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第24話 襲来する厄介者達

第24-2話 投合する厄介者達

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○隷属という名の守護

「守られているのですか?」
「隷属の話はしていたが、全部は知らなかったか。ビギナギルを離れた後にこやつの隷属と正式の隷属が違っていることがわかったのじゃ」
「そういえば、感情が伝わり、脳内会話が出来る隷属だったと記憶しています」キャロルはそう言った。
「あの後、パムと出会って正式の隷属をしたのじゃが・・・そういえば、あの隷属の魔法は修正したのだったか?」モーラが私に聞く。
「ええ、ちゃんと皆さんが生命の危機に瀕した時には、私の魔法で体を保護するようになっていますよ。もっともそうなる事はほとんどないでしょうけど」
「はえー」珍しくキャロルが変な声を出した。とっさに両手で口を塞いで下を向いてしまう。
「わかるか?隷属をしている我々は、こやつの主人としての魔法力でわしらを守ることができるのじゃよ。だから怖くもないしむしろ安心なんじゃ」
「私とモーラは必要ないけどね」
「そうじゃな。わかったであろう。ここに来ることのリスクがな」
「村に住むエリスさんはどうなのですか?」
「あれは関係者ではあるが、そもそも魔法使いの里の者だからな、魔法使いの里からの制裁があるから誰も手を出さぬであろう」
「そうなのですか、では隷属をしてしまえば問題ないのですね」キャロルはむしろ嬉しそうにそう言った。
「こやつの隷属を知っているであろう?感情ダダ漏れじゃぞ。自分を律するすべを持たぬと心の中を全部さらすことになる。裸の感情を見られるのと同じになるぞ」
「あ」裸と聞いてキャロルがちょっとたじろいだ。
「そのようなすべを持っていなくても純粋なレイやエルフィなどは問題ありませんが、そもそも何も考えられなくて、会話が出来なくなりますよ」メアがさらりとひどいことを言った。
「純粋~?」エルフィがメアを横目で見てそう言った。
「あんたもオブラートに包んでもらっているんだから納得しなさい」
「感情に素直に生きている人たちはあまり影響がないのです」パムが笑いながら言いました。
「パムさんは大丈夫なのですか?」
「私やユーリは戦闘の時には冷静に対処しなければなりません。その鍛錬のおかげか問題ないようです。ただ、予想しない言葉や行動をされると動揺してしまいますが」そう言ってユーリを見ました。ユーリも顔を赤くして頷いています。
「こいつはバカだから好きとか可愛いとかよく心の中で叫んでいるのよ。しかもそういう素直な感情は発言する方も制御できないらしくて感情と一緒にストレートに脳内に響くのよ。恥ずかしいったらないわね」アンジーがそこで私を見る。さらにこう続けた。
「あんたもちゃんと制御しなさいよ!いつもいつも!」アンジーが赤い顔をして私をハリセンで叩きます。いたくな~い。というかどこからハリセンだしましたか。
「無理ですよ。思った時にはすでに伝わっているんですから。自分でも制御できませんよ」
「それはかなり恥ずかしいですね」キャロルが顎に手を当てて考え込んでいる。
「慣れもあるんですよ~」エルフィがニコニコ笑って言った。
「そうです。慣れます」レイが頷いています。お二人では説得力がありませんねえ。
「せっかく来たのですからお二人ともしばらくはここに滞在ください」
「しばらくですか?」エーネが悲しそうにそう言った。
「キャロルはどうするの?」
「荷物を預かってもらおうと思いまして立ち寄りました。急ぐ旅ではありません。しばらくいてもよろしいですか?」
「せっかく来てくれたのに追い返す訳がないでしょう。歓迎しますよ」
「よろしくお願いします」キャロルが立ち上がってお辞儀をする。あわててエーネも立ち上がって真似をしてお辞儀をした。
「では置いていく荷物を荷馬車から降ろしてください。預かるほど貴重なものですか?」
「はい。お金なのです」
「お金ですか?」
「ビギナギルにいる時に魔獣を討伐した時の報酬などがかなり貯まっていたそうです。いらないと言ったのですが旅にお金は必要だろうと。そして馬車までいただいてしまいました」
