24 / 65
腐っても妹
しおりを挟む
「お姉様。少しよろしいでしょうか」
いつものメンバーとカフェテリアで昼食をとっていると、メアリーが入ってきた。
「メアリー、許可なく入室するのは良くないですよ」
「妹が申し訳ありません。アルフレッド様、皆様」
「お姉様、一緒に来てくださいませ」
面倒ね…それにまだ昼食の途中なのに。でもこのまま無視もできな…
「アルフレッド様っ」
!!! あなた達、学園内でも共に過ごすようになったの? それに…
「見て下さい。制服、お揃いです」
特注品のブローチ以外は全く同じ制服をメアリーだけでなくルーシーも着用している。
「許可した覚えはないが」
「? 制服は組み合わせ自由ですよね? メアリーとお揃いにしたんです。…あっ! アルフレッド様も同じなんて嬉しいです。そのブローチ……もしかして私の色ですか? ピンク色っ」
「これはアメジストだ。どう見ても紫にしか見えないだろう」
アルフレッド様、怒りが隠しきれてない。う、嬉しい。
‥‥じゃなくて
「少し席を外します。メアリー、行きましょう」
「リリーナ、私も行くわ」
アルフレッド様もついて行きたそうに心配顔で見てきたけれど、ここは任せてほしい。
だからよかった…アマンダが付いてきてくれると言ってくれて。お兄様に言われているのもあるけれど、単純にメアリーやルーシーと3人で過ごすなんて避けたかったから。
*
*
*
「お姉様しか呼んでないのに何であなたも付いてくるのよ」
カフェテリア内にある、パーテーションで仕切られた席に移動した途端、メアリーが話しだした。
「それより、あなた達の仲が良かったなんて知らなかったわ」
カフェテリアでも勉強をしたり、本を読むことができる。その際に、個別空間になるようにと立てられただけのパーテーション。もちろん音を遮断するわけがない。メアリーはこれでも公爵令嬢なので心配ないけれど、ルーシーって普段から少し声が大きいのよね…。
「そのブローチ私達も欲しい。ねっ、メアリー。どうせこの女は教えてくれないだろうけど、どこで購入したか調べればわかるでしょう? 同じものをお願いね」
ほらやっぱり大きな声。それより前より更に口調が悪くなっていないかしら? 私なんて名前すら呼ばれなくなったわね。
お兄様の調べでは、ルーシーの家はそこまで裕福じゃなかった。だから制服を買い直す余裕なんてないはずで…まさかメアリーが準備するなんて思いもしなかったわ。
「あなたねぇ」
「いいの? そんな口を利いて。お願い、聞かないわよ」
よく分からないけれど、2人が純粋な友人関係でないことは理解したわ。
お邪魔みたいだし戻ろうかしら。
「待ちなさいよ!」
アマンダにアイコンタクトを送り席を立とうとしたらメアリーに引き止められた。
「ルーシー、あなたは少し黙っててちょうだい」
「ブローチの購入先を教えるつもりはなくてよ?」
調べたって分からないだろうけど。
「それよりも! お兄様に何したのよ」
「お兄様?」
「そうよっ! 最近お兄様の様子がおかしいのはお姉様のせいなんでしょう」
そうなのだ。あんなにも溺愛していたメアリーをお兄様は最近避けている。昔私が経験したのと同じ様子で、あの時のお兄様は私の扱いに困っていたのねと10年たって初めて気が付いたわよ。
「そうかしら? 変わらないと思うけれど」
メアリー以外にはね。
「でも…」
「何か言われたの」
「………制服を変えなさいって。それに前は聞いてくれたお願いも聞いてくれなくなったし、話しかけても忙しいってすぐに執務室に入ってしまうし」
「…………」
はぁぁ。私にとってメアリーはやっぱり腐っても妹なのね…。ムカつくけど! 嫌いだけど! こんな風に落ち込んでる姿を見せられると少し可哀想に思えてしまう。きっとルーシーには思わないであろう感情。
だからといって手を差し伸べるつもりはないのだけどね。
「制服を変えるようにと言われたのに、変えていないからじゃないかしら。それに、お兄様は今本当にお忙しいのよ。側近のお仕事以外に公爵家のお仕事もされているのだから」
あとあなた達の調査をね。
制服も変えてほしいし、これくらいのフォローはいいことにしよう。
いつものメンバーとカフェテリアで昼食をとっていると、メアリーが入ってきた。
「メアリー、許可なく入室するのは良くないですよ」
「妹が申し訳ありません。アルフレッド様、皆様」
「お姉様、一緒に来てくださいませ」
面倒ね…それにまだ昼食の途中なのに。でもこのまま無視もできな…
