほんとうよ!」
会長がすっとレイシアの前に来る。
「我ら一同、あなた様の帰りを待ち望んでいました。ところで、黒猫様と同じメイド服を着たそちらの方はどなたなのでしょうか? 同じ黒メイド服。なにか意味が?」
まわり中から期待の目。異様な圧にサチも怯む。敵意であれば反撃すれば済むだけなのに……。女子の良く分からない圧にはどう対処していいのやら。メイド長にも仕込まれていない。
レイシアは、戸惑いながら言った。そう、言ってしまった。
「こ……こちらは私の姉のような(存在の)」
「「「きゃ—————」」」
「お姉様!」
「姉猫《あねねこ》?」
「「「姉猫様《あねねこさま》ぁ—————!!!」」」
叫んだお嬢様達。
あせるレイシア。
白目になるサチ。
「レイ、やらかしたね」
「なにもしていないわ」
「へ————————」
「ほんとうよ———!」
会長がテンション高く叫ぶ!
「今まさに、黒猫様のお姉様! 姉猫様が降臨いたしました!」
「「「あっねねこっ! あっねねこっ! あっねねこっ! あっねねこっ!」」」
姉猫コールが止まらない。
「どーすんの、これ」
「わたしじゃないよ」
「あんただよ!レイ」
店長があわてて走ってきた。
「何事! あ、レイシアちゃん」
「店長!」
「なにがあったの? とにかく中に入って! 君も!」
店長はカギを開けると、2人を店の中に入れた。
「会長さん。とにかく静かにさせて! あまりうるさいと近所から苦情が!」
「分かりました。みんな静かに!」
いっせいに静まる。
「店長、先ほどの新しいメイドは? ご説明を」
会長は店長に詰め寄った。新情報を逃しはしない。
よく分かっていない店長は、お嬢様達の熱のこもった目線の圧に耐え切れず、適当なことをいって逃れた。
「あ、あれは、サプライズ。そう! 開店してからのお楽しみだよ。準備があるからこれで。おとなしく待っていてね」
そうして店の中に入ると、しっかりと内カギをしめたのだった。
【現在のレイシアの二つ名】
制服の悪魔のお嬢様(略称 制服の悪魔 悪魔のお嬢様)(市場)
黒魔女様 (メイド組女子生徒)
マジシャン (料理組男子生徒)
やさぐれ勇者(法衣貴族組生徒)
メイドアサシン(騎士組生徒)
死神 (冒険者脱落組)
黒猫様 (黒猫甘味堂のお客様) ←NEW
【現在のサチの二つ名】
姉猫様 (黒猫甘味堂のお客様) ←NEW
店の前には、すでに30人程のお嬢様達の行列ができていた。
「あっ、黒猫様!」
1人の女子がレイシアを見て声を上げると、
「黒猫様だ~」
「制服着てる!」
「黒猫ちゃん!」
「「「きゃ—————」」」
と、黄色い声が響き渡った。
レイシアは常連客の間では、メイド服の色と店の名前から「黒猫ちゃん」「黒猫様」などと呼ばれていた。二つ名何個目?
「黒猫ちゃん制服着てる!」
「本当に学園生なんだ」
「お嬢様は黒猫様の方!」
「かわいい~」
「今日から復帰! やった~」
「待っていたのよ! 黒猫ちゃん!」
口々に叫ぶので何を言っているのか分からない。
「みんな静かに~!」
ファンクラブの会長が叫ぶと一瞬で静かになった。
「黒猫ちゃんの復帰に声を上げたくなるのはよく分かるわ。でもね、黒猫ちゃんと近隣住民に迷惑をかけてはダメ! みんなで温かく迎えましょう。『黒猫様、お帰りなさいませ』はいっ」
「「「黒猫様! おかえりなさいませ~」」」
「は、はい」
「「「きゃ—————」」」
サチは冷めた目をしていった。
「レイシア様、今度は何をやらかしたのでしょうか?」
「なにもやってないわ」
「へぇ—————」
「ほんとうよ!」
会長がすっとレイシアの前に来る。
「我ら一同、あなた様の帰りを待ち望んでいました。ところで、黒猫様と同じメイド服を着たそちらの方はどなたなのでしょうか? 同じ黒メイド服。なにか意味が?」
まわり中から期待の目。異様な圧にサチも怯む。敵意であれば反撃すれば済むだけなのに……。女子の良く分からない圧にはどう対処していいのやら。メイド長にも仕込まれていない。
レイシアは、戸惑いながら言った。そう、言ってしまった。
「こ……こちらは私の姉のような(存在の)」
「「「きゃ—————」」」
「お姉様!」
「姉猫《あねねこ》?」
「「「姉猫様《あねねこさま》ぁ—————!!!」」」
叫んだお嬢様達。
あせるレイシア。
白目になるサチ。
「レイ、やらかしたね」
「なにもしていないわ」
「へ————————」
「ほんとうよ———!」
会長がテンション高く叫ぶ!
「今まさに、黒猫様のお姉様! 姉猫様が降臨いたしました!」
「「「あっねねこっ! あっねねこっ! あっねねこっ! あっねねこっ!」」」
姉猫コールが止まらない。
「どーすんの、これ」
「わたしじゃないよ」
「あんただよ!レイ」
店長があわてて走ってきた。
「何事! あ、レイシアちゃん」
「店長!」
「なにがあったの? とにかく中に入って! 君も!」
店長はカギを開けると、2人を店の中に入れた。
「会長さん。とにかく静かにさせて! あまりうるさいと近所から苦情が!」
「分かりました。みんな静かに!」
いっせいに静まる。
「店長、先ほどの新しいメイドは? ご説明を」
会長は店長に詰め寄った。新情報を逃しはしない。
よく分かっていない店長は、お嬢様達の熱のこもった目線の圧に耐え切れず、適当なことをいって逃れた。
「あ、あれは、サプライズ。そう! 開店してからのお楽しみだよ。準備があるからこれで。おとなしく待っていてね」
そうして店の中に入ると、しっかりと内カギをしめたのだった。
【現在のレイシアの二つ名】
制服の悪魔のお嬢様(略称 制服の悪魔 悪魔のお嬢様)(市場)
黒魔女様 (メイド組女子生徒)
マジシャン (料理組男子生徒)
やさぐれ勇者(法衣貴族組生徒)
メイドアサシン(騎士組生徒)
死神 (冒険者脱落組)
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【現在のサチの二つ名】
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