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第20話 魔族の子
第20-3話 調査へ
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○ 制服貸与有
「はい」メアはそう言って席を外し、2着の服を持って戻ってくる。
「これはなんですか?」レイが手渡された服を見ながら言いました。
「私の世界ではつなぎという作業服です。ですが、伸縮性に富む素材で作ってありますから破けません。体型が変わってもフィットするようにできています。獣化にも対応しています」
「私の分もあるのですか?」メアがパムにも服を渡した。
「はい。パムの服は、インナーとして使ってください。魔力を使って筋量を変化させた時に、耐魔法防御強化と耐物理強化と身体強化を付与されるようにしてあります。レイには、魔法による手足の強化をするようになっています」
「親方様。出会って間もない僕の分までありがとうございます。もしかして、獣化した時にいろいろなところをさわっていたのは・・・」レイがハッとして言いかけました。
「ごめんなさい。単に趣味で触っていたわけではないのです」
「ありがとうございます。あの時は、親方様けっこう変態さんですか?とか思ってました。すいません」レイの耳が少しだけ下がったように見えました。
「いや、趣味も半分ありましたから。もとい、もちろん他の皆さんにも用意しましたが、そんなことになって欲しくないと思っています。でも、パムさん、レイ、でかけるならこの服を持って行ってください」私の言葉に二人とも服を抱きしめました。
「気をつけてください。無理をすると破けるかもしれませんので、念のため替えの服は持って行ってください」
「あの時の服は大変助かりました。肌の出ているところの細かい擦り傷以外は、ほとんど気にせず全力で走られましたから」パムとレイがうれしそうにしているが、他のみんなが不満そうだ。ええ、ズルいという感情がバリバリ伝わってきます。
「えーとすいません、真剣な話の途中で。でも、他の家族も何か不満げですので、皆さんの分もちゃんと用意してありますよ。ユーリもアンジーも体型の変化がありますので、皆さんに合うようにと考えてあります。アンジーは、物理耐性、耐闇属性をメインにユーリは、魔法強化と耐物理を、エルフィは、魔法強化を付与して作ってありますから」
「わしのはないのか」モーラが不満げです。
「モーラには替えのお洋服だけですね」
「どうしてじゃ」
「いや必要ないでしょう。この世界の頂点。最強の生物なんですから」
「なんかくやしいのう」寂しそうに言いました。
「モーラ様。ご主人様はそんなことしませんよ。本当は作ってあります。モーラ様がその姿の時に気配を消すことができる服です」
「メアさん甘やかさないでください」
「なんじゃ作っているのか。まあよい。エリスこの者達を頼んだ」急に元気にモーラは言った。現金ですねえ。
「どちらかというと私が守られる側だと思うのですけど」
「物理的にはな。じゃが魔法的にはこやつらは無力じゃ」
「ああそうね。わかったわ」
「では行ってきます」
「あの~旅の支度はしましょ~」
「あ、そうですね」
「はい」
「私はどうしましょう」ミカさんが所在なげだ。
「旅の支度が調うまで少し待て。同行は許可する。しかし連絡を絶やすな」
「はい」
「お茶です」
「ありがとう。メアあなたも大変ね。服飾までしているの?」エリスさんがメアにそう尋ねる。
「大変なことは何も。ご主人様は、私のためには専用のメイド服を考えていただきました。それはとてもうれしいことです」
「あなたが喜ぶなんて珍しいわね。それはどんなものなの?」どうせ碌でもない機能をつけているのだろうとエリスさんが聞きました。
「ご主人様お話ししてもよろしいですね?実は魔力のリチャージシステムです」メアが嬉しそうに胸を張って言いました。
「リチャージシステム?」怪訝そうな顔のエリスさんです。
「はい。つまり戦闘時に体を動かして、放出したり物理に変換したりした魔力のうち使われなかった魔力を回収して体内に吸収させることができます。簡単に言うと、魔力量の効率活用ができるということです」
「そんなことができるの?」エリスさん目を見開いてびっくりしていますが、そんな顔でも美人ですね。
「はい。メアさんの場合、肌の露出が少なくて、肌がほとんど服で包まれていますので、腕を動かした時とか蹴りを出したり走ったりした時の動きをトレースして風の流れを感知してその動きで魔力を励起して体内に回収するようにしました」
「そんなことができるの?」
「ご主人様は試作段階と言っておりますが、ユーリとの戦闘訓練では、残留物の回帰率は15%あります」
「あなたそれは自分で考えたのよね」エリスさんが私をジト目で見ながら言いました。
「いえ、風力発電とモーターの発電を魔法に組み合わせたものですから技術転用ですね」私には新技術開発までできませんからね。
「まったく末恐ろしいわ。これが本格的に実用化されれば魔力の低い者でも普通に魔力消費の激しい魔法を繰り返し使うことも可能かもしれないという事じゃない」エリスさんはあきれた顔で言いました。
「ああそうですねえ、気付きませんでした。よかった、パムに今度使ってもらいましょう」
「こやつ本当に技術バカじゃなあ」モーラは私を見ながらあきれたように言いました。
「本当にそうね。本当に殺しておかなくていいのかしら」エリスさんの冷たい目が痛いです。
「そこまでの事ですか?」私は殺されたくないのでそう答えます。
「レールガン以外は、普通に魔法の改良でしかなのでしょ?いつか誰かが気付いて実用化できるのではないかしら」アンジーがそう答えた。
「よく考えたらそうね。そういう発想がまだ魔法使いにないというだけね」しかしエリスさんはため息をついた。
「さて、先ほど言い損ねた2つめをきこうじゃないか」さすがにモーラが話題を変えた。
「そういえばそうね。一つ目の願いは叶ったからまあいいのだけれど、2番目のはね。これからあなたたちはどうするのかということを答えてほしいのよ」
「ああそうか」
「うちの里がそれを気にしているのよ。結論は必要ないけど方向性を聞いてこいと。まあ、あの子を守ることにするんでしょうけど。このままだとここは襲撃を受け続けることになるから」
「それはどういうことですか?」ユーリがその子をかばうように動いてそう尋ねます。
「それは私から話すわね。私達は今大変まずい立場にあります。その子を元魔王の子を守っています。そして、それが魔族側に知られると、元魔王夫婦が行方不明な事もあって、元魔王派である共存派と魔族絶対主義派のどちらからも狙われることになります」アンジーがスラスラと話し始める。
「かたや擁立するために、かたや殺すためにか?」モーラが相づちを入れる。
「いいえ、擁立派も絶対主義派もどちらも殺そうとするでしょうね」アンジーがサラッとそう言いました。その言葉にその子はビクッとなり、ユーリが厳しい目でアンジーを見ています。
「どうしてそうなる。あ、そうなるのか」モーラは一人で納得してしまいました。
「そう。元魔王の子どもだからといって共存派とは限らないから、殺して絶対主義派のせいにしようとするのよ。なので、どちらの手に落ちても殺す一託になるのよ。死んだ子は何も語れませんからね」アンジーは私を見て言いました。
「でも同族殺しは呪いがあるのですよねえ」私は疑問を尋ねます。
「最近、誰が殺したかわからない方法で殺せば大丈夫ということがまことしやかに流れてきたじゃない。あとは、拉致して獣人や人に殺させるというのも可能よね」アンジーは平気でその子の前で殺す殺すを連発しています。意外に冷たいですよねえ。
「確かにな」
「だから、この子がここにいることは誰にも知られてはいけないのよ」アンジーはそう強く言いました。
「私が動けない理由は何かありますか?」私はどうあっても探しに行きたいのです。この子の為に。
「あなたが元魔王夫婦を探すために動きだせば、元魔王の子がここにいると知れてしまうからよ」アンジーがそう言ってふんぞり返っています。えーなんで?
