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47.文化祭2日目⑦

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 そろそろ後夜祭の時間だ。稜里高校では、文化祭で出たゴミのうち、燃やしても問題ない物を燃料にキャンプファイヤーを行うのが恒例。

 場所は運動場で主催は文化祭委員。プログラムの内容はまず点火式があり、その後各部門の表彰式が行われる。展示部門は俺達と2年5組の一騎打ちじゃないかって言われているそうだ。

「日向待って」

 みんなと運動場へ向かうため席を立とうとしたら、光琉に腕を取られた。

「運動場、行かないのか?」
「少しだけ…お願い」
「? 分かった」

 席に座り直し、じっと光琉が話し出すのを待つ。沈みかけた太陽の光が光琉の横顔に当たり、睫毛の影が顔に映っている。…光琉って結構睫毛長いんだな。

 それにしても光琉、どうしたんだろう。今だって俺の手を握ったり、指を触ったり、ずっと黙って手先を見つめているし。

 もしかして…この2日間は内容が濃かったから…たった2日の間に嬉しくなったり悲しくなったり、そんな俺の姿を見て何か思うことがあったのか?


「「わ~」」

 キャンプファイヤーの点火式が行われたのか、閉まっている窓から盛り上がる声が漏れ聞こえてくる。

「日向…好きだよ」
「えっ?」
「日向が好き。運命だからじゃない。日向だから好きになったんだ」

 !!?!!?

「好きって…」
「うん。好き」
「…………運命の番だから…勘違いしているだけだろ」
「それは違う」
「でも俺…」

 運命だから、本能がそうさせているだけ。だって俺は蓮みたいに可愛くないし…ベータの普通の男にしか見えない俺が好かれる要素なんて無いから。

 そりゃさ、蓮が光琉に興味持たないのを良いことに、光琉に近づけないよう誘導してみたり…オメガかなって人が遠目に見えたら、行き先を変更して出会えないようにしたりとか…ダメだって分かってるのに邪魔ばっかりしちゃってたくらい、光琉のことが好きだけど。

 光琉のこれまでの行動は本能だけじゃないかもしれない。俺のことが好きなのかもって勘違いしていいなら、言葉にしてほしいと、確かにそう思ったよ。

 でもいざ言葉にされると…信じる自信がない。

「日向と付き合いたい」
「………」

 きっと光琉は運命じゃなかったら俺なんて気にもしなかったと思うんだ。

「必ず好きだって言わせる。俺を信じてほしい」
「……光琉を信じてないわけじゃない」

 運命の番。これはただのきっかけに過ぎないのかもしれない。でも、だからこそ、いつか光琉が本当に好きな人と出会ってしまうかもしれないって、恐怖が残ってしまう。

「本当は今すぐにでも番いたい。日向を誰にも取られたくないんだ」
「番…」

 番にしてほしいって思ったことだってもちろんあるよ。

 でもさ…アルファはオメガと違って何人でも番を作れるじゃん。番った後に光琉に捨てられたらって…そんなの恐ろしすぎる。

「もちろん日向が良いって言うまで、無理やり番になんてしないから。でも、付き合ってほしい」
「…………」
「ごめん。うんって言うまで帰さないから」
「それ…絶対断れないやつじゃん」
「だからうんって言って。俺に日向を守らせて」

 本当はすごく嬉しい。信じたい。俺も好きって言いたい。その胸に抱きつきたいし、その腕で抱きしめてほしい。

 でも………

 でもやっぱり、信じるのが怖いんだ。



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