迷子猫(BL)

第2章

14.ミケside

  
特別だと言うと、海斗はよくわからない、という顔をした。
伝わらないもどかしさ。
気持ちを言葉にするのって、難しい。



海斗とするセックスは、毎回何かが違う。
気持ちがいいのは変わらないけど、その日の気分や気持ちで感じ方が違った。

たとえば、今日はなんだか…。

「……っ、かい…、あ、ああっ…！」

狂おしいほどの焦燥感と、溢れていく言葉に出来ない想いと。

「……ミケっ…」

俺は海斗を求めていた。身体も心も全部。
そんな気持ちが伝わったのか、海斗はそれを惜しみなく与えてくれる。

「んんッ…」

何度もキスをして、抱きあって、求めあって。

「海斗っ…」

……もっともっと、欲しい

そして俺を、求めて欲しい。

僅かな隙間さえも、埋めてしまいたいと思う。
今この瞬間に、同じ熱を感じていたいと思う。

「……ミケ…」

汗で額に張り付いた俺の髪を優しく払いながら、海斗は俺を見つめる。
この感情がなんなのかはわからなくても、それでも。
その眼差しで、あいされてるってことはわかる。
だから、泣いてしまいそうになった。

「あ…ぁ、イク…っ！」
「……ミケっ」

力強い腕に抱きしめられて。

「ひぁ、ああっ！あっ…！」

俺は海斗の胸にしがみつくようにして、びくびくと身体を震わせた。
と同時に、海斗も俺のなかに熱い精を吐き出す。

それを何度も繰り返して、俺たちはただひたすら身体を重ね続けた。





海斗が眠ってから、そっとベットを出た。
そして起こさないように、静かにテーブルの上の料理を片付ける。

「………」

身体に残る、ぬくもり。
それはたぶん、幸せな余韻。

そして最後の皿に手を伸ばした時、またテーブルの上の携帯が震えた。

……こんな時間に、誰だろ…

なんの気なしに海斗の携帯を手に取り、そして固まった。
暗闇のなかでぼんやりと光るディスプレイ。
そしてそこに、表示されている文字。

……ミサキ…って…