「普段からそういうことに無関心なあなたが動き出しただけで、勘のいい人達は、いいえ、勘の悪い人達だって何かあると思うに決まっているじゃない。なぜ動いているか理由を探りに来るわよ」アンジーは私をジロリと見て言いました。
「確かにそうじゃな」
「でも、ここには、エリスさんもミカさんも来ているじゃないですか」私は頭が悪いので納得できていません。
「エリスさんは今回の件を調査するためにパムさんを借りに来ただけだし、私だってモーラに二つ名を告げに来ただけですので、勘ぐられることは何もないのですよ」ミカさんがそう言いました。
「話の内容が濃すぎてついて行けない人達がおります」メアさんの指摘に2人を見るとユーリと元魔王の子はぽかんとしている。あ、レイもでした。
「さて。あなたにも状況が理解できたのなら、そこで待っているパムさんとレイさんを連れて出発したいのだけれど」エリスさんが早く出発したそうです。
「パムさん」私は立ち上がったパムに近付いた。
「はい」パムはちょっとビックリしながらも立ち上がった。
「気をつけて。それとこれを」小さい丸い玉のようなものを渡す。
「これを使う時は必ず連れ帰りたい人と体を触れていてください。接触しているものはすべて連れて帰ることはできます。ですから、レイとついでにエリスさんをお願いします」
「わかりました。触っていれば大丈夫なのですね」
「はい。薄く魔法がつながっていればいいのです」
「わかりました。使う状況が来ないことを祈っていてください」
「レイ」私はレイの方を向きました。
「はい」レイもまた立ち上がりました。
「あなたは旅慣れていません。正直不安です。でも、あなたにしかできない事が必ずあります。パムの言う事を聞いてください。パムの指示ならひとりだけで逃げてください。この2人はひとりずつでも必ず生き残れます。あなたもきっと生き残れるでしょう。ですがその後、ここに戻ってくるまでの旅に不安が残ります」私は正直な気持ちを伝えました。辛辣ですかねえ。
「ありがとうございます。独りになったらまっすぐ帰ってきます。行ってきます」
「3人とも気をつけて」
そうして3人を見送るために扉の外にでました。ミカさんがあわてて外に出ようとしています。
「ミカ、ちょっと耳を貸せ」モーラがミカさんの腕を引っ張って顔を近づけた。
「なんでしょう」
「とりあえずな、あの子を里に預かれるか聞いてこい」
「ええ?そんなの無理に決まっているでしょう。一族でもないのに」
「いいか、とりあえず預かれるか聞け。もしダメだと言われたら、長にこう言え。例外的に里で預かったことがあるだろう。知らないとはいわせない。」と言ってやれ。話すのは預かれるか聞いてからだぞ」
「そこに順番があるんですか」
「そうじゃ」
「その結果がどうあれ、ヒメツキにその話をしろ」
「逆じゃあダメなんですか」
「だめじゃ。絶対に順番を違えてはいかんぞ」
「わかりました。それなら自分で行けば良いじゃないですか」
「よいか。ここはわしの領地。ここで魔族や獣人が暴れれば、わしの顔を潰すことになる。じゃがわしが不在なら知らぬ存ぜぬでうやむやにできるのじゃ。今は動けん。頼んだぞ」
「はーい。結果は報告にきます」
「いらぬ」
「結果は見えていると」
「まあな、わしも少しはこの子のためにできることをしてやりたいのじゃ。一縷の可能性にかけてな。ひょっとしたら叶うかも知れんからな」
「ではその用事を先にしてからエリスさん達に合流します」
「頼んだぞ」
そうしてミカさんの手に乗って、パムとレイ、そしてエリスさんは旅だった。私は玄関から出て、残った皆さんと共に見えなくなるまで見送った。
「心配性の過保護の父親じゃな」モーラがヤレヤレという顔で私を見上げているようです。
「まったく。そのくらい信用しなさいよ。いや信頼か」アンジーもあきれています。
「そうなんですけどねえ。一緒にいると安心なんですが、別に動くとなると不安で不安で」
「親馬鹿じゃな」
「さて、やることはいっぱいあるわよ。まずあんたには魔族の匂いや気配が漏れないように結界を修正して欲しいのよ。それと村長にしばらく預かるつもりだったが、さる人に違う場所に連れて行ってもらったと話してきて。あと、エルフィは、アとウンに村に非難したいか確認して。どうせ行きたがらないでしょうけど。あとメアは、籠城用に食料の買い出しをお願い」アンジーがテキパキと指示を出す。
「では、結界の強化の後に一緒に買い出しに行きますか」
「そうですね」メアがそう言いました。
そうして、外に出て結界の状態を確認に家の周囲を回る。
「おや、結界がめちゃくちゃになっていますね。エリスさんが解除するのにかなり苦労したようです。エリスさん、いいでしょう。そのプライドさらにへし折れるよう結界を強化しましょう」そうつぶやいていると、馬小屋にいたエルフィがこちらに来た。
「エルフィ、アとウンはどうでしたか」
「ここから逃げる時に俺らが必要だろうと言って動きませんでした~」
「あの二頭だったらそう言うでしょうねえ。エルフィはモーラと一緒に上空から結界の様子を確認してください」
「ラジャー」だから敬礼しないように
「モーラお願いします」
「うむ、家が無くなっては困るからな」そう言って空に上がった2人ですが、連絡がありません。
「おかしいですねえ。上空から連絡してもいいのに」そうして空を見上げているとモーラが降りてくる。エルフィは途中で飛び降りる。
「戻りました~」飛び降りた反動で私に抱きついてそのまま抱っこされている。
「おかえりなさい。上空から連絡くれても良かったのですが」胸の感触に私はちょっとドギマギしていますが、そう聞きました。
「それが~通じなかったので~す」エルフィは、そう言って足を地面につけて離れた。
「ありゃあ」私がエルフィを見ていると、モーラも空から降りてくる。
「やりすぎじゃ。わしらの連絡まで遮断したら本末転倒じゃろう」
「やりすぎましたか。ちょっと調整しますね」
「急げよ。村まで行くのじゃろう?」
もう一度調整をする。まあ、何枚かの結界を解除するだけなんですが。
「これでどうですかねえ」
「うむ、行ってみようかのう」
「ラジャー」そうしてモーラに連れられて再度上空に向かっていくので、私は、
『ずーっと話しながら上昇してください』脳内通信で話し続ける。
『大丈夫そうですね~』若干ですが声に恐怖が感じられます。大丈夫ですか?
『聞こえますね』
『さっきは~全く聞こえませんでしたが~これなら大丈夫ですね~』
『ちょっと上空まで行くぞ』
『あ、ああああああああああああ』
『エルフィ大丈夫ですかー』
『ああ、シールドなしじゃったな。すまん。って落ちたか?』
『だ、大丈夫ですう。かろうじてうろこに掴まっています~』
『十分聞こえますよ』
『おう、じゃあ戻るか』
『ゆっくりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』
『すまん、しばらくぶりでうれしくてなあ』そう言ってモーラがすぐに戻って来た。
『ひ、ひど・・・い』エルフィがヨレヨレになって戻ってくる。
『とほほ~。後ですね~結界の影響で~景色が少しゆがんで見えますよ~』あの状態でちゃんと確認しているあたりはエルフィさすがです。
『直しますか』
『さすがに明日でいいじゃろう。わしがそんなに頻繁に飛んでいたら何かあったと疑われるからな』
『しかも不動のドラゴンですからねえ』
『あ、それが通り名のはずだったんじゃが、変えられたようじゃのう』
『最近活発に動いていますからねえ』
それから、メアと一緒にアとウンの馬車で村に行きました。エルフィは、お酒の誘惑に勝てそうにないようですし、酔っ払うと何を言い出すかわかりませんので、家の柱に縛り付けて買い物に行きました。だいぶ暴れましたが、お酒を少しだけ買って帰るという約束でおとなしくなりました。家では原則禁酒なんですけどね。
干し草が心許なかったのもあり、ちょっと多めに買いました。
あの子達はだんだん贅沢になってきて困りものです。量も3頭分になりましたし。
帰り際に村長に話してきました。
「というわけで、あの子はさる人に連れて行ってもらいました。ですからご迷惑はおかけしないと思います。皆さんにそうお伝えください」
「ほっほっほ、そういうことにしておくわ。皆には聞かれたら答えることにして、わしからはあえて言わんでおく。皆もわざわざ聞かんと思うしなあ」
「あと、今後何か問題が起きたら私たちはここから離れます」
「問題がおきたからといってすぐ離れるというのはどうかね。その時に村のみんなから意見を聞いて、答えが出てからの方がいいんじゃないか。勝手に出て行かれると、わしが追い出したんじゃ無いかと言われるかもしれんし。わしらはあんた達には助けられていて感謝していることの方が多いから、問題があっても残って欲しいとみんなは思っているんじゃないか?」
「ありがとうございます。では失礼します」
「ひとつ忠告しておこうかの。こういうことは自分ひとりで抱えないことじゃ。村に何か迷惑がかかるとか考えないで、何かあったら相談してくれ」
「ありがとうございます」
そうして、村長のところを辞しました。
大量の食料を抱えて家に戻りました。アとウンは、その後走りに行きました。元気が有り余っていますからねえ。え?リハビリですか。
夕食の用意をメアさんが始めました。なんとその子は手伝うと言って台所に行ってしまいました。
「気を使っているのよ。切ないわね」アンジーがその姿を見て言いました。いや、プレッシャーをかけていたあなたが言いますか?
「今更ですけど、あの子はどこまで知っていたのですか」私はアンジーに聞いた。
「全部よ。自分が元魔王の子であること。教えたのは元魔王派の者だったこと。それを両親が黙っていたので知らないふりをしていたこと。とかかしらね」
「あまりにも良い子すぎますねえ。親の教えもあるのでしょうけど、本人の心根の問題ですかねえ」
「その子が生まれて来てその純粋な言葉に両親が共存派に宗旨替えしたという噂もあるくらいなのよ」
「いい子過ぎて魔族の中では扱いが難しそうですね」
「わたしも聞いたのは又聞きで、それもあくまで噂なので、信憑性は不明だけどね」
翌朝から、私たちはいつもどおりの生活をすることとしました。
数日は、何事も無くまるでこれが日常かというように過ぎていきました。
その日は、モーラが自分の洞窟を確認に行き、ユーリは家の中でその子と一緒に過ごし、我々は薬草の栽培場所に品質チェックをしに行くことにしていました。アンジーだけは村に定時連絡に行ったあと、薬草の栽培場所に合流する事になっていました。
少し離れた森の中にテスト株をいくつかと、それ以外の栽培用株の畑が作ってあります。
「どうですかね~」エルフィが葉をひとつまみ摘み取って葉の両面を目視したのち、匂いを嗅ぎ、ぱくりと口に入れる。
「大丈夫そうです~今のところ順調ですね~」さすがに数回かんだ後に手の中に吐き出して土に混ぜました。
「雑草を少し残したのが良かったですかねえ」
「わたしの回復魔法と~親和性が高くなっていますから~効能はちょっと落ちますね~」エルフィが首をかしげています。
「親和性が高くなると効能がおちるのですか?」
「わたしの回復魔法の補助薬としてはいいのですが~単独使用では、ちょっと落ちるかも知れません~でも~前に栽培してた時より効果は出ているみたいですよ~」エルフィが自慢げにいいました。
「わかりました。このまま育てましょう。なかなか量産体制が整いませんでしたから、効果としてはこのくらいで良いのでしょう。即効性はわかりますか?」
「わかりませんけど、同じくらいじゃないですか~」エルフィが大丈夫だと笑って言いました。
「即効性を売りにしているので向上して欲しいのですけどねえ」エルフィの笑顔に癒やされながら私は言った。
『雲行きが怪しくなってきたわよ』アンジーが脳内会話をしてくる。
『どうしましたか?』
『ここにあの子がいることがばれている可能性があるわ』
『こんなに早くですか?』
『ええ、なので私たちも家の中で静かにしていないとまずいかも。すぐ戻るわ』
『はい』
今日の収穫分を馬車に詰め込み、エルフィとメアさんに段取りを話して、馬車で家まで戻りました。エルフィが馬を厩舎に戻しに行き、私とメアさんが納屋に薬草を運び込んでから家の玄関まで来たところ、パムとレイとエリスさんが倒れているのを見つけました。
『エルフィけが人です、至急治療を』
『どこですか~』
『玄関前です』
『あれ?本当だ~3人いますね~監視していたのにレーダーに引っかかりませんでしたよ?』
『その辺は後で教えます。とりあえず急いで』
『はいい』
『アンジー今どこですか』
『馬が・・・馬が~~~~』
『アンジーさんどうしましたかアンジー』
『大丈夫よ。馬がね、野生の馬が、私を乗せて走っているのよ』
『言っている意味がわかりません。野生の馬がですか?』
『そうよ。どうして道を知っているのかわからないけど、家に向かってまっしぐらよ』
『わかりました。この状態で話せますか』
『内容も内容だから。あとこの振動の中話すのはちょっと』
『到着を待ちます』
『わしもこれから戻るわ』
『洞窟の方は大丈夫ですか?』
『ああ、なんともなかったわ』
○閑話 馬の会話
