sweet days

ともだち♯2

2

 
「いやぁ、一回会ってみたかったんすよ～もう超感激っす！」
「はぁ…」

近くのス○バに入ったものの、天使は少し戸惑っているようだった。

……うわやべぇ…なんかこの人の周りだけキラキラしてますけど…天使だけに…

「あいつ最近、先輩先輩ってそればっかで。なのに全然紹介してくんないし～？あ、もう合コン誘ったりしないんで安心してください！」
「……っ」

あ、また赤くなった。
カワイイ…これはカワイイわ…やばくね？男とかありえねーって思ってたけど…。

「……なんか季一が天使さんに惚れちゃったの、わかる気ィする…」

ゲホッ、とむせかえる天使様。

「……は？！」
「大丈夫っすか？」
「……うん。てゆうか、その天使ってゆうの、やめて」
「あ、じゃあ先輩で」
「うん」
「ところで、先輩と季一って同棲してるんですか？」
「……は？！いや違っ…あいつが勝手に」

反応がいちいち乙女だなぁ。

「いーなぁ…毎日ラブラブかぁ…」
「いやちょっと、」
「先輩が作る飯、世界一うまいんでしょ？俺も食ってみたーい」
「……ははは」

天使の笑顔は、若干ひきつり気味。



「でも、マジ会えてよかったっす。あの馬鹿の事、よろしくお願いします」
「いや、お願いされても…」
「ちょっと心配だったんすよね、」
「……え？」
「……あ」

……しまった

「や、別にたいしたことじゃ、ないっすけど」
「………」
「……なんてゆうかまぁ、昔ちょっと色々あって…」
「もしかして、元カノの事？」
「……知ってるんすか？」
「少しだけ」

……あいつ、話したのか…

なんだか少し、意外だった。

「……あのさ、なんで元カノはあいつの事、怖がったの？」
「………」
「訊かないほうがいい？」

……うーん、それは本人に訊いたほうがいい気もするけど…

「……まぁ、単純な話で。元カノ…ユキちゃんってゆうんですけど、あいつ、その子の前で他の学校の奴らと喧嘩しちゃって」
「……喧嘩？」
「つっても、向こうから絡んできたんすよ？あいつ自分から喧嘩売ったりしねぇし、その時も初めは相手にしなかったんです。でも、ユキちゃんに手ェ出されそうになってキレちゃったらしくて」
「………」
「あいつつえーから、余裕で返り討ちにしたらしいんすけど…それ見たユキちゃん、引いちゃって」

大人しい子だったんすよ、と健太は言った。

「結局その後、すぐ別れて。あいつ、好きな子に怖がられたのが相当ショックだったみたいで…」

毎日遊びまわって売られた喧嘩は買いまくって、しょっちゅう補導されて。
謹慎や停学は日常茶飯事だった。

「まぁ退学にはなんなかったから、よかったっんすけどね」



――俺、天使(男)とつきあうことになった

あいつがそんな事を言いだした時は、とうとう頭がイカれたかと思ったけど。

「……大切だったんだ、その子のこと」
「あいつ意外に誠実っすよ。バカですけど」
「知ってる」

天使は小さく笑った。
その優しい笑顔を見て、思った。

……きっともう、大丈夫だ

この人はちゃんと、あいつの事わかってくれてる。