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第35話 DTとんでもない事をする

第35-3話 DT惑星内覧会を催す

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○惑星内覧会
 私は、全員に家に集合してもらい、家族全員に話しました。ブレンダさんは用事があるので現地合流だそうです。
「作業途中でお見せできなかった。次の星をお見せします」
 私は感慨深いです。ここまで何人にも迷惑をかけているので、その事も思い出されます。
「ようやく見せてもらえるのね」アンジーが嬉しそうだ。
「私は、最初の時しか見ていませんでした」
 メアは恒星との周期計算や軌道計算、惑星の自転周期などの手伝いと魔素の散布まで手伝ってもらっていましたが、そのあとは経過観察に来たくらいでしたから草木のドラゴンさんとかドリュアディスさんが参加してからから見ていませんでしたね。
「わしもそうじゃ。さてどうなったのか楽しみだ」
「大地に降り立つことができますよ。ではツアーに行きましょう」
 私は透明で箱形の四角いシールドを作り、アンカーを設置してから、皆さんと一緒にその中に入り、シールドを持ち上げて、目の前に作った空間の裂け目に移動する。恒星の横をとおり、惑星全景を俯瞰した後、大気圏に突入して上空にシールドを静止して大地を眺めている。アンカーはいつの間にか近くにあって空間の裂け目もそこに見える。
「まるできれいな地球ねえ」
「地球とは何ですか?」
「こいつが前にいた世界の名前よ。それにしてもよく作ったわねえ」
「私が作ったわけではありませんよ。天使さんやドラゴンさんたちの協力があったおかげです。それでは実際に大地に降り立ちましょうか」
 私はキューブを海岸近くの場所に降ろした。
「次の世界は丸いのですか?でもこうして遠くを見てみると真っ直ぐにしか見えませんけど」
 ユーリがビックリしている。
「球体もあまりにも大きいとほとんど真っ直ぐに見えるのですよ」
 メアが説明して、パム、キャロルとエーネは頷いています。すでにエルフィとレイは、海岸線の方に走って行ったあとだった。その話を聞いた後、ユーリ、パム、キャロルとエーネは、エルフィとレイの後を追って行った。
「私達も行きましょうか」
 少しだけそこから周囲の風景を眺めたあと、モーラとアンジー、メアと一緒に海岸に向かって歩き出す。
 砂浜があり、波が静かに打ち寄せている。そこに人影があった。
「お久しぶりですアスターテさん」
「ああ、お久しぶりです。DTさん」
「お久しぶりです。お父様」
「ああメアか。久しぶりでもない気がするがなあ」
「お忙しすぎて時間をお忘れではありませんか?」
「おや、その話し方は、補助脳のようだね」アスターテさんがビックリしています。
「はいその通りです。お話ししたかったので」メアが嬉しそうに言った。
「統合したのではないのかい?」
「あなたが少しだけ残してくれた容量のおかげです」
「そういえば、メアの脳が休眠に入る時には稼働するようにしていたなあ」
「そうです。本当にありがとうございました。メアさんともうまくやれています」
「そうかい。それは私にも予想外だったよ。それでDTさん皆さんを連れてどうしました」
「一番最初に案内するのは家族と決めていましたので」
「もうそこまで来ましたか。それは急がないと」
「もう完成したとお聞きしましたが、まだでしたか?」
「向こうからの生物はすべて運び込んだのです。でも、それだけでは完全ではないのです。この世界には海があるのでです。海水魚と水棲哺乳類がいない。深海魚もね」
「そんな事が可能なのですか?」
「我々の遺伝子を侮ってはいけないよ。人間に進化するまでにどれだけの過程を経ているか知っているでしょう?もっとも魔獣と魔族は解析できていないので、海棲魔族は無理でしたが」
 そう言ったアスターテさんは本当に悔しそうだ。
「可能ですか」
「できれば生態系は多様化した方がいいと思いますよ。あの箱庭とは違って開かれていますから。もっともそれは私の趣味の世界が入っていますから、もう移住は可能ですよ」
「ありがとうございます。あなたがいなかったら惑星を作っても意味がなかった。本当にありがとうございます」
「あの世界で腐りきっていた私を引っ張りだして、尻をけり上げてくれた人が何を言いますか。感謝しているのは私の方ですよ。さてそろそろ迎えが来るはずです」
 アスターテさんが腰を伸ばして伸びをしています。
「迎えがですか?」
「ハズ様!」突然私に抱きついてくる人がいました。
「ああ、ブレンダさんだったのですか。現地合流とはこういうことでしたか」
「はいっ。あ、すいませんつい嬉しくて。皆さん、お久しぶりです」
 ブレンダが頭を下げた。
「隷属してみて思ったのですが、そうやってご主人様の腕につかまっているのがちょっと許せません」
 メアがちょっとムッとしています。それは補助脳ですか?本人ですか?
