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第9話 DT同居人が増える

第9-8話 収穫祭といえばメイド(後編)

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○ メイド喫茶2日目で最終日
 今朝は、みんながヘトヘトのようです。
「起こしてくださいよ」私は居間のテーブルでバテている皆さんに声を掛けました。
「おぬしばかりに何でもやらせてはなあ」
「そうよ、私達も頑張れるというところを見せないとねえ」とはアンジーです
「あるじ様、シャワー浴びてきてください」ユーリが言った。
「皆さんも一度浴びた方が良いですよ」
「そうねそうするわ」
 朝のシャワーはすっきりします。そして食材を家から店に搬入しました。さすがに昨日ほどではありませんが、列が出来ています。昨日予約券を配ったので、ここにいる人達はキャンセル待ちの券が欲しい人達です。
「券の発行は私達がやります」と領主様のところのメイドさん達がやってくれることになったので、行列はすぐ解消となりました。しかしまた並んでいる人がいます。キャンセル待ちの券を追加で発行して欲しいということなのですが、すでに予約席と同数のキャンセル待ちの券を発行しているので諦めてもらいました。
「さて開店です」手順がわかっている分昨日よりもスムーズです。午前中から軽食もオーダーできるようにしました。今日は軽食が飛ぶように売れています。
「これおいし~。かかっている調味料何かしら。ソースじゃないみたい」
「不思議な味~癖になるわねえ」
「本当にそうね」
 やはり醤油の威力は絶大です。メイド服に見とれる人は、そんなにいなくなり、食事の美味しさに関心が向かっています。もちろん、男の人達はメイド服を見ながらガツガツと食べています。
「ごちそうさま。おいしかった~また食べたいね」そう言われて思わず私は「またのご来店をお待ちしています」と言いそうになりました。
 その噂が広まったのか、軽食を頼む人が増えて予定していたスイーツがあまりオーダーされなくなりました。フードロスになりそうです。
「ご主人様大丈夫です。昨日多めに出したので、今日は昨日ほど在庫はありません」
 そうでした。今日の分も昨日店に出したので、今朝作ってくれた分しかないのでした。
「最終的には子供達に配れば良いであろう。問題なかろう」
「そうですけど」
「いらっしゃいませ~」
 その時入ってきたのは領主様でした。
「カウンターに座ります」領主様はそう言って、カウンターに来ました。
「いらっしゃいませ、何にしますか?」
 私は水を出しながら、カウンターに置いてあるメニューを見せる。
「今夜の皆さんの予定がいただきたい」真剣な顔で領主様が言いました。
「はあ?」
「いやまず。プリン付きの紅茶セットをお願いします」
「わかりました。オーダー入ります。プリティーセットひとつ」
「わかりました~」厨房からの声と同時に伝票の控えをメアに渡す。
「さて今夜の予定ですか」
「はい。昨日の踊りの輪のあと居酒屋にと話していましたが来られなくなりましたよね」そんな怒って言わなくても。
「すいませんでした。私が倒れてしまって。みんなが一緒に帰ってくれて、私の代わりに今日の準備をしてくれましたのです」
「そうでしたか。それはすいませんでした。理由がわからなかったので皆さんどうしてこないんだと私に文句をつけて来られまして。今日は絶対連れてこいと私に言ってきたのですよ」汗を拭きながら領主様が言いました。珍しいですねえ。そんなに緊迫した事態だったとは知りませんでした。
「こちらプリンと紅茶のセットになります」そう言ってメアさんがテーブルに紅茶とプリンを置いた。
「メアさん。そうならそうと言ってくれれば良かったのに」すがるような目でメアに領主様は言いました。