「アルフレッド様っ」
!!! あなた達、学園内でも共に過ごすようになったの? それに…
「見て下さい。制服、お揃いです」
特注品のブローチ以外は全く同じ制服をメアリーだけでなくルーシーも着用している。
「許可した覚えはないが」
「? 制服は組み合わせ自由ですよね? メアリーとお揃いにしたんです。…あっ! アルフレッド様も同じなんて嬉しいです。そのブローチ……もしかして私の色ですか? ピンク色っ」
「これはアメジストだ。どう見ても紫にしか見えないだろう」
アルフレッド様、怒りが隠しきれてない。う、嬉しい。
‥‥じゃなくて
「少し席を外します。メアリー、行きましょう」
「リリーナ、私も行くわ」
アルフレッド様もついて行きたそうに心配顔で見てきたけれど、ここは任せてほしい。
だからよかった…アマンダが付いてきてくれると言ってくれて。お兄様に言われているのもあるけれど、単純にメアリーやルーシーと3人で過ごすなんて避けたかったから。
*
*
*
「お姉様しか呼んでないのに何であなたも付いてくるのよ」
カフェテリア内にある、パーテーションで仕切られた席に移動した途端、メアリーが話しだした。
「それより、あなた達の仲が良かったなんて知らなかったわ」
カフェテリアでも勉強をしたり、本を読むことができる。その際に、個別空間になるようにと立てられただけのパーテーション。もちろん音を遮断するわけがない。メアリーはこれでも公爵令嬢なので心配ないけれど、ルーシーって普段から少し声が大きいのよね…。
「そのブローチ私達も欲しい。ねっ、メアリー。どうせこの女は教えてくれないだろうけど、どこで購入したか調べればわかるでしょう? 同じものをお願いね」
ほらやっぱり大きな声。それより前より更に口調が悪くなっていないかしら? 私なんて名前すら呼ばれなくなったわね。
お兄様の調べでは、ルーシーの家はそこまで裕福じゃなかった。だから制服を買い直す余裕なんてないはずで…まさかメアリーが準備するなんて思いもしなかったわ。
「あなたねぇ」
「いいの? そんな口を利いて。お願い、聞かないわよ」
よく分からないけれど、2人が純粋な友人関係でないことは理解したわ。
お邪魔みたいだし戻ろうかしら。
「待ちなさいよ!」
アマンダにアイコンタクトを送り席を立とうとしたらメアリーに引き止められた。
「ルーシー、あなたは少し黙っててちょうだい」
「ブローチの購入先を教えるつもりはなくてよ?」
調べたって分からないだろうけど。
「それよりも! お兄様に何したのよ」
「お兄様?」
「そうよっ! 最近お兄様の様子がおかしいのはお姉様のせいなんでしょう」
そうなのだ。あんなにも溺愛していたメアリーをお兄様は最近避けている。昔私が経験したのと同じ様子で、あの時のお兄様は私の扱いに困っていたのねと10年たって初めて気が付いたわよ。
「そうかしら? 変わらないと思うけれど」
メアリー以外にはね。
「でも…」
「何か言われたの」
「………制服を変えなさいって。それに前は聞いてくれたお願いも聞いてくれなくなったし、話しかけても忙しいってすぐに執務室に入ってしまうし」
「…………」
はぁぁ。私にとってメアリーはやっぱり腐っても妹なのね…。ムカつくけど! 嫌いだけど! こんな風に落ち込んでる姿を見せられると少し可哀想に思えてしまう。きっとルーシーには思わないであろう感情。
だからといって手を差し伸べるつもりはないのだけどね。
「制服を変えるようにと言われたのに、変えていないからじゃないかしら。それに、お兄様は今本当にお忙しいのよ。側近のお仕事以外に公爵家のお仕事もされているのだから」
あとあなた達の調査をね。
制服も変えてほしいし、これくらいのフォローはいいことにしよう。
22
お気に入りに追加
343
あなたにおすすめの小説
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
第二部の悪役令嬢がシナリオ開始前に邪神の封印を解いたら闇落ち回避は出来ますか?~王子様との婚約解消はいつでも大歓迎です~
斯波
恋愛
辺境伯令嬢ウェスパルは王家主催のお茶会で見知らぬ令嬢達に嫌味を言われ、すっかり王都への苦手意識が出来上がってしまった。母に泣きついて予定よりも早く領地に帰ることになったが、五年後、学園入学のために再び王都を訪れなければならないと思うと憂鬱でたまらない。泣き叫ぶ兄を横目に地元へと戻ったウェスパルは新鮮な空気を吸い込むと同時に、自らの中に眠っていた前世の記憶を思い出した。