「あ、すいません。会えたのが嬉しくってつい」
 ブレンダが舌をペロッと出して、サッと離れる。
「隷属した時のイメージから、変わっていますね」メアがビックリしている。
「はい、性格変わっていませんか?」
「なんか、今の方がイラッとくるのは私だけかしら」アンジーがちょっとだけムッとしている。
「そろそろわしを連れ帰ってくれないか」
 アスターテさんがゲンナリした顔でブレンダを見る。
「あ、はい。ではこれで失礼します。送り届けたらまた戻って来ますね」
 ブレンダが頭を下げて2人は消えた。
「空間魔法と転移魔法も覚えたのね」
 アンジーが私をジト目で見て言った。
「はい。驚くべき吸収力ですよ。彼女が敵に回ったら今なら私でさえ危ないかと」
「本当に大丈夫なのでしょうね」
 アンジーが今度は不安げな顔で言った。
「隷属しているから大丈夫だと思いますが、こればかりは信じるしかありませんね」
「離れたところにいる時に心変わりされたらやっかいね」
『そうかも~』エルフィがそこで割り込んできた。おやエルフィに危機感ですか。
「さて、その辺で遊んでいる人たち。どうですか?」
 私は波しぶきと遊んでいるユーリ達に声をかける。
「楽しいです」元気いっぱいなユーリの声がしました。
 お互いに海水をかけあったり、波の中に入って泳いでみたり砂に絵を描いてみたりして遊んでいます。その間にブレンダが戻って来ました。ブレンダはすかさず遊びの輪に入って行きました。
「モーラはどうですかー」私は空を見上げて叫びました。
「おう、気持ちがいいぞ。ちゃんと飛べるではないか」
「ドラゴンさん達には最低限の魔素になりますから無茶しないでくださいね。火を吐いたりすると落ちますよ」
「わしにはできんぞ。どれ土を・・・・さすがに遠隔では無理か」
 モーラがドラゴンの姿のまま降りてきて地上に手をついて魔法を詠唱したようです。
「地上からだと。ああ、本当に少しだけなんじゃなあ」モーラはそう言っていつもの少女の姿に戻りました。
「アンジーはどうですか?」
「回復魔法は大丈夫だけど・・・使いすぎると光に戻ってしまいそうねえ」
「エーネは?」
 エーネは、遊んでいるみんなに声をかけて、砂を払ってから少し飛んでいました。私達のところに戻って来ましたが、首をかしげています。
「飛んでみましたが、からだが少し重く感じてあまり速くは飛べません。飛べない訳ではありませんが」
 エーネは不安そうです。
「エルフィおぬし魔法の矢を打てるか?」波と遊んでいて戻って来たエルフィにモーラが声をかける。エルフィは背中にあった弓を手にして弦を引っ張ろうとする。
「ゆ、弓が引けません。でも~えい!矢を作れてもあまり遠くまで飛ばせません~」魔法で作った矢は、作れたもののたいした距離は飛ばせていません。
「筋力強化系は厳しいか。ユーリどうじゃ」
「振り回すのは大丈夫ですが、剣速はだせませんね」
 ユーリは砂遊びをやめて、横に突き刺していた大剣を取りに行って、数回左右に振ってみた。しかし、いつもの剣速にはやや物足りない感じです。
「軽い武器にしなければなりませんね」私はそれを見て言いました。
「移動してきたらお願いします」
「パムさん」
「剣を振るのは大丈夫ですが、大きくなったり小さくなったりするのにインターバルが必要ですね」
 小さくなったパムがブカブカの服のままそう言いました。あれ?服が縮んでいませんか。
「レイは、獣化したり獣人化したりは大丈夫ですか?」
「できますよ~やっぱり少し時間を置く必要がありますけど」
「メアさん」
「問題ありません。メイド服のリチャージシステムがかなり有効ですね」