「馬車もですか」
「はい。それで色々馬具を調整していたのですが、あの子が納得しないので、調整もお願いしたいのです」
「あの子達は優秀すぎて馬具の調整にも注文が多いですからねえ」
「おぬしのしつけが悪いのであろうが」
「しつけなんてしていませんよ。ねえエルフィ」
「はい~あの子達は十分しっかりしていますよ~」
「皆さん荷物を持ってくるのを手伝ってくださいね。もちろんエーネも」メアがそう言ってエーネをジロリと見た。
「私もですか?」
「あんたはお金も持たずに来ている家出娘なんだから、家の事は率先して手伝いなさい」アンジーがそう怒っていった。
「はーい」素直に立ち上がるエーネ。メアに促されて全員で厩舎に向かった。残ったのは私とモーラとアンジー、パムです。
「おぬしどうするつもりじゃ」
「どうするも何も、押しかけられてしまってはどうにもなりませんよ」
「旅をするというキャロルはまあ良いとして、エーネをどうするのよ」
「とりあえずご両親に連絡を取って事情を理解してもらいましょう」
「アンジーさん」
「一応連絡するけど、当然敵対する魔族にも知られるわよ」
「それはまずいですねえ。さてどうしますか」
「困った時にはエリスさんですか?」
「以前はあちらからの返事をエリスに頼んだが、余り知られるのもなあ。しかたがない今回は風の奴に頼むか」
「風のドラゴンさんですか?」
「ああ多分奴なら元魔王の里の場所は知っているはずじゃ。もっともうちの里には話をつけないといかんがな」
「お願いします」
 そこで扉が開いた。なにやらすごい量の荷物が運び込まれた。
「何ですかこれは」
「私もここに来るまで、荷物に手をつけずに来たのです。ここで分別しようと思っていましたから」
「さすがにすごい量ね。あの領主とメイド長だからしかたがないのかしら」
「困ったものです。これだけはお預かりいただけませんか」キャロルはそう言って大きな袋を机の上に置く。ズシリと重く、そして金属のふれあう音がした。
「もしかしてそれは」
「はい。お金です」そうして袋を開けて机の上に少しだけ出してみせる。
「そんなにですか・・・」私達は絶句しています。
「はい。持たされました」
「すごいお金ですね」エーネがビックリして見ています。
「私としては自分で使おうと思っていません。あの街に何かあった時のために使おうと思っています。なので安全なところに保管したいのですが、もしかして移設した時に地下室がなくなったりしていますか?」
「大丈夫ですよ。あれも移設しています。そうですね。旅の費用だけ取り出して、あとは封印しましょう」
「できますか?」
「はい。出発する時に必要な分だけ取り出してください」
「今ではなくてよろしいのですか?」
「じゃあ封印だけしましょう。袋にお金を戻してください」
「はい」キャロルはその袋を閉じた。十数枚の硬貨が残った。
「それは入れないのですか?」
「しばらく滞在する滞在費としたいのですが」
「お客様に払わせるほどうちは貧乏ではありませんよ」
「失礼いたしました。荷物をお預けする代金として幾ばくかはお受け取りいただきたいのですが」
「お金は別にいいわよ。今回の騒動のおかげで地下室が絶対安全な事がわかったし、空間が余っているのだから。そうよね、家主様」アンジーが私を見て言いました。
「物を置くだけですからね。私達がそのお金に手をつけるとは考えないのですか?」
「家族に使われるのなら本望です。もっとも事前に言っていただければ、なお嬉しいですが」
「欲のない奴じゃなあ」
「所詮人など生きていられれば幸せです。あの洞窟で過ごすのならそんなにお金も使わないでしょうし」
「とりあえずお金を袋に戻してください。封印しますから」
「お願いします」
 私は袋の麻紐に魔法をかける。すると結び目に封蝋が出来る。
「そこに指を押し当ててください」キャロルは言われたとおりその封蝋に人差し指を当てる。すると押された部分がへこんで指紋がついた。
「あんた、元魔王の手紙の封蝋を見て覚えたのね」
「ええ、使う機会もありませんでしたが、問題なく使えそうです」
「他に地下室に持っていく物はありますか?」私はキャロルに尋ねながら箱の山を見ています。
「あとは鎧と衣装箱のようなのです」ため息をつきながらキャロルはその箱を見ている。
「鎧ですか?」ユーリがちょっと興味を示しました。
「軽いものらしいですが、多分使う機会はないと思います」キャロルは嫌な予感がしたようです。
「見てみたい~」エルフィが嬉しそうに言いました。

○鎧姿よりはドレス姿
「ええーっ」キャロルがゲーっと言う顔をしています。珍しい表情ですね。しかし、キャロルは渋々、その箱から鎧を出す。
「ユーリ様、メア様。手伝いをお願いできますか?」キャロルの表情はすごく嫌そうだ。
「いいですよ」ユーリとメアが手伝ってその場で胸当てと腰回りと両肩の防具をつけて、兜もつける。
「どうですか?」キャロルは兜を着けているので周囲も見回せずに言った。
 誰もコメントしません。あまりにも似合わないのです。足まで装着していないのもありますが、子どもが鎧で遊んでいるようにしか見えません。
「だから嫌だったんですよ」ヘルメットをゆっくりと取って長い髪を丁寧におろす。仕草がとても綺麗です。そうして鎧を箱の中に丁寧に戻していきました。
「ではこちらも着ていただきましょう」メアが嬉しそうに衣装箱の方をパンと軽く叩いて言った。
「そうなりますよねえ」ため息をつくキャロル。
「領主のところでは、それなりに衣装を着せられていたのだろう?」モーラがエロじじいのようにニヤリと笑って言いました。
「はい。最近では、お付きのメイドとして、本来のメイド服ではなく持たされた衣装を着せられていました」キャロルは淡々と話しているが、あまり好きではなかったようです。
「領主もやるわね」アンジーが私を見てニヤリと笑って言いました。
「そうですねえ」私も嬉しくなってそう答えます。
「3着だけにしてもらえませんか?」キャロルが私をジッと見てそう言った。
「わかりました。ただしメアさんが見立てた服を着てください」私はそう言って、心の中でガッツポーズをしています。やったー。
「あーー」しまったと言う顔をするキャロル。ガックリと肩が落ち、うなだれている。
「あんたも交渉がうまくなってきたわねえ」アンジーまで嬉しそうです。
「そうじゃな。キャロルが自分で選ぶと着たくない服は除いて着るだろうしなあ」モーラの口調はほとんどエロじじいですね。
「キャロル。ここには明晰な頭脳の持ち主が2人とエロい事にかけてはとんでもなく頭が回る方がいるのです。あきらめなさい」パムが笑いながら言いました。
「はい」キャロルがそう返事をした時には、すでにメアは3着を吟味して後ろに立っていて、キャロルはメアに手を引かれて1階の客室に連れて行かれました。
「メアさん!みんなの前でこれを着るのですか!」大きな声が聞こえます。防音には結構気をつけているのですが、彼女の声も通りますねえ。
「お連れしました」メアがそう言って居間に入ってきたが、キャロルはメアの影に隠れたままだ。
「あきらめなさい。あんただってあの服屋の店長の洗礼を受けているのでしょう?そう変わりは無いわよ」アンジーが笑いながら言った。キャロルは深呼吸をしてから背筋を伸ばしてメアの後ろから出てくる。おや紫色のカクテルドレスですか。ちょっと胸のあたりがさび・・・そう思った瞬間、アンジーがハリセンを作り出して私の顔面をスパーンと叩きました。痛い。
「あるじ様、あれがカクテルドレスと言うのですか?」ユーリが見とれながらそう尋ねました。
「はぃぞうでづ」私は鼻をおさえながらそう言いました。
「どうですか?」キャロルは少し顔を赤らめて両手を挙げながら少しだけ左右に揺れて自分のドレスを見回している。仕草が上品ですねえ。
「おう、綺麗だぞキャロル」モーラが言った。
「まだ若いのに着こなせるのはすごいわね」アンジーが褒めている
「王女様みたいですね」ユーリが言った。
「フガフガ」誰でしょう?だからレイとかエルフィ。鼻をおさえて私の真似をしないように。
 そんな中一人だけ寂しそうにその姿を見ているエーネ。
「うらやましいです」ポツリとそう言った。
「エーネさん。こちらへいらっしゃい」キャロルが厳しい目で言った。
「え?」
「あなたも着てみなさい。大丈夫だから」そうしてキャロルはエーネの手をギュッと掴んで、メアと共に部屋に戻っていった。
「難しいですね」パムは3人が去った後を見ながら言った。
「確かになあ」
「お互い境遇が違いすぎるからねえ」