今より少し前、アとウンの2頭は今日も朝から勝手に外に出て走り回っている。二頭が一息ついた時に知らない馬が近づいてきた。
「お二人さん、はじめまして」
「なんや野良の馬かいな、どないしたんや」
「はい、実は飼い主とケンカしまして、餌ももらえなくなったので、飛び出してきました」
「なにがあったんや」
「うちの飼い主、乗馬が下手なくせに馬のせいにしよりますねん。干し草もまずいですし、文句ゆうたら今度はどつかれまして、お前みたいな奴いらんゆうて、森に放り出されてしまったんですわ」
「まあ、そりがあわんちゅやつやな」
「それで森の中をうろうろしていたらあんさん方をお見かけしまして、なんやら自由そうでええなあと、何日か眺めておりました」
「何日も眺めとったんかい。お前暇やな」
「最初に馬小屋までこっそりついていったんですが、さすがにドラゴンの匂いやらで近づけませんでした。どやったらドラゴンなんかと一緒に暮らせるのか気になって声かけさしてもらいましたんですわ」
「ああそうやな。最初はわしもビビっておったからな。わしよりこの方が先輩や。わしの前からドラゴンと一緒に暮らしておるから聞かせてもらえ」
「よろしゅうお願いします」
「なんじゃ、うちに来たいんか」
「まあ、それもあります」
「うちは過酷やぞ。正直しんどいことも多い」
「はあ、そうは見えまへんけど」
「今は静かな時期やねん。これまではいろいろあってな。うちの連中が魔獣と渡り合うところにだまーって馬車引いたまま我慢して動かずいたりするんやで」
「そうそう、魔族の大群をうちの人達が倒すのを横で待っていたり」
「そうや、かなりしんどいんや。それでもうちにきたいか」
「おもしろそうですなあ」
「おもしろい言うんか。死の瀬戸際におるんやぞ。逃げるわけにもいかんのや。戦っているそばで、ただ待っているだけなんや。自分たちに魔獣が襲ってきてもな」
「どうして一緒におるんですか」
「拾ってもらった恩やな。わしはな、とんでもない性悪でな、この村にもらわれてきた時には、手がつけられんかったんや。でもな、あのドラゴンさんのご主人にもらわれてな。最初はドラゴンの匂いにビビったものよ。でもな、その主人の人は優しい人でな。わしに馬具をつける時にも痛くないように気を使ってくれて、調子を聞いてちゃんと調整してくれるのや。それも何回も何回も調整してくれて、すごいええ人やで、今でもブラッシングしながらやさしゅう声かけてくれてな。今では、一緒におるエルフの人をつてにわしらの要求をちゃんと聞いてくれるんや」
「へえ、わしらの言葉わかるんですか」
「そうや、ほれお前も話してやれ」
「わしは、その次の街におってな。わしもいわゆるワルやったんや。捕まえられて売られた先は金持ちやったから、まあそこそこの暮らしやった。でもな、わしの背中には誰も乗せないみたいな変なプライドがあってなあ。手余しされていたのよ。そんな時にドラゴンを連れた今のご主人が馬を見に来てなあ。さすがにブルっておったら。わしが余されていると聞いて引き取るいいよったんや。走りが綺麗やからとまで言ってくれてな。最初はビビっておったけど、この先輩もおるし、同じように馬具を痛くないように毎回調整してくれてな、最初は頑張りすぎたりしたけど、先輩のおかげもあって何とかなっとる。しかも干し草も良いのを要求したらな、ちゃんと用意してくれるねん。わしらも家族だからとな。これにはわしも泣いたわ」
「そうですか。でもこうやって自由にさせてもらってますなあ」
「そうや。でもな、わしらわかるねん。この人達は、何かあったら借り出されるんや。せやからいつでも出られるようにわしらも訓練しておかにゃならんねん。遊んでるわけやない」
「そうやで。それかて厩舎に鍵つけないでくれ言うたら鍵をつけないんやで、わしらいつでも逃げられるんや。でもな、その心意気もすごいやろ。その心意気に打たれてなあ。だから何かあった時に全力出せるよう自主練しておるんや。まあ半分気晴らしも入っているけどな」
「最近獣人も入ったから、わしらの立場も危ういねん」
「それは、いいところにいらっしゃいますねえ」
「推薦してやってもええで」
「ほんまですか」
「最近、家族が増え出してなあ。馬車が手狭やねん。馬車を大きくするか、馬車をもう一台増やすかすることになる。せやからもう一頭か二頭欲しがるはずや。ただな、わしらかて誰でもいいわけやない。当然わしらについてこられることが条件になる。わしらと勝負してそこそこやったら推薦してもええで」
「なるほど。前に見た時も朝からずーっとお二人で走っておられましたねえ」
「たまにやっておかんと調子が狂うねん。やる気があったら一度走ってみよか」
「お願いします」
「その前に飯やな。うちに来い」
「いいんでっか?」
「うちのご主人様はそういうことにはこだわらん。なんせ、全然知らん獣人達とも飯食うようなお人や大丈夫や」
「そうなんでっか」
「あんときも驚いたなあ。ちょっと前まで戦おうとしていたんやで、それなのに和気藹々と飯食いだしたからな」
「はあ、どんな人でっか」
「不思議な人としか言い様がないな。そういえば、女たらしならぬ人たらしとか言われておったな」
「まあ、たらしとるんは、人や無くて他種族ばかりやがなあ」
「ちがいないわ」
○私とメアさん
「最近干し草の減りがはやいですねえ」
「はい。実はもう一頭食べに来ている馬がいます」
「そうですか。アとウンは、それを知っているのですか?」
「というより、分け与えているようです」
「友達できましたか」
「なにか、テストしているみたいですよ」
「テストですか」
「気になって朝の散歩の様子を見てきたのですが、3頭で全力疾走でかなり長時間走っていました」
「なるほど、確かに家族全員で移動するとなると今の馬車だけではちょっと手狭ですねえ」
「はい、もう一つ馬車を増やすか、一回り大きいのを用意した方が良いかと思います」
「アとウンも考えているんですかねえ」
「たぶん、ついて来られるようならご主人様の前に連れてくるような気がします」
「その日は近そうですねえ」
閑話終わり
続く
「はい」メアはそう言って席を外し、2着の服を持って戻ってくる。
「これはなんですか?」レイが手渡された服を見ながら言いました。
「私の世界ではつなぎという作業服です。ですが、伸縮性に富む素材で作ってありますから破けません。体型が変わってもフィットするようにできています。獣化にも対応しています」
「私の分もあるのですか?」メアがパムにも服を渡した。
「はい。パムの服は、インナーとして使ってください。魔力を使って筋量を変化させた時に、耐魔法防御強化と耐物理強化と身体強化を付与されるようにしてあります。レイには、魔法による手足の強化をするようになっています」
「親方様。出会って間もない僕の分までありがとうございます。もしかして、獣化した時にいろいろなところをさわっていたのは・・・」レイがハッとして言いかけました。
「ごめんなさい。単に趣味で触っていたわけではないのです」
