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貴方が欲しい
今後の予定
しおりを挟む私は貴族の一員としての教養を養うと言う名目で学校には通っていたし、魔法に関してなら誰にも負けない自信がある。これを口実に魔法を教えることになれば、少なくとも当分は一緒に居られるじゃない!
「これは誰かに教えてもらう必要があるのか。しかし、そんなことを頼める相手なんて兄さん以外に居ない。だが……」
貴族が魔法に関する技術を独占している所為で貴族家から出てしまうと本当に教えてもらうような相手っていないのよね。それに魔法技術を教える場所も貴族の学校くらいしかないから、そこを卒業してしまうと貴族でも魔法を習う方法が限られてしまうわけで。
だからこそ、そこに付け入る隙があるのだけど。
「だったら私が教えましょうか? これでも学校は卒業しているし成績も上位だったのよ?」
上位と言うか、魔法の分野に関しては常に1位だった。
いや、他の貴族の同年代は地位にかまけて碌に勉強はしていなかったし、練習もしていなかったから一切張り合いがなかったのよね。あれで魔法が使えるって威張っているのはただの馬鹿でしかないわ。
「いいのか? あ、いや、さすがにそれは」
「他に当てがあるのかしら?」
さっき、頼める相手はお兄さんしかいないって漏らしていたし、今の様子からしてもそのお兄さんもおそらく簡単に頼めるような相手ではないみたいね。
「……ない。けど、これ以上迷惑をかけるのは」
「迷惑じゃないわ」
「いや、だけど」
「そもそも迷惑だと思っていたのならこんな提案なんてしないでしょう?」
一緒に居られるなら何だってする。それに私の本能がこれを逃したら駄目だ、と言っているのよ。だからこれはロイドの意思とは関係なく押し通す。
それに、毎回ギルドで待ち構えてアタックするのはあの元受付嬢がしていたから、たぶん良いイメージを持っていないと思う。だから、強制的にでも一緒に居られる理由を作る必要があると思うのよね。
「そうか? 何か申し訳ないけど」
「良いのよ。私にも利はあるしね」
「うーん……それなら、まあ。お願いします」
「よろしい! じゃあ、貴方が泊まっている場所に連れて行って。あ、それとこれからは名前呼びでお願いね、ロイド」
「え、いや。名前呼びは良いけど、何で泊まっている所に?」
「その方が教えるのに都合がいいでしょう? 一々、集まって教えるより、常に一緒に行動した方が効率がいいじゃない」
「いや、まあそうだけど」
さすがに一緒の所に泊まるのは嫌なのかしら? それとも泊まっている場所が特殊で無理とか? とりあえず、もう一押ししてみましょう。
「それに私は今日ここに来たばかりだから、何処に泊まればいいのかよくわからないのよ」
「あぁ、そうか。なるほど、そう言うことか。なら、女の子が泊まっても大丈夫なところにした方が良いと思うけど?」
「それは手間でしょう? どうせ時間的にこの後は泊まっている所に帰るのだろうし、私がそれについて行けばいいのよ。と言うことでほらロイド、案内しなさい」
「えぇ、本当にいいのか? あまりいい場所じゃあないのだけど」
「それでもかまわないから、ほら!」
「わかったよ。確か、えっとレイアだったよな? そこまで言うなら連れていくけど、後で文句は言わないでくれよ?」
「ええ!」
渋々だけどロイドは今泊まっている宿に私を案内してくれることになった。
ああ、これで当分は一緒に居られるようになったわ。それに名前も呼んでくれたし、その声も好みだった。本当にロイドは私の好みそのものね。
そうして、私は受付でカードを受け取った後、今後の計画を立てながら横を歩いているロイドの顔をちらちら眺め、今日から泊まることになる宿に向かった。
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