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5.行きたい高校
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―――翌日
「違和感しかなかったな」
先生が言っていた通りネックガードは制服で隠れたから良かったものの、首元が気になってついつい触ってしまう。ちなみに体育はタオルを上から巻いて隠すことにした。
心配していたオメガ疑惑をかけられなかったのは…良かったんだけど、ちょっとだけ複雑。
そして今日はまた新たな問題発生。って前々からいつか話さないとと思っていたことなんだけど。
進路希望調査の提出…俺は全バース受け入れている高校、稜里高校に行きたい。
母さんは…何て言うだろう? ずっとオメガなのは何かの間違いのはずだと、姉ちゃんと同じベータ校に行かせるつもりだったのは知ってる。そして父さんは国内のオメガ校の学校案内の資料請求してた。
父さんから説得して…あっ!! 姉ちゃんだ! 俺にアルファと付き合ってほしいって言う姉ちゃんをまず味方につけよう。
*
*
結果としては大成功。
母さんはオメガであると受け入れている最中で、ベータ校に進学すると信じたまま頭が切り替えられてなかったし、父さんも思っていた通りオメガ校を勧めてきた。
先に折れたのは父さんで…まぁ電車通学になるから条件付だけど。
稜里高校は付属大学に内部進学ができるとか、オメガ校出身者は高校卒業後すぐ結婚する人が多いけど、私よりも先に日向を嫁に出すのかとか、なんか色々説得力のある内容で姉ちゃんが言いくるめてくれたんだ。
俺的にはオメガらしくないから、ベータ偽装できる全バース校であり、1番家から近いから稜里高校に行きたいってだけだったんだけどな。
しかも話し合い中ずっと泣いてる母さんに対し、もういい加減疲れるわって思ってたところで、『お母さん、これ読んで』とBL漫画を出した姉ちゃん。『日向の幸せがここに描かれてるから』って…流石というか、姉ちゃん強すぎな。
でも母さんは姉ちゃんの提案をすんなり受け入れていて、姉ちゃんももっと早くに提案してくれたら良かったのにって思ったのは心に留めておくことにした。
それより姉ちゃんって少女漫画みたいな恋愛をしたことがあるのか? BL漫画みたいな恋愛なんて俺には起こらないと思うんだけど。
ってか父さんも漫画を読むって言い出すし、家族みんなでBL漫画読むってどんな家族だよ。
でもまぁ、姉ちゃんには感謝してる。せっかく素直に『ありがとう』って言ったのに、お礼はアルファの彼氏ねって言ってきたのにはちょっと呆れたけど。いつでもブレない姉ちゃん。姉ちゃんが姉ちゃんで良かった…コレは言わないけど。
*
*
*
夏休みに入り、部活も引退して本格的に受験モード。
稜里高校に行くってことを一樹に伝えると、俺もそうする! と春から一緒に火・金の週2で駅前の塾に通い中なんだ。……夏期講習には参加してない。通常授業ではアルファは別なのに、夏期講習は一緒だって聞いたから、何となく。本当に何となく、参加はやめとこうって。
火曜日の今日は通常授業の日。購入先が塾の横にある駅近くのコンビニに変わったけど、帰宅途中で買い食いして帰るルーティーンは変わらずで。
あっちの駅前のコンビニと違って狭いけど、入口に人が溜まってないのが良い!
「あっつー、夏休みに塾とか受験生って感じだよな。そういえば日向さ、最近バニラアイスお気に入り?」
「あー、何か塾に来ると食べたくなるんだよ」
「頭使うと甘いもの欲するって言うもんな!」
そう言って買ったドリンクを一気飲みした一樹。
「何かこの塾さ、ちょっとバニラの香りするじゃん?」
「そう? 芳香剤かなんか?」
芳香剤じゃない気がするんだけど…安心するというか…妙に落ち着いて、家で勉強するよりはかどるんだよな。
「それ前も言ってたよな。確か春くらい」
「そうだっけ?」
そう言われるとそんな気もしてきたような? 一学期は色々あったからなぁ。
「前は何でもいちごだった日向が懐かしいわ」
「……俺も大人になったんだよ」
「バニラって大人か? 俺はいつでもコーヒーだから大人だけどな」
「一樹はコーヒーじゃなくてコーヒー牛乳じゃん」
確かに前はいちご味が好きだった。女子みたいだから黙ってたのに一樹にはバレてたのか。ちょっと恥ずい。
*
俺がもっとオメガらしかったらオメガ校も選択肢に入れただろう。でもそうなるとこうやって一樹と一緒に塾通いすることもなかった。だから俺の選択はきっと間違ってなかったって思うんだ。
時代が変わったとはいえ、自分にも周りにとってもオメガ校が一番安心する学校だって分かってる。それでも俺の気持ちを汲んで、協力してくれてる家族のためにも、絶対に合格する!!
そう気合を入れ、猛勉強して受験して、合格して……入学式!!
の前に初めての発情期が来てしまった。
西井戸先生にも、オメガフェロモンの測定値が上がってきてるからそろそろ来そうだね。って言われていたから覚悟はできていた…けど、想像以上に辛かった。身体への負担が一番少ない弱い薬から試したからであってほしい。
春休みはほぼ発情期で潰れてしまったけど、問題なく入学式に出席できたから、それだけは良かったのかな。
「違和感しかなかったな」
先生が言っていた通りネックガードは制服で隠れたから良かったものの、首元が気になってついつい触ってしまう。ちなみに体育はタオルを上から巻いて隠すことにした。
心配していたオメガ疑惑をかけられなかったのは…良かったんだけど、ちょっとだけ複雑。
そして今日はまた新たな問題発生。って前々からいつか話さないとと思っていたことなんだけど。
進路希望調査の提出…俺は全バース受け入れている高校、稜里高校に行きたい。
母さんは…何て言うだろう? ずっとオメガなのは何かの間違いのはずだと、姉ちゃんと同じベータ校に行かせるつもりだったのは知ってる。そして父さんは国内のオメガ校の学校案内の資料請求してた。
父さんから説得して…あっ!! 姉ちゃんだ! 俺にアルファと付き合ってほしいって言う姉ちゃんをまず味方につけよう。
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結果としては大成功。
母さんはオメガであると受け入れている最中で、ベータ校に進学すると信じたまま頭が切り替えられてなかったし、父さんも思っていた通りオメガ校を勧めてきた。
先に折れたのは父さんで…まぁ電車通学になるから条件付だけど。
稜里高校は付属大学に内部進学ができるとか、オメガ校出身者は高校卒業後すぐ結婚する人が多いけど、私よりも先に日向を嫁に出すのかとか、なんか色々説得力のある内容で姉ちゃんが言いくるめてくれたんだ。
俺的にはオメガらしくないから、ベータ偽装できる全バース校であり、1番家から近いから稜里高校に行きたいってだけだったんだけどな。
しかも話し合い中ずっと泣いてる母さんに対し、もういい加減疲れるわって思ってたところで、『お母さん、これ読んで』とBL漫画を出した姉ちゃん。『日向の幸せがここに描かれてるから』って…流石というか、姉ちゃん強すぎな。
でも母さんは姉ちゃんの提案をすんなり受け入れていて、姉ちゃんももっと早くに提案してくれたら良かったのにって思ったのは心に留めておくことにした。
それより姉ちゃんって少女漫画みたいな恋愛をしたことがあるのか? BL漫画みたいな恋愛なんて俺には起こらないと思うんだけど。
ってか父さんも漫画を読むって言い出すし、家族みんなでBL漫画読むってどんな家族だよ。
でもまぁ、姉ちゃんには感謝してる。せっかく素直に『ありがとう』って言ったのに、お礼はアルファの彼氏ねって言ってきたのにはちょっと呆れたけど。いつでもブレない姉ちゃん。姉ちゃんが姉ちゃんで良かった…コレは言わないけど。
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夏休みに入り、部活も引退して本格的に受験モード。
稜里高校に行くってことを一樹に伝えると、俺もそうする! と春から一緒に火・金の週2で駅前の塾に通い中なんだ。……夏期講習には参加してない。通常授業ではアルファは別なのに、夏期講習は一緒だって聞いたから、何となく。本当に何となく、参加はやめとこうって。
火曜日の今日は通常授業の日。購入先が塾の横にある駅近くのコンビニに変わったけど、帰宅途中で買い食いして帰るルーティーンは変わらずで。
あっちの駅前のコンビニと違って狭いけど、入口に人が溜まってないのが良い!
「あっつー、夏休みに塾とか受験生って感じだよな。そういえば日向さ、最近バニラアイスお気に入り?」
「あー、何か塾に来ると食べたくなるんだよ」
「頭使うと甘いもの欲するって言うもんな!」
そう言って買ったドリンクを一気飲みした一樹。
「何かこの塾さ、ちょっとバニラの香りするじゃん?」
「そう? 芳香剤かなんか?」
芳香剤じゃない気がするんだけど…安心するというか…妙に落ち着いて、家で勉強するよりはかどるんだよな。
「それ前も言ってたよな。確か春くらい」
「そうだっけ?」
そう言われるとそんな気もしてきたような? 一学期は色々あったからなぁ。
「前は何でもいちごだった日向が懐かしいわ」
「……俺も大人になったんだよ」
「バニラって大人か? 俺はいつでもコーヒーだから大人だけどな」
「一樹はコーヒーじゃなくてコーヒー牛乳じゃん」
確かに前はいちご味が好きだった。女子みたいだから黙ってたのに一樹にはバレてたのか。ちょっと恥ずい。
*
俺がもっとオメガらしかったらオメガ校も選択肢に入れただろう。でもそうなるとこうやって一樹と一緒に塾通いすることもなかった。だから俺の選択はきっと間違ってなかったって思うんだ。
時代が変わったとはいえ、自分にも周りにとってもオメガ校が一番安心する学校だって分かってる。それでも俺の気持ちを汲んで、協力してくれてる家族のためにも、絶対に合格する!!
そう気合を入れ、猛勉強して受験して、合格して……入学式!!
の前に初めての発情期が来てしまった。
西井戸先生にも、オメガフェロモンの測定値が上がってきてるからそろそろ来そうだね。って言われていたから覚悟はできていた…けど、想像以上に辛かった。身体への負担が一番少ない弱い薬から試したからであってほしい。
春休みはほぼ発情期で潰れてしまったけど、問題なく入学式に出席できたから、それだけは良かったのかな。
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