「倒れたと言っても眠ってしまっただけなのです。ですからそのまま話すことも出来ず、急遽用事が出来たことにしました。実は最近の睡眠不足がたたって、そのまま朝まで寝ていましたのです。過労ですね」メアは淡々と説明しました。まあ、来られない理由が過労とはさすがに恥ずかしくて私なら言えません。
「今は大丈夫なのですか」
「ええ、睡眠さえ取れればなんとかなりますよ。病気ではありませんから」
「今夜は大丈夫でしょうか。その皆さんも」心配そうに領主様が周囲を見回す。
「たぶん大丈夫じゃないでしょうか。ひとりずつ聞いてみますか?」
「楽しみ~」とエルフィ
「大丈夫です」とユーリ
「もちろん行くわよ」とアンジー
「わしも行く」とモーラ
「キャロル次第ねえ」とヒメツキさん
「モーラ様が行くなら」とミカさん
「仕方ないわね」とエリスさん
「とこんなどころですねえ。ああメアさん」
「ご主人様が行かれるのであれば」
「だそうです。大丈夫そうですね」
「それとですね、言いづらいのですが・・・衣装は・・・その」領主様が汗を拭きながら言いづらそうにしています。
「ああ、メイド服を着ろと」
「皆さん収穫祭の準備と出店で見ていないものですから是非にと」恐縮して汗を拭きながら領主様が言いました。いつもの威厳はどこに置いて来ましたか。
「なるほど。これも聞いてみないことには。なんとも」
「あー仕方ないわね来られなかった人達なんでしょ」アンジー
「主催者側はいつも割を食うからのう。仕方なかろう」モーラ
「僕はどちらを来た方が良いですかね」ユーリは、今着ているタキシードを見ながら言った。
「私としてはユーリに可愛い方を着て欲しいのでメイド服ですね。まあ、他の人に見せるのはとはもったいないと思いますが、一方で見せびらかしたいとも思っていますので」と私が言った。
「じゃあメイド服で行きます」嬉しそうですねえ。
「キャロルはどう思う?うれしいの?なら着ようかしら」とヒメツキさん
「ヒメ様が着るのなら合わせます」
「居酒屋ってここより広いんでしたっけ。お祭りの片付けもあるから、それが終わるまでにここを少し広げてここでやったらいいじゃない」とエリスさんが大胆な発言。
「なるほどそう言う手がありましたね。できますかねえ」となぜか領主様が乗り気です。
「そうですねえ、そこの扉だけ外せばかなり広くなりますし、あとは椅子とテーブルが欲しいですかねえ。」
「とりあえず女将さんと相談してきます」領主様が椅子から降りました。
「あまり服を汚したくないので、こちらで給仕をしたいのです」ああ、メアさん汚したくありませんか。あそこのワンオフのメイド服ですからねえ。
「確かに作る側としては汚れるのは嫌ですよねえ」
「はい。居酒屋の方が汚れる率が高くなるのですよ。酔っ払いが出るので」
「確かに」
 そうして夕方になり、店を閉める時に色々な資材が運び込まれてきました。
「さて閉店の札を下げるのではなくて壁を壊しますよ」
「ラジャー」そう言っていきなり作業に入ろうとするエルフィ。しかし、
「エルフィさん着替えなさい。メイド服でやる作業ではありません」
「ちぇーーー」残念そうにエルフィは着替えました。
 ここの壁は、取り壊しが簡単にできるように作ってあります。軒下から壁を外すように作っているので留め具を外すと扉を挟んで壁が倒れる仕組みです。
「簡単に外れるのう。ここでご苦労さん会をやることまで考えていたのか」モーラが私を見て言いました。
「いいえ。解体するのが簡単なようにしていただけですよ。ですから要所要所の柱は残さなければなりません」
「楽に壊せるか、それを考えているところがもう日常生活系魔法使いたる証左だよなあ」
「扉側の壁と扉は外して裏手に置き、壁のあったところの柱に筋交いを少しだけつけてください」私はエルフィに簡単な指示を出しました。エルフィならこれでわかるはずなのです。
 さらに露天のテーブルと椅子が運び込まれて、玄関前だったところに並べていく。
