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58.エピローグ

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※本日2投稿目※
ーーーーーーー


「クラウディア様。そろそろお休みになってください」
「分かってるんだけどね」

 結婚式前夜。

 お父様もお母様もそしてお兄様も、いつでも帰ってきていいと、クラウディアの居場所はここにもあるんだと仰ってくれている。

 でもね、前世で言うと江戸? 明治? とりあえず現代とは違ってそう簡単に帰ったりなんて出来ない。それに私、王太子殿下が即位したら公爵夫人だけど、それまでは王子妃だから…余計にね。

 だから…明日が待ち遠しい気持ちと、まだもう少しこの家にいたい気持ちとあるの。

「お言葉ですが…」
「なぁに?」
「最近のクラウディア様は、王宮で過ごされている時間の方が長いですよね」
「…………そうね」

 結婚式の準備もあったしね。

「ブライアン様も王太子殿下の側近で、王城勤めですよね?」
「…………それもそうね。ポーラ…なんだか元気が出てきたわ」
「なによりです」

 言われてみればそうだった。

 それに何より…お父様もお母様も大好きだけど、一番一緒にいたポーラは私に付いてきてくれる。

「ポーラ」
「はい」
「これからもよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「お休み」
「はい。お休みなさいませ」

 明日が待ち遠しいわ。





 ユリの花で溢れる結婚式。

 ブーケはもちろん白ユリと白バラを使ったキャスケードブーケ。

 プリンセスラインの白いウェディングドレスに、頭にはティアラを乗せて。

 前世からずっと夢見ていた花嫁衣装。

 私の夢を全部詰め込んだ結婚式。

「ディア」

 ウィル様が全部叶えてくれた。

「ウィル様」
「今日からはウィルって呼んで?」
「っ!! ウィ、ウィル…………さま」
「ふはっ。練習しようね?」
「……はい」

 言われたウィル様も耳を赤くしているけれど、言った私の方がもっと赤い。

 ふふ。

 私、これからウィル様と結婚するのよね。


 約18年前、今後一層のご活躍をお祈り申し上げますって送ってきた、私を不採用にした数多くの採用担当者様。

 皆様の祈りのおかげで、私はこの世界で活躍できたかもしれません。


 起こり得たかもしれない事件を未然に防ぐことが出来ました。

 生活に苦しむ人を助けることが出来ました。

 そしてなにより、攻略対象者の悩みを、知らず知らずの内に解決していました。

 まさか…私の婚約者が6人目の攻略対象者だったなんて、さすがにそれは勘弁してほしかったけど。

 でも面接対策のために多種多様な企業を調べたおかげで、6人目の攻略対象者を、ヒロインより先に攻略することが出来ました。

 だから皆様、私を不採用にしてくださりありがとうございます。だって既に内定をもらっていたら、あの日私はあの交差点にはいなかったから。

 私はこの世界で、ウィル様ともっともっと幸せになります。

 遠いこの場所から、皆様の幸せも祈っておきますね。


 それではまたいつか、出会う日まで……



.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:* end


ーーーーーー
最後まで読んでくださりありがとうございます。

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