短編集(2)(BL)

kotori

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きらきら

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優しく触れるようなキスは、いつしか深く激しいそれに変わっていった。

「……っ、ふ」

……田上くん、キスうまい…

頭がぼーっとして、身体から力が抜けていく。
田上くんはそんな俺を抱きかかえるようにして、ソファーに押し倒した。

「……嫌なら、言ってください。今ならまだ…」
「………」
「……本村さん?」

あぁそうだ、俺は。
強引なようでいて、ちゃんと相手の気持ちを思いやれる。
彼のその、不器用な優しさに惹かれたんだ。

「……嫌じゃ、ないよ」

そう言って彼を抱きしめる。

「嫌じゃない」



とは言ったものの。

「……あっ、」

思わず声を漏らしてしまい、慌てて口を押さえた。

「ごめ…、」
「声、我慢しないで」
「でも…っ、あ、」

いつもと違う自分の声が、恥ずかしくて堪らない。
男女のそれとは勝手が違うことはわかってたし、それなりに覚悟はしてたけど。

「ん、あっ」
「本村さん…」

あまり余裕のない表情を浮かべながらも彼はひどく丁寧に俺の身体を開いていって、更に時間をかけて俺のなかに入ってきた。

「……っ、キツ」
「ふっ、う…!」
「もーちょい、力…抜いて」

大丈夫だから、と田上くんが俺の髪を撫でる。
これじゃどっちが大人なのかわからない、なんて思う余裕もなくて。

「ひっ…!」
「……ここ?」

ぐり、と先端でソコを抉られた瞬間、甘い痺れが全身に疾った。

「っ!あ、あっ待ってっ」

それは生まれて初めて知った感覚だった。

「なんか、変っ…!」

自分の意志とは関係なく、俺のなかにある彼のモノを締めつける。

「……っ、」
「田上く…、ぅあ、あっ」

それまで緩やかだった動きが、急に速くなった。
されるがままの俺は、必死で田上くんにしがみつく。

「んっ、あ、あ」
「……気持ち、いい?」
「……そんなっ、わかんな…」

息も絶え絶えに答える。

「……でも、」

嬉しい、と呟くと田上くんは俺もと言って笑って。
あぁやっぱり綺麗な眼をしてるな、と思った。





「……俺、ガキだし。嫉妬とか結構するし」

事を終えても俺を抱きしめたまま、田上くんは言った。

「本村さんを、困らせるかもしれない」

それでもいいんすかとわざわざ尋ねてくる彼が、なんだかとても愛しい。

「俺は…きっとどんな田上くんでも、好きなんだと思うよ?」
「………」
「大丈夫だよ」

甘えるようにぎゅうっと抱きついてくる彼が可愛くて、小さく笑った。

「……あの、」
「ん?」
「もう一回、していいですか」
「え、何を?」
「………」



それからベットに移動して、もう一回した。

……若さって、すごいなぁ…

彼の寝顔を眺めながらそんなオッサンくさい事を考える俺は、明日辺り間違いなく筋肉痛と腰痛に悩まされることだろう。

「………」

でもそれはきっと、幸せな痛みだ。
隣りで眠っている彼の額にそっとキスをして、俺は目を閉じた。


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