「おう待たせたねえ。ではこっちに酒を運んでおくれ」そうして、何樽かの大きい樽を人夫を使って運び込まれる。さらにコップや皿までが持ちこまれました。
「宴会が始まったら悪いけど、食べ物だけテーブルに持って行ってくれないか」女将さんが腰をさすりながら言いました。
「酒はどうするんですか」
「ここに来て自分で注いでもらうことにするよ。腰を痛めてねあまり動きたくないんだよ」
 そうして準備を進めているとすでにお客が続々と集まってくるる。
「いらっしゃいませ~」キャロルが見よう見まねで玄関のあったあたりでお辞儀をした。
「おう挨拶できて偉いねえ」そう言ってその男は頭を撫でて奥のテーブルを目指して座る。
「すいません。女将さん腰痛めたらしくて自分で酒を注いで欲しいそうでカウンターへお越しください」
「なんだまたやったのか。どれ、あ、つまみは肉の串焼きを頼む。そこのテーブルに置いてくれ」そう言って男はカウンターに行く。
「なんだばばあ。またやったのか。しょうがねえなあ。ほれ」そう言って硬貨をカウンターに投げ、そこに置いてある樽からカップに泡麦酒を注ぐ。最初なので泡ばかりだ。
「これはひでえな泡だけじゃねえか」
「おかわりはただにしてやるよ。ありがたく思え」
「いや泡だけだぜこれ。これに金払えってか」
「お前の入れ方が下手なだけだろうが」
「そうかいそうかい」そう言ってそこで泡を飲み干し、自分で再びカップに注ぐ。
「今度も泡多いじゃねえか」
「だからおまえが下手なんだって。次は入れてやるよ」
「ああそうしてくれ」そう言って男はカップを持って席に戻る。店の露天をやっている人達がどんどん入ってくる。そして、次々と自分で酒を注いで席に持って行く。席に着いたところにメイド服の誰かが席に行って、食べ物の注文を聞いている。お互い初めてのはずなのに手慣れたものだ。
 カウンターに一人酒を持ってきて、私に言った。
「昨日倒れたんだってなあ」
「ええまあ」
「そりゃあすまなかった。俺ら楽しみにしてた分落胆も大きくてなあ、あんたのことを恨んでたのよ。でも、この店のために睡眠時間削ってたんだってなあ。すまなかった」
「別に謝られても」
「でも、今日は祭りも終わったし倒れるまで飲んでくれよ」
「ありがとうございます」
 その後、撤収が完了したのか商人さんと露天の元締めさんが現れました。さらに少し遅れて領主様も到着してようやく乾杯です。すでに皆さんほろ酔いでしたけど。
「収穫祭お疲れ様!乾杯~」全員の杯が掲げられ一気に騒がしくなる。
 それでも私達に気を遣って、食べ物も飲み物も自分で取りに来ている。メイド服姿が妙に際立っているが、みんな楽しそうに話している。ヒメツキさんやミカさんキャロルは、たぶん露天の人の奥さん達なのだろう。子ども連れも多くそちらに引っ張り込まれていた。
『モーラ少し席を外しますね。飲み過ぎ注意ですよ』
『どこに行くんじゃ』
『秘密です』
 私はそう言って、露天の並ぶ通りを抜けて、商店のある方に向かった。そこに一件だけほの明るい店があり、そこの扉を開ける。
 ドアベルがカランカランと静かに音を立てる。
「いらっしゃい。ああそうか」
「こんにちは。来ました」そう言ってカウンターに座る。
「今日は何にする」コップを磨いている手を休めずにマスターは言った。
「もちろんコーヒーです」
「うちは、バーなんだがねえ」
 マスターはうれしそうに笑いながらそう言った。すでにアルコールランプには火が入っている。
「アルコール弱いので」
「そうだったな」棚にある瓶を出して、そこから豆をスプーンですくい、手回しのコーヒーミルでゴリゴリとその豆を挽いた。挽いた粉をサイフォンの上に入れて、水の入ったサイフォンに乗せる。もちろん中の布は装着済みだ。しばらく待つと、沸騰して泡と共にコーヒー豆の入っているところに駆け上がっていく。丁寧にお湯と粉とを混ぜて、下に下がるのを待っている。ほどなく下にコーヒーが落ち着き、カップに入れて、私の方に出されてくる。