「やっば、私、悪役令嬢じゃん。しかもブラックサイドの方」
ウェスパル=シルヴェスターは三部作で構成される乙女ゲームの第二部 ブラックsideに登場する悪役令嬢だったのだ。第一部の悪役令嬢とは違い、ウェスパルのラストは断罪ではなく闇落ちである。彼女は辺境伯領に封印された邪神を復活させ、国を滅ぼそうとするのだ。
ヒロインが第一部の攻略者とくっついてくれればウェスパルは確実に闇落ちを免れる。だがプレイヤーの推しに左右されることのないヒロインが六人中誰を選ぶかはその時になってみないと分からない。もしかしたら誰も選ばないかもしれないが、そこまで待っていられるほど気が長くない。
ヒロインの行動に関わらず、絶対に闇落ちを回避する方法はないかと考え、一つの名案? が頭に浮かんだ。
「そうだ、邪神を仲間に引き入れよう」
闇落ちしたくない悪役令嬢が未来の邪神を仲間にしたら、学園入学前からいろいろ変わってしまった話。
【完結】ドケチ少女が断罪後の悪役令嬢に転生したら、嫌われ令息に溺愛されました。
やまぐちこはる
恋愛
仁科李依紗は所謂守銭奴、金を殖やすのが何よりの楽しみ。
しかし大学一年の夏、工事現場で上から落ちてきた鉄板に当たり落命してしまう。
その事故は本当は男子学生の命を奪うものだったが、李依紗が躓いた弾みで学生を突き飛ばし、身代わりになってしまったのだ。
まだまだ寿命があったはずの李依紗は、その学生に自分の寿命を与えることになり、学生の代わりに異世界へ転生させられることになった。
異世界神は神世に現れた李依紗を見て手違いに驚くが今回は李依紗で手を打つしかない、いまさらどうにもならぬと、貴族令嬢の体を与えて転生させる。
それは李依紗の世界のとある小説を異世界神が面白がって現実化したもの。
李依紗も姉のお下がりで読んだことがある「帝国の気高き薔薇」という恋愛小説。
それは美しい子爵令嬢と王太子のラブストーリー。そして李依紗は、令嬢を虐めたと言われ、嫌われることになるありがちな悪役令嬢リイサ・サレンドラ公爵令嬢の体に入れ替わってしまったのだ。
===============================
最終話まで書き終え、予約投稿済です。年末年始は一日3〜4話、それ以外は毎日朝8時に更新です。
よろしくお願い致します。
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
めんどくさいが口ぐせになった令嬢らしからぬわたくしを、いいかげん婚約破棄してくださいませ。
hoo
恋愛
ほぅ……(溜息)
前世で夢中になってプレイしておりました乙ゲーの中で、わたくしは男爵の娘に婚約者である皇太子さまを奪われそうになって、あらゆる手を使って彼女を虐め抜く悪役令嬢でございました。
ですのに、どういうことでございましょう。
現実の世…と申していいのかわかりませぬが、この世におきましては、皇太子さまにそのような恋人は未だに全く存在していないのでございます。
皇太子さまも乙ゲーの彼と違って、わたくしに大変にお優しいですし、第一わたくし、皇太子さまに恋人ができましても、その方を虐め抜いたりするような下品な品性など持ち合わせてはおりませんの。潔く身を引かせていただくだけでございますわ。
ですけど、もし本当にあの乙ゲーのようなエンディングがあるのでしたら、わたくしそれを切に望んでしまうのです。婚約破棄されてしまえば、わたくしは晴れて自由の身なのですもの。もうこれまで辿ってきた帝王教育三昧の辛いイバラの道ともおさらばになるのですわ。ああなんて素晴らしき第二の人生となりますことでしょう。
ですから、わたくし決めました。あの乙ゲーをこの世界で実現すると。
そうです。いまヒロインが不在なら、わたくしが用意してしまえばよろしいのですわ。そして皇太子さまと恋仲になっていただいて、わたくしは彼女にお茶などをちょっとひっかけて差し上げたりすればいいのですよね。
さあ始めますわよ。
婚約破棄をめざして、人生最後のイバラの道行きを。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒロインサイドストーリー始めました
『めんどくさいが口ぐせになった公爵令嬢とお友達になりたいんですが。』
↑ 統合しました
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる