UWWO ~無表情系引きこもり少女は暗躍する?~

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
上 下
201 / 261
ハウジングと第3エリア

41:習熟度

しおりを挟む
 
 簡易エンチャントで必要な数だけ森熊の毛皮を強化した後、それに強化剤を使うのだけど、強化剤は液体状のアイテムなので毛皮に掛けて使うわけなのだよね。液体のアイテムをこのまま掛けても大丈夫なのだろうかと、少し不安になった。

 こぼれないのかなこれ。いや、こぼれるよね? しかも、これだと毛皮1枚分にしか使えないし……あっと。強化剤を作った鍋に毛皮を入れてそこで使えばいいのか。

 作る物を決めた後にもう一度強化剤を作った後にかたしていた鍋を机の上に置き、その中に簡易エンチャントで強化した森熊の毛皮を入れ、その上から強化剤を掛けていく。
 作る物が腰・胴用の2枠装備なため使う強化剤は2つなので、1つ目の強化剤を掛け終わると2本目も同じように鍋の中にある毛皮に掛けていく。
 強化剤は毛皮に掛かるとそのまま染み込んで行き、鍋の底に溜まるようなことはなかった。

 ……別に鍋は必要なかったやつかな? 強化する素材を纏めて置いておいてその上から掛ければ問題なかった感じかも。次からはそのまま使うことにしよう。

 強化剤を掛け終わった毛皮を鍋から取り出す。見た目的には何の変化はないし、【鑑定】してみたけど説明文にも変化はない。

 これは簡易エンチャントと同じパターンみたいだね。この素材を使ってアイテムを作ってみないと本当に効果が出ているかわからない厄介なタイプ。
 まあ、だからガルスはとりあえず一回使ってみろって指示を出したのだろうけど。



 上級採取師のツナギを作り始めて30分ほど。ようやく服が完成した。途中、【木工】でボタンを【細工】でピンを作った所為で少し時間がかかったけれど、その分納得できるものが出来たと思う。


[(防具)採取師のツナギ Ra:C Qu:B Du:120/120 SAS:72800]
 採取師のために作られた服。戦闘用ではないが、採取中に襲われ難いように、なるべく自然に溶け込むような色合い、また採取時に負担なく体を動かせるようなデザインになっている。
 装備部位:胴・腰
 追加能力:STR+20 VIT+20+2 DEX+2 LUK+2
 装備効果:採取アイテムのQuアップ(小) VIT+11 DEX+10 LUK+11


 つよ……いのかな? 採取用の装備としては強いような気もする。普通の装備として見ればステ1つ毎の上昇量がそこまで大きくないから微妙だけど、ステータスの総上昇量は78とまあまあ。今装備している胴と腰の防具の合計が82だからそこまで差はないね。
 というか、それを考えれば採取系の装備としてはかなり強いのか。ステータスアップ以外の装備効果が1つしかないから、そこで差があるのだけど。
 ただやっぱり、ステが上がるのが4種もあるから、浅く広く感はあるかな。それに採取系の装備としてはSTRが上がる必要ないし、無駄感があるね。

 それで強化剤の効果だけど、追加能力のSTRとVITの+20表記は森熊の毛皮を簡易エンチャントして得られたものだろうから、他の+2の表記が逸れの効果なのだろう。となればQu:Dで本来の性能から+20%するだけの性能が強化剤にはあるということだ。装備効果の中途半端な数値はボタンとピンの追加分かな。

 これでQuが上がったらどのくらい防具の性能を上げることができるのだろうか。まあ、この時点で作ることができるレシピだから上位版もあるだろうし、そこまで大きな数値にはならないよね。良くて30%かな。

「おう、出来たのか」
「あ、はい」

 製作物が出来上がったのを見計らってなのか、丁度いいタイミングでガルスが私の所に来た。

「これにしたのか。ちゃんと強化剤は2つ使ったか?」

 ガルスの問いに私は首を縦に振って答える。

「ならいい。確認していいか?」
「どうぞ」

 ガルスは私が作った採取師のツナギを手に持って確認していく。【鑑定】を使っていないのかじっくりと観察している。

「問題はないな。強化剤の方もしっかりと効果を発揮している。他の追加効果も乗っているが、これはさっき光っていたやつだよな?」
「そう」
「となると【錬金】によるものか。上昇量としてはかなり大きいがASの増加が駄目だな。Quは悪くないが物にしては高ぎる。完全に製作者が使う用だな」

 まあ、それ目的で作ったからね。本当に売るつもりだったら簡易エンチャントは1回か2回に抑える。そうしないとこれと同じで能力の割にASが高すぎるて売れなくなる。

「ま、これで強化剤の使い方も効果の出方もわかっただろ」
「うん」
「それじゃあ次は、と言いたいところだが、この先に進む前に強化剤をもう少し安定して作れるようにならないと駄目だな」

 ぬ? まだもっと作れと?

「出来ればQu:Bで安定させられるようになるのが目標だな。それ以上だと、素材のQuも絡んで来るから安定させるのは相当難しいが、それ以外であればそこまで素材の良し悪しはあまり影響しない。さすがに低Quの素材しか使わないとなるとCが限界だろうが」

 え? もしかして装備とか元から数を作らない物以外、習熟度とかのマスクデータが存在している?
 そういえば最近ポーションは殆どQu:Bで固定されているな。使っている素材のQuは結構ばらつきがあるのだけど、そういう理由だったのか。たまにQu:Aが出来るけど、それは素材の影響だろうし。

 私が首をかしげて考えている姿を見て納得していないと思ったのか、ガルスが続けて説明する。

「基本的に製作数の少ない消費アイテムはQuが安定し難い。それは、そのアイテムに対する理解度が低いからだ。だからいくつも同じアイテムを作ることでQuを安定させることができる。普段から使うよな消費アイテムであればこれを機にする必要はないのだが、強化剤となると頻繁に数を作るものでもないからな」
「あぁ、たしかに」

 強化剤とかはたしかに必要なとき以外はほとんど作らないだろうね。使う素材の事を考慮すると委託に流してもほとんど利益が出ないし、他のプレイヤーに売るメリットもそれほどない。使用目的を考えれば、自分で使う分くらいしか作らない物だ。

「それに数を作っていれば失敗する確率が減るし、大成功の確率が上がる。消費アイテムに関してはなるべく数を熟しておいた方が良いんだ」
「そうだったんですか」

 横で話を聞いていたのかもちもっちがそう言葉を出した。
 ポーションでたまに出来るQu:Aはこれが起因しているのもありそう。大成功って程じゃないけど成功って感じかな?

「もちもっちには同じタイミングで説明したと思うが、まさか聞き流していたのか?」
「すいません。もしかしたら他のことを考えていて聞いていなかったかもしれません」
「今回は気付けたからよかったが、次からはしっかり聞いておけよ。聞き逃しても質問されない限り再度説明することはないからな」
「はい」

 私も気を付けておかないと。
 聞き逃すようなことは今のところないけれど、たまに他のことを考えながら話を聞いている身としては、明日は我が身になりかねない。
 特に説明などは聞き逃していたとしても、聞き逃していたことに気付けないと質問すらできない。今回のような内容なら普通質問するような内容ではないから致命的だよね。知らなくても問題はないけれど、知っていた方が良い情報だし。

「そういうわけでアユはもう少し強化剤の製作だ」
「わかりました」

 ちゃんとした理由があるからしっかりやるよ。ただ、素材の方が足りないから委託で買うか取りに行かないといけないけれど。

 ますは今持っている素材で作れるだけ作って、その後はギルドで委託をのぞいてから第3エリアかな?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

処理中です...