153 / 229
第26話 メアの事情
第26-9話 引越し
しおりを挟む
○引越し準備
私達はその街を離れた。場所を知ったので、真っ直ぐ家に帰るルートを取った。
そして、ファーンに戻って来た。町の中に直接馬車で乗りつけて、町長の所に向かう。
「随分早くもどったな。でも早々にわしの所に来るということは、何か相談事かな」
「町長。旅の成果はありました。しかし一つお願い事が出来てしまいまして」
「聞かせてもらえるか」
「実は、メアのふるさとだった街で長命な人達に出会いまして。その人達がこれから土地を追い出されて居場所がなくなりそうで困っているのです。ただ、これまでは、衣食住全てを提供されていて、何不自由なく暮らせていて、労働してこなかった人達なのです」
経過を簡単に話す。
「ふむ。労働の意欲があっても頑張れないかもしれないという事なのだな」
「3ヶ月間ちゃんと働いたら、という条件付きで連れてきたいのですが」
「なるほど外に出す訳か。それならわしから提案がある。その者達が最初に来たときの仕事は、自分達が住む家を作って欲しいのだ。まあ、全部は無理だろうから作るのを手伝わせて完成させて欲しい」
「ああ良い案かもしれませんね」
「その間は宿を提供しよう」
「それまでも旅をしてきているのですから、野宿でよくありませんか?」
「心というのはそう簡単ではない。無理をさせると心が折れる」
「わかりました。そう伝えます」
町長の了解を取り付けて、今度はエリスさんのところに向かう。
「こんにちは、エリスさん」
「おや、お帰り。随分早く戻ってきたのね。無事、街が見つかったの?」
「はい見つかりました。私は、ホムンクルスではなく人造サイボーグだったのです」
「それは、ホムンクルスよりも大変な技術ではなくて?」
「はい、これまではほとんどが補助脳で活動していたのですが、やっと自分を取り戻しました。あと、ホムンクルスの記憶ともちゃんと整合性がとれました。これまで優しくしていただきありがとうございました」
「ああ、そうだったの。それは良かったわ」
「ありがとうございます」
「ねえ、その報告だけではないのでしょう?後ろに控えている彼女も魔法使いのようだし。なにか問題でも起きたのかしら」
「実は、この子がお会いしたいと」
「その子は誰かしら」
「サフィーネと申します。パンジーの。いえ、ヘリオトロープの代理としてこちらにお伺いしました」サフィーネはそう言ってお辞儀をした。
「ちょっと、パンジーって。ええっ!それって「あの街」のことだったの。なるほどね。そうか、どうして今まで彼とあの街がつながらなかったのかしら。で、「紫」の代理のあなたが、何の用なのかしら」
「はい、その街から人を連れて土のドラゴンの縄張りである、ここに移住しようと考えております。そこで、この地の安全をさらに強固にする必要がありまして、この地を守護する土のドラゴンの手助けをするための結界をお師匠様・・・もといヘリオトロープとともに張って欲しいとお願いに参りました」
彼女は、最初からの話を丁寧に説明した。
「この町の結界は、確かベリアルの魔法使いが魔獣よけのを張っていたと思うのだけれど。それ以外に何かの結界を張るということなのかしら」
「はい、この町ファーンと隣町ベリアル、それから今度移住してきた者達の集落を結んで、巨大な監視結界を張るというのがヘリオトロープの考えです」
「ベリアルの魔法使いねえ。そうそう最近、町の規模が大きくなって張り直すにあたって、かなりぼったくった、という話は聞いたわ。私は人づてに連絡は取っているけど、そういえば会ったことがないわねえ。どんな魔法使いなのかしら」
「お名前は、シンカさんと言うそうです」
「シンカ?おや、あの「トラマリ」だったの。へえ~静かになったものね。そりゃあわからないわ。まあ、紫とトラマリが一緒に結界を張るなら私なんて付け足し程度だから、了解するけれど。昔のトラマリのままならそれを了解するかしらねえ」エリスが首をかしげる。
「これから行って来ようと思います」
「ああ、私も一緒に行こうかしら」
○隣町の魔法使いはシンカ
そうして隣町まで、私とモーラとメア、パム、エリスとサフィーネで旅をする。まあ、私は興味本位でついて行っただけですけどね。
そして隣町の魔法使いさんとお会いした。
「こんにちは。私、隣町で一度だけ一緒にご飯を食べた・・・」
「あ、あの時の新米魔法使いじゃない。元気にしてた?というかよく生きていたわねえ。そのうえ、色々やらかしているらしいじゃない。やっぱりあんたが噂の辺境の魔法使いなのね」
「あの時、魔力の隠し方を教えてもらえてうれしかったです」
