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98.バニラがりんごと番う時 side光琉

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 さすが親と言うべきなのか、日向と付き合ったその日に親には気付かれた。別に隠すつもりはなかったし、それは別にいい。でもその時に、番になるなら今のままじゃダメだって言われたんだ。

 その通りだって俺も思った。

 高校に入ってからバイトとして親の仕事を手伝ってはいたけど、それだけじゃ生活力がないことに気付かされたから。

 いくら親であっても、俺以外の人間が日向を幸せにするなんてプライドが許さない。

 それからは親の会社を手伝うのではなく、自分でも利益を上げようと考えを変えることにした。

 今でもまだ全然足りないけれど、日向を幸せにするだけの力を付けることは出来たと思う。



 漸く…漸く日向と番になれる。

 本当は卒業式が終わってすぐに家に帰りたかったけど。

「楽しかったな」

 友達と楽しそうにしている日向もまた別の可愛さがあるし、日向の希望は全て叶えたくなるんだから仕方ない。

「そうだね」

 みんなと別れてから妙に口数が増えている日向。緊張しているのが手に取るように分かるのが…可愛い。

 俺達がこれから住むマンションには地下駐車場があり、申請すれば送迎車も入れるが基本的に住民以外は使用不可。もちろん申請しているし日向が1人で乗り降りする際は利用するが…前回、正面玄関から入った時の日向の反応が可愛いすぎて、今日も同じ位置に止めてもらい車を降りた。

 毎回、可愛い笑顔で運転手にお礼を言う日向……車の免許、速攻でとろう。


 何故エレベーターに乗るだけでもこんなに可愛いんだ?

 我慢できずに抱きしめてフェロモンを浴びせてしまうじゃないか。

 あ…日向の香りも強くなってきた。

 軽く触れるだけのキスをするつもりが、一度始めてしまうと止めることができない。

「んっ…」

 日向、もっと俺に夢中になってくれ。

「ふぁ……っ」

 どんどんフェロモンを浴びせ、日向の発情を促す。

 早く番になりたい。

「っ…んっ…」
 
 あぁ…俺が好きなりんごの香りだ。

 崩れ落ちそうな日向をそのまま押し倒してしまう。

 すると何かを訴えようとしだした日向。でももっと俺に溺れさせたくて、気付かないふりをしてキスを続けた。

 ん? 何度も首を振っている…もしかして、番になるのが怖くなってしまったんだろうか?

 落ち着いてきた日向にもう一度尋ねてみると、ここじゃ嫌だと言われた。

 場所? ……あっ…ここまだ玄関だ。

 余裕なさすぎだろ、俺。

「……ベッド行こうか」
「ん。だっこ」

 いつもよりも甘えだした日向。これは本格的に発情が始まる合図だ。

「可愛すぎる」

 いつも可愛いけど。発情期だけに見せてくれる、甘えたな日向の破壊力が凄まじい。

 ベッドでは落ち着いてしまった発情を再度促すよう、量に気を付けながらフェロモンを浴びせていく。

 強制的な発情は、アルファの精を受けた時点で発情が終わってしまう…この可愛い姿をもう少し味わいたいから、ギリギリの状況をできるだけ長く保たせたい。

「ひか…」
「ん?」
「か、んで」

 俺の腕の中でぐちゃぐちゃになっている日向が最高に可愛い。

 もう俺も我慢の限界。日向に了承を得てからネックガードを外し、本気のフェロモンを浴びせる。

 できるだけキレイに痕を付けたい。

 ………そう思っていたのに、発情している日向の項に下を這わせていると、本能のままに噛んでしまった。

「くっ…」

 噛んだ瞬間、今まで感じたことのない幸せが体中に駆け巡る。

 このままもっと、ずっと日向と繋がっていたい……

「日向っ! 大丈夫!?」

 なんて気持ちは一瞬で冷めた。

 日向の細い首から流れる血が止まらない。

「ご、ごめんねっ、日向、日向…ごめん」
「ん……?」
「ごめんねっ、強く噛みすぎちゃった……」
「だ、じょぶ…」

 そう言って意識を手放した日向。

「ひなたっ」
「すぅ………」

 寝て、る…だけ?

「良かった…」

 寝ている日向を起こさないように、でもできるだけ早く日向の首の手当をし、体をキレイにするためにお風呂に入れる。

 服を着せベッドに横にした時、うっすら目を開けた日向と目が合った。

「首、痛くない?」
「だい、じょぶだって」

 俺の頬に手を当て、幸せだって微笑んでくれる。

「俺も幸せ」

 うつらうつらしている日向を抱きしめ、幸せを噛み締めながら俺も目を閉じた。



 中3の時からずっと探していた人。

 高1の時から離さないと決めた人。

 ずっとそばにいたいと、愛してやまない、この世で一番大切な人。


 日向と番になる確約が欲しくて、俺の誕生日の日にフライングでプロポーズまがいなことまでしてしまうほど、日向に翻弄されている自覚はある。

 でも、日向に振り回される人生が、幸せだなって思う。


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