一億回の転生者

きのっぴー♪

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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」

第6話(Aパート)

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魔法少女の居る世界の、とある平凡な平日の真昼間
それは、何の変哲も無い日常だった

前の様に都内のタワー以上に巨大な化け物が出る訳でも無ければ空を埋め尽くす程のモンスターの集団が出る訳でも無い
と言っても怪人も勿論街中に出現こそするのだが、それも魔法少女達がすぐにまっしょ…いや退治し大した被害も出ない
噂では街もすっかりその光景に順応しているのか、例え怪人が出たとしてもそれ程の騒ぎにもならなくなっているのだと言う
そう、言わばいつも通りというやつなのだろう

当の本人達にもそれは言えることで魔法少女として戦いつつも少女として楽しく過ごし、今でも学校で授業を真っ当に受けている頃だろう
…まぁ、若干寝ている馬鹿もいるっぽいのだが

とまぁそんなこんなで今日もこの世界のこの街は魔法少女達の活躍等によって、いつも通り平和なのだった




「…グッフフフフ
さぁあて、何処からぶっ潰すかなぁ…?」
そう、いつも通り…平和

ーーーー

昼頃の中学校、勿論かない達の居る中学校では

「ZZZ…」
…まぁ当然の如く、いつも通りの光景が広がっていた
例の如く授業中にまた居眠りしては授業が終わってもずぅーーーっと熟睡し続け、涎を垂れ流しながらいびきをかくかない
「かないさーん起きてくださいよ、もう昼休みですよ!!」
そこにのぞみがそっと近づき、揺さぶって何とか起こそうとし始める
が、揺らせど呼びかけども全く反応せず起きる気配も無い
「本当によくそんなに寝てられるわよね…」
「夜更かしでもしてるんじゃないんですか?」
二人の呆れた顔も知らずに、かないは呑気に鼻提灯を膨らませている、まるでその光景は昔のギャグ漫画のそれそのものだ
「まぁ良いわ、放っておいてさっさと昼食食べるわよ」
「わ、分かりました…」
(寝すぎなんじゃないッスかねぇ…)
そんな様子をアイリスは鞄の中からこっそり見つつもすぐにため息を吐いて奥へと戻り、二人もまたやれやれとでも言いたげな顔をしながら各々の弁当箱やコンビニ袋を取り出し始めた
「ふぁーあ、何か旨そうな匂いが…」
と、ここでやっとこさかないが起き上がる
察するに周りの弁当の匂いにでも釣られて反射的に起きたのだろう、何という典型的な食いしん坊というか何というか…
「げ、起きやがった」
「寝起き早々『げっ』とは何だこの野郎…
って言うか弁当出してるって事は…もう昼休み?それならさっさと弁当出してこよーっと」
「切り替えが早いです…」
起きるや否やかないはすぐに机の上の教科書そっちのけで鞄を忙しなくガサゴソと弄りだした
しかしそれは案外重いものなのか、何故か少し手間取りながらも何とか取り出そうと奮闘している様子のかない
「んしょっ…中々取り出せない、なぁっ!!」
「そんな急がなくても昼休みは…まぁ段々無くなるけども逃げないわよ」
(あっ、今アイリスさんが溺れているのが見えた気が…)
…途中で中に居たアイリスもそれに巻き込まれて鞄の中で押し潰された気もするが、まぁあまり触れない様にしよう
ぬぁああ!!とか聞こえた気がするけれど、どうせ空耳でしょう
まぁそれは兎も角として
「っとぉ、やぁっと取り出せた」
そうしてかないがやっとの事取り出したのは

この前のものよりももっと、数段大きい弁当であった
「…え?ちょっ何、これ」
「え、えーっと…何、でしょうね…?」
これには一同もほぼ全員が呆れを通り越して驚愕、そして相も変わらず渾身のどや顔を決めるかない
「へっへーん、どうよッ!!」
「すごく、大きいです…」
「…かさみちゃん、振っておいてなんだけど流石にそれは無いわ」
いつもやってるお前が言うなと言いたいところだが今はそれは置いておいて、本当に何か凄くデカい重箱みたいな弁当である
そんな大きな弁当を一体鞄のどこに入れていたのかは置いておいて、あまりの大きさにゆめみも少し引きながらかないに忠告する
そんなゆめみに向き直り、かないはため息つきながら言う
「ちっちっち、違うんだなぁコレが…
これは…皆で食べる為に作った、超超特盛弁当なんだよぉ!!」
「はいぃ?」
それでも全く反応が見られないゆめみに、かないは更なるため息を追い打ちの如く吐きながら重ねて繰り返し返した
と言っても反応以前に、ただ驚き過ぎているだけなのだが
「…ゆめみちゃん、幾ら何でも反応薄くない?
だからコレは、皆で食べる為に特別に作って来たの、OK?」
「え、て事はコレ…私達の分もですか!?」
「当然っ!!」
訳も分からず茫然と突っ立ったままのゆめみと、無表情ながらも興奮しているのが見え見えなかさみ
とは言ってもかないの事ではあるしこういった唐突な事もかないらしいと言えばらしいので、ある意味驚く程でも無いというか
にしたって今回のは驚くべきものではあるのだが

が、やっぱりのぞみは何か腑に落ちない様子
「…でも、何でまた急に?
幾らかないさんとはいえ、これだけ立派なら相応の手間やお金がかかるものですし…何か理由でもあるんですか?」
「結構バッサリ言うね、のぞみちゃん…」
しかし確かにこれを無償でっていうのも流石におかしな話
まぁというのも、これには少しワケがあるのだ
「いやホラ…前にのぞみちゃんが弁当作ってきた事あったでしょ?」
「え?えぇっと…あぁ!!」
「そう言えばそんな事もあったわね…」
そう、のぞみが弁当持ってきたついでにゆめみの女子力の無さが露呈した話だ
因みにその事に関しては詳しくは第三話のAパートもとい弁当回に載っている、皆も一緒に改めて見返してみよう!!
「いやー、それで私も気が乗っちゃってさ?
いつも通り作るのもなんだから…のぞみちゃんとゆめみちゃん、それにかさみちゃんの為に全員分作ってきたってワケよ!!」
「…アイリスのは?」
「別にして持たせてるから、そんな貶す様な目で見ないで」
確かによくよく見れば弁当自体の大きさは明らかに一人で食うそれじゃなく、それこそ大人数で食う為にあるみたいな量である
それこそピクニックにでも行く用の、家族用のやつみたいな
「それにしても…全員分ですか、良く作れましたねぇ…」
「すごい、沢山」
単純に作った量自体に驚く二人
「その苦労を少しは勉強にでも向けなさいよ、全く…」
それと照れ隠しなのか、それとも普通に呆れてるのか分からないゆめみ
「まーまーそう硬い事言わないの、ほら一緒に食べよ!!」
かないは躊躇する二人の背中を押して食べさせようとし、二人はやっとこさ気乗りしないままだが橋を持つ、後ついでにかさみも
てな感じで三人は昼食を取ろうとしていたのだった




「あいたた…もうちょい丁重に扱えッスよ全く」
そのすぐ傍の鞄の中で機嫌悪そうに一人飯の準備をし始めるアイリス
頭には分かりやすく大きなタンコブが出来ていた
「大体一人だけ別って何スか、いや仕方無いんでスけれども」
頭をさすってブツクサと言いながら弁当を開けている様子
「…泣いてなんか無いっスよ、泣かしたら大したもんッスよ」
遂には誰に言っているかも分からない独り言すら言い出す始末
まぁそんな感じで若干というかやっぱり結構寝に持ちながらも、一人寂しく弁当を貪る様に頬張っているのだった

と、そんな時アイリスが異変を感じ取る
「ん?この反応は怪人…あぁ、またいつもの雑魚ッスか
…弁当食べてないし、も…もうちょっと後で良いッスよね!!せめてコレ食べ終わってからでも遅くは…多分無いだろうッスし!!」
妖精としてというか、ヒーローのサポート役としてどう聞いても考えてもあるまじき行動と発言と考えとその他諸々である
だがそんな事も知らん振りのまま、素知らぬ顔でアイリスは無視してそのまま弁当にありつこうとした
「よーっし、それじゃあそゆことでいただきまー…



…アレこれ雑魚の魔力の量じゃないな、ていうかコレ…まるであの時レベルの、」かなーりやばい方の怪人じゃ…
その時、アイリスの顔から冷や汗がダラダラと出てくる
「…………やっべー…ッス」
混乱しつつも頭の中で、ほんの十秒程前の自分を呪うアイリスだった

そんな事もつゆ知らず、昼食を楽しもうとしている三人
「でもゴメンなさい、私弁当あるので…」
「私もパン買っちゃったから無理ね、てかもう少し早く言いなさいよ」
「大丈夫大丈夫そう言うと思って見かけ程の量は無いよ、後ちょっとしたドッキリしたかったから」
「アンタねぇ…」
かないが中を開けて見せてみると、確かに入ってるものは一口サイズのものが多く、御丁寧に小さく作ってあるものや小分けで食べやすいものまである
「わぁ…凄いです」
それは見るだけで美味いと分かる程、綺麗で美味しそうな見た目だった
「でも何か悪いですね…ここまでして貰って」
「良いの良いの、私が好きでやってんだからさぁ」
そんな弁当を見てつい遠慮してしまうのぞみに対しかないは笑い飛ばす
それを横目に尚も相変わらず文句を言いたげなゆめみ
「はぁ…そうなら昨日のうちに言いなさいよ、私達も何か用意したのに」
「…用意出来んの?お前が、弁当を?」
そんなゆめみを黙らすかの様にジト目でかないが睨んで言う
「…………買い置きのインスタント麺、なら」
「ゆめみさん……」
「…ずぼら、ってやつ?」
「ぐほぁッ!?」
その答えからの呆れか、のぞみによる追加のジト目に加えてかさみの無自覚精神攻撃がゆめみを襲った
良い子の皆はせめてパスタ位は作れる様になろうね!!
「ま、遠慮せずにたんと食べてよ」
「っ!!」
「わわっ、かさみさん落ち着いてください!!お弁当は逃げませんから!!」
かないが弁当を机の上に置いてそっと三人の前に差し出すと、息つく間もなくかさみが顔を勢い良く突っ込んでがっつこうとする
「ふん…折角だし私も食べるわ、放っても勿体無いし」
「素直じゃないやっちゃ…」
それに次いでゆめみも文句はいうものの何だかんだでかないの弁当のおかずを自分の弁当箱の蓋に移し、素直に口に運んでいく
「それじゃ、遠慮なく少しだけ…」
そしてのぞみも遠慮が無いのかあるのか分からないセリフは兎も角、おかずに自分の箸を伸ばしてゆっくり取ろうとする…




「オオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」
「「「!!!?」」」
その時であった
何処からか、まるで爆音の如き雄叫びの様なものが響き渡る
それと共に教室そのものが浮きそうな程の地震の様な揺れがかない達を、いやこの学校…この辺り一帯を襲った
「な、ななな何だ何だ!?」
「きゃっ!!」
教室に居た生徒達は机を下に潜り込んだり何処かに捕まったりして、揺れが収まるまでなんとか凌ごうとしている
そんな中、壁に寄りかかり踏ん張るかないと突然の揺れにすっ転ぶのぞみ
「地震…って訳じゃ無さそうね、雄叫びも聞こえたし…」
「てことは…怪人!?」
ざわつく周囲にロッドを懐からこっそり取り出す魔法少女達
「え、えーっとどうすれば…」
「そんなもの、すぐに倒しに行くにきまって…ん?」
その時にかないの鞄からゴソゴソと何かが暴れる様な音が聞こえてくる
その正体は勿論、先程から慌てているであろう鞄の中にアイリスだった
「かないさん、かないさん!!」
アイリスは小さくも荒っぽい声で、焦りながらもかないに呼びかける
「何だよアイリス、今教室なんだから出てこないでよ…
怪人退治なのは分かってるけどもさ、せめて教室を出てからでも…」
「そ、それどころじゃないんスよ!!」
何故かいつもの怪人の発生とは違い焦っているアイリス、その様子に魔法少女含む四人がアイリスの傍に寄って来た
「どういう事よ、まさか怪人じゃないとか?」
「あぁいや怪人ではあるっぽいんスけど…その、なんというか…!!」
一応いつも通りの怪人の仕業である事には間違いない様、だが様子がおかしい
「なぁんだ、結局相手は怪人でしょ?じゃいつも通りじゃん!!
てかそもそも急に突然って…てか一体何に取り乱してんの、怪人が突然前触れも無く現れて暴れだすなんてどうせいつもの事でしょーに…

…というか、何でアイリスいつも怪人の発見遅れるのさ」
「か、怪人の発生は突然ッスから…って今はそれどころじゃ!!」
確かにいつも怪人が暴れてから発見されるのが毎回の時点でちょっとヒーローとしてどうかと思う、というかさっきの行動の時点で
震え声で返すアイリスだが、すぐに気を取り戻して焦りだす…いや気を取り戻したのかどうかはちょっと正直怪しいけども
「逆なんスよ逆!!怪人の魔力がそこらの雑魚とは比べ物にならないんス、つまり超強い怪人が地震を起こしてるって事なんでスよ!!」
つまるところアイリスが言うには、今回ばかりは普通の怪人退治みたくザコ敵を倒して終わる様な楽なものでは無い
つまりは下手しなくても苦戦を強いられるかもしれないものだという事だ

だがしかし、元々雑魚の様に怪人を毎日の如く倒してきた魔法少女達
一口に強いと言っても三人はピンときていない様だ
特にお調子者であるかないは笑いながらアイリスを笑い飛ばそうとする
「またまたぁー、所詮怪人なんだしラクショーよ」
だがそんなかないにアイリスが辛辣な一言を放つ
「いやアンタ一話からボロクソに負けてたッスよね?」
「うぐっ」
といっても描写こそ無いが普段は楽な戦闘であり、RPGでいうエンカウント
普段通りなら負ける道理は無いのだ、普段通りなら
「アレは事故なんだい、本当なら私が負ける筈無いんだい…」
一人で勝手に落ち込んでいるかないを置いて、ゆめみは質問をした
「あのバカは取り敢えず放っておくとして…
で、敵の力量ってのはおおよそどの位よ?強いだけじゃ分からないわ」
「そうです!!せめて軽くでも教えて頂ければ…」
アイリスの反応から何かあるのは明白だ、ならば一体何があるのかを感じ取った本人に聞くのがまず先決である
そんな二人に向かって、アイリスは一度だけ振り返ってから答えた
「…お二人とも
かなり前…というか今さっきにも言っていた、かないさんがフルボッコにされた怪人の話…覚えてるッスか?」
「は、はい…確か全く歯が立たなかったと」
「…………

…今回の怪人の魔力を測ってみたら、正にそれと同等の魔力が感じ取れたッス」
「っそれって…!?」
驚愕し顔で後すざりするかない
そりゃあ少女にとっては覚えてもいるだろう、あそこまで蹂躙された記憶は
「そ、それは本当なの!?」
「ッス、あくまで目安でスが…
少なくとも私の力が確かなら、魔力はそれとほぼ同じレベルッス…」
全員が眉をひそめ絶句する
それもその筈、一人とはいえ魔法少女が軽く倒されるスペックを秘めている敵だ
ましてそれと対面した本人が、実際に瀕死にまで追い込まれている
「か、かないさん…」
「…………」
そう、特にその悪夢に直接出くわした者にとっては
かないは心無しか辛そうに俯きながら、ただただその話を聴きながらずっと動かず無言でいた
果たして彼女は、魔法少女として立ち上がるのだろうか
「……かない」

…が
「よしっ!!」
「!?」
すると突然かないは自分の頬を叩き気合を入れた
「かないさん、その…大丈夫なんですか?」
「ん?あぁ大丈夫大丈夫!!たかが一回やられた位で私が凹む訳ないっしょ、てか寧ろコッチから直々にリベンジしたいわ!!」
開き直ったかの様に笑顔を見せるかない、その額には心無しか冷や汗が見える
「やめなさいよ、アンタ一回死にそうになったのよ!?
これ以上やったら今度こそアンタが…!!」
「…それに何よりも!!」
「!?」
心の底では心配していたのか、ゆめみが必死に説得する
だがその言葉を遮る様にかないが仁王立ちしてはっきりといった

「…何よりも、ヒーローが折れる訳にゃ…いかんでしょ?」
その時見せた笑顔は空元気なのかそれとも素で開き直っているのかは不明だ
しかし少なくともそこに、さっきまでの不安げな表情は無かった
「…ホント、ちょっとでも心配したコッチがバカだったわ」
「で、でも…相手は結局かないさんよりも強いんですよね?一体どうすれば良いんでしょうか…」
するとのぞみが横からボソリと呟く
確かにのぞみの言う通り敵が強いのは確かだ、無策では負けるかもしれない

だが、二人がそれを笑い飛ばした
「なぁーに大丈夫だって、前は私一人だけだったから負けたんだい!!
私達三人一緒なら負けないって!!」
「そうね、のぞみは心配し過ぎだっていつも言ってるでしょ?」
かないとゆめみの再び顔を見て、のぞみは安堵した
「…そうですね、考えすぎでした」
そして気を取り戻し明るく前を向く
三人は揃ってロッドを懐に持ったのを確認し合い、そして覚悟を決めた
「それじゃ、今日も怪人退治張り切っていこー!!」
「「「おぉーッッ!!!!」」」
あ、一応人前なので魔法少女バレしない様に小声です
「…ま、考えても仕方ないッスよね」
そうして魔法少女である三人は怪人の元へと案内するアイリスについて行くべく、すっかり大騒ぎになった教室を出ていった



「…………?
誰かが、呼んでる…?」
かさみのほんの少しだけの、ある変化のみを残したまま

その後、どんな事が起こるかも知らずに…

ーーーー



…てなワケで早速、場面変わってその怪人の方に向かって行く道中である

「で、何処よその怪人ってのは!!」
「今向かってるとこでスって、もう近くッスよ!!」
場所を知っているアイリスが先行し三人がそれを走って追う
既に魔法少女達は道中で変身を終えておりいつでもすぐに戦える様に、言わば怪人への戦闘態勢一歩手前にまで入っていた
そんな中、かないことマジカルレッドは緊張感を紛らわすかの様に四人に話しかけついでに、街の変化を指摘する
「だんだん近づくにつれて人が多くなってきてるなぁ、っと」
「もうすぐ近くにまで来ているって事ですね…」
騒ぎから起きた街中の人混みを避けながら三人は、急いでかつ慎重に辺りを見渡しながら敵の居場所へと近づいていく
走っていくにつれ三人は心なしか気を紛らわす為の筈の口数も次第に少なくなっていく
「皆さん、そろそろ着くッスよ」
「そう、いよいよね…」
アイリスの様な魔力探知が無くとも肌でピリピリと伝わるとてつもない威圧感、間違いなくすぐ近くにいるのだろう
「のぞみさん弓を構えといて下さいッス、発見と同時にいきまス」
「わ、分かりました…っと」
グリーンは他の二人に並走して走りながらも、アイリスの指示によりロッドを魔力によって弓みたく持ち出し矢を引いていく
「かないさんは敵を見かけ次第即座に突撃してそのまま囮を、ゆめみさんはいつでも援護出来る様に準備しといて下さいッス
皆さん、さっき話し合った作戦通りにいくッスよ」
「はいはい、了解」
「囮役ってのは何か癪だけど…まぁ良いや、OK」
そして残る二人もそれぞれ別にロッドを構えて遂に戦闘準備を開始し、奇襲もとい怪人退治の決行間近にまで迫ってきた

作戦とはこうだ
まず先に近接戦闘能力かつスピードもあるマジカルレッドが正面を突っ切り囮となり、範囲攻撃やアシストでブルーが援護を
そして一撃の威力が一番高いグリーンがその隙を狙い、アイリスが逃げ遅れた人を避難させるというもの
…つまるところいつも通りと言えばいつも通りなのだが、現時点ではこれが最も良い作戦なのだろう
と、ふとアイリスが曲がり角の先を指さす
「…あの角の先が、魔力反応の元の筈ッス」
「いよいよね…そっちの準備はもう出来てるの?」
「いつでもいけるよ!!」
曲がり角まで後数十メートル、戦闘ももうすぐだ
「一応撃てるように出来ました…でも強い敵だと聞いてから、どうしてもその…少しばかり緊張しちゃいます」
「なぁにいつもと同じだって、簡単簡単!!」
いつまでも疑り深く心配し続けるグリーンと相も変わらず懲りずに油断してそうなレッド、どちらも一応準備は完了している
「さて、と…
…それじゃあ一気に行くよ二人共ッ!!」
気合を入れ直したレッドの掛け声によって一斉に行動を始めた
「「了解っ!!」」
そして同時に、一気に曲がり角を飛び出し正面を向く
その瞬間三人の目に写ったものは



「…え?」
なんて事の無い、一部だけ荒らされた形跡がある街である
そこに怪人と思わしき存在なんてものは何故か見る影も無かった
「…何も、無いですね」
「ちょっとこのアホ妖精、一体どういう事よ!!」
「ぐえっ首締まって…というか私にもサッパリなんスけども!?」
視界には魔法少女達を嘲笑うかの様に至るものが壊されまくっている、恐くその強い怪人とは入れ違いにでもなったのだろうか
「だ、だってだって!!」
「だって、何よ!?」
「だって…

魔力反応はまだ!!
移動中にずっと使ってたんス、だから此処に居ない筈が無いんでスって!!」
「何ですって、それじゃ一体何処に…!!」
そうゆめみが辺りを見回したその時
「…っゆめみさん、上です!!」
「は?」
突然のアイリスの叫び声に反応し、思わず上を向いてみると
「オォラァァアアアアァッッ!!!!」
「なッ…!?」
そこには紫と銀色をした肉と鉄の巨体がゆめみの視界を埋め尽くし覆いかぶさる様に現れ、真上から落石のごとく落ちて来た
「危なぁあいっ!!」
「へぶらッ!?」
レッドは即座に方向転換したのちゆブルーの方へと飛び出し、突進してすんでのところで間一髪回避に成功
巨体が落ちた先は見事に抉られた様に土煙をあげて路面を破壊し瓦礫をまき散らす、もし直撃したらただでは済まなかっただろう
…もっとも、どの道仲間に思いっきりぶん殴られてるのだが
「だ、大丈夫ですか!?」
「何とかギリギリね…ふー、間一髪…危ない危ない」
「そうね…私がアンタに殴られさえなければね」
頬を抑えながらもブルーは立ち上がりつつ皮肉交じりに憂さ晴らしついでに強く言い放つ、まぁ非常時なので仕方ないのだが
まぁ腑に落ちないよねそりゃあ