「あれは気まぐれよ。さて、後ろに控えている。怖い存在とか色々紹介してくれないかしら」
「わしはモーラじゃ。わかるな」
「ええ、この地を守護する土のドラゴンさんね」
「私は、パム」
「結構この町にも来ているわよねえ。もちろん小さくなって」
「ご存じでしたか」パムが驚いている。
「それはもう美人の女の子が色々尋ね歩いていると噂になっていたもの」彼女は笑っていった。
「さすがに隠しきれませんでしたか」珍しくパムが頭をかいている。
「あー、他の魔法使いなら気付かないわよ。私だけよ心配しないで」
「そうなんですか」
「それとメアさんね」
「おわかりになりますか」
「そのメイド服でね。こっちの町でも評判になるくらいなのよ、そのメイド服が。ホムンクルスと言われていたけど違ったのね」
「どうしてそれを?」
「そんな表情が出来る人がホムンクルスじゃあないでしょう?さて・・・」
「おや久しぶり。今はなんて名前なの?」彼女がエリスに声を掛ける。軽いですね。
「あら、憶えていてくれたのねえ。今はエリスよ。あんたはなんて名前なの?久しぶりねえ。なんか丸くなってない?」
「そりゃあ里から離れれば丸くもなるわよ。今も名前は変えてないわシンカだけどトラマリでいいわよ」
「そうよねえ。しかし、こんな僻地に随分と長くいたものね」エリスがしみじみと言った。
「住めば都よ。里から逃げるには最適だもの。ああこれでバレたわねえ。引っ越しかなあ。あ、もうひとり、新米魔法使いさんのようね」
「初めまして。私、サフィーネと申します。紫の使いで来ました」サフィーネは軽くお辞儀をした。
「紫の使い?一体何しに来たのかしら」シンカさんの顔が急に険しくなる。
「紫は、この地を守護する土のドラゴンの手助けをする結界をファーンのエリス様とあなた様と3人で構築したいと考えております」
「この地方に住むつもりということなのね。誰よ私の居場所を紫にばらしたの」額に手を当てるシンカさん。
「誰もばらしてないんじゃない?今回はたまたまじゃないのかしら。まあ、いずれ知られたでしょうけど、それは仕方のないことよ」とエリスが言った。
「まあそうねえ。今の話だと、紫があの街から動く事にしたということでしょう?あそこからしばらくは動かないはずだったのではないかしら」シンカはサフィーネに尋ねる。
「事情が変わりました」サフィーネは、また丁寧に経過を話した。
「なるほどね。まあそれは仕方ないわねえ。私もここから動く気がないし。こちらにくるなら別に気にしないし、手伝うわよ。どうせ断ったら、私の黒歴史をみんなに暴くとか言い出すに決まっているもの。町の人に聞かれてドン引きされても居づらくなるしね」シンカさんは諦めたように言った。
「あら残念です。簡単に了解されるとせっかく用意した逸話がもったいないです」サフィーネが笑って言った。
「いや、そんなもの話されても困るだけだから。とにかく条件は、ここにいる事を魔法使いの里に告げ口しないことよ。バレたら私はここから逃げて、当然結界も壊れることになるからね」
「大丈夫。里は多分あんたの居場所はすでに知っているわよ」とエリス。
「そうなのか・・・静観されているだけなのか。まあいいわ。了解したと紫には言ってちょうだい」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」サフィーネは丁寧にお辞儀をした。
そして私達は再びセリカリナにサフィーネを連れて戻ってきた。今度はモーラにお願いをしてちょっとだけ早く到着しました。
「お師匠様、お二人とも好意的に受けて入れてくれました」
「あら、すんなり了解してもらったのね。ファーンにはええとエリスが、ベリアルにはトラマリがいるとはねえ。わからないものね」なぜだかヘリオトロープさんがあきれている。
「お知り合いなのですか」
「トラマリには、ずいぶん手を焼かされたのよ。あげく里から逃げたからねえ。まあ、あの子にとっては、里は窮屈だったみたいだからしようがないわね」
「はあ、それはよかったですね」
「さて、これで移住の準備は出来たわ。あとは、残る人達がどうするのかを見定めないと」
そう言ってから紫ことヘリオトロープは、エリクソンと会った。
「久しぶりじゃないか、ええと・・・マダムパープル」
「残念ながら私はヘリオトロープよ。何度言っても直さないのねえ」
「わしの脳みそはもう錆ついているからね、新しい名前を覚えられんのだよ」
「でも、そのマダムはやめてね、ここにはいない彼に悪いから」
「しかしなあ。ヘリオトロープとかパンジーとかあなたを呼ぶのはどうも違和感がある。そしてその顔もなあ。どうして昔の顔に戻さないのだい?」
「この顔に慣れてしまったし、自分ではあまり顔を見ないものだから」ヘリオトロープは寂しそうに言った。
「そうなのか。娘さんの顔を見たときに思わず名前を呼びそうになったよ。パープル・アスターテにそっくりだとね」
「アスターテ。彼の話はしないでくれないかしら。思い出してしまうから」
「思い出すってそんな。彼は生きているぞ。たぶん」エリクソンさんがヘリオトロープに強い口調で言った。
「そうなのでしょうねえ。でも、探しに行きたくても探しには行けないわ。あの人との約束ですもの。この街の人達を見守って欲しいと言われているのだから。今回2つに別れてしまって、全部は見守れなくなるけどね」
「その事だが。わしは一度この街を壊そうとしたのだ。でも見つかってしまった」
「そうらしいわね」
「壊して街がなくなったら、きっとわしは行き場をなくしてのたれ死ねるかとも思ったのだが、冷静に考えれば、そんなことでは死ぬことはできなくて、結局わしは生き続けただろう。結果この街がないと困るということに気がついたのさ。だからわしは、ここを見守ることにするよ。あなたの代わりにね。だからあなたは安心して新しい土地へ移ってくれ」
「それでいいのかしら?」
「実はわしもアステに、彼に言われていたのだよ、この街をよろしくとね。わしが壊そうとしたあとでメアジストに会った時の悲しそうな顔で思い出したよ。それまですっかり忘れていたのが恥ずかしい」
「じゃあよろしく。お願いするわ」
「ああそうするよ」
そうして、1ヶ月後、3分の2の人が移住することにしたので、まずは仕事をしてもらうことにした。街に残る人も一緒に2ヶ月間、土木工事や森林伐採など、家を作るための仕事を体験してもらった。そこで半数が脱落し、3分の1にあたる、約300人が街を離れることになった。
「まあ予想通りね」紫が言った。
「半分は来るかと思いましたけど」サフィーネがガッカリしている。
「この街に未練のある者や年齢が高すぎて労働に向かない者もいるから。仕方ないわ」
そうして、馬車の都合もあるので、百人ずつ移動をすることになった。
○厄介者達の合流
出発当日に見慣れた馬車が到着した。
「あれはキャロルの馬車じゃないですか~」エルフィが道を走ってくる馬車を見てそう言った。
「あの子達はビギナギルで街の護衛をすることになっていたはずですが」
キャロルとエーネの2人は馬車を降りて、私達の所に来る。
「エリスさんに呼ばれてきたのです。馬車の移動の際に護衛をして欲しいとのことですが」
私達は顔を見合わせて、私とモーラとアンジーがエリスの所に行った。
「キャロルとエーネを呼んだのはあなたですか!」
「ええそうよ。ダメだったかしら」
「そんなに都合良く彼女たちを使ってはいけないのですよ」
「猫の手でも借りたいと言っていたじゃない」
「まあ、確かにかわいい猫ですけど」
「いや隷属していなかったの?あんたハーレム男でしょ」
「そんな節操なしに見られていましたか。私はどこの好色王ですか」
「確かにねえ。隷属しておいて手も出さないところとかは、どこかの領主様と一緒なのでは?」
「私から隷属を強制した事はありませんよ」
「でも、来てもらったのだしお願いしたらいいじゃない」
私はキャロルとエーネに簡単に事情を説明して、改めて馬車の護衛をお願いしました。
「構いません。むしろ協力させてください」キャロルがそう言った。
「私も構わないのです」エーネもそう言った。
そうして第1陣が出発したのです。
しかし、途中で街に戻る者やハイランディスやビギナギルにとどまる者も出て、最終的には約80人だけが第1陣としてファーンに到着して宿を取り、集落の予定地に家の建築を始める。10日後に第2陣が到着、こちらも60人程度に減っていた。最終の第3陣は、約半分の50人になり、集落に住み始めたのは、200人に満たなかった。
「全体の5分の1ですか」私はそうヘリオトロープさんに聞いた。
「そうね、でもね最初にしては上出来よ」ヘリオトロープさんはそう言った。
「上出来なのですか?」サフィーネが驚いている。
「この後、あの街や他の街からあぶれて流れ着く者も出るからね」
「なるほどそうですね」
エルミラは、1ヶ月を過ぎようとしたギリギリにメアに会いに来た。
「メア様、私はここに残ります。エリクソンさんの手伝いをしたいと考えています。そして、エリクソンさんの技術を習い、そちらに引っ越そうと考えています。ただし、一緒に暮らそうとは思っていません。ここから移住する街の人達と暮らしていきます。ただ、ひとつだけお願いがあります。寂しいのでたまに顔を見ることを許してください」
「もちろんいつでもいらっしゃい。私も待っているわ」メアがエルミラを抱きしめてしばらくそのままでいた。
メアは第3陣の馬車に随行することにして、出発までの間は、エルミラと共に生活していた。
第3陣が家を完成させて、ようやく集落としての体裁を作る事が出来、ファーンやベリアルの人達と交流を始め、静かに暮らし始めた。
「落ち着きそうじゃな」モーラが集落を見てそう言った。
「そうですね。最後の人達の家が完成して、まだ2ヶ月しか経っていませんけど、順調ですね」
「おぬし、正直に話してくれ。今回の件どう思っているのか」モーラが私を見上げてそう尋ねた。
「何をどう思っているというのでしょうか?」私はモーラを見ながら何を聞きたいのか尋ね直す。
「偶然と思っているのか?」
「ああ、陰謀とは思っていませんよ。しかもまた神様の意にそぐわないことをしでかしたと思っています。だって、神が作らせて失敗した人達を殺すつもりだったのでしょう?それを生かしてしまったのですから」
「そうなるわねえ。しかし、魔法使いの里はやりたい放題ね。本当に神の手下なのね」アンジーがため息をついた。
「そうせざるを得ないのはわかるがなあ。魔法という知恵を授かってしまっておるからその代償なのだろうか」
そうして、この件は終わったかに見えましたが、まだ先があったようです。
Appendix
「なるほど、紫もだいぶ人に染まってしまったわねえ」
「染まったというか、人に戻ったのではないのかしら」
「あのかたは、私達の中の唯一の例外。子を成しているからねえ」
「そう言われればそうだったわ。だからこその紫だからねえ」
「そう、慈愛の紫、穏健派筆頭の紫。あんたと違ってね、赤」
「いや、魔女たる者は、こうでなくてはならないわよ。ねえオレンジ」
「世界に混沌をもたらすのが魔女の本来の役目であり、魔法使いと一線を画す者なのよ。紫は甘いわ」
「それにしても今回の件は、なし崩しであの街を残してしまったけど、良かったのかしら」
「まあ、私達がどうこうできるものではなくなったわ。何もしなくて良くなったし。それに、魔鉱石も効果が落ちてきているから、早晩、魔獣に襲われて終わるわよ」
「ああ、廃墟だけが残るのね」
「その前に誰かが気付いて、そこから脱出できれば良いのだけれどね」
Appendix
魔王城にて
「なるほど、そういうことがあったのか。まったく、さきの天使の件といい、魔法使いの里は、昔から何かしら問題を起こしているのだなあ」
「そうみたいです」
「人族の長命化とか。そもそも長命になったからといって出生数が減っては意味がなかろう。無駄な努力をしたものだねえ」
「そうでしょうか。人族は、そうやって失敗を積み重ねて成長していきます。そこが侮れないところなのではありませんか」
「確かになあ。今回の件では、何か成長していたのかなあ」
「ホムンクルスですよ」
「ああそうだな」
「ルシフェル様には、あまり危機感がありませんね」
「どうしてそう思う?」
「あんなものを量産されて、こちらを攻撃されたら我々も危ういですよ」
「しかし、今のところ量産も出来ないし、そんな設備を作ることもしていないではないか」
「確かにそうですね。資料もあの魔法使いが持って帰ってしまいましたし。でも、魔法使いの里も当然持っているような気がしますが。あそこは、そんなことはしませんよね」
「そういうことだよ。大丈夫だねえ。量産体制になったらそこを潰せば良いことだし。まだ、大丈夫だろう」
「わかりました。あの土のドラゴンの縄張りはどうしますか」
「ああ、魔女が住むようになって結界が張られて、魔族の出入りが難しくなっているのか。仕方ないねえ。今まで通りの連絡員で定時連絡をしてもらうしかないでしょう」
「人間の中の魔族信奉者を数名送り込んでおきます」
「そんな裏切り者まで人間にはいるのか。度しがたいねえ」
「どの神を選ぶかは信仰の自由ですから」
「殺されても良いのだね」
「願わくば、人類を抹殺して欲しいらしいですよ。その後なら死んでも良いと思っているみたいです」
「その考えも歪んでいるねえ。そんな人、魔族にはいないよねえ」
「そう思いますよ。まあ、下級悪魔にはあるかもしれませんが、人間の手引きまではしないと思いますよ」
「同族嫌悪も人だけなのかなあ」
「いいえ、あの男の家族はみんな同族嫌悪の集まりじゃないですか」
「ああ、違いない」
続く
私達はその街を離れた。場所を知ったので、真っ直ぐ家に帰るルートを取った。
そして、ファーンに戻って来た。町の中に直接馬車で乗りつけて、町長の所に向かう。
「随分早くもどったな。でも早々にわしの所に来るということは、何か相談事かな」
「町長。旅の成果はありました。しかし一つお願い事が出来てしまいまして」
「聞かせてもらえるか」
「実は、メアのふるさとだった街で長命な人達に出会いまして。その人達がこれから土地を追い出されて居場所がなくなりそうで困っているのです。ただ、これまでは、衣食住全てを提供されていて、何不自由なく暮らせていて、労働してこなかった人達なのです」
経過を簡単に話す。
「ふむ。労働の意欲があっても頑張れないかもしれないという事なのだな」
「3ヶ月間ちゃんと働いたら、という条件付きで連れてきたいのですが」
「なるほど外に出す訳か。それならわしから提案がある。その者達が最初に来たときの仕事は、自分達が住む家を作って欲しいのだ。まあ、全部は無理だろうから作るのを手伝わせて完成させて欲しい」
「ああ良い案かもしれませんね」
「その間は宿を提供しよう」
「それまでも旅をしてきているのですから、野宿でよくありませんか?」
「心というのはそう簡単ではない。無理をさせると心が折れる」
「わかりました。そう伝えます」
町長の了解を取り付けて、今度はエリスさんのところに向かう。
「こんにちは、エリスさん」
「おや、お帰り。随分早く戻ってきたのね。無事、街が見つかったの?」
「はい見つかりました。私は、ホムンクルスではなく人造サイボーグだったのです」
「それは、ホムンクルスよりも大変な技術ではなくて?」
「はい、これまではほとんどが補助脳で活動していたのですが、やっと自分を取り戻しました。あと、ホムンクルスの記憶ともちゃんと整合性がとれました。これまで優しくしていただきありがとうございました」
「ああ、そうだったの。それは良かったわ」
「ありがとうございます」
「ねえ、その報告だけではないのでしょう?後ろに控えている彼女も魔法使いのようだし。なにか問題でも起きたのかしら」
「実は、この子がお会いしたいと」
「その子は誰かしら」
「サフィーネと申します。パンジーの。いえ、ヘリオトロープの代理としてこちらにお伺いしました」サフィーネはそう言ってお辞儀をした。
「ちょっと、パンジーって。ええっ!それって「あの街」のことだったの。なるほどね。そうか、どうして今まで彼とあの街がつながらなかったのかしら。で、「紫」の代理のあなたが、何の用なのかしら」
「はい、その街から人を連れて土のドラゴンの縄張りである、ここに移住しようと考えております。そこで、この地の安全をさらに強固にする必要がありまして、この地を守護する土のドラゴンの手助けをするための結界をお師匠様・・・もといヘリオトロープとともに張って欲しいとお願いに参りました」
彼女は、最初からの話を丁寧に説明した。
「この町の結界は、確かベリアルの魔法使いが魔獣よけのを張っていたと思うのだけれど。それ以外に何かの結界を張るということなのかしら」
「はい、この町ファーンと隣町ベリアル、それから今度移住してきた者達の集落を結んで、巨大な監視結界を張るというのがヘリオトロープの考えです」
「ベリアルの魔法使いねえ。そうそう最近、町の規模が大きくなって張り直すにあたって、かなりぼったくった、という話は聞いたわ。私は人づてに連絡は取っているけど、そういえば会ったことがないわねえ。どんな魔法使いなのかしら」
「お名前は、シンカさんと言うそうです」
「シンカ?おや、あの「トラマリ」だったの。へえ~静かになったものね。そりゃあわからないわ。まあ、紫とトラマリが一緒に結界を張るなら私なんて付け足し程度だから、了解するけれど。昔のトラマリのままならそれを了解するかしらねえ」エリスが首をかしげる。
「これから行って来ようと思います」
「ああ、私も一緒に行こうかしら」
○隣町の魔法使いはシンカ
そうして隣町まで、私とモーラとメア、パム、エリスとサフィーネで旅をする。まあ、私は興味本位でついて行っただけですけどね。
そして隣町の魔法使いさんとお会いした。
「こんにちは。私、隣町で一度だけ一緒にご飯を食べた・・・」
「あ、あの時の新米魔法使いじゃない。元気にしてた?というかよく生きていたわねえ。そのうえ、色々やらかしているらしいじゃない。やっぱりあんたが噂の辺境の魔法使いなのね」
「あの時、魔力の隠し方を教えてもらえてうれしかったです」
「あれは気まぐれよ。さて、後ろに控えている。怖い存在とか色々紹介してくれないかしら」
「わしはモーラじゃ。わかるな」
「ええ、この地を守護する土のドラゴンさんね」
「私は、パム」
「結構この町にも来ているわよねえ。もちろん小さくなって」
「ご存じでしたか」パムが驚いている。
「それはもう美人の女の子が色々尋ね歩いていると噂になっていたもの」彼女は笑っていった。
「さすがに隠しきれませんでしたか」珍しくパムが頭をかいている。
「あー、他の魔法使いなら気付かないわよ。私だけよ心配しないで」
「そうなんですか」
「それとメアさんね」
「おわかりになりますか」
「そのメイド服でね。こっちの町でも評判になるくらいなのよ、そのメイド服が。ホムンクルスと言われていたけど違ったのね」
「どうしてそれを?」
「そんな表情が出来る人がホムンクルスじゃあないでしょう?さて・・・」
「おや久しぶり。今はなんて名前なの?」彼女がエリスに声を掛ける。軽いですね。
「あら、憶えていてくれたのねえ。今はエリスよ。あんたはなんて名前なの?久しぶりねえ。なんか丸くなってない?」
「そりゃあ里から離れれば丸くもなるわよ。今も名前は変えてないわシンカだけどトラマリでいいわよ」
「そうよねえ。しかし、こんな僻地に随分と長くいたものね」エリスがしみじみと言った。
「住めば都よ。里から逃げるには最適だもの。ああこれでバレたわねえ。引っ越しかなあ。あ、もうひとり、新米魔法使いさんのようね」
「初めまして。私、サフィーネと申します。紫の使いで来ました」サフィーネは軽くお辞儀をした。
「紫の使い?一体何しに来たのかしら」シンカさんの顔が急に険しくなる。
「紫は、この地を守護する土のドラゴンの手助けをする結界をファーンのエリス様とあなた様と3人で構築したいと考えております」
「この地方に住むつもりということなのね。誰よ私の居場所を紫にばらしたの」額に手を当てるシンカさん。
「誰もばらしてないんじゃない?今回はたまたまじゃないのかしら。まあ、いずれ知られたでしょうけど、それは仕方のないことよ」とエリスが言った。
「まあそうねえ。今の話だと、紫があの街から動く事にしたということでしょう?あそこからしばらくは動かないはずだったのではないかしら」シンカはサフィーネに尋ねる。
「事情が変わりました」サフィーネは、また丁寧に経過を話した。
「なるほどね。まあそれは仕方ないわねえ。私もここから動く気がないし。こちらにくるなら別に気にしないし、手伝うわよ。どうせ断ったら、私の黒歴史をみんなに暴くとか言い出すに決まっているもの。町の人に聞かれてドン引きされても居づらくなるしね」シンカさんは諦めたように言った。
「あら残念です。簡単に了解されるとせっかく用意した逸話がもったいないです」サフィーネが笑って言った。
「いや、そんなもの話されても困るだけだから。とにかく条件は、ここにいる事を魔法使いの里に告げ口しないことよ。バレたら私はここから逃げて、当然結界も壊れることになるからね」
「大丈夫。里は多分あんたの居場所はすでに知っているわよ」とエリス。
「そうなのか・・・静観されているだけなのか。まあいいわ。了解したと紫には言ってちょうだい」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」サフィーネは丁寧にお辞儀をした。
そして私達は再びセリカリナにサフィーネを連れて戻ってきた。今度はモーラにお願いをしてちょっとだけ早く到着しました。
「お師匠様、お二人とも好意的に受けて入れてくれました」
「あら、すんなり了解してもらったのね。ファーンにはええとエリスが、ベリアルにはトラマリがいるとはねえ。わからないものね」なぜだかヘリオトロープさんがあきれている。
「お知り合いなのですか」
「トラマリには、ずいぶん手を焼かされたのよ。あげく里から逃げたからねえ。まあ、あの子にとっては、里は窮屈だったみたいだからしようがないわね」
「はあ、それはよかったですね」
「さて、これで移住の準備は出来たわ。あとは、残る人達がどうするのかを見定めないと」
そう言ってから紫ことヘリオトロープは、エリクソンと会った。
「久しぶりじゃないか、ええと・・・マダムパープル」
「残念ながら私はヘリオトロープよ。何度言っても直さないのねえ」
「わしの脳みそはもう錆ついているからね、新しい名前を覚えられんのだよ」
「でも、そのマダムはやめてね、ここにはいない彼に悪いから」
「しかしなあ。ヘリオトロープとかパンジーとかあなたを呼ぶのはどうも違和感がある。そしてその顔もなあ。どうして昔の顔に戻さないのだい?」
「この顔に慣れてしまったし、自分ではあまり顔を見ないものだから」ヘリオトロープは寂しそうに言った。
「そうなのか。娘さんの顔を見たときに思わず名前を呼びそうになったよ。パープル・アスターテにそっくりだとね」
「アスターテ。彼の話はしないでくれないかしら。思い出してしまうから」
「思い出すってそんな。彼は生きているぞ。たぶん」エリクソンさんがヘリオトロープに強い口調で言った。
「そうなのでしょうねえ。でも、探しに行きたくても探しには行けないわ。あの人との約束ですもの。この街の人達を見守って欲しいと言われているのだから。今回2つに別れてしまって、全部は見守れなくなるけどね」
「その事だが。わしは一度この街を壊そうとしたのだ。でも見つかってしまった」
「そうらしいわね」
「壊して街がなくなったら、きっとわしは行き場をなくしてのたれ死ねるかとも思ったのだが、冷静に考えれば、そんなことでは死ぬことはできなくて、結局わしは生き続けただろう。結果この街がないと困るということに気がついたのさ。だからわしは、ここを見守ることにするよ。あなたの代わりにね。だからあなたは安心して新しい土地へ移ってくれ」
「それでいいのかしら?」
「実はわしもアステに、彼に言われていたのだよ、この街をよろしくとね。わしが壊そうとしたあとでメアジストに会った時の悲しそうな顔で思い出したよ。それまですっかり忘れていたのが恥ずかしい」
「じゃあよろしく。お願いするわ」
「ああそうするよ」
そうして、1ヶ月後、3分の2の人が移住することにしたので、まずは仕事をしてもらうことにした。街に残る人も一緒に2ヶ月間、土木工事や森林伐採など、家を作るための仕事を体験してもらった。そこで半数が脱落し、3分の1にあたる、約300人が街を離れることになった。
「まあ予想通りね」紫が言った。
「半分は来るかと思いましたけど」サフィーネがガッカリしている。
「この街に未練のある者や年齢が高すぎて労働に向かない者もいるから。仕方ないわ」
そうして、馬車の都合もあるので、百人ずつ移動をすることになった。
○厄介者達の合流
出発当日に見慣れた馬車が到着した。
「あれはキャロルの馬車じゃないですか~」エルフィが道を走ってくる馬車を見てそう言った。
「あの子達はビギナギルで街の護衛をすることになっていたはずですが」
キャロルとエーネの2人は馬車を降りて、私達の所に来る。
「エリスさんに呼ばれてきたのです。馬車の移動の際に護衛をして欲しいとのことですが」
私達は顔を見合わせて、私とモーラとアンジーがエリスの所に行った。
「キャロルとエーネを呼んだのはあなたですか!」
「ええそうよ。ダメだったかしら」
「そんなに都合良く彼女たちを使ってはいけないのですよ」
「猫の手でも借りたいと言っていたじゃない」
「まあ、確かにかわいい猫ですけど」
「いや隷属していなかったの?あんたハーレム男でしょ」
「そんな節操なしに見られていましたか。私はどこの好色王ですか」
「確かにねえ。隷属しておいて手も出さないところとかは、どこかの領主様と一緒なのでは?」
「私から隷属を強制した事はありませんよ」
「でも、来てもらったのだしお願いしたらいいじゃない」
私はキャロルとエーネに簡単に事情を説明して、改めて馬車の護衛をお願いしました。
「構いません。むしろ協力させてください」キャロルがそう言った。
「私も構わないのです」エーネもそう言った。
そうして第1陣が出発したのです。
しかし、途中で街に戻る者やハイランディスやビギナギルにとどまる者も出て、最終的には約80人だけが第1陣としてファーンに到着して宿を取り、集落の予定地に家の建築を始める。10日後に第2陣が到着、こちらも60人程度に減っていた。最終の第3陣は、約半分の50人になり、集落に住み始めたのは、200人に満たなかった。
「全体の5分の1ですか」私はそうヘリオトロープさんに聞いた。
「そうね、でもね最初にしては上出来よ」ヘリオトロープさんはそう言った。
「上出来なのですか?」サフィーネが驚いている。
「この後、あの街や他の街からあぶれて流れ着く者も出るからね」
「なるほどそうですね」
エルミラは、1ヶ月を過ぎようとしたギリギリにメアに会いに来た。
「メア様、私はここに残ります。エリクソンさんの手伝いをしたいと考えています。そして、エリクソンさんの技術を習い、そちらに引っ越そうと考えています。ただし、一緒に暮らそうとは思っていません。ここから移住する街の人達と暮らしていきます。ただ、ひとつだけお願いがあります。寂しいのでたまに顔を見ることを許してください」
「もちろんいつでもいらっしゃい。私も待っているわ」メアがエルミラを抱きしめてしばらくそのままでいた。
メアは第3陣の馬車に随行することにして、出発までの間は、エルミラと共に生活していた。
第3陣が家を完成させて、ようやく集落としての体裁を作る事が出来、ファーンやベリアルの人達と交流を始め、静かに暮らし始めた。
「落ち着きそうじゃな」モーラが集落を見てそう言った。
「そうですね。最後の人達の家が完成して、まだ2ヶ月しか経っていませんけど、順調ですね」
「おぬし、正直に話してくれ。今回の件どう思っているのか」モーラが私を見上げてそう尋ねた。
「何をどう思っているというのでしょうか?」私はモーラを見ながら何を聞きたいのか尋ね直す。
「偶然と思っているのか?」
「ああ、陰謀とは思っていませんよ。しかもまた神様の意にそぐわないことをしでかしたと思っています。だって、神が作らせて失敗した人達を殺すつもりだったのでしょう?それを生かしてしまったのですから」
「そうなるわねえ。しかし、魔法使いの里はやりたい放題ね。本当に神の手下なのね」アンジーがため息をついた。
「そうせざるを得ないのはわかるがなあ。魔法という知恵を授かってしまっておるからその代償なのだろうか」
そうして、この件は終わったかに見えましたが、まだ先があったようです。
Appendix
「なるほど、紫もだいぶ人に染まってしまったわねえ」
「染まったというか、人に戻ったのではないのかしら」
「あのかたは、私達の中の唯一の例外。子を成しているからねえ」
「そう言われればそうだったわ。だからこその紫だからねえ」
「そう、慈愛の紫、穏健派筆頭の紫。あんたと違ってね、赤」
「いや、魔女たる者は、こうでなくてはならないわよ。ねえオレンジ」
「世界に混沌をもたらすのが魔女の本来の役目であり、魔法使いと一線を画す者なのよ。紫は甘いわ」
「それにしても今回の件は、なし崩しであの街を残してしまったけど、良かったのかしら」
「まあ、私達がどうこうできるものではなくなったわ。何もしなくて良くなったし。それに、魔鉱石も効果が落ちてきているから、早晩、魔獣に襲われて終わるわよ」
「ああ、廃墟だけが残るのね」
「その前に誰かが気付いて、そこから脱出できれば良いのだけれどね」
Appendix
魔王城にて
「なるほど、そういうことがあったのか。まったく、さきの天使の件といい、魔法使いの里は、昔から何かしら問題を起こしているのだなあ」
「そうみたいです」
「人族の長命化とか。そもそも長命になったからといって出生数が減っては意味がなかろう。無駄な努力をしたものだねえ」
「そうでしょうか。人族は、そうやって失敗を積み重ねて成長していきます。そこが侮れないところなのではありませんか」
「確かになあ。今回の件では、何か成長していたのかなあ」
「ホムンクルスですよ」
「ああそうだな」
「ルシフェル様には、あまり危機感がありませんね」
「どうしてそう思う?」
「あんなものを量産されて、こちらを攻撃されたら我々も危ういですよ」
「しかし、今のところ量産も出来ないし、そんな設備を作ることもしていないではないか」
「確かにそうですね。資料もあの魔法使いが持って帰ってしまいましたし。でも、魔法使いの里も当然持っているような気がしますが。あそこは、そんなことはしませんよね」
「そういうことだよ。大丈夫だねえ。量産体制になったらそこを潰せば良いことだし。まだ、大丈夫だろう」
「わかりました。あの土のドラゴンの縄張りはどうしますか」
「ああ、魔女が住むようになって結界が張られて、魔族の出入りが難しくなっているのか。仕方ないねえ。今まで通りの連絡員で定時連絡をしてもらうしかないでしょう」
「人間の中の魔族信奉者を数名送り込んでおきます」
「そんな裏切り者まで人間にはいるのか。度しがたいねえ」
「どの神を選ぶかは信仰の自由ですから」
「殺されても良いのだね」
「願わくば、人類を抹殺して欲しいらしいですよ。その後なら死んでも良いと思っているみたいです」
「その考えも歪んでいるねえ。そんな人、魔族にはいないよねえ」
「そう思いますよ。まあ、下級悪魔にはあるかもしれませんが、人間の手引きまではしないと思いますよ」
「同族嫌悪も人だけなのかなあ」
「いいえ、あの男の家族はみんな同族嫌悪の集まりじゃないですか」
「ああ、違いない」
続く
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~
霜月雹花
ファンタジー
17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと話をしていた。話を聞けばどうやら強盗を捕まえた事で未来を改変し、転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰えて異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイントを使いチート化した俺は異世界で生きていく。
なろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる