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48.後夜祭
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結局、後夜祭には参加せずに文化祭が終わってしまった。俺、光琉とキャンプファイヤーが点火されるの見たかったんだけどなぁ。
廊下がガヤガヤとしだし、その声から展示部門の賞はプラネタリウムだったことや、公開告白をした人が数人いたことなんかを知った。
「最後に告白した3年の先輩、相手のこと1年の時からずっと好きだったらしいぞ」
「まじ?」
「しかも1回振られてる」
「ならその先輩、諦めずに思い続けて良かったじゃん」
なるほど…これはカップル誕生の瞬間に立ち会って、みんなのテンションが更に上がってそうだな。
ガラッ。
「あっ……ごめんなさい! みんな教室に入るのちょっと待って!」
クラスメイトが戻ってきても光琉はお構いなしに、ずっと俺の手を握り続け、見つめてくる。
「松本さん! 大丈夫だから。気にしないで」
「そう…?」
「光琉も、後で話そう」
「分かった」
最初に入ってきたのが松本さんで良かったと思ったのは一瞬のことで、続々と教室に入ってきたクラスメイト達は、俺達の様子を見て何事かと黙ってしまった。みんな楽しそうに笑っていたのに…ごめん。
一樹達3人も戻ってきて、俺達の様子を伺っている。あぁ…3人共俺がオメガだって知ってるんだ…。俺……一樹にオメガだって話してないんだよな。こうなるのならもっと早くにカミングアウトしておけばよかった。
光琉……さっき分かったって言ったよな? 状況が何も変わらないんだが…。
松本さんが機転を利かせてくれ、俺達が気になって仕方ないクラスメイト達に帰宅を促してくれる。後夜祭は自由参加だから担任は教室に来ない。松本さんには感謝しかないな。
「私達は暖の車で帰ります。…程々にするようにしてくださいね」
そう光琉に伝え教室を出た稜ちゃん。一樹と宇都宮はまた来週とだけ言って、稜ちゃんに続いて帰っていった。
再び教室には俺達2人だけ。
「日向、俺達も帰ろう」
「えっ?」
返事は今日じゃなくていいってことなのか?
「もちろん俺ん家の車に乗ってもらうよ。でももう下校時間だから」
「下校時間…うん」
車に乗ってすぐ、光琉は俺を抱きしめてきた。
「あの…光琉?」
「本当に好きなんだ。誰にも取られたくない」
「う…うん」
運命フィルターでもかかっているのか、する必要のない心配までしている。
「……仮でもいいから」
「仮?」
「そう。お試し期間」
「………期間ってどれくらい?」
「日向が俺を好きになるまで」
それってさ…
「日向が俺を好きになったら、正式に恋人」
「番にも…?」
「正式な恋人になって、日向が良いって言ったら噛むよ」
「分かった………ん? なんか」
「ありがとう!!」
より強く抱きしめてくる光琉。
「あっ、いや…」
なんか俺上手く誘導されてないか?
「日向、明日は新しいネックガードを作りに行こう。俺予約しとく。明日はもちろん来週からも毎朝迎えに来るから。電車にはもう乗らないで。あっ、もちろんこれからはしっかり俺のフェロモンを付けるから。それと…」
「ちょっ、ちょっと待って! そんな色々言われても分かんないから!」
「ごめん」
「あっ…そんな落ち込むなよ」
捨てられた犬みたいだな。
「ふふっ」
「日向?」
「今の光琉ちょっと可愛いな」
「うっ…番が可愛すぎる」
「…番じゃなくて仮の彼氏な。仮の」
【仮】だしな。大丈夫。仮だから、仮だから…光琉に本当に好きな人が出来ても……大丈夫だ。
廊下がガヤガヤとしだし、その声から展示部門の賞はプラネタリウムだったことや、公開告白をした人が数人いたことなんかを知った。
「最後に告白した3年の先輩、相手のこと1年の時からずっと好きだったらしいぞ」
「まじ?」
「しかも1回振られてる」
「ならその先輩、諦めずに思い続けて良かったじゃん」
なるほど…これはカップル誕生の瞬間に立ち会って、みんなのテンションが更に上がってそうだな。
ガラッ。
「あっ……ごめんなさい! みんな教室に入るのちょっと待って!」
クラスメイトが戻ってきても光琉はお構いなしに、ずっと俺の手を握り続け、見つめてくる。
「松本さん! 大丈夫だから。気にしないで」
「そう…?」
「光琉も、後で話そう」
「分かった」
最初に入ってきたのが松本さんで良かったと思ったのは一瞬のことで、続々と教室に入ってきたクラスメイト達は、俺達の様子を見て何事かと黙ってしまった。みんな楽しそうに笑っていたのに…ごめん。
一樹達3人も戻ってきて、俺達の様子を伺っている。あぁ…3人共俺がオメガだって知ってるんだ…。俺……一樹にオメガだって話してないんだよな。こうなるのならもっと早くにカミングアウトしておけばよかった。
光琉……さっき分かったって言ったよな? 状況が何も変わらないんだが…。
松本さんが機転を利かせてくれ、俺達が気になって仕方ないクラスメイト達に帰宅を促してくれる。後夜祭は自由参加だから担任は教室に来ない。松本さんには感謝しかないな。
「私達は暖の車で帰ります。…程々にするようにしてくださいね」
そう光琉に伝え教室を出た稜ちゃん。一樹と宇都宮はまた来週とだけ言って、稜ちゃんに続いて帰っていった。
再び教室には俺達2人だけ。
「日向、俺達も帰ろう」
「えっ?」
返事は今日じゃなくていいってことなのか?
「もちろん俺ん家の車に乗ってもらうよ。でももう下校時間だから」
「下校時間…うん」
車に乗ってすぐ、光琉は俺を抱きしめてきた。
「あの…光琉?」
「本当に好きなんだ。誰にも取られたくない」
「う…うん」
運命フィルターでもかかっているのか、する必要のない心配までしている。
「……仮でもいいから」
「仮?」
「そう。お試し期間」
「………期間ってどれくらい?」
「日向が俺を好きになるまで」
それってさ…
「日向が俺を好きになったら、正式に恋人」
「番にも…?」
「正式な恋人になって、日向が良いって言ったら噛むよ」
「分かった………ん? なんか」
「ありがとう!!」
より強く抱きしめてくる光琉。
「あっ、いや…」
なんか俺上手く誘導されてないか?
「日向、明日は新しいネックガードを作りに行こう。俺予約しとく。明日はもちろん来週からも毎朝迎えに来るから。電車にはもう乗らないで。あっ、もちろんこれからはしっかり俺のフェロモンを付けるから。それと…」
「ちょっ、ちょっと待って! そんな色々言われても分かんないから!」
「ごめん」
「あっ…そんな落ち込むなよ」
捨てられた犬みたいだな。
「ふふっ」
「日向?」
「今の光琉ちょっと可愛いな」
「うっ…番が可愛すぎる」
「…番じゃなくて仮の彼氏な。仮の」
【仮】だしな。大丈夫。仮だから、仮だから…光琉に本当に好きな人が出来ても……大丈夫だ。
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