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手をつないで
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しおりを挟む――二年後
午後三時三十分。
「ごめんね、授業が長引いちゃって…」
「や、俺もさっき着いたとこ」
待ち合わせた場所に、コウタは時間より少し遅れて現れた。
「あっちゃんは今頃京都かぁ。巽さんにはもう会ったかな」
「迷子になってたりしてな」
そんなことを話しながら、公園の遊歩道を並んで歩く。
真っ青に晴れた空と紅葉が、秋の気配を感じさせた。
「てゆうか俺、未だにあいつらがつきあってる様子って想像できねぇってゆうか」
「えー?そう?」
たまに三人で会う時も、まるで昔と変わらない雰囲気だし。
だけどあの二人がつきあいだした頃は、納得できるような少し寂しいような、ちょっと複雑な気持ちだった気がする。
なんだか懐かしいな、と思った。
「また揉めてないといいけどな」
前回は散々だったらしく、深夜のファミレスに呼び出されて朝までグチを聞かされた。
「ほんと、迷惑な奴らだよ」
「まぁまぁ、」
俺とコウタも、つきあいはじめて三年が経とうとしている。
お互いに忙しくて高校の頃よりも会う時間は減ったけど、それなりに関係は深まったと思う(まだ上か下かで揉める事はあるけど)。
「でも俺だって、あっちゃんに色々相談とかしてるし」
「はぁ?何を?」
「リクくんが大学で、可愛い女の子と浮気しまくってたらどうしようって」
「いやしてねぇよ!」
てゆうかしまくってたらって…。
「もし浮気するならどんな子かとか、リクくんの好みのタイプとか」
「いやいやいや」
……あいつ何言いやがった、マジで
「でもわかんないよね、これからのことは」
「……そうだけど。てか俺浮気なんかしねぇから」
「でもその頃俺は、もしかしたらアイドルの追っかけなんかしてるかもしれないし」
「は?」
「デートより何より、握手会を優先するかもしれない」
「いや待て何の話?」
つきあってて気づいたけど、コウタの思考も結構ぶっとんでいる。
「それでケンカとかいっぱいするかもしれないし。でも、お互いに悪いところはなおして、受け容れる努力をして。少しは我慢もして」
コウタは辺りを見回して人通りが少ないことを確認すると、そっと手を握ってきた。
「そうやっていろんな問題を、二人で乗り越えていけたらいいなって思ってるよ」
「コウタ…」
「でも浮気は許さないから」
「いっ…!や、だからしねえって!」
すると握りしめていた手を離して、楽しそうにコウタは笑う。
……あぁ、もう
小さく息を吐くと、今度は俺からその手を握った。
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