しかしもう、そんな悠長な事を言っている場合では無い
「…グッフフフフ」
「「「「!!!!」」」」
地面にめり込む巨体から発した声に三人が即座に振り向く
そして紫色の肉塊は次第に大きな音を立てながら二本足を出してゆっくりと立ち上がり、やっとその姿を現した
「やぁっと来やがったなァ…待ちくたびれたぜ、魔法少女共ォ」
豚の様な外見に人の数倍程の大きな紫色の肉体、身体には銀に輝く鉄らしき金属の鎧がいやに分厚くガッチリと着こんでいる
騎士の鎧だが全体の外見はいかにも荒っぽい盗賊の様な風貌で、その巨体自体からもとてつもない威圧感を放っていた
そしてその独特の気配からはっきりと分かる、コイツは殺気全開の敵だと
「…何者だ、オマエ」
「あぁ、そういや自己紹介がまだだったなぁ?
オレの名は『ジャド―』ってんだ、テメーらが目の敵にしてる怪人のお仲間様ってヤツだよォ!!」
妙に魔法少女を前に煽ってくる自称怪人、
が問題は別にある、
「か、怪人…?それってドロドローンみたいなのじゃ…」
いつもはドロドローンというスライムの筈なのだが目の前に居るのは鎧を着た豚の様な生物、少なくともドロドローンなどでは無い
「あぁ?ドロドローン、ってぇとあのスライムかァ…?
オレぁ【ボス】直々に作られたトクベツ性の幹部だ…あんな量産型みてぇなザコと一緒にされちゃあ困んだよなぁ」
「【ボス】…?」
何やら意味深なワードを次々と言い放つ敵
だがブルーがそれを直接目の前の自称怪人に聞こうと前に、巨体の怪人はおもむろに斧を取り出しながら声を遮った
「おっと敵様とのお喋りはもうここまでだぁ、あんまり余計なコト喋りすぎると面倒な奴がやかましいんでなぁ?
もし聞きたいんなら…力づくで吐かせてみるんだなァ!!」
斧の先端を魔法少女達に向け、挑発をして見せながら
「か、かないさん…!!」
「どうする?かない、逃げるなら今のうちよ」
一応念の為なのか逃げ出したい一心なのかは不明だが、二人はさりげなく逃げる選択肢もあると家内に告げる
が、既にかないの中では答えは決まっていた
「…ふふん、そんなの決まってんでしょーに

街のヒーローとして、魔法少女としてお前に勝ぁーつッ!!」
かないは怪人に返す様にロッドの先を向け、そう叫んだ
「つーかこんだけ街をめちゃくちゃにしたんだ、テメェこそ生きて帰れると思うなよこの豚野郎!!」
「なんでアンタが不良っぽい言い方してんのよ…
ま、そんな事だろうとは思ったわ…ならさっさとこんな奴ちゃっちゃと倒して学校に帰るわよ」
「じ、自信無いけど頑張りますっ!!」
「頑張ってくださいッス…私は周囲の警戒続けるんで」
四人がそう次々に言って、目の前の豚の巨人に立ちはだかる
それをみてその男は不敵かつ不気味にもニヤリと笑い、そして魔法少女達を睨みつつ口を開いた
「…グハハハハッ!!
その言葉を待ってたぜぇ…さぁ今すぐにでもさっさと殺り合おうぜぇ、こちとらずっと待ち遠しくてウズウズしてたんだよォ!!」
怪人は斧を力強く振り回し今にも暴れたそうにしている
「町の人は周りにもう居ないッス!!
処理は私と仲間達が嫌々ながらも…まぁ多分やるっつかぜったいやらせるんで遠慮なくやっちゃって下さい!!」
「いやに生々しいわ!!」
何てコントもそろそろやっている暇は無くなる
「ゴホン、それじゃ改めて…

気張って行くよッ!!」
「「おうッッ!!!!」」
レッドの掛け声と共に三人は一気に走り出し、戦闘の幕を切るかの様にそのまま怪人『ジャドー』へと突撃していった
「グッフフフ…かかってこいガキどもがァ!!」
強大な敵との闘いが今やっと、始まった



ーーーー

ところ変わって学校の周辺では
「………うー」
いつもは学校で四人が返ってくるまで待機している筈のかさみが、何故かおぼつかない足取りでフラフラと歩いていた
上を向いてはキョロキョロと見回し不審にも見える挙動である
「さっきまでずっと、ふしぎな【声】がきこえたのに…きゅうになにもきこえなくなっちゃった、どうしよう
何か行かないといけない気が、するのに…」
【声】というのはさっきまでかさみだけに聞こえていたという声、魔法少女達が行った直後に聞こえてきたものだった
それでも何とかその声のする方へと向かおうと不用心にも一人でフラフラと歩いて行こうとしてしまう

「何フラフラとうろついてんだ、危なっかしい」
そんな時、何やら後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた
「あ…ただしさん」
かさみはその声を聞いてやっと危なっかしい歩きを一旦止めた後、ゆっくりと振り返りただしの方へ顔を向ける
「『ただしさーん』じゃねーよ不審者みてぇな動きしやがって、というかあの三馬鹿…もといアレらは居ないのか?」
アレ呼ばわりしながら魔法少女達の事を聞くただし
「うん、なにか怪人退治って…つよいらしいよ」
しょんぼりした顔でじっとみつめるかさみ、が当の本人であるただしは知らんとばかりの顔でさっきから爆発音してる方を指さした
「…あの爆発音とかはそれか、いつもより多いと思ったら」
いやいつも街中が爆発がしてる事自体がヤバいのだが、とでも言いたげな顔で呆れている様子のただし
「…そっちは、なにしてるの?」
そんなただしにふとかさみが質問で返す
確かに、こんな誰が見ても絶対何か厄ネタどっかで起こってんだろ的な様子の街で、一体どうしてこんな所でほっつき歩いているのだろうか
まぁ、その理由というのも
「へ?何ってそりゃあ…
…晩飯の買い出し、卵とかも入ってるからあんま触んなよ」
ただ単に食材買いに行った直後に事件が起きたというだけの話である
あの事件から遠い学校の近くをわざわざ通っていた事と爆発音がどうとか言っていた事から、恐らく巻き込まれたくない的な感じで遠回りとしてわざわざこの学校近くを通っていたのだろう
「…じゅるり」
「おいコラ食うなよ、絶対食うなよマジで」

そんな事はさて置いて、問題は男の目の前に居るこの挙動不審少女の件についてだ
「そんで…そっちは結局何やってたんだ?何か妙にゾンビ染みた気持ち悪い挙動してたのが見えたんだけど」
「…………」
取り敢えず改めて奇妙な行動についてかさみに聞いてみるただし、が肝心のかさみはそれを聞いた途端に黙ってしまった
「黙られちゃ何も分からないんだが、何?まさか盗み食いでもしちゃった系なの?」
ならばと今度は冗談交じりで、だたしはまた聞き直してみた
「…声が、その」
だが何かを言おうともしても直ぐに口を閉ざしてしまう
それもそうだ、普通いきなり『頭の中で変な声がしたから取り敢えず行ってみます』なんて精神異常者以外の何物でもないです
かさみがそれを分かってるかどうかは別として、そうじゃなくても何かしら言い辛い事ではないのだろうか
「うー…」
「ふーむ…」
とは言っても記憶喪失からか性格がやや幼い雰囲気のかさみにはそれが理解してるのか、はたまた言いづらいだけなのかは分からないのだが
と、そこでただしは少し探る為にある提案をかさみにした
「あー、そうだな…じゃあこうしよう
俺はお前のお守りとしてお前が行きたいところまで送ってやる、その代わりに一緒にそこに着いていかせてくれないか?」
さっきの挙動不審な動きから何処かに行こうとしているのは分かっていたただしは、ならばせめてと言い出した
「え、何で…行きたいって」
「バッカお前そんなもん表情で丸分かりだわ、てかこんな爆破まみれの街にいたいけな少女一人行かせるとか正気の沙汰じゃねぇよ」
頭を片手でボリボリと掻き毟りながらため息混じりにただしは答える

「そんでどうすんだ、行くのか行かないのか」
「…行く」
か細く小さな声で答えるかさみ
「んじゃ行くぞー
…てかそういやさ、結局何処に行こうとしてたのさ」
ただしは最後にちょいとさり気無く、場所を聞いてみた
「さっき頭の中で聞こえた不思議な声の、聞こえた方向に」
「何それ怖っ」
またフラフラと歩こうとするかさみと、その後ろを沿う様に付いていくただし
そんなこんなで、さっきまで外野に居たこの二人もその不思議な声とやらに導かれ、そのまま行動を開始したのだった

ーーーー

更に場面変わって、魔法少女と怪人との戦闘が行われた場所
そこでは余程激しい争いがあったのかそこら中に土煙が舞い瓦礫が散らばり、まるで戦争の跡地の様な雰囲気だった
そして勿論の事に魔法少女達は、そこで戦っていた



「とぇえええいっ!!」
レッドが真っ向から、ジャドーに向かってパンチを放つ
「ぬぅっ…」
「せいせいせいせい、そぉりゃあ!!」
巨体の周囲を回る様に全力で走り攪乱しながらも、パンチ等の接近戦や魔法での炎でじわじわと確実に削ろうとする
周囲は燃え広がり碌に動く事は難しい状況の上にレッドはしつこくチョロチョロと、逃げ回りながら攪乱していっている
これでは捕えるのは、流石に不可能だろう