「どうだ収穫祭は楽しかったかい」
「ええ、本当にいい人達ばかりで」
「そうだな、まだここには居るのかい?」
「どうでしょう。多分もう少ししたら旅立つことになりそうです」
「時間が出来たらまた来ると良い」
「たまにしかやっていませんよね」
「そうではないんだがなあ」マスターは苦笑いしている。
「さて、そろそろ戻りますね。また機会があったらここに顔出します」
「久しぶりに会えて良かったよ」
「私もです」
「気をつけてな」
「では」
 そう言ってドアベルの音と共に私はその店を出た。振り向くと店の明かりは消えていた。
『おや、おぬし聞こえているか?』
『聞こえましたよ』
『気配がなくなったからびっくりしたぞ。何かあったのか?』
『なにもありませんよ』
『そろそろ帰るぞ。キャロルが寝てしまったのでなあ。わしらも潮時じゃろう』
『すぐ戻ります』
 私は足早に通りを抜けて宴会場に戻った。
 店の奥にエルフィとメアさんが寝ていました。
「メアさんがですか?」
「おう、さすがにみんなの手前わしが抱えるわけにもいかんのでなあ」
「エルフィは起きていますね。私はメアさんを背負います」
「エルフィ起きろ。わしだモーラだ起きないとー」
「目が覚めました~おはようございます~」エルフィはなぜか起き上がって敬礼をしています。寝ぼけていますねえ。
「さあ帰りますよ」
「メアさんがそうですか。じゃあ帰りましょう」そう言ってエルフィは、ぴょんと飛び起きました。
「ではまたね」エリスさんが着替えてメイド服を抱えたまま戻って行った。
「明日は店の解体ですねえ」
「それがねえ、なぜか孤児院の維持費のために経営してくれることになったのよ。なので、これを違う場所に移すらしくて、私達に解体しなくて良いと言ってくれたのよ」
「そうでしたか。使ってくれるならうれしいです。けっこう気合い入れて作りましたから」
 まだ残って飲んでいる人達に挨拶をして私達は帰ります。ミカさんも疲れたようでユーリの背中で寝ています。
「ミカも酒に弱い方じゃったなあ」
「年齢的にまだ無理でしょう?」
「好きな奴は生まれてすぐに飲み始めるわ」
「そういえばモーラはそうだったわねえ」
「そうよ、じじいどもが面白がって飲ませよって。おかげでしばらく飲み癖がついたわ」
「なるほどね」
 そうして家に戻り、お風呂に入っている。メアさんは眠ったままだ。
「大丈夫でしょうか」ユーリが気にしている。
「わしらじゃメアのことはよくわからん」
「そうよねえ、人間の英知の結晶だから」
「ブクブクブク」エルフィが半分寝ていて、口がすでに水没しています。
「さすがに上がろうか」
「そうですねえ。」
 次の日にはメアさんはすっかり元気になっていました。
「実は、昨日飲み過ぎまして。もう大丈夫です」
 そうして、メイド喫茶は終了したのです。
 それから私は、ひとりになるとついついその時の皆さんの様子を思い出して楽しんでいます。エロい見方が出来ない自分が変なのかもしれませんが、みんながフリルフリフリのメイド服でフリルを振りまきながら給仕をしている姿がなぜか楽しいのです。なぜか幸せなのですよ。
「この変態!!」あ、アンジーさんに罵倒されました。
「おぬしの性癖がよくわかったわ」とモーラ
「それは~ちょっと~ドン引きなのです~」ドン引きはちょっとではありませんねエルフィ
「さすがの僕もちょっと引いています」とユーリ
「そうですね。確かに」とメアがくそデカため息をついて私を見下しています。
 それは仕方ないですね。だってみんな一生懸命で楽しそうに笑っていて、とても素敵だったんです。
「だからそう言うことを平気で思うなー」アンジーさんそれはないでしょう。勝手に私の頭覗いているのですから。




続く
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