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98.バニラがりんごと番う時 side光琉
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さすが親と言うべきなのか、日向と付き合ったその日に親には気付かれた。別に隠すつもりはなかったし、それは別にいい。でもその時に、番になるなら今のままじゃダメだって言われたんだ。
その通りだって俺も思った。
高校に入ってからバイトとして親の仕事を手伝ってはいたけど、それだけじゃ生活力がないことに気付かされたから。
いくら親であっても、俺以外の人間が日向を幸せにするなんてプライドが許さない。
それからは親の会社を手伝うのではなく、自分でも利益を上げようと考えを変えることにした。
今でもまだ全然足りないけれど、日向を幸せにするだけの力を付けることは出来たと思う。
*
漸く…漸く日向と番になれる。
本当は卒業式が終わってすぐに家に帰りたかったけど。
「楽しかったな」
友達と楽しそうにしている日向もまた別の可愛さがあるし、日向の希望は全て叶えたくなるんだから仕方ない。
「そうだね」
みんなと別れてから妙に口数が増えている日向。緊張しているのが手に取るように分かるのが…可愛い。
俺達がこれから住むマンションには地下駐車場があり、申請すれば送迎車も入れるが基本的に住民以外は使用不可。もちろん申請しているし日向が1人で乗り降りする際は利用するが…前回、正面玄関から入った時の日向の反応が可愛いすぎて、今日も同じ位置に止めてもらい車を降りた。
毎回、可愛い笑顔で運転手にお礼を言う日向……車の免許、速攻でとろう。
何故エレベーターに乗るだけでもこんなに可愛いんだ?
我慢できずに抱きしめてフェロモンを浴びせてしまうじゃないか。
あ…日向の香りも強くなってきた。
軽く触れるだけのキスをするつもりが、一度始めてしまうと止めることができない。
「んっ…」
日向、もっと俺に夢中になってくれ。
「ふぁ……っ」
どんどんフェロモンを浴びせ、日向の発情を促す。
早く番になりたい。
「っ…んっ…」
あぁ…俺が好きなりんごの香りだ。
崩れ落ちそうな日向をそのまま押し倒してしまう。
すると何かを訴えようとしだした日向。でももっと俺に溺れさせたくて、気付かないふりをしてキスを続けた。
ん? 何度も首を振っている…もしかして、番になるのが怖くなってしまったんだろうか?
落ち着いてきた日向にもう一度尋ねてみると、ここじゃ嫌だと言われた。
場所? ……あっ…ここまだ玄関だ。
余裕なさすぎだろ、俺。
「……ベッド行こうか」
「ん。だっこ」
いつもよりも甘えだした日向。これは本格的に発情が始まる合図だ。
「可愛すぎる」
いつも可愛いけど。発情期だけに見せてくれる、甘えたな日向の破壊力が凄まじい。
ベッドでは落ち着いてしまった発情を再度促すよう、量に気を付けながらフェロモンを浴びせていく。
強制的な発情は、アルファの精を受けた時点で発情が終わってしまう…この可愛い姿をもう少し味わいたいから、ギリギリの状況をできるだけ長く保たせたい。
「ひか…」
「ん?」
「か、んで」
俺の腕の中でぐちゃぐちゃになっている日向が最高に可愛い。
もう俺も我慢の限界。日向に了承を得てからネックガードを外し、本気のフェロモンを浴びせる。
できるだけキレイに痕を付けたい。
………そう思っていたのに、発情している日向の項に下を這わせていると、本能のままに噛んでしまった。
「くっ…」
噛んだ瞬間、今まで感じたことのない幸せが体中に駆け巡る。
このままもっと、ずっと日向と繋がっていたい……
「日向っ! 大丈夫!?」
なんて気持ちは一瞬で冷めた。
日向の細い首から流れる血が止まらない。
「ご、ごめんねっ、日向、日向…ごめん」
「ん……?」
「ごめんねっ、強く噛みすぎちゃった……」
「だ、じょぶ…」
そう言って意識を手放した日向。
「ひなたっ」
「すぅ………」
寝て、る…だけ?
「良かった…」
寝ている日向を起こさないように、でもできるだけ早く日向の首の手当をし、体をキレイにするためにお風呂に入れる。
服を着せベッドに横にした時、うっすら目を開けた日向と目が合った。
「首、痛くない?」
「だい、じょぶだって」
俺の頬に手を当て、幸せだって微笑んでくれる。
「俺も幸せ」
うつらうつらしている日向を抱きしめ、幸せを噛み締めながら俺も目を閉じた。
*
中3の時からずっと探していた人。
高1の時から離さないと決めた人。
ずっとそばにいたいと、愛してやまない、この世で一番大切な人。
日向と番になる確約が欲しくて、俺の誕生日の日にフライングでプロポーズまがいなことまでしてしまうほど、日向に翻弄されている自覚はある。
でも、日向に振り回される人生が、幸せだなって思う。
その通りだって俺も思った。
高校に入ってからバイトとして親の仕事を手伝ってはいたけど、それだけじゃ生活力がないことに気付かされたから。
いくら親であっても、俺以外の人間が日向を幸せにするなんてプライドが許さない。
それからは親の会社を手伝うのではなく、自分でも利益を上げようと考えを変えることにした。
今でもまだ全然足りないけれど、日向を幸せにするだけの力を付けることは出来たと思う。
*
漸く…漸く日向と番になれる。
本当は卒業式が終わってすぐに家に帰りたかったけど。
「楽しかったな」
友達と楽しそうにしている日向もまた別の可愛さがあるし、日向の希望は全て叶えたくなるんだから仕方ない。
「そうだね」
みんなと別れてから妙に口数が増えている日向。緊張しているのが手に取るように分かるのが…可愛い。
俺達がこれから住むマンションには地下駐車場があり、申請すれば送迎車も入れるが基本的に住民以外は使用不可。もちろん申請しているし日向が1人で乗り降りする際は利用するが…前回、正面玄関から入った時の日向の反応が可愛いすぎて、今日も同じ位置に止めてもらい車を降りた。
毎回、可愛い笑顔で運転手にお礼を言う日向……車の免許、速攻でとろう。
何故エレベーターに乗るだけでもこんなに可愛いんだ?
我慢できずに抱きしめてフェロモンを浴びせてしまうじゃないか。
あ…日向の香りも強くなってきた。
軽く触れるだけのキスをするつもりが、一度始めてしまうと止めることができない。
「んっ…」
日向、もっと俺に夢中になってくれ。
「ふぁ……っ」
どんどんフェロモンを浴びせ、日向の発情を促す。
早く番になりたい。
「っ…んっ…」
あぁ…俺が好きなりんごの香りだ。
崩れ落ちそうな日向をそのまま押し倒してしまう。
すると何かを訴えようとしだした日向。でももっと俺に溺れさせたくて、気付かないふりをしてキスを続けた。
ん? 何度も首を振っている…もしかして、番になるのが怖くなってしまったんだろうか?
落ち着いてきた日向にもう一度尋ねてみると、ここじゃ嫌だと言われた。
場所? ……あっ…ここまだ玄関だ。
余裕なさすぎだろ、俺。
「……ベッド行こうか」
「ん。だっこ」
いつもよりも甘えだした日向。これは本格的に発情が始まる合図だ。
「可愛すぎる」
いつも可愛いけど。発情期だけに見せてくれる、甘えたな日向の破壊力が凄まじい。
ベッドでは落ち着いてしまった発情を再度促すよう、量に気を付けながらフェロモンを浴びせていく。
強制的な発情は、アルファの精を受けた時点で発情が終わってしまう…この可愛い姿をもう少し味わいたいから、ギリギリの状況をできるだけ長く保たせたい。
「ひか…」
「ん?」
「か、んで」
俺の腕の中でぐちゃぐちゃになっている日向が最高に可愛い。
もう俺も我慢の限界。日向に了承を得てからネックガードを外し、本気のフェロモンを浴びせる。
できるだけキレイに痕を付けたい。
………そう思っていたのに、発情している日向の項に下を這わせていると、本能のままに噛んでしまった。
「くっ…」
噛んだ瞬間、今まで感じたことのない幸せが体中に駆け巡る。
このままもっと、ずっと日向と繋がっていたい……
「日向っ! 大丈夫!?」
なんて気持ちは一瞬で冷めた。
日向の細い首から流れる血が止まらない。
「ご、ごめんねっ、日向、日向…ごめん」
「ん……?」
「ごめんねっ、強く噛みすぎちゃった……」
「だ、じょぶ…」
そう言って意識を手放した日向。
「ひなたっ」
「すぅ………」
寝て、る…だけ?
「良かった…」
寝ている日向を起こさないように、でもできるだけ早く日向の首の手当をし、体をキレイにするためにお風呂に入れる。
服を着せベッドに横にした時、うっすら目を開けた日向と目が合った。
「首、痛くない?」
「だい、じょぶだって」
俺の頬に手を当て、幸せだって微笑んでくれる。
「俺も幸せ」
うつらうつらしている日向を抱きしめ、幸せを噛み締めながら俺も目を閉じた。
*
中3の時からずっと探していた人。
高1の時から離さないと決めた人。
ずっとそばにいたいと、愛してやまない、この世で一番大切な人。
日向と番になる確約が欲しくて、俺の誕生日の日にフライングでプロポーズまがいなことまでしてしまうほど、日向に翻弄されている自覚はある。
でも、日向に振り回される人生が、幸せだなって思う。
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