「ありがとうございます。あの時は、親方様けっこう変態さんですか?とか思ってました。すいません」レイの耳が少しだけ下がったように見えました。
「いや、趣味も半分ありましたから。もとい、もちろん他の皆さんにも用意しましたが、そんなことになって欲しくないと思っています。でも、パムさん、レイ、でかけるならこの服を持って行ってください」私の言葉に二人とも服を抱きしめました。
「気をつけてください。無理をすると破けるかもしれませんので、念のため替えの服は持って行ってください」
「あの時の服は大変助かりました。肌の出ているところの細かい擦り傷以外は、ほとんど気にせず全力で走られましたから」パムとレイがうれしそうにしているが、他のみんなが不満そうだ。ええ、ズルいという感情がバリバリ伝わってきます。
「えーとすいません、真剣な話の途中で。でも、他の家族も何か不満げですので、皆さんの分もちゃんと用意してありますよ。ユーリもアンジーも体型の変化がありますので、皆さんに合うようにと考えてあります。アンジーは、物理耐性、耐闇属性をメインにユーリは、魔法強化と耐物理を、エルフィは、魔法強化を付与して作ってありますから」
「わしのはないのか」モーラが不満げです。
「モーラには替えのお洋服だけですね」
「どうしてじゃ」
「いや必要ないでしょう。この世界の頂点。最強の生物なんですから」
「なんかくやしいのう」寂しそうに言いました。
「モーラ様。ご主人様はそんなことしませんよ。本当は作ってあります。モーラ様がその姿の時に気配を消すことができる服です」
「メアさん甘やかさないでください」
「なんじゃ作っているのか。まあよい。エリスこの者達を頼んだ」急に元気にモーラは言った。現金ですねえ。
「どちらかというと私が守られる側だと思うのですけど」
「物理的にはな。じゃが魔法的にはこやつらは無力じゃ」
「ああそうね。わかったわ」
「では行ってきます」
「あの~旅の支度はしましょ~」
「あ、そうですね」
「はい」
「私はどうしましょう」ミカさんが所在なげだ。
「旅の支度が調うまで少し待て。同行は許可する。しかし連絡を絶やすな」
「はい」
「お茶です」
「ありがとう。メアあなたも大変ね。服飾までしているの?」エリスさんがメアにそう尋ねる。
「大変なことは何も。ご主人様は、私のためには専用のメイド服を考えていただきました。それはとてもうれしいことです」
「あなたが喜ぶなんて珍しいわね。それはどんなものなの?」どうせ碌でもない機能をつけているのだろうとエリスさんが聞きました。
「ご主人様お話ししてもよろしいですね?実は魔力のリチャージシステムです」メアが嬉しそうに胸を張って言いました。
「リチャージシステム?」怪訝そうな顔のエリスさんです。
「はい。つまり戦闘時に体を動かして、放出したり物理に変換したりした魔力のうち使われなかった魔力を回収して体内に吸収させることができます。簡単に言うと、魔力量の効率活用ができるということです」
「そんなことができるの?」エリスさん目を見開いてびっくりしていますが、そんな顔でも美人ですね。
「はい。メアさんの場合、肌の露出が少なくて、肌がほとんど服で包まれていますので、腕を動かした時とか蹴りを出したり走ったりした時の動きをトレースして風の流れを感知してその動きで魔力を励起して体内に回収するようにしました」
「そんなことができるの?」
「ご主人様は試作段階と言っておりますが、ユーリとの戦闘訓練では、残留物の回帰率は15%あります」
「あなたそれは自分で考えたのよね」エリスさんが私をジト目で見ながら言いました。
「いえ、風力発電とモーターの発電を魔法に組み合わせたものですから技術転用ですね」私には新技術開発までできませんからね。
「まったく末恐ろしいわ。これが本格的に実用化されれば魔力の低い者でも普通に魔力消費の激しい魔法を繰り返し使うことも可能かもしれないという事じゃない」エリスさんはあきれた顔で言いました。
「ああそうですねえ、気付きませんでした。よかった、パムに今度使ってもらいましょう」
「こやつ本当に技術バカじゃなあ」モーラは私を見ながらあきれたように言いました。
「本当にそうね。本当に殺しておかなくていいのかしら」エリスさんの冷たい目が痛いです。
「そこまでの事ですか?」私は殺されたくないのでそう答えます。
「レールガン以外は、普通に魔法の改良でしかなのでしょ?いつか誰かが気付いて実用化できるのではないかしら」アンジーがそう答えた。
「よく考えたらそうね。そういう発想がまだ魔法使いにないというだけね」しかしエリスさんはため息をついた。
「さて、先ほど言い損ねた2つめをきこうじゃないか」さすがにモーラが話題を変えた。
「そういえばそうね。一つ目の願いは叶ったからまあいいのだけれど、2番目のはね。これからあなたたちはどうするのかということを答えてほしいのよ」
「ああそうか」
「うちの里がそれを気にしているのよ。結論は必要ないけど方向性を聞いてこいと。まあ、あの子を守ることにするんでしょうけど。このままだとここは襲撃を受け続けることになるから」
「それはどういうことですか?」ユーリがその子をかばうように動いてそう尋ねます。
「それは私から話すわね。私達は今大変まずい立場にあります。その子を元魔王の子を守っています。そして、それが魔族側に知られると、元魔王夫婦が行方不明な事もあって、元魔王派である共存派と魔族絶対主義派のどちらからも狙われることになります」アンジーがスラスラと話し始める。
「かたや擁立するために、かたや殺すためにか?」モーラが相づちを入れる。
「いいえ、擁立派も絶対主義派もどちらも殺そうとするでしょうね」アンジーがサラッとそう言いました。その言葉にその子はビクッとなり、ユーリが厳しい目でアンジーを見ています。
「どうしてそうなる。あ、そうなるのか」モーラは一人で納得してしまいました。
「そう。元魔王の子どもだからといって共存派とは限らないから、殺して絶対主義派のせいにしようとするのよ。なので、どちらの手に落ちても殺す一託になるのよ。死んだ子は何も語れませんからね」アンジーは私を見て言いました。
「でも同族殺しは呪いがあるのですよねえ」私は疑問を尋ねます。
「最近、誰が殺したかわからない方法で殺せば大丈夫ということがまことしやかに流れてきたじゃない。あとは、拉致して獣人や人に殺させるというのも可能よね」アンジーは平気でその子の前で殺す殺すを連発しています。意外に冷たいですよねえ。
「確かにな」
「だから、この子がここにいることは誰にも知られてはいけないのよ」アンジーはそう強く言いました。
「私が動けない理由は何かありますか?」私はどうあっても探しに行きたいのです。この子の為に。
「あなたが元魔王夫婦を探すために動きだせば、元魔王の子がここにいると知れてしまうからよ」アンジーがそう言ってふんぞり返っています。えーなんで?