「でも仲良くなれますよ~」エルフィがそう言った。
「でました。エルフィの予言が」珍しく茶化すようにユーリが言った。
 私が考え込んでいるのを見て、アンジーが何か感づいたようで私に向かって小声で言った。
「あんた。まさかとは思うけど、キャロルと一緒に旅に出そうと考えてないかしら」
「さすがですねえ。その通りです」
「あんたはいつもそうやって行き当たりばったりな事しか考えないんだから。少しは自重しなさい」
「良い案だとは思いませんか?」
「おぬしの都合で何でも事が運ぶとは思うなよ」モーラはあきれている。
「それは危険すぎませんか?キャロルをエーネのそばに置く事もエーネが旅に出て危険に遭うのも、どちらにとってもかなり問題だと思いますが」パムが不安そうに言った。
「あの二人ならお互いに持っている色々な問題を解決しながら旅ができると思いますがねえ」
「・・・・」誰も返事をしない。私は旅のロマンに思いをはせ、そんな私を見て他の5人はげんなりしている。
 そうしているうちに着替えに行った3人が戻ってくる。
 キャロルは黒を基調としたロングのエプロンドレス、エーネは先ほどのカクテルドレスを着ている。
「ふむ、どちらも綺麗じゃなあ」
「胸がきついです」エーネが胸を押さえています。それを見てイラッとしているキャロル。
「エーネさんまた育ちましたね」メアが言いました。こちらもちょっとイラッとした感情が見え隠れしていますが、ホムンクルスですよねえ。
「よくわかりません。いつも服はシャツなので。そういえば最近シャツが持ち上がっていたような気はします」
「ああ、乳カーテ・・・」私がそう言いかけると再びアンジーの聖魔法で作られたハリセンで頭を叩かれました。私の世界では暴力ヒロインは死滅したはずなのですが。ツンデレが暴力ヒロインなのは当然ですか?
「ゴホン。エーネさんこれがあなたに対するちゃんとした評価です。皆さん素敵だと思ってくれていますよ。自分に少しは自信を持ちなさい。そして、うらやましいとか言わないで私も着てみたいと言いなさい」身長差があるので、キャロルの方が少し上の方から話していて、まるでお付きのメイドが主人に向かって説教をしているように見えるのはどうしてなのでしょうか。
「皆さんどうですか?」エーネはオドオドしながらそう尋ねる。もちろん胸元がすこしはち切れそうで、手で押さえていますが、かえって豊満な胸を強調することになっています。
「素敵ですよ~似合ってます~」エルフィが手を叩いています。
「はいとても綺麗です。うらやましいです」ユーリもそう言って本当にうらやましそうに言いました。
「似合ってますよ」レイはよくわかっていませんね。
「あのー。どうでしょうか」エーネは私の方を見た。
「とても綺麗ですよ。あなたのスタイルに合わせていたらもっと綺麗だったと思います」
「えへ嬉しいです」エーネは、勢いよく辞儀をしたために転びそうになってキャロルに支えられている。
「でもスタイルに合わせて作られているたけにキャロルの方が似合ってましたねえ」
「あ」全員が凍り付いた。
「DT様それはひどいです」キャロルから怒られました。エーネは涙目です。
「あんたねえ、余計なことを言いすぎて失敗するタイプよね」
「まったくじゃ」
「まったくそのとおりです」
「さいて~」
「僕でもひどいと思います」レイが言った
「あるじ様、さすがの私も擁護できません」
「ぬし様、多少は女心を理解した方が良いと思いますよ」
「はあ」
 そしてキャロルとエーネを除いて爆笑している。二人はそれを見てポカンとしている。
 私としては、キャロルの服を着てエーネが綺麗だとはいえ、キャロルの方が似合っていて綺麗だったから素直に言っただけなんですがねえ。
「だからそれを言わなきゃ良いのよ。キャロルが寂しそうに見えてもそれを言わないのが大人でしょう」
「ついキャロルの肩を持ってしまいました」
「あんたはキャロルの方が好みだものねえ」
「そんな事はありませんよ」
 最後の一着は、ボーイッシュなショートパンツにTシャツという衣装でした。そちらのほうが恥ずかしがるキャロルが不思議でした。
「いつもメイド服だったのでこういう服は着慣れないのです」
「でも可愛いですよ。似合ってます」私は素直にそう言いました。キャロルは後ろを向いています。耳が真っ赤ですね。
「おぬし。わしらが聞いていても恥ずかしいわ」
「これでは隷属したらキャロルは恥ずかしさで狂ってしまいますね」パムが笑っています。
「慣れるとは思いますが・・・やはり慣れないでしょうね。ああメイド服を着て貰えれば耐えることが出来るかもしれません」メアがポンと手を叩いてそう言いました。
「隷属はおすすめしないわねえ」アンジーもかぶせにきました。
「心の鍛錬が必要かとは思います」パムもですか。
「鍛錬で自分の心は読まれなくてもあるじ様の感情は届いてしまいますよ。無理です」ユーリがそう言った。
「あ」全員がそう思っていた。皆さんには慣れるという選択肢はないのでしょうか。
 全員で鎧やらを片付けに地下室に向かって行き、入り口の階段から荷物を一つずつ降ろして奥の方に積んでいった。そして、金庫室を閉める。

 やはりその作業に参加していない4人はヒソヒソ話をしている。
「とりあえず元魔王様のところには無事に到着したことをお知らせしてください」私はモーラに頼みました。
「うむ。元魔王はこの状況を知っているはずなのだが、わしらの置かれている状況を再度説明してもらって、どうしたら良いかを聞いてもらおうか」
「でも長くは居られないわよ」アンジーもそう言いました。
「本人の気持ちがわかりませんが、普通家出をしたら帰るものですよね?」パムがそう言った。
「本人はここに住む気満々で来たけどねえ」アンジーが頭を抱えている。
「親の意向もありますから。親の意向と本人の意志を尊重するのかどうか。その例えとして旅を出しますか」私は旅に誘導するようにそう言いました。
「うむ。そうするか。どちらにしてもここには置けぬと伝える必要があるな」
「よろしくお願いします」
「ではすぐ行ってくる」モーラはそう言って席を立ち玄関から出て行った。

○君は風
「私達は遊んでばかりです。里の仕事はしないのですか?」その子はそばにいた親ともいえる人に尋ねる。
「風は自由でいなければなりません。もちろん世界からも里からも」
「どうして?」
「風はこの世界の全てのために吹いているの。風は草花を運び、暖かい空気を送り、冷たい空気を運ぶ。この世界を管理しているのよ。そして風が全ての事象を伝えてくれる」
「それが役目なの?」
「そう。見守ることが役目なの。たとえ里の命令だからと言って素直に従ってはいけないわ」
「でも役目を与えられる事もありますよね」
「そうね義務は義務。成し遂げなければならないこともあるわ」
「それはおかしいです。言っている事が矛盾しています」
「そうね。風は矛盾しているのよ。でもそれでいいの」
 私は、久しぶりに昔の事を思い出していたら、不意に私を呼ぶ声が聞こえた。

「おおい、この辺にいるのだろう?顔を見せてくれ」モーラがはるか上空に人の姿で立っている。
「誰かと思えば土のモーラじゃない」風のドラゴンさんがすぐに現れた。
「それが通り名になったのか?」
「違うけど、それとも辺境の賢者の方が良かったかしら」
「ああ、モーラでよいわ。頼みがあるんだがなあ」
「元魔王の娘の事でしょう?」
「お見通しじゃな。元魔王のところに伝えて欲しい事があるのだが」
「あんたも大変そうね。これを機に里に帰ったら?」
「帰らんよ。大変じゃが興味深い事が多い。苦労も多いが得る事も多いんじゃよ」
「なるほどねえ。今の話は始祖様に伝えておくわ。始祖様からはねえ、あんたはしばらく里に報告に来られないだろうから、様子を知りたいって言っていたのよ」
「かまわん。やっかい事を押しつけておいてよう言うわと、付け加えて伝えてくれ」
「相変わらず辛口ねえ。伝えておくわ。伝言の内容は?」
 モーラはポイントだけ簡単に話す。
「わかったわ。返事はどうする?」
「もらえるならもらってくれ。無理なら手紙にして親衛隊の人達にでも持たせて欲しいと言ってくれ」
「あの夫婦の事だから飛んでくるかもよ」
「それなら家出したときにすでに来ているじゃろう。わしらの置かれた状況が変わっているのを知っているはずなのに悠長にしておるから不思議なのじゃ。まさかあの母親はそこまで知っていてなお?いやありえんな。ではすまんがよろしく頼む」
「あんたじゃあそこに着くまでにどんだけのドラゴンと遊ぶ事になるかわからないしね」
「わかってくれて助かる。そういうのが面倒なのじゃよ」
「じゃあね」風のドラゴンは消えた。

 そうして、連絡が来るまでのしばらく待つ間、2人は家族と一緒に家で生活・・・もとい遊んでいる。
 懐いてくる妹と鬱陶しがる姉。そういう風に見える。もちろんどちらもそんな事は無い。だが、世間知らずなエーネとそれをあきれながらも世話しているキャロル。どう見ても雰囲気は姉妹だ。年齢は逆らしいが。
 エーネは一生懸命だ。キャロルがメアの手伝いをするために立ち上がるとそれを見て一緒に手伝おうとする。だが、炊事洗濯掃除どれも何もできない。いや何もさせて貰えなかったエーネは何をやろうとしても要領が悪い。キャロルはそんなエーネに丁寧に優しく繰り返し教えて、練習させている。
「私は、メアさんとメイド長にこうして何度も繰り返し教えてもらいました。もっともその頃はまだ小さかったですが。でも、教える事で得る教訓もありますので」キャロルは嫌な顔をせず。根気よく教えている。
「教える側も勉強ですか」私はメアの手伝いが減ってしまったので、ちょっと寂しいです。
「はい。私にも苦手な物がまだありますので」
「完璧そうに見えるがのう」
「料理が駄目なのです。味付けが苦手で・・・」
「食べられない訳ではないのですが、なぜかもう一味たりないのです」メアがため息をつく。
「一味というのが問題よね」アンジーがなんだか解説者のようです。そこで私を見ないでください。どうせあんたも似たようなものでしょ?とか思っているのでしょうけど。
「そうなのです。この後どうフォローすれば良くなるのかわからないのです」メアが言った。
「これは訓練しかないのでしょうか」
「わかりません」メアが首を左右に振っている。
「旅には食が大事ですからねえ」
「確かに」パムが真剣にそう言った。
「完璧な人はいないのですね」エーネはキャロルを見て言った。少し嬉しそうだ。
「何も出来ない人には言われたくないのですか」キャロルが言い返す。
「ああ・・・ひどい」エーネは涙目だ。それでも前に遊びに来た時よりも表情が明るい。ちょっと明るくなりすぎじゃないでしょうか。これが本当のエーネなのかもしれません。
「ならエーネ。料理くらいは頑張りなさい」キャロルがそう言った
「はいい」エーネはキャロルのその目線の厳しさに怯えている。

○キャロルとエーネ
「私はね、あなた事が好きではないの。なぜか?そうやって考え無しに遊びに来て皆さんに迷惑を掛けている。家出ですか?自分の事が何一つ出来ていない。満足に料理も洗濯も戦うこともできない。一体あなたはあの方達になにか一つでも恩返しができるのですか」キャロルはそう言った。その段階でエーネは涙目だ。
「私は悔しいですよ。あなたにそう言われても反論できない。ずっと何もないところに暮らして、私はここに逃げ込み、訳のわからないまま友達を失った。その失った友達さえ、実は私に怯えていてイヤイヤながら遊んでくれていたのです。楽しく遊んでくれた時もあるけど結局はひとりだったのです。自分の生まれを呪いもしたのです。それでもようやく私の生まれを気にせずに接してくれる人たちに初めて会えたのです。でもすぐ別れなければならなかった。あなただって、同じ境遇だったら会いたくなるでしょう?我慢できなくなるでしょう?」
「それがわがままだというのです」キャロルは一喝した。
「ありがとうございます。キャロルさん。それでも私はあなたとも一緒にいたい。あなたの心は真っ直ぐなのです。私に素直に感情をぶつけてくれる。それは恐怖でも畏怖でもなく魔族への偏見でもない。どうしてあなたはそんな風にいられるのですか。普通の人間ならそんな感情にはならないはずです。もっと魔族を忌み嫌ったり恐怖したりしているはずです」
「感情が読めるのね。しかも拒否できないのね」
「はい。最近はユーリさんやパム様から教えてもらった、心を平静に保つ方法で少しだけましになりました」
「いつからなの?生まれた時から?」
「はい、生まれた時からです。ちゃんと防いでくれる人なら大丈夫なのですが」
「そうなの。それはつらかったわね」キャロルはそう言った。
「どうして私に対してちゃんとつらかったねと思えるのですか。他の人ならいい気味とか思ったりするのですよ」
「どうしてかしらね。でももしかしたら今後も同じように思えるかどうかなんて私にもわからないわよ」
「だからあなたを嫌いになれないのです。冷たい言葉を言われても私のことを嫌っていない。単なる嫉妬だと私のことがうらやましいだけなんだと。私に対する嫌悪も何もないのです」
「そうね。正直に言うとね。うらやましかったのよ。あの方達はとてもすごい方達で、世間では知られていないすごい事件を解決したりしているの。そんな中にあなたは溶け込んでいたの。まるで家族みたいにね。私は一時期一緒に暮らしていたのだけれど、離れてみるととても懐かしくて貴重な時間だった。もう一度戻りたかった。でも出来なかった。そうしてやっと決心して来てみると、あなたが何もなかったようにその輪の中にいたのよ」
「そんな。単なる厄介者なのですよ。でも、誰の言葉の裏の感情も聞こえてこないこの家は居心地が良かったのです」
「率直に聞いていいかしら」キャロルがちょっと恥ずかしそうに聞いた。
「何をですか?」
「その・・・DT様の事をどう思っているのかしら」
「そ、それは多分。でも、まだわかりません」
「まあ、私も似たようなものだからね。安心したわ」
「何を安心したのですか」
「まだ私にも可能性があるのかもしれないとね」
「可能性?あ・・・そんな事を考えているのですか」
「世間を知るとね、色々知識がつくのよ」
「そんな知識は私にはありません。これからもありません。簡単な例えですが、私があなたと会った時にモーラ様が現れたじゃないですか。あの時私はモーラ様に駆け寄りましたが、あなたはちゃんと挨拶をしていました。それを見た時に自分がどれだけ世間を知らないのか礼儀をしらないのか痛感させられました。感情に任せて行動している自分が恥ずかしくなりました」
「里から出た事がないのだったわね」
「はい。でも私は里以外の世界を知ってしまいました。まだこの村くらいですけど」
「それとね。あなたは自分の力をまだ知らないのね」
「私の力ですか?」
「あなた。魔王の娘なのでしょう?」
「元魔王のですけど」エーネは元を強調したかったらしい。
「そうなのよね。自分自身に魔力量は十分あるのは知っているのよね」
「はい。でも余り使うなと両親に言われていて。魔族でも獣人でも人でもあなたが魔法を使ったら死んでしまうと使用を禁止されています」エーネが素直にそう言った。
「本当にいい子ちゃんなのね」キャロルがため息をつく。
「いい子ちゃんですか」ちょっとムッとしてエーネが答える。
「あら、私があなたをさげすんだのがわかったのね」
「はい。どうしてですか」
「だって、親の言いつけに従って、いい子ちゃんしているからよ」キャロルが意地悪そうに言った。
「親の言いつけは守るものではありませんか?」
「じゃあ聞くけどね。親のいない子はどうするのかしら?なにもわからないわよ」
「・・・」
「親の言いつけなんてないのよ。最初からね。ならどうする?」
「・・・」
「そんな子はね、経験で覚えていくしかないのよ。恥ずかしい思いをしながらね。そして人を傷つけてはいけないとか、傷つけたら死んでしまうかもしれないという事を回りの様子を見て手探りしながら覚えるのよ」
「私はそれができていないということですか」
「両親が里にいて、これからも里に住むのなら、覚える必要も無いでしょうしね」
「さっきから心の中で両親のことを馬鹿にしていませんか」
「成る程。私の感情の表の方だけ感じるのね」
「え?」
「人の心はね、たくさんの感情が複雑に絡み合っているのよ。言葉に乗っている感情なんて薄っぺらの感情だわ」
「そうなのですか」
「ええ、私が本当に思っていたことはね。あなたが悲しい境遇に置かれていたのを憐れんでいたのよ。そして」
「そして?」
「それを何とかしたいと思ってしまったのよ。だからね。薄っぺらい感情に触れても気にしない訓練があなたには必要だと思うの」
「それはどういう事ですか?」
「ねえ、私と「一緒に」旅をしない?」
「どうしてですか?」
「あなたには決定的に経験が不足しているの。世の中を渡っていくための経験がね。だから私と一緒に旅をしてつらいことも悲しいことも嬉しいことも楽しいことも経験した方がいいのよ」
「私を旅に連れて行ってくれるというのですか」
「違うわよ。連れて行かないわ。一緒に旅をしようと言っているの。違いがわかる?」
「はい。はい。ありがとうございます」エーネは何度も頭を下げながら涙を流している。
「こんなことで泣くんじゃないわよもう。楽しい旅にするんだから笑っていなきゃ」キャロルはそばによってエーネの肩を抱き背中をさすっている。
「はい。はい。うぇ~ん」そういいながらもエーネは泣いている。声を出さずに静かに。いつもそういう風に泣いていたのかもしれない。
「落ち着いた?」キャロルはエーネの呼吸が落ち着いた頃にそう聞いた。
「はい」
「でも少しだけここでしなければならないことがあるのよ」
「なんですか?」
「狩猟のスキルと料理のスキルを上げていかないとならないわ」
「そうなのですか?」
「ええ、狩猟はね。倒すだけじゃなくて食べられるところを計算して倒す必要があるらしいの。だから、少しだけここで勉強してから出発ね」
「はい。頑張ります」

 立ち聞きは良くありませんが、居間に陣取られて長々と話をされては、居間に戻れず全員が立ち聞きする事になってしまいました。
「なんか面白くないのう」キャロルとエーネが自分の部屋に戻ったので、居間に戻ってきてモーラが言った。
「ええ面白くないわ。あんたの描いた絵図どおりに事が運んでいるじゃない」アンジーも納得していません。
「いや、最初はエルフィが予言していたじゃないですか」
「「あ」」モーラとアンジーが声を揃えて言った。さすがに覚えているのですねえ。
「さて、後はよろしくお願いしますね」私は皆さんに言った。
「おぬしはどうするのじゃ」
「それは、旅の武器を誂えるのですよ」
「では私は革の装備品を作りましょう」とはパム
「なので、ユーリとレイとエルフィよろしくお願いしますね」
「ラジャー」
「あとメアさん」
「はい」
「料理の方はあまり厳しく指導しないようにしてください」
「残念です」
「モーラとアンジーは、関係者との調整を色々よろしくお願いします」
「わかった」「わかったわ」

続く

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主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I
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レティシア=モーリスは転生者である。 しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。 …無いんだったら私が作る! そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
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とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
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【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
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大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太
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 ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。  ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
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《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

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