だがしかし
「…チョロチョロとォ」
「むぐっ!?」
捕えきれない程のスピードで逃げ回っていた筈のレッドが、軽々と片手で顔面をガッシリを掴まれてしまい
「鬱陶しいんじゃあッ!!」
「がっ…!?」
そのまま、地面に強く叩きつけられた
血こそほぼ出てはいない様には見えるものの後頭部を勢い良く打ち付けられ、痛々しい音と共に地面にバウンドしていってしまう
そこにやらせまいと、水弾によるブルーの援護射撃が飛ぶ
「こんの、ソイツを放せぇえっ!!」
水の弾丸が無数にジャドー一体に襲い掛かっていく
まるで雨の如き激しい弾幕にあの大きな肉体では躱す事も出来ないのか、ほとんどの弾がジャドーに命中していった
「流石にダメージとは言わずとも少しくらいは、これで!!」
「…何かしたか?」
しかしまるで効いている様子も無く、肉体はおろか鎧にすらも傷一つ全くと言っていい程に付いていない
何事も無かったかの様に平然としながらジャドーは水を払う仕草をした後、レッドから手を放しゆっくりとブルー達にへと振り返る
「ちっ、対して効いてない…!!」
すると悔しがるブルーの隙間から、鋭い視線が通る
「それなら…これは、どうですか!!」
グリーンが後ろから狙いを定めながら目一杯魔力の弦を引き、ジャドーに狙いを定めて矢を向けた後に一気に放った
その一撃は緑色の線となって真っ直ぐ飛んでいく
グリーンが最大まで溜めた矢の速度と威力は魔法少女の中でも随一、これまでも多くの怪人を屠ってきた破壊力の高い一撃である
これなら倒せなくても、せめてダメージ位にはなってくれる筈

…そう思っていた
「ふん…そんな豆鉄砲が、オレに当たるとおもってんのか?」
「なっ!?」
しかしそのオークの如き超重量級とも思える相撲体系とは裏腹に、軽く身体を逸らして身軽かつ余裕気にもさらりと躱されてしまう
半身で避けた後にジャドーは仁王立ちの様な体制に入った後に仰け反りながら口を開けて大きく息を吸い
「攻撃ってぇのは…こうやるんだァアッッ!!!!」
そして、ドデカい咆哮が辺りに轟いた
「「「きゃああああああッッ!!!!」」」
その咆哮はレッドが撒いていた辺り一面の魔法の火を全て一瞬にして消し飛ばす程の威力であり、レッドはおろか後方の三人ごと軽く飛ばす
文字通り吹き飛ばしたというのはこの事だろうか
「ぐっ、がは…!?」
「…かないから話を聞いてある程度は予想、してたけど」
「い、幾ら何でも強すぎます…!!」
その力にいつもは軽々と遊びの様に怪人を退治していた筈の魔法少女三人を、畏怖と共に身体の底から戦慄させる
三人相手にも関わらず、ただの一撃も入らない

「…グフフフ、どうした魔法少女ども
戦いは始まったばっか、だろぉ?それとも…早くも怖気づいて戦意喪失かァ?」
「くっ…」
対し絶え間無く攻撃を受け躱し続けた筈のジャドーは当然無傷、それどころか息切れ一つ無く目の前の三人を煽り始める始末
攻撃すらも、まるで本気を出していないとばかりである
その状況に三人は決して諦めないとばかりにその場で起き上がるも、その分かりやすい力の差に焦りを感じずにはいられなかった
「んのぉ、舐めんなぁッ!!」
「ちょっ…!?」
その最たる例が焦りに焦って一人で突っ込んでいくレッド、すぐに飛び出して炎を纏ったロッドを怪人に向けて振り下ろす
「フン…さっきよりかは強くて早いなァ、だが俺に傷つけるにゃ…
…全然、パワーが足りねぇんだよォ!!」
「ッぐぁあ!?」
しかしレッドの攻撃は容易にもいとも簡単に片腕で弾かれ、そのまま振りほどくかの様に軽く吹っ飛ばされてしまった
「か、かないさ…!!」
グリーンがレッドに手を伸ばすが既に転がり落ちている
ブルーとグリーンも少なからず疲労は溜まっている、がそれ以上にその力量差を知り心が折れかけている事の方が大きいだろう
おまけに前にはピンチになる前に来ていたチートも、今回ばかりは本当に来る気配も様子も全く持って感じられない
…つまりは





「…オレを倒すんじゃなかったのかァ、てめえ等ぁ!!
グッハハハハハハ!!!!」
「ちく、しょぉ…!!」
奇しくもこれが魔法少女達にとっての、本当に最大のピンチだという事だ

《Bパートへ続く》
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