「普段からそういうことに無関心なあなたが動き出しただけで、勘のいい人達は、いいえ、勘の悪い人達だって何かあると思うに決まっているじゃない。なぜ動いているか理由を探りに来るわよ」アンジーは私をジロリと見て言いました。
「確かにそうじゃな」
「でも、ここには、エリスさんもミカさんも来ているじゃないですか」私は頭が悪いので納得できていません。
「エリスさんは今回の件を調査するためにパムさんを借りに来ただけだし、私だってモーラに二つ名を告げに来ただけですので、勘ぐられることは何もないのですよ」ミカさんがそう言いました。
「話の内容が濃すぎてついて行けない人達がおります」メアさんの指摘に2人を見るとユーリと元魔王の子はぽかんとしている。あ、レイもでした。
「さて。あなたにも状況が理解できたのなら、そこで待っているパムさんとレイさんを連れて出発したいのだけれど」エリスさんが早く出発したそうです。
「パムさん」私は立ち上がったパムに近付いた。
「はい」パムはちょっとビックリしながらも立ち上がった。
「気をつけて。それとこれを」小さい丸い玉のようなものを渡す。
「これを使う時は必ず連れ帰りたい人と体を触れていてください。接触しているものはすべて連れて帰ることはできます。ですから、レイとついでにエリスさんをお願いします」
「わかりました。触っていれば大丈夫なのですね」
「はい。薄く魔法がつながっていればいいのです」
「わかりました。使う状況が来ないことを祈っていてください」
「レイ」私はレイの方を向きました。
「はい」レイもまた立ち上がりました。
「あなたは旅慣れていません。正直不安です。でも、あなたにしかできない事が必ずあります。パムの言う事を聞いてください。パムの指示ならひとりだけで逃げてください。この2人はひとりずつでも必ず生き残れます。あなたもきっと生き残れるでしょう。ですがその後、ここに戻ってくるまでの旅に不安が残ります」私は正直な気持ちを伝えました。辛辣ですかねえ。
「ありがとうございます。独りになったらまっすぐ帰ってきます。行ってきます」
「3人とも気をつけて」
そうして3人を見送るために扉の外にでました。ミカさんがあわてて外に出ようとしています。
「ミカ、ちょっと耳を貸せ」モーラがミカさんの腕を引っ張って顔を近づけた。
「なんでしょう」
「とりあえずな、あの子を里に預かれるか聞いてこい」
「ええ?そんなの無理に決まっているでしょう。一族でもないのに」
「いいか、とりあえず預かれるか聞け。もしダメだと言われたら、長にこう言え。例外的に里で預かったことがあるだろう。知らないとはいわせない。」と言ってやれ。話すのは預かれるか聞いてからだぞ」
「そこに順番があるんですか」
「そうじゃ」
「その結果がどうあれ、ヒメツキにその話をしろ」
「逆じゃあダメなんですか」
「だめじゃ。絶対に順番を違えてはいかんぞ」
「わかりました。それなら自分で行けば良いじゃないですか」
「よいか。ここはわしの領地。ここで魔族や獣人が暴れれば、わしの顔を潰すことになる。じゃがわしが不在なら知らぬ存ぜぬでうやむやにできるのじゃ。今は動けん。頼んだぞ」
「はーい。結果は報告にきます」
「いらぬ」
「結果は見えていると」
「まあな、わしも少しはこの子のためにできることをしてやりたいのじゃ。一縷の可能性にかけてな。ひょっとしたら叶うかも知れんからな」
「ではその用事を先にしてからエリスさん達に合流します」
「頼んだぞ」
そうしてミカさんの手に乗って、パムとレイ、そしてエリスさんは旅だった。私は玄関から出て、残った皆さんと共に見えなくなるまで見送った。
「心配性の過保護の父親じゃな」モーラがヤレヤレという顔で私を見上げているようです。
「まったく。そのくらい信用しなさいよ。いや信頼か」アンジーもあきれています。
「そうなんですけどねえ。一緒にいると安心なんですが、別に動くとなると不安で不安で」
「親馬鹿じゃな」
「さて、やることはいっぱいあるわよ。まずあんたには魔族の匂いや気配が漏れないように結界を修正して欲しいのよ。それと村長にしばらく預かるつもりだったが、さる人に違う場所に連れて行ってもらったと話してきて。あと、エルフィは、アとウンに村に非難したいか確認して。どうせ行きたがらないでしょうけど。あとメアは、籠城用に食料の買い出しをお願い」アンジーがテキパキと指示を出す。
「では、結界の強化の後に一緒に買い出しに行きますか」
「そうですね」メアがそう言いました。
そうして、外に出て結界の状態を確認に家の周囲を回る。
「おや、結界がめちゃくちゃになっていますね。エリスさんが解除するのにかなり苦労したようです。エリスさん、いいでしょう。そのプライドさらにへし折れるよう結界を強化しましょう」そうつぶやいていると、馬小屋にいたエルフィがこちらに来た。
「エルフィ、アとウンはどうでしたか」
「ここから逃げる時に俺らが必要だろうと言って動きませんでした~」
「あの二頭だったらそう言うでしょうねえ。エルフィはモーラと一緒に上空から結界の様子を確認してください」
「ラジャー」だから敬礼しないように
「モーラお願いします」
「うむ、家が無くなっては困るからな」そう言って空に上がった2人ですが、連絡がありません。
「おかしいですねえ。上空から連絡してもいいのに」そうして空を見上げているとモーラが降りてくる。エルフィは途中で飛び降りる。
「戻りました~」飛び降りた反動で私に抱きついてそのまま抱っこされている。
「おかえりなさい。上空から連絡くれても良かったのですが」胸の感触に私はちょっとドギマギしていますが、そう聞きました。
「それが~通じなかったので~す」エルフィは、そう言って足を地面につけて離れた。
「ありゃあ」私がエルフィを見ていると、モーラも空から降りてくる。
「やりすぎじゃ。わしらの連絡まで遮断したら本末転倒じゃろう」
「やりすぎましたか。ちょっと調整しますね」
「急げよ。村まで行くのじゃろう?」
もう一度調整をする。まあ、何枚かの結界を解除するだけなんですが。
「これでどうですかねえ」
「うむ、行ってみようかのう」
「ラジャー」そうしてモーラに連れられて再度上空に向かっていくので、私は、
『ずーっと話しながら上昇してください』脳内通信で話し続ける。
『大丈夫そうですね~』若干ですが声に恐怖が感じられます。大丈夫ですか?
『聞こえますね』
『さっきは~全く聞こえませんでしたが~これなら大丈夫ですね~』
『ちょっと上空まで行くぞ』
『あ、ああああああああああああ』
『エルフィ大丈夫ですかー』
『ああ、シールドなしじゃったな。すまん。って落ちたか?』
『だ、大丈夫ですう。かろうじてうろこに掴まっています~』
『十分聞こえますよ』
『おう、じゃあ戻るか』
『ゆっくりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』
『すまん、しばらくぶりでうれしくてなあ』そう言ってモーラがすぐに戻って来た。
『ひ、ひど・・・い』エルフィがヨレヨレになって戻ってくる。
『とほほ~。後ですね~結界の影響で~景色が少しゆがんで見えますよ~』あの状態でちゃんと確認しているあたりはエルフィさすがです。
『直しますか』
『さすがに明日でいいじゃろう。わしがそんなに頻繁に飛んでいたら何かあったと疑われるからな』
『しかも不動のドラゴンですからねえ』
『あ、それが通り名のはずだったんじゃが、変えられたようじゃのう』
『最近活発に動いていますからねえ』
それから、メアと一緒にアとウンの馬車で村に行きました。エルフィは、お酒の誘惑に勝てそうにないようですし、酔っ払うと何を言い出すかわかりませんので、家の柱に縛り付けて買い物に行きました。だいぶ暴れましたが、お酒を少しだけ買って帰るという約束でおとなしくなりました。家では原則禁酒なんですけどね。
干し草が心許なかったのもあり、ちょっと多めに買いました。
あの子達はだんだん贅沢になってきて困りものです。量も3頭分になりましたし。
帰り際に村長に話してきました。
「というわけで、あの子はさる人に連れて行ってもらいました。ですからご迷惑はおかけしないと思います。皆さんにそうお伝えください」
「ほっほっほ、そういうことにしておくわ。皆には聞かれたら答えることにして、わしからはあえて言わんでおく。皆もわざわざ聞かんと思うしなあ」
「あと、今後何か問題が起きたら私たちはここから離れます」
「問題がおきたからといってすぐ離れるというのはどうかね。その時に村のみんなから意見を聞いて、答えが出てからの方がいいんじゃないか。勝手に出て行かれると、わしが追い出したんじゃ無いかと言われるかもしれんし。わしらはあんた達には助けられていて感謝していることの方が多いから、問題があっても残って欲しいとみんなは思っているんじゃないか?」
「ありがとうございます。では失礼します」
「ひとつ忠告しておこうかの。こういうことは自分ひとりで抱えないことじゃ。村に何か迷惑がかかるとか考えないで、何かあったら相談してくれ」
「ありがとうございます」
そうして、村長のところを辞しました。
大量の食料を抱えて家に戻りました。アとウンは、その後走りに行きました。元気が有り余っていますからねえ。え?リハビリですか。
夕食の用意をメアさんが始めました。なんとその子は手伝うと言って台所に行ってしまいました。
「気を使っているのよ。切ないわね」アンジーがその姿を見て言いました。いや、プレッシャーをかけていたあなたが言いますか?
「今更ですけど、あの子はどこまで知っていたのですか」私はアンジーに聞いた。
「全部よ。自分が元魔王の子であること。教えたのは元魔王派の者だったこと。それを両親が黙っていたので知らないふりをしていたこと。とかかしらね」
「あまりにも良い子すぎますねえ。親の教えもあるのでしょうけど、本人の心根の問題ですかねえ」
「その子が生まれて来てその純粋な言葉に両親が共存派に宗旨替えしたという噂もあるくらいなのよ」
「いい子過ぎて魔族の中では扱いが難しそうですね」
「わたしも聞いたのは又聞きで、それもあくまで噂なので、信憑性は不明だけどね」
翌朝から、私たちはいつもどおりの生活をすることとしました。
数日は、何事も無くまるでこれが日常かというように過ぎていきました。
その日は、モーラが自分の洞窟を確認に行き、ユーリは家の中でその子と一緒に過ごし、我々は薬草の栽培場所に品質チェックをしに行くことにしていました。アンジーだけは村に定時連絡に行ったあと、薬草の栽培場所に合流する事になっていました。
少し離れた森の中にテスト株をいくつかと、それ以外の栽培用株の畑が作ってあります。
「どうですかね~」エルフィが葉をひとつまみ摘み取って葉の両面を目視したのち、匂いを嗅ぎ、ぱくりと口に入れる。
「大丈夫そうです~今のところ順調ですね~」さすがに数回かんだ後に手の中に吐き出して土に混ぜました。
「雑草を少し残したのが良かったですかねえ」
「わたしの回復魔法と~親和性が高くなっていますから~効能はちょっと落ちますね~」エルフィが首をかしげています。
「親和性が高くなると効能がおちるのですか?」
「わたしの回復魔法の補助薬としてはいいのですが~単独使用では、ちょっと落ちるかも知れません~でも~前に栽培してた時より効果は出ているみたいですよ~」エルフィが自慢げにいいました。
「わかりました。このまま育てましょう。なかなか量産体制が整いませんでしたから、効果としてはこのくらいで良いのでしょう。即効性はわかりますか?」
「わかりませんけど、同じくらいじゃないですか~」エルフィが大丈夫だと笑って言いました。
「即効性を売りにしているので向上して欲しいのですけどねえ」エルフィの笑顔に癒やされながら私は言った。
『雲行きが怪しくなってきたわよ』アンジーが脳内会話をしてくる。
『どうしましたか?』
『ここにあの子がいることがばれている可能性があるわ』
『こんなに早くですか?』
『ええ、なので私たちも家の中で静かにしていないとまずいかも。すぐ戻るわ』
『はい』
今日の収穫分を馬車に詰め込み、エルフィとメアさんに段取りを話して、馬車で家まで戻りました。エルフィが馬を厩舎に戻しに行き、私とメアさんが納屋に薬草を運び込んでから家の玄関まで来たところ、パムとレイとエリスさんが倒れているのを見つけました。
『エルフィけが人です、至急治療を』
『どこですか~』
『玄関前です』
『あれ?本当だ~3人いますね~監視していたのにレーダーに引っかかりませんでしたよ?』
『その辺は後で教えます。とりあえず急いで』
『はいい』
『アンジー今どこですか』
『馬が・・・馬が~~~~』
『アンジーさんどうしましたかアンジー』
『大丈夫よ。馬がね、野生の馬が、私を乗せて走っているのよ』
『言っている意味がわかりません。野生の馬がですか?』
『そうよ。どうして道を知っているのかわからないけど、家に向かってまっしぐらよ』
『わかりました。この状態で話せますか』
『内容も内容だから。あとこの振動の中話すのはちょっと』
『到着を待ちます』
『わしもこれから戻るわ』
『洞窟の方は大丈夫ですか?』
『ああ、なんともなかったわ』
○閑話 馬の会話
今より少し前、アとウンの2頭は今日も朝から勝手に外に出て走り回っている。二頭が一息ついた時に知らない馬が近づいてきた。
「お二人さん、はじめまして」
「なんや野良の馬かいな、どないしたんや」
「はい、実は飼い主とケンカしまして、餌ももらえなくなったので、飛び出してきました」
「なにがあったんや」
「うちの飼い主、乗馬が下手なくせに馬のせいにしよりますねん。干し草もまずいですし、文句ゆうたら今度はどつかれまして、お前みたいな奴いらんゆうて、森に放り出されてしまったんですわ」
「まあ、そりがあわんちゅやつやな」
「それで森の中をうろうろしていたらあんさん方をお見かけしまして、なんやら自由そうでええなあと、何日か眺めておりました」
「何日も眺めとったんかい。お前暇やな」
「最初に馬小屋までこっそりついていったんですが、さすがにドラゴンの匂いやらで近づけませんでした。どやったらドラゴンなんかと一緒に暮らせるのか気になって声かけさしてもらいましたんですわ」
「ああそうやな。最初はわしもビビっておったからな。わしよりこの方が先輩や。わしの前からドラゴンと一緒に暮らしておるから聞かせてもらえ」
「よろしゅうお願いします」
「なんじゃ、うちに来たいんか」
「まあ、それもあります」
「うちは過酷やぞ。正直しんどいことも多い」
「はあ、そうは見えまへんけど」
「今は静かな時期やねん。これまではいろいろあってな。うちの連中が魔獣と渡り合うところにだまーって馬車引いたまま我慢して動かずいたりするんやで」
「そうそう、魔族の大群をうちの人達が倒すのを横で待っていたり」
「そうや、かなりしんどいんや。それでもうちにきたいか」
「おもしろそうですなあ」
「おもしろい言うんか。死の瀬戸際におるんやぞ。逃げるわけにもいかんのや。戦っているそばで、ただ待っているだけなんや。自分たちに魔獣が襲ってきてもな」
「どうして一緒におるんですか」
「拾ってもらった恩やな。わしはな、とんでもない性悪でな、この村にもらわれてきた時には、手がつけられんかったんや。でもな、あのドラゴンさんのご主人にもらわれてな。最初はドラゴンの匂いにビビったものよ。でもな、その主人の人は優しい人でな。わしに馬具をつける時にも痛くないように気を使ってくれて、調子を聞いてちゃんと調整してくれるのや。それも何回も何回も調整してくれて、すごいええ人やで、今でもブラッシングしながらやさしゅう声かけてくれてな。今では、一緒におるエルフの人をつてにわしらの要求をちゃんと聞いてくれるんや」
「へえ、わしらの言葉わかるんですか」
「そうや、ほれお前も話してやれ」
「わしは、その次の街におってな。わしもいわゆるワルやったんや。捕まえられて売られた先は金持ちやったから、まあそこそこの暮らしやった。でもな、わしの背中には誰も乗せないみたいな変なプライドがあってなあ。手余しされていたのよ。そんな時にドラゴンを連れた今のご主人が馬を見に来てなあ。さすがにブルっておったら。わしが余されていると聞いて引き取るいいよったんや。走りが綺麗やからとまで言ってくれてな。最初はビビっておったけど、この先輩もおるし、同じように馬具を痛くないように毎回調整してくれてな、最初は頑張りすぎたりしたけど、先輩のおかげもあって何とかなっとる。しかも干し草も良いのを要求したらな、ちゃんと用意してくれるねん。わしらも家族だからとな。これにはわしも泣いたわ」
「そうですか。でもこうやって自由にさせてもらってますなあ」
「そうや。でもな、わしらわかるねん。この人達は、何かあったら借り出されるんや。せやからいつでも出られるようにわしらも訓練しておかにゃならんねん。遊んでるわけやない」
「そうやで。それかて厩舎に鍵つけないでくれ言うたら鍵をつけないんやで、わしらいつでも逃げられるんや。でもな、その心意気もすごいやろ。その心意気に打たれてなあ。だから何かあった時に全力出せるよう自主練しておるんや。まあ半分気晴らしも入っているけどな」
「最近獣人も入ったから、わしらの立場も危ういねん」
「それは、いいところにいらっしゃいますねえ」
「推薦してやってもええで」
「ほんまですか」
「最近、家族が増え出してなあ。馬車が手狭やねん。馬車を大きくするか、馬車をもう一台増やすかすることになる。せやからもう一頭か二頭欲しがるはずや。ただな、わしらかて誰でもいいわけやない。当然わしらについてこられることが条件になる。わしらと勝負してそこそこやったら推薦してもええで」
「なるほど。前に見た時も朝からずーっとお二人で走っておられましたねえ」
「たまにやっておかんと調子が狂うねん。やる気があったら一度走ってみよか」
「お願いします」
「その前に飯やな。うちに来い」
「いいんでっか?」
「うちのご主人様はそういうことにはこだわらん。なんせ、全然知らん獣人達とも飯食うようなお人や大丈夫や」
「そうなんでっか」
「あんときも驚いたなあ。ちょっと前まで戦おうとしていたんやで、それなのに和気藹々と飯食いだしたからな」
「はあ、どんな人でっか」
「不思議な人としか言い様がないな。そういえば、女たらしならぬ人たらしとか言われておったな」
「まあ、たらしとるんは、人や無くて他種族ばかりやがなあ」
「ちがいないわ」
○私とメアさん
「最近干し草の減りがはやいですねえ」
「はい。実はもう一頭食べに来ている馬がいます」
「そうですか。アとウンは、それを知っているのですか?」
「というより、分け与えているようです」
「友達できましたか」
「なにか、テストしているみたいですよ」
「テストですか」
「気になって朝の散歩の様子を見てきたのですが、3頭で全力疾走でかなり長時間走っていました」
「なるほど、確かに家族全員で移動するとなると今の馬車だけではちょっと手狭ですねえ」
「はい、もう一つ馬車を増やすか、一回り大きいのを用意した方が良いかと思います」
「アとウンも考えているんですかねえ」
「たぶん、ついて来られるようならご主人様の前に連れてくるような気がします」
「その日は近そうですねえ」
閑話終わり
続く
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