上 下
40 / 45
ダンジョンいじいじ

ダンジョンを弄る

しおりを挟む
  

 ログインすると、しっかり先ほどログアウトした場所に戻ることが出来た。

 ログインする前に課金した金額が正しく反映されているか、ステータスウィンドウを開いて確認する。しっかりFsが増えている事が確認できたのでウィンドウを閉じた。

 課金したことで私の現在の所持金は約56M、要は5600万Fsになっている。これだけあればダンジョンポイントに変換して、十分ダンジョンを弄ることが出来るはずだ。

 さっそくダンジョンを弄ろうと思いアンゴーラを探すと、アンゴーラはシュラたちに囲まれていた。

 そう言えばテイムモンスターって自室とかでログアウトすると、自律状態で残るんだっけ。さすがにログアウトした場所から離れることは無いらしいけど。

「アンゴーラちゃん」

 私がログインしてきたことに、まだ気づいていなかったようなので声を掛ける。すると、アンゴーラよりも先にシュラたちが私の方へ近付いて来た。

 そういえば、急いでログアウトしたからシュラたちにすぐ戻るとは言っていなかった。そんなことを思い出しながら、近付いて来たシュラたちの頭を撫でる。

『なんじゃ、もう戻って来たのか』

 シュラたちに構われていたからなのか、アンゴーラが若干やつれているように見える。

「うん、それでさっそくダンジョンを弄りたいんだけどいいかな?」
『構わぬぞ。しかし、良いのか? ダンジョンに手を加えたら他の者が入って来られるようになってしまうが』
「問題ないよ」

 今は時間的に、イベントのパーティー部門のPVP大会が開かれている最中だ。なのでこのダンジョンがある第2エリアには殆どプレイヤーは訪れることは無い。まあ、私みたいにイベントに参加しないで通常フィールドにとどまっている人もいるだろけど、最前線でもない第2エリアにいるプレイヤーは少数だろうからすぐに見つかってしまうってことはないはず。

『そうか。ならば、ほれ』

 アンゴーラが近付いてきて後ろ脚で立ち上がり、前足を片方上げると俺の前にウィンドウが出現した。

 目の前に出て来たウィンドウには、上部にダンジョン管理画面と表示され、その下にいくつもの項目が連なっていた。

 私はその項目の中から、ダンジョンポイントに変換する、を選択する。そして、さらに表示されたウィンドウでFsをDPに変換するために操作を進めた。

 とりあえず、一々変換するのも面倒だから50MくらいDPに変換しちゃおう。これで所持しているDPが50万になった。

 ウィンドウの隅に表示されている現在のDPの欄には50万と少しの値が表示されていた。変換した量よりも微妙に多いのは何でだろうか。アンゴーラからの引継ぎ? それともチュートリアルで使う予定だったのか。まあ、増える分には問題ないよね。

『ぬお? なんじゃ!? 信じられん量のDPが一気に溜まったのじゃが!?』

 50万は信じられない量なのかな? いや一気に50万も増えたから驚いているっぽいね。反応からしてアンゴーラがダンジョンマスターだった時はここまでのDPは見たことがなかったみたいだし。私が速攻で攻略してしまったのが主な原因だけど。

「これは多いの?」
『ぬ? うぬ……短期間で獲得する量としては多いのじゃ。長期的に見ればあり得なくはないのじゃが、それでも小規模なダンジョンでは難しいかもしれぬ』
「なるほど」

 多いは多いけど在り得ない量ではないと。となると、これだけじゃ、十全にダンジョンを弄るには足りないのかも?

「ダンジョンを弄る分にはこれじゃ、物足りなかったりする?」
『十分足りておる。それに、詳しく説明しておらんかったが、インスタントダンジョンからなったこのダンジョンは、現状どんなにDPを掛けても30層までしか作れん』
「え? 限界あるの?」

 際限なく大きいダンジョンって作れないのか。まあ、今見つかっているダンジョンでも5層が一番深いから、それに比べればかなり深くは作れるんだけども。ただ、アンゴーラの言い方からして、先のフィールドに進んで行けば30層よりも深いダンジョンがあるってことだよね。それに、現状である以上このダンジョンもそれ以上に深くできる感じだし。

「限界があるのは仕方ないかぁ」
『そうじゃの』

 とりあえず、FsをDPに変換するのは終わったので、ウィンドウを操作してダンジョンポイントを使う、のウィンドウからダンジョンを成長させる、を選択する。そして、DPを使用してダンジョンを成長させた。
 

 ≪ミヨガダンジョンが18層目まで成長しました≫


 とりあえず試しで今持っているDPの半分より少し少な目、切り良く20万DPを入れてみたところ18層目まで成長させることができた。

『ダンジョンを成長させたようじゃの。このままではダンジョン内にモンスターが一切居ない状態じゃから、次はモンスターの配置じゃな。ダンジョンを成長させたことで管理項目に新しく出現モンスター管理の項目が増えているはずじゃ』
「あ、そうなんだ」

 ありゃ、このままだと完全に素通り出来る状態なのね。成長させれば勝手にモンスターが出現するものだと思っていたんだけど、そうはうまくはいかないか。

 アンゴーラの指示に従ってウィンドウを開く。

「階層ごとに出現させるモンスターを選べるのね。ちょっとめんどう」
『一応、モンスターの系統ごと、大雑把に決めることも可能なのじゃ。階層に関しても、ここからこの階層はこの系統のモンスターを配置する、みたいに決められるのじゃ』
「あー、そういう設定も出来るの。うーん、どうしよう」

 面倒とは言ったけど、やるからには階層ごとにちゃんと設定したいよね。ただ、特定の範囲の階層に出現させるモンスターの系統を統一させるのはありかも。

「10層目くらいまでは1層ごとにしっかり設定していく感じでいいかな。後から設定しても結局かかる時間は同じだろうし、最初にしっかり決めておいた方がいいよね」
『そうじゃな。しかし、時間をかけてしておると誰かが入って来てしまうぞ? ゆっくりしておると妾と同じような結果になるのではないか?』

 ああ、私が入ってきたときってそんなタイミングだったのか。まあ、現状18層目まであるから、最悪攻略されかけても残りのDPを使ってどうにかすればいいよね。

 ともかく、アンゴーラと同じ目に合わないようにさっさと設定を進めて行こう。

 1層目に出現させるモンスターは……選べる種類が少ないね? スライムとプレンテ、あとは……ああ、なるほど。18層あるうちの1層目だから、私が倒したことがあるモンスターの中で一番弱いランクのモンスターしか選べないのか。

 となると、うーむ。いっそ5層目までスライムオンリーにして5層目のゲートキーパーにシュラを置くのはどうだろうか。ぷらてあと朱鞠は10層目と15層目のゲートキーパーにすればちょうどいいかな。それ以降の階層をどうするかは悩むところだけど。

 そうなれば、1層目に出現するモンスターはスライムのみだな。ゲートキーパーはレアスライムかビッグスライムかな。

 それで出現するモンスターのレベルは、っと……ん?

「アンゴーラちゃん」
『なんじゃ?』
「出現させるモンスターのレベルを上げるのに必要DPがものすