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ガールズトーク#2
しおりを挟むそこは、大通りから少し外れたところにある焼鳥屋。
仕事を終えた女子二人は、いつものように例の話で盛り上がっていた。
「そういえば最近、中沢さんなんか悩んでるみたい」
「えぇ~?あの人悩みとかなさそうなのに」
「橋本さんって何気にひどいよね…でもね、よくぼーっとしてるし溜め息ばっかりついてるし」
「先輩よく見てますねぇ。てゆうかそれ、単に仕事が忙しいだけなんじゃ…」
「違う!あれは絶対…なんかあったんだって!」
「えぇ~?」
先輩は目をキラキラさせながら言った。
「しかもね、たまにじぃーって見てるの!」
「何を?」
「課長」
「……課長ぉ?」
「………」
「………」
「だからもう、押し倒しちゃえばいいと思うの!」
「イヤなんでそうなった」
……しかも押し倒すって
「イケメン部下×妻子持ち中年上司の危ない関係…!」
「危ないのは先輩の頭ですよ」
「逆もアリ!」
「ないない」
「会議中のアイコンタクト、社内メールで呼び出し、無人の資料室での密会…」
「昼ドラですか」
以下妄想。
『……なんでメール、返してくれへんのですか』
『……悪かった』
『……俺ずっと…待っとったんに…』
『……』
『……迷惑なら、そう言うてくれればええのに』
『違う、そうじゃないんだ』
『けど…!俺、不安で…!』
『中沢…』
「……先輩、もうその辺で」
「タイトルばアフターファイブは俺のもの゙」
「……まじセンスないですね」
「……先輩、あたしずーっと気になってたんですけどー」
ちょっと冷めてしまった焼鳥を食べながら言う。
「なんであたしを誘ってくれるんですかぁ?」
「なんでって…え、どうしたの急に…」
学生時代から女友達は少ないほうだし、今の会社でもあたしと関わろうとする女の人は殆どいない。
「……別にただ、なんでかなぁって」
あたしには言いふらすような相手もいないから、人に言えないような趣味の話をするにはちょうどよかったのかなって。
「……迷惑だった?」
「あ、違います。そうじゃないですけど」
「………。私ね、実はかなり気にしぃなの。人にどう思われるか、いつも気になって…」
俯いて、少し恥ずかしそうに先輩は言った。
「……橋本さんって、そんなの別にどうでもいいって感じじゃない? だからちょっと憧れてて」
思わずビールを吹き出しそうになる。
……あ、憧れるって…
「……てゆうかそれって、あたしが図太くて無神経って話ですかぁ?」
「ええっ?!あ、違うのそういう意味じゃなくて」
慌てる彼女を見て冗談ですよー、と笑いながら言う。
「でも、憧れてるってわけじゃないけど…あたしは先輩のそういう細かい気配りができるとことか、女の子らしいとことか…いいなって思いますよー?」
「橋本さん…」
「それに先輩の話って、なんかぶっとんでておもしろいし」
ただ当事者達が聞いてたら、卒倒しそうな内容だけど。
「そうかな…。気持ち悪くない?」
「全然」
そう言うと、先輩は嬉しそうに笑った。
「じゃあ橋本さんも是非、これを機会に!」
「いやそれはまじ勘弁してください」
「ええ~…」
まぁ興味はないこともないけど、先輩が言う萌えとかやっぱよくわかんないし。
「だけど先輩の萌え話の聞き役だったら、いつでも大歓迎ですよ」
どっちかっていうと、あたしが興味あるのは先輩の方だから。
ビールの追加を頼んで、じゃあ遠慮なくと今度は蒔田さんの話を始めた先輩は、なんだかとても可愛かった。
end.
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