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第34話 DT秘密の帰還

第34-5話 魔素を散布する間に1

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○魔素を魔鉱石に注入を開始する
 私は、作業場所の近くに魔鉱石を配置して、それを作業管理者である4人にお渡しして、その場所から消える。
「今日のノルマはこれだけなのね」
「かなりの量なのによく持ってこられるなあ」アモンさんがそう言った。
「ああ、重力使いだから出来るのですよ」紫がさらっと言った。
「重力を使うのか?火や水では無く?」
「そうなのですよ。でも彼は、火も水も風も雷も使えますよ」
「どうしてできるのですか?」ルミネア様が身を乗り出して聞いてきた。
「彼によると全ての自然現象は重力から発生しているのだそうですよ」
「わかりません」ルミネア様が言った。
「まあ、あの人しかわからないでしょうねえ」
「1日目の作業に入りますよ」ヒメツキ様が声を掛けた。

○農薬じゃない魔鉱石散布中
 私は、メアと毎日、日中に魔力を充填された魔鉱石を持って、夕方にあの惑星に転移しています。
「ご主人様この辺です」
 メアの補助脳が散布位置を特定して私に指示を出す。惑星に氷塊が激突して水はそこそこできていて、水蒸気と雲海が視界を妨げています。
「鬼は~そと~。福はうち~」私はそう叫びながらメアが示す位置にばらまいています。
 気流の影響も考えて魔鉱石を散布しているはずですが、魔鉱石の粉末がどこに飛んだのか、風と雲海と水蒸気のおかげでよくわかっていません。まあ、マーカーをつけた魔鉱石も散布しているので、その軌跡をメアが計算していますからメアにはわかるのでしょう。
 私は、極点に降り立ち、重力制御で持参した魔鉱石を置いて、一部の魔鉱石だけを持ち上げながら、北極から南極で折り返して北極まで空を飛びながら魔鉱石を蒔いている。一度に蒔ける範囲は少ない。それを36度の範囲で繰り返す。単調な作業だが精密さも必要だ。
「ご主人様、右に流されています左に修正を」
「了解」
「今度は逆です」
 これを繰り返して、魔鉱石がなくなるまで行っていく。さすがに魔法の使いすぎより、体力が持たない。
「自動化のプログラムが欲しい」
「作っている暇がありますか?」
「確かに無理か・・・」
 そうして一日が終わった。
「アンジーさん確認を」
「監視なんてしなくても問題ないわよ。今回はどんな作業をするのか見たかっただけだし、メアも同行しているしね。あんたと会話をすれば、嘘ついていたらだいたいわかるから」
「そうですか」
「今日はここに泊まるのよねえ」
「そうですね。魔力がない時はほとんどここです」
「なら好都合だわ」アンジーが先に家に戻って行った。
「メアさんありがとう。私は地下室で眠りますよ」
「はい。お疲れ様でした。食事は朝に用意してあります。それをお食べください」
「ありがとー」
 私は、台所の床に座り込んで灯りが見つからないように食事を食べている。
「なんか、会社に見つからないようにサーバールームにコッソリ入って残業していた時みたいだなあ」
 そう独り言を言いながら、食事をして地下室に戻った。

○アンジーと面接
 しかし、誰もいないはずの地下室の私の部屋に人影があり、アンジーが私の机に座って、そこの資料を読んでいたのです。
「おやアンジーどうしました」
 私は自分の椅子に座れないので、ベッドに座りました。
「話したいことがあったの。誰にも聞かれずにね」
 私がベッドに座ったのを見て、アンジーが私の隣に座った。
「なんでしょう」
「あなたの考えている案には、どこまでの種族が入っているのかしら」
「想定しているのは、全ての種族ですよ」
「そうなのね。念のため聞かせて欲しいのだけれど、そこに天界は入っているのかしら」
「もちろん入っていますよ。どうしたのですか」
「本当にそれでいいのかしら」
「だめなのですか?」
「私が言うのもなんだけど、あそこは腐っているわよ。連れて行っても害にしかならないと思うのよ」
「そうでしょうか」
「あそこは、善人では務まらないし、悪人でさえ務まらないほど精神を削られる世界よ。生まれてきた天使達は次々と変性していくわ。連れて行かない方が良いのではないかしら」
「私は、性善説ではありませんが、あえてそういう人達だからと選別する方が嫌ですね」
「そうなのね。あと、断る人はどうするの」
「断る人には、無理強いはできません。ギリギリまで説得を続けることが私の誠意です」
「私達天使は、適応できるのかしら」
「調査の範囲では問題ないですよ」
「そうなの?検証済みなのね」
「あくまでテストですよ。完璧ではないかもしれません」
「それだけ確認できれば良いわ。さて、お風呂に入って寝てから明日帰ろうかしら」
 アンジーはそう言うと、私の手を引いて風呂場に向かう。
 アンジーは脱衣所でさっさと服を脱いで裸になり、置いてある椅子に座り、ブラシを私に手渡す。
「ん」
 まあ、下僕としては、渡されたブラシを使って丁寧に髪を梳くのです。長い髪の毛足の方からゆっくりと丁寧に、絡んだ髪が引っかからないように丁寧に梳く。まあ、これまで引っかかったことがないくらいサラサラなんですけどねえ。頭頂部から前髪までかかると私の方を見てもういいという合図を送ってくる。手を出してくるのでブラシを渡すと。ブラシを定位置に返して、私の手を引いて風呂場に入っていく。
 これは、最初の家にいた時のルーチンワークでした。お互いシャワーを浴びた後、アンジーの髪にゆっくりとぬるいお湯をかけて湿らせていく。昔ならタオルで巻いたりもしていたが、今はしていない。
 広い浴槽に二人で入る。離れていた二人の間は簡単に埋まり、アンジーが私の腕にピタリと胸をくっつけてくる。最初の家で暮らしていた時には、不安があった時や、町で嫌なことがあった時にしていた仕草だ。
「二人きりも久しぶりね」
「そうですね。久しぶりです」そうしてしばらく沈黙が続く。
「アンジーさん不安ですか?」
「あんたにはかなわないわねえ。確かに不安なのよ。あんたの案が本当にうまくいくのかどうか」
「そのために充分準備期間をとっていますよ」
「そうね、あんたらしいわ」
「わたしらしいですか?」
「ええ。ねえ、あんたの記憶の封印が解かれたと聞いたわ。それでも変わらないのは、事前に封印が解けていたせいじゃないのかしら」アンジーは、私の頭をなでる。
「アンジーさんには、かないませんねえ」
「なによ、さっきの口調をやり返したの?」
「いいえ、変わらなかった事をきっと誰かに褒めて欲しかったのでしょうねえ」
「そうね、よく耐えたわ。あんたは頑張った。えらいえらい」
 アンジーはそう言うと撫でていた手で私の頭を抱きかかえてくれた。私はアンジーの胸で泣いた。
「私はね、自分のいた世界を呪っていたんですよ。呪いながら死にました。そして、権力のある者や力を持った無慈悲な者に対する絶対的な報復を誓って死んだのです」
「そうだったの」
「記憶があって転生していたら、私はこの世界の全てを焼き尽くしていたんですよ」
「そうかしら」
「ええ、エゴイストなエルフの里やドワーフの里、そして欲望第一主義で利己主義の人間、何も考えず殺戮を繰り返す魔族、それをだまって静観している天界、ドラゴン、魔法使いの里、その全てを私の憎悪の対象として、私が死ぬまで戦っていたでしょう」
「そうかもしれないわね。でも、全ての種族を全滅させる前にあなたが死んでいたかもしれないわよ」
「いいえ。姑息な私は、周到に準備をして、それぞれの種族を互いに疑心暗鬼に陥れて、戦力が疲弊したところで殲滅しにかかったと思います」
「あんた、そういうの得意そうだものねえ」
 アンジーが頭から手を離して私の頭が胸から離れる。私はアンジーを抱きしめた。
「ちょっ」
「記憶を封印していてくれてありがとう。私を憎悪の炎で焼き尽くす死神にさせないでくれてありがとう」
「あれは私じゃないわよ」そう言いながらもアンジーは私と抱きしめてくれている。
「少しずつ封印を解いていったのはアンジーでしょう?」
「それでも、最後の封印は自分で解除して、それを押さえ込んだのだからすごい精神力よね」
「家族の皆さんのおかげなんです。みんなが支えてくれなければ、たぶん無理でした」
「ごめんなさい」
「どうして謝るんですか」
「だってねえ、最初に隷属された時には、事故とはいえ魔族の側とドラゴンの里の思惑通りだったのだから。まあ私は、ミイラ取りがミイラになったのだけれど」
 アンジーは少し照れながら言った。
「それにしても。ここまで皆さんの愛情に触れれば、この世界を壊す気にはならなくなりましたから」
「しかも立て直す方に舵を切るとかねえ。あんたすごいわねえ」
「ですから、全ての種族を私の案に取り込んでみせます」
「わかったわ」
 そして風呂を出て、アンジーの髪をタオルで乾かし、地下室のベッドで眠る。
「ねえ、今更だけど、あんたのこと大好きよ。いえ愛しているわ。DT。本名の方がよかったかしら?」
「本名ですか?全て知っていたんですね」
「だから言っているでしょう?私が見られるのは断片的だって」
「そうでしたね。私も愛していますよアンジー」
 私達は、抱き合って眠り、翌朝アンジーはいつの間にかいなくなっていた。

○2日目の作業
 メアは朝食を片付けにきてくれて、そのまま1階と2階の掃除をしていた。さらに地下室に冷蔵庫を設置して、簡単な食事を作って入れてくれた。
「それとこれを」
「この魔法は?ああ、昨日言った自動散布の魔法ですか?」
「はい。母に連絡を入れたら、早朝に持って来てくれました」
「そうですか。でも、この術式マクロは紫さんのではありませんね」
「さあ、私はこれを渡すようにと言われただけですので」
「これでだいぶメアさんの負担が軽減されますね」
「私のですか?」
「ああ、私の作業負担も軽減されますが、ナビゲートの方がかなり大変ですよね」
「確かにそうですが・・・」
「では、そろそろ魔鉱石を取りに行きますか」
「はい」
 私達は、空間転移で次に使う魔鉱石を置いてある場所に行って、それを持って充填場所にある充填済の魔鉱石と入れ替え、充填済の魔鉱石を抱えて惑星に転移した。
「この自動散布の魔法は優れものですねえ」
「はい。私の補助脳とリンクして散布位置を修正しています」
「私は持ち上げているだけで済みますねえ」
「それでもかなり負担なのではありませんか」
「昨日よりはかなり楽になりました。作業も覚えましたのでその分も楽になっています」
「そうですか」
「はい今日の分は終わりです」
「お疲れ様でした。夕食をご一緒してもよろしいですか?」
「ええ、ぜひ」
「しばらくはここで寝泊まりするのだとアンジー様から聞いております」
 そう言って、私の衣類などを持って一度出て行き、夜に戻ってきて食事を終わってからもメアと話をしている。私のそばにずーっといた。
「メアさんは、今回の案をどう思っているのですか」
「斬新なアイデアだとは思います。さすが私の最愛なるご主人様です。尊敬しております」
「そう言う意味で聞いたのではありません」
「はぐらかしたのですが、いけませんでしたか」
「そうだったのですか。その案が実行されてもわたしと一緒にいてもらえませんか」
「補助脳だけの時なら今の言葉を私は命令と判断していたでしょう。けれど、今の私では、一緒にいることが当たり前すぎて今更聞かないで欲しいと、なぜ聞くのかと少し悲しく思っています。私はあなたを愛しています。当然これからもずっとおそばにいます」
「ありがとうございます。私は愛の形をこうしたゆがんだ形でしか表せません」
「どこがゆがんでいるのでしょう。いつも心の中では正直に言っておられますよね」
「確かにそうですね。それとあなたのご両親やお孫さんはどうするつもりなのでしょうか」
「それは、むしろご主人様の方がお詳しいのではありませんか?あえて私に尋ねられているのであれば、わかりませんとしか言えません。ですが、もしかしたら賛同しないかもしれないのでは、と思っています」
「そうですか」
「今日はお早めにお眠りください。私の中の補助脳がご主人様の疲労度がかなりのものになっていることを計測しています」
「そうですか。お風呂に入って寝ましょうか」
「そうしましょう」
 私は、メアに背中を流してもらい、メアの背中を流して、髪の毛を梳いて、部屋に戻った。
 ベッドに入る時に、いつもの習慣で体を横にしたのですが、私に向き合うように毛布に入ってきましたので、正面から抱きしめました。ちょっと恥ずかしそうです。
「こうしてもらいたいと思うようになりました。私のわがままでしょうか」
「メアさんはもう少し自分を出しても良いと思いますよ」
 そうして2人で眠り、メアは、私が目を覚ますと朝食を作って待っていてくれた。
「今日はどうなさいますか?」
「魔鉱石の充填速度が上がっているのです。なので、魔鉱石の補充をしなければならないので、ちょっと出掛けてきますね」
「そうですか、それではアンジー様とエルフィさん手伝っていただいて、薬草の採取と薬草の納品をして参ります」
「調製が済んだ物は作ってありますので、それを納品してください。採取した物は薬草の作業所に入れておいてください」
「特に手間を加える必要がないのであれば、そのまま乾燥させますが」
「明日は昨日と同じくらいの作業になりますから、大丈夫だと思います」
「ではあまり無理をなさらないようにしてくださいね」
「その言葉だけで十分です。では行ってきます。夕方の作業はよろしくお願いします」
「はい。お待ちしております。気をつけて」

○3日目
 その日の作業も順調に終了して、メアはアンジーの家に戻って行った。
 私は少し寂しさを覚えていた。いや、ひとりで頑張れよと。
 早めに寝るつもりでベッドに入ろうとしたが、何やら地下室の階段あたりで物音がして、まさか幽霊?とか思いながら地下室の自分の部屋の扉をそーっと開ける。家と地下室の間の土の中からモーラが来ました。正確には、束石の隙間の土を掘り進んで、なのですが。
「さすがに3日連続で人が出入りしたら怪しまれるじゃろう?」
「そうですねえ。こんな形で来られるとは思ってもみませんでした」
「わしもこんな形で来ることになろうとは思わなかったわ、さすがに土だらけじゃ風呂に入るぞ」
「そうですね」
 そして2人でお風呂に入る。10人で入ると手狭な風呂でも2人ではかなり広い。それでも2人でくっついて入る。
「2人きりは久しぶりじゃなあ」
 モーラは私の膝の上に乗って背中を私につけている。私はちょっとねえ。子どもと入っているのかと錯覚しました。
「そうですね。一緒に暮らしているときでもお互い忙しくて、すれ違っていた時もありましたからねえ」
「確かになあ」
「尋ねたいことがあるのでしょう?」
「そうじゃ。おぬしの案には、わしらは入っているのか」
「アンジーから聞いていないのですか?全ての種族が私の案には含まれています。当然ドラゴンも含まれていますよ」
「アンジーは、不安なら自分で確認しなさいの一点張りでなあ。わしも直接聞きたかったのもある。それは、家族全員が同じじゃろう」
「確かにそうかもしれませんね。モーラはこの後、闇や火はどうするのかと聞くのでしょうね。あと賛同しない奴はどうするのかと」
「まあ、この案に賛同しない奴については、わしもどうするつもりもない。わしが心配しているのは、賛同している者の中に多少問題行動をする者が含まれていた時に一緒で良いものか考えるのじゃよ。次の世界にとって悪影響じゃないのかとな」
「私はこの世界を少しだけ好きなのですよ。少しだけ嫌いでもあります。だからといって嫌いなところを切り捨てるつもりはないのですよ」
「悪いところも含めてこの世界だと」
「その通りです」
「そうか、それを聞いて安心したわ。安心したら眠くなったわ。早う寝るぞ」
「はいはい」
 私達は、風呂から上がり、モーラの髪をタオルで乾かし、一緒に地下室に戻り、広いベッドで眠る。
「こうして2人きりで寝るのも久しぶりですね」
 私はつい昨日のメアのように顔を合わせて抱きしめる。
「ああ、こうして向かい合って抱き合って寝るのも良いものなんじゃな」
「なかなか難しいですけどね」
「のう、お願いしても良いか」
「どうしたんですか急に」
「おぬしが、以前メアやアンジーとしたディープキスというのをして欲しいんじゃ」
「おや、いいですけど気分が乗らないとできませんよ」
「いやいい。すまなかった、忘れてくれ」
「ああもう可愛いですねえ」
「よせ、お前、何をする。うっ」
 そうしてしばらくは、キスをしていた。ええ、首筋から耳元まで唇を這わせ、そして再びキスをする。深いキスを・・・
「おぬしやりすぎじゃ。わしの頭がついていかぬ。爆発しそうじゃ」
「すいません。私も調子に乗りすぎました。なんか歯止めがきかなくなってしまいました」
「別に嫌ではなかったのじゃ。わしも暴走しそうじゃった。あのままいくところまでいってしまいそうじゃったわ」
「それって」
「いわせるな恥ずかしい」
 そうして、お互い照れながら抱き合って寝た。翌朝モーラはいなかった。

○4日目
「おはようございます」
 メアが朝食を届けに来た。こんなに頻繁に来ていたらあやしまれませんか?
「大丈夫ですよ。私が皆さんに自室の物を整理しに来るように言いましたから」
「ああ、そうですか」
「はい。昨日はお盛んでしたね」メアが無表情に言いました。
「なっ何もしていませんよ」
 私はとっさにそう言いました。
「冗談です。でも何かありましたか?」
「い、いいえ何も」
「アンジー様からそう言ったらきっと動揺するはずだから言ってみなさいと言われたのですが、瓢箪から駒でしたか。皆さんにご報告しないといけませんね」
「だから何もありませんでしたよ。本当です」
「わかりました。ご主人様がそう言って顔を赤らめていたと報告します」
「メアさ~ん」
「冗談です。さて、今日も同じ時間に行動開始ですか?」
「と言いたいところですが、本当にまた魔鉱石が足りなくなってきてしまいました。また取りに行きます」
「わかりました。薬草は私達の方で作業します。ご主人様はそもそも薬倉庫に出入りしてはいけないのではありませんか?」
「そういえばそうでした。よろしくお願いします。では行ってきます」
「いってらっしゃいませ」
 そうして、魔鉱石を取りに行き、充填された魔鉱石を持ってメアを連れて惑星への魔鉱石散布を行って、単調な作業にフラフラになりながら疲れて戻って来ました。
「エルフィさんが来られるみたいですよ」
 メアが、地下室の扉に張ってあるメモを指さしました。
「そうですか」
「では私はこれで」
「また明日お願いします」
 私は、4日目の作業を終えて、さすがに疲れていたので、先に風呂に入っていました。
 突然お風呂の扉が開いて、エルフィが素っ裸で入ってくる。
「ジャーン!!来ちゃいました~」
 そう叫んで、私の入っている湯船にジャンプして私めがけて飛び込んでくる。
 私は、とっさに重力魔法を使い、直前でエルフィを空中に止めてから、ゆっくりと私の元に下ろしていく。
「え~。ひどい~抱きつきたかったのに~」そう言いながらも空中から私に抱きついてくる。
「お湯がもったいないです」
「もう~旦那様~私のことが嫌いなの~」
 エルフィがちょっとすねた顔をしました。
「いいえ大好きですよ。こうして抱きしめたいくらいに」
 私はそう言ってぎゅーっと抱きしめる。
「え?あ?ちょっと~まって~」
 抱きしめられて、エルフィがアタフタしている。本当にこの子は攻められると弱いですね。
「寂しかったですか?ごめんなさいね」
「ほんと~に寂しかったの~だって~気配がないと不安で~。でも、こうして会えたから良いの~」
「はい、チュー」そう言って、私からキスすると静かになりました。
「・・・・」
 エルフィはキスをした後、真っ赤になって下を向いてしまう。いや、裸で抱き合っているんですから、そっちのほうが恥ずかしいでしょう。エルフィは下を向いたまま、私の膝の上から横にずれて、私の背中の方に移動して後ろから抱きついて胸を押しつけてくる。
「あ~なんか落ち着く~」まだエルフィはお子様ですからねえ。
「ち、違うもん。久しぶりでちょっと恥ずかしかっただけだもん」
「さっきの裸でダイビングの勢いはどこに行ったのですか」
「だって~やっと会えてうれしかったんだもん~」
「ごめんなさいね」
「もう!謝らないで!!」そうしてしばらく湯船に入った後、エルフィに湯浴みをしてから入るように説教をして、髪と背中を洗い、私も背中を流してもらい、一緒にお風呂を出た。
「も~見ないで~」脱衣所で寝間着を着る時にも、胸を手で隠しながらわたしにあっかんべーをする。
「いや、どうやっても目に入るでしょう」そんなくだらない会話をしながら、地下室に戻る。まったく。ちゃんと脱衣所に寝間着を用意しているあたり、どこまで計算してやっているのやら。
 地下室に戻っても私の背中から離れようとはしません。
「大事な話をしたいのでしょう?」
「え~もうちょっと~旦那様成分補充したい~」
「甘えん坊ですねえ」
「違うもん。寂しん坊なだけだもん」
「同じでしょう」
「ちぇ~」そう言って背中から離れるエルフィ。そして、私を見る目は真剣になる。
「エルフィの聞きたいことはわかります」
「じゃあエルフの里は、旦那様の案から除いて連れて行かないのですね」
「いや、逆でしょう?」
「もうあんな里はいらないのです。私の所に来たエルフ達だけで充分です」
「本当にそう思っていますか?」私がエルフィの目を見ながら言いました。ずーっと見つめ合っていると、エルフィの目から涙があふれ出てきます。それでも私の方を見つめています。
「だっでぇ、ぁんなざど、なくなってしばえばっぃぃどずっどぉおぼっでいだどに、いざがんがえどぁら、だみだがどまらなぃんでず。どぅじでづらぃどぅでずがぁ」
 私は、エルフィと握りあった手を離して抱きしめた。
「あなたは、優しいいい子ですね。どんなにひどいことをされても、里のことは大事にしているのですね。私は、そんな優しいエルフィが大好きですよ」私は頭を撫でる。
「うぇぇぇぇん」エルフィは、しばらく泣き続けた。そして泣くのがおさまったあと、私の胸の中で、
「旦那様、旦那様の案にはエルフの里は入っているのですね」
「これは、どの種族に対しても同じようにします。例外はありません。彼らが私の案に賛同するのならば含めます。賛同しないなら説得します」
「それでもだめならどうしますか」
「賛同する方だけは、なんとかします。そして、賛同しない方は、最後まで説得します。それが私にできる事の全てですから」
「わかりました。まだ話してはいけないのですね」
「はい。準備は進んでいますが、まだ話せる状況にはありません」
「はー。泣いたら疲れちゃったのです。寝ましょう」
 そう言いながら私から離れて、寝間着を脱ごうとしています。どうして寝間着を脱ごうとするのですか。
「いや、寝間着は着ていてください」
「え~これから~プロレスで・す・よ・ねえ~」
 エルフィの目が恐いです。表情と雰囲気が急に肉食系になりましたが、勘弁してください。
「我が身が危険そうなので、はい」
 私は指を鳴らして、エルフィにちょっといたずらをしました。エルフィの体を縄で縛りました。ええ、特殊な縛り方で亀の甲羅のように複雑な縛り方をしています。
「あれれ~これはなんのいたずらですか~」
「私の世界では、悪いことをしたら見せしめとして縄で縛って放置します」
「旦那様の頭の中には~えすえむとか~亀甲縛り~とか浮かんでいて~いやらしいことを考えているんですけど違いますか~。エルフィ~恐い~」
「まあ、この縛り方では、拷問する場合もありますが、拷問と言っても痛いだけではないのですよ」
 私はそう言って。エルフィとキスをする。
「んんん・・・ん~」最初はびっくりしていたエルフィだが、次第にトロンとした目になっていく。
「でも、これもいいかもしれない~癖になるかも~」再び深いキスをする。
「なんか~縛られているとお口に意識が集中して~気持ちよくなってしまいました。ねえ~続きを~お願いします~」
「はいここまでです」
「え~ひどい~でも~こんな縄なんて~えい~あれれ~ちぎれない~」
 さすがのエルフィでも、この縄には悪戦苦闘しています。
「実は緩く縄をかけてあるように見えますが、動くたびにきつく縛られるようになっているんですよ」
「でもやっぱり。縛るのはひどいです~みんなに言いつけてやる~」
「しようが無いですねえ」
 私は指を鳴らして縄を解除する。猛獣モードの目に戻ったエルフィは
「旦那様~続き~」そう言って私に抱きついてくる。
「はい、おやすみなさい」私は指を鳴らします。
「あれ~眠くなってきた~おやすみなさ・・・い」
「ふぅ。エルフィごめんなさいね。さすがに今は、プロレスをしていられないのです。たぶん私の体力が全て抜かれて仕事ができなくなりそうです。ですから一線を越えるわけにはいかないのですよ」
 そうして私は地下室を出て、どこかへ転移した。翌朝目覚めたエルフィは、扉に張ってあるメモを見る。そこに書かれた「ごめんね。この件が片付いたら埋め合わせはします」を見て。
「旦那様~ひ~ど~い~」メモを握りしめてエルフィは叫んだ。

○5日目
 私は、別件でセリカリナと黒い霧のところの横の砂漠に行ってから、地下室に戻ってきました。
「お帰りなさいませ。昨日はお盛んでしたね」
 メアの声がした。ちょっとだけ怒っているように聞こえるのはなぜでしょうか。
「ああ、エルフィが裸で寝ていたのをみましたか、何もしていませんよ」
「縄の後がありましたが、怪しい趣味でも増えましたか?」メアの厳しい目が痛いです。
「増えましたかって。最初から怪しい趣味なんてありませんよ」
「失礼しました。ご主人様にとっては普通の趣味でしたか」
「だから~」
「冗談です」
「そうあって欲しいものです」
「朝食もとっていないではありませんか?兼用ですみませんがこれをお食べください」
「い~つ~も~す~ま~な~い~ね~」そう言いながら私は机の上にある食事をむさぼるように食べて。
「では、これから向かいましょう」
「はい」
 そうして、作業はあまりにも問題なく、しかも高効率に進んでいく。ああ、昔の仕事もこのくらい順調に進んでいたらよかったのに。でも、クライアントの無茶な仕様変更さえなければ、上手くいっている案件ばかりだったような気がする。
 戻ってメアと食事をして、別れたあと、地下室の自分の部屋で明日の作業を確認していたら、少し遅くなってから地下室をノックする人が現れた。
 エーネがやってきた。ひどく深刻そうな顔だ。表情は暗く足取りは重そうだ。
「エーネ。里の様子はどうですか?」
「はい、ほとんど私の手を離れました」
 エーネのその言葉は少し重かった。
「そうですか。アモンさんとは、連絡を取れていますか?」
「いえ、あの時使った連絡装置は、回収されたようです」
「そうでしたか。そうだ。エーネに聞きたいことがあります」
「なんでしょうか」
「エーネ。隷属してからしばらく経っていますが、あなたまでが、私の家族になるとは思っていませんでした」
「それは、話さないと駄目ですか」
「私とあなたの接触していた期間は、短かったではないですか」
「私のこの思いは、あなた様に出会った時から始まっていました。私がファーンの町で盗みを働き、周囲がざわめいている時に、モーラ様もメアさんも意外に冷静に対応していたのです。それは、子どもの私にとっては、異質なものを見る周囲の人たちと違いはありませんでした。しかし、あなた様は、私を見ると駆け寄ってきて、私の前に跪き、私の目線に合わせて見上げるように心配そうに声をかけてくれました。そこには、人間の子どもであってもエルフの子であってもドワーフの子どもであっても魔族の私であっても同じように接してくれる人なのだととても優しい人なのだと思えました」
「・・・・」
「さらには、半信半疑でモーラ様に言われたようにあなた様に抱きついても、突き放すわけでも逃げるわけではなく。逆にしっかり抱きしめてくれました。誤解だと周りに話す時も抱きしめたままでいてくれました。不安だった私にそれがどんなに安心できたことだったか」
「そんなつもりは・・・」
「なかったと言われるのでしょうけれど、普通の人は、魔族に抱きつかれて逃げないわけがないのです。私はあの時からこの人は不思議な人だと思っていました」
「まあ、不思議ではありますねえ」
「そして匿ってくれた時も、私の両親を探しに行くと言ってくれました。ご自分の身の危険も顧みずに探しに行くと言ってくれました。それもうれしかったのです。私の両親に対しても怒ってくれました。私自身男の子でいても女の子でいても別に変わりはありませんでした。でも、本心では男の子にされていて、多少はショックだったのです。でも、この家に住んでいる時は、普通に接してくれて、一番安心していられたのも事実なのです。
そして隷属してからも、子どもの憧れだけではなく、ディー様を本当に愛してしまいました。ですから、母が殺され、父が私と意見を違え、私の説得にも耳を貸してくれなくなった時に、魔王城には残らずにモーラ様と一緒に城を去ったのです。そして、私はあなた様と家族でいられたことが嬉しくて、私の気持ちは間違っていなかったと改めて思いました。あなた様のことが大好きでよかったと」
そう言ってエーネは、私に抱きついてきた。紅潮した顔をして潤んだ瞳で私を見上げる。
「魔族の方は発情しやすいんですか」
「わかりません。私もどうして良いかわかりません。胸がドキドキしています」
「あなたはまだ子どもです」
「そんなことはありません。魔族は成長が早いのです」
「体は成長できても、心はちゃんと成長できていませんよ」
「そんなことは・・・ないと思います」
「あなたは、閉ざされた小さな世界で育ちました。まだ社会の表も裏も見てもいないし、経験もしていないのです。ですから今は、抱きしめてあげるくらいしかできません」
「だめでしょうか。せめてキス位はだめですか?」
「まあそれくらいは良いとは思いますが、と言うか何を期待しているのですか」
「母からは、色々と話を聞いています。その、男女の秘め事についても」
「まあ、成熟が早いですから教育も必要ですね。ですが、心の成長にあわせていかないと後々ひずみも出ますから。ゆっくり行きましょうね」
「残念です」本当にエーネはションボリしてしまいました。
「私はほっとしていますよ。さて、話が変な方向に行ってしまいました」
「はい、でもこのままで話を続けても良いですか?なぜか安心していられます」
 私がベッドに座り、その腰の上にまたがるようにエーネが私の膝の上に座っています。なんとなく股間がウズウズする位置です。
「まあ、真剣な話の時の格好ではありませんが仕方が無いでしょう」
「ディー様の案の中には、魔族達すべてが入っているのでしょうか」
 私の目を見ては居ません、私に強く抱きついています。声が少しうわずっているように聞こえます。
「当然全て含まれています」
「それは危険ではありませんか」
「それを言ったら、私が一番危険だと思っているのは人間ですからねえ。排除するつもりなら先に人間ですよ」
「そうなんですか?」
 エーネが抱きついていた手を離して私を見上げて言った。
「ええ、魔族の方が人間ほど狡猾ではありませんよ」
「わかりました。全ての魔族があなた様の案に入っていると。でも、案を拒絶する者も出てきますよね」
「はい、でも、説得は試みます。最後の最後まで。しかし、拒絶のままならば最後には諦めるしかありません。そこまで無理強いもできませんので」
「父はどうなるのでしょうか」
「もちろん含まれていますし、説得もします。でも今回の作業には手伝ってもらえるようになったじゃないですか」
「はい。その時にも話をしましたが、改めて全員連れて行く事は間違いないと言いたいですし、どっちつかずだと言っていたその気持ちを改めて確認したいです」
「そうですねえ、もし会いたいのなら、モーラに頼んでみてはいかがですか」
「それは・・・」
「頼みづらいですか?ねえモーラ。どうですか?」
「え?え?え?」
「わしのいるのを気付いておったか」
「まあ、大体はそんな事だろうと思っていました」
 モーラの声に慌てて私の膝から降りるエーネ。顔が真っ赤です。
「今回は全員来ているわよ。だって、エーネがたった一人でここに来ていたら、魔族側が見逃すはず無いじゃない」
「彼女は、まだ監視されているんですか」私は驚いている。
「当たり前じゃない。前魔王は幽閉されていて、ルシフェル様はふぬけ状態。一族を統べるためのカリスマな人材が必要なのよ」
「なんでルシフェルがふぬけになっておるのじゃ。ああ、こやつに殴られたからか?メンタル弱々じゃなあ」
 4者会議の時に復活していたはずですが?あれは虚勢だったのですか?
「そりゃあ、天界ナンバー3よ。生まれてから一度も殴られたことなんかあるわけ無いじゃないですか。それを殴られているのよ。精神的なダメージは計り知れないわよ」
「まあ、それは置いておくとして、全員でここにきたのはどうしてですか」
「だから、家族の集まりがあるという形にしないとまずいのよ。魔王の娘には監視という鈴がつけられているの。うろちょろできないの。かわいそうなのよ。自由業は所詮不自由業なの」
「全然意味のない話が出てきておりませんか」パムがつっこむ。
 
 そして、エーネと地下室の私の部屋のベッドで手を握りながら寝ている。
「ディー様。私は今幸せです。こんなに幸せな気持ちは久しぶりです。両親と暮らしていた時のように。父様・・・母様・・・」
 私の手を強く握りながらエーネは泣いている。私が抱き寄せると、彼女は私の胸で泣きながら眠った。それでも眠っている顔が笑顔に戻ったのを見て、安心して私も深い眠りについた。
 翌朝、全員でどこかに出かけたようで、すでに誰も居ませんでした。私はその後地下室から魔鉱石の補充のためにスペイパルへ転移しました。自分でも作っていましたが、間に合いそうにないので、少し分けてもらおうと思います。もちろん内緒です。そうです盗掘です。


続く
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