「ああそういえばそうでした。全員の衣装をそっちの方向でリファインしますか」
「デザインは私が」すかさずメアが言った。
「だめです。絶対メイド服になってしまいます」キャロルが両手でバツを作る。
「キャロルに先回りされてしまいましたか。残念です」
「ならばみんなで統一したイメージでデザインをしてもらいましょう」
「は~い」
「では戻りますよ」
 そうして念願だった最初の惑星ツアーは終了した。
「自分の家族でテストするとかどうなのよ」
「そんなつもりはありませんよ。本当に皆さんを一番最初に連れて行きたかったのです。心配させたお詫びに」
「そうだろうけど、結果的にそうなったわね」
「何か失敗した気になりました。とほほ」
 そうして、ブレンダがみんなを連れて、度々海岸に遊びに行っているらしいです。

○惑星内覧会2
 私は、お手伝いいただいた、4巨頭に声をかけました。
「皆さん事前に行きたいでしょう?」
「だからといって全員一緒はありえんだろう」
 ルシフェルがちょっとすねて言った。まだ根に持っていますか?
「あちらに行った時にあなたを殺したらどうなりますか?」
 ガブリエルがそう私に聞きました。
「そんな事考えていたのですか?」
「仮定の話ですよ。誰かが同じことを考えているかもしれないじゃないですか」
 ガブリエルがそう返す。
「すでに段取りはついています。作業手順も交代要員も用意していますから、私を殺すことに意味はありませんよ」
「さすがだね。相変わらず用意周到だねえ」ガブリエルがあきれている。
「途中でダメになったら、せっかく協力してくれた皆さんやこの世界に暮らす人々に迷惑をかけてしまいますからね」
「協力しなかったらどうしたのだい?」
「皆さんそれを聞くのですけどねえ。それでもできるところまでは進めて、見切り発車で私が連れていきたい人だけ連れて行きます」
「協力しなかった人でも?」
「さすがにその後は協力してくれるでしょう?」
「どうしてそうなる?見捨ててもいいんじゃないですか」ガブリエルが言った。
「天界の人がそれを言いますか。皆さんを救ってくださいよ」
「わかったよ。君の方がよっぽど聖人だね」ガブリエルが笑っている。
「そうでしょうか?お願いされたらできるだけかなえてあげたいじゃないですか」
「協力しなくても?」
「ええ、邪魔さえされなければ」
「変な人間だねえ」ガブリエルがあきれている。
「良く言われます」
「さてどうしますか?行ってみますか?」

○最初は龍
 最初に行きたいと言ったのは始祖龍様でした。
「うちは最初は、3名連れていきたいがなあ。水と火と闇をな」
「4名はギリギリですねえ」
「そうなのか?」
「以前協力をいただいた時に、風、水、氷、土、草木さんを連れて行ったのですが、私の魔力量だと結構厳しかったのです」
「わしがフォローするから大丈夫じゃ。あやつらは完成してからまだ見に行っていないのか?」
「完成まで交代して作業に行ってもらっていましたからよろしいかと思いますが」
「そうか。一応声はかけておこうか」
「お待ちしていますね」
「さて行こうか」
「はい」結局一陣は、始祖龍様と水、氷、風、草木となぜか土の6柱になった。
「なるほどな。かなり広いのう」里の設置を予定している山に到着している。
「もしかしたら乾期は、寒くて雪が積もるかもしれません」
「雪か。久しく見なかったが、やはりそうなるか。最初の頃のようじゃな」
「初めて聞きましたよ」
 風がビックリしてそう言った。知らなかったのですね。
「全員2代目だからなあ。原初の竜たちは経験しているのだよ」
「そうでしたか」
「さて、こうしていても意味がない。飛ぶぞ」
「はい」
「モーラは良いのですか?」
「わしはこの前に来ておるからなあ。まあ行って来るか」
「念のため能力も使ってみてくださいね。そして感想は後で教えてください」
「ん?まあわかった」
 最初に戻って来たのは始祖龍様でした。
「どうでしたか?」
「飛べるがあまり速さはでない。力はまあ出るな。しかし魔法が致命的じゃな」
「魔族に負けますか?」
「それはない。まあ数で寄せられれば危険かもしれぬが、空に逃げられるからなあ。どうだ?」
 始祖龍様は、ちょうど戻って来たヒメツキさんに尋ねる。
「個別に住処を襲われなければ大丈夫でしょう」
「神殿はどうするつもりなのかしら」次に降り立ったクリスタ様が私を睨みながら言った。
「もちろん転送しますよ」
「ならいいわ」急に微笑んだ後、プイッと横を向きました。
「建物は転送します。位置はすいませんが適当です。なんせ面積がかなり広くなったので、街との距離はかなり離れますから、あとは自分で移動させてくださいね」
「やってくれないのかしら」クリスタ様さっきと同じように睨みます。やりませんよ。
「友達のドラゴンさんに手伝ってもらってください」
「友達ってねえ」クリスタさんはヒメツキさんをチラリと見る。
「それくらいは手伝うわよ」ヒメツキさんはヤレヤレという顔で言いました。
「ああ、土台くらいはなんとかしてやる」さすがモーラ。フォローありがとうございます。
「ならいいけど」
「では戻りますねえ」
「このままおぬしを殺せば、ここはドラゴンだけの里になるなあ」
「他のドラゴンを呼べればですよね」
「確かにな。冗談じゃ。そもそもわしらは最後なのだろう?」
「最後の転移に魔力を振り絞ってもらいますからね」
「さて、あやつらを説得して一度見に来ないとな」
「残りの4柱の方たちですね。今回光の方は?」
「最初にいく者たちの名前を聞いて、後にすると言ったのだよ。次の者たちを気にしての事だろう。もちろんわしも行くから心配するな」
「では」
「もう戻ったのか」
「すでに百回以上往復していますから」
「よくやったのう」
「まだこれからです」
「そうか。これからか」
「はい」
 そうして第1陣は終了した。

 次は天使の番だ
「これで全員ですか?」
 来ているのは、数名の天使だった。豊穣の天使とガブリエルとルシフェルの3名だ。そしてなぜかアンジーまで駆り出されている。
「誰か一人でもいいのですよ。共有しようと思ったらできますから」
「私だけでよかったのですがね」
「そうなのよ。なんで私まで」
 成長したほうのアンジーがブーたれている。
「あなたが止めないと喧嘩になりますでしょ」
「勝手にやればいいのですよ。3人とも子どもなんですから」
「3人ですか?」
「あんたはいつも挑発しているでしょう!毎度毎度私はヒヤヒヤしているんですからね」
「アンジー落ち着いてください」
「はい」
「さすがのGも形無しですね」
「ルシフェル様も余計なことを言わないでくださいね」
「さて行きますよ」
「さて、惑星を一周してここに来ました。理由はわかりますか?」
「予定地ですか」
「そうです。そして」
 私が指をさしたところには、小さな岩が浮いている。
「なるほど、ここに浮かせるのか」
「最終的に移動はできるようにしますが、しばらくは固定になります」
「ここは良い土地ですね。風が気持ちいいです」
「飛べるのか」
「はい、実際に飛んでみてくださいね」
 そうして全員で飛び始めるが、速度は出せるが、高度をとれない。徐々に高度を上げていくしか無い。
「速度が出せないのか。あと高さもゆっくりでないと昇って行かないな」
「天界の高さによりますが、決して落ちないでくださいね。多分、戻られなくなります」
「そうか。ゆっくりなら昇っていけるし、ゆっくりなら降りてこられる。粒子になったら元には戻れるが、しばらくは、粒子のままでいないと戻れないということか」
「申し訳ありませんが、これが私にできる精一杯です」
「わがままは言ってもきりがありませんから。そうですよね。ルシフェル様、ガブリエル様」
「問題がひとつあるんだよ」
「なんでしょうか」
「ミカエルがどこにいるのかわからないのだよ。どうやって伝えればよいのか」
「それはそちらにおまかせします」
「そうなるよねえ」
「では戻りますよ」
「アンジー。良い男を捕まえましたね」ルミネア様がアンジーに顔を近づけてそう言った。
「はあ?何を言いますか。捕まえられたのは私の方です。隷属されているのですから」
「そうでしたね。そうそう、最近娘の声が聞けていないのよ。ちょっと話しておいてくれないかしら。寂しいのよ。あなたも私に声をかけてね」
「え――またですか?」
「そう言わないで。ではまた会いましょうね」
「ハイハイ」
「いいんですか?姉に対してその塩対応」
「姉だからそう言えるのよ。でもあの子には祈るように話しておこうかしらね」
「ジャガーに振り回されてそれどころではないでしょうねえ」
「ああそれで連絡してもルミネア様に祈らないのか」

○二回目の龍
 早々に2回目をご所望ですか。始祖龍様と火と光に闇に金が見学ツアー参加者になりました。
 火は、あまり機嫌が良くありません。
「火よそうむくれるな。せっかく招待してくれたこの男の前ではそんな嫌そうにするな」
「大丈夫なんだろうな」火が私を睨む。
「何がですか?」
「そのまま置き去りにしたりしないだろうな」そこで急に火が不安そうな顔をする。
「しませんよ。逆に惑星を破壊されても困りますから」
「金よ浮かない顔じゃが、大丈夫か?」
「行ってみて居心地がよかったらそのまま住んでいいだろうか」
 どうやら帰りたくなくなるのを心配していましたか。私はその言葉にブレない人だなあと感心してしまいました。
「駄目に決まっているじゃろう。わしらが転移の時の要だと言っていたであろう」
「そうなんだけどねえ」
「相変わらず仕事嫌いじゃな」
「何回も移動するの面倒じゃないか」
「闇も不機嫌じゃな」
「新しい世界に俺がいる必要があるのだろうか」なんかへこんでませんか。
「今更それか。こやつが言ったじゃろう。この世界に不必要なものなど一切ないとなあ」
「そうです。闇がないと光もありません」
「それは逆でしょう」光が言った。
「いいえ、影、闇が発生するのは光のおかげですけど、光の存在がわかるのも闇や影があるからわかるのですよ。ですから絶対必要なのです」
「さて、皆さんの葛藤は私には関係ありません。行きますよ」
「ねえ 君の想い人はこんなにドライなのかい?」金がモーラに言った。
「だから想い人ではないと何度言ったら。まあ、ナーバスになっているのは事実じゃ。今更ながら自分のやっている事が正しいのか不安になっておる」
「ええ、今更?」光が横から話しかける。
「ああ、研究する奴はみんなこうなのかなあ。怖気づいておる」
「そこは頼んだよ」光がモーラの頭をポンポンと叩いた。
「まったく人というのは難しい」
「おもしろいの間違いだろう?」金が笑いながら言った。
「ああそうじゃ」

 魔法使いの里
 私は、紫に連絡を取りに長命人族の所にアンジーに連絡を取ってもらおうとしたのですが、セリカリナにいるというので、ブレンダに連絡して、紫に家に来てもらいました。
「紫さんどうしますか?」
「私は行きたいわよ。問題は人選ね」
「人選ですか?でも何もできませんよ。魔力がほとんどないのですから」
「魔鉱石を持ち込んでも?」
「とりあえず体内にある魔力量だけは使えますが、その後は普通の人間になりますし、持ってきた魔鉱石から自分の体に魔力を移すことができるのなら可能ですが」
「それがねえ。できるらしいのよ」紫が私を見て言いました。
「できるようになっちゃいましたか」私はため息をついた。
「なっちゃったのよ」紫もため息をつく。
「没収して連れて行きますか?」
「隠すところは色々あるからねえ」
「ブレンダも連れて行きましょう。私が戦っては帰られなくなりそうですから」
「いいのかしら?」
「そんなに大人数連れていけませんからね」
「一応、行きたい人は選んでください。2回に分けて欲しいのです」
「1回4人くらい?でもドラゴンは、作業の時に4柱以上連れて行っていたわよねえ」
「人であれば大人数を連れて行けるのですけど、たぶんエリスさんとトラマリさんも行きたがりますでしょう?他にも行きたい人がでそうですからね」
「確かにそうね。見せておかないとうるさいし」
「あーいたいた。いつ行くのよ」
「噂をすれば影ですね。トラマリさんもいましたか」
「私は無理やり引っ張り出されただけ」
「何よ、あんたも興味津々だと言うから一緒に来たのでしょう?」
「まあな。あれだけ手伝わせて結果が見られないのはちょっとなあ。あの作業自体は面白かったけど」
「その時の対価は払ったでしょうに」
「見ーたーいー」だだをこねるエリス
「子どもですか」紫がため息をついた。
「子どもでもいいの!」
「一緒に行くのが赤でもいいのかい?」
「え?マジ?」
「魔鉱石を大量に抱えていくつもりらしいわ」
「あんのやろうやる気か」トラマリさんがちょっとだけ戦闘モードです。
「やる気だねえ」エリスもちょっと表情が変わってニヤリと笑った。
「その程度で壊せるわけではないのですがねえ」
「戦った実績が欲しいのかもしれないわ」紫が考え込んでからそう言った。
「いや、隠し玉が何かありそうじゃないか」トラマリさんも考えながら言った。
「その辺が不気味よねえ」エリスもそう言った。
「とりあえず2回予定していますので、人選はお願いしますね」
「わかったわ」 

「私は2陣で行くわ」赤が言った。
「他には?オレンジはどうするの?」
「1陣で」1陣にオレンジ、黄色、緑と紫。2陣に赤、紫、エリス、トラマリとなった。青と藍は行かないとなった。
「青、藍、行かないの?」
「隠居している身だからね。好きにしてくれ」 
「わしもそうじゃ」
「1陣と同じところよね」
「そうですよ」
「ああ、探している魔鉱石は回収させていただきました」
「そんなそぶりもなかったじゃない」
「私は来ていませんよ」
「別に転移できる者がいるのね」
「ご想像におまかせします。もっとも私が戻っても回収できましたよ」
「いや、オレンジにはあんたを監視させていたのだから無理よ」
「懲りない人たちですね」
「あきらめるわ。あんたの方が上手なのは間違いないわね」
「実際飛んでみてください」
「ええ、そしてあなたを攻撃してみるわ」
 ヒョロヒョロと細い魔法攻撃しか出来ない事を確認して肩を落とす赤だった。
 ちなみに私とかブレンダはどうしてちゃんと魔法を使えているのかは秘密です。
「私も大丈夫なんですけどね」紫がそう言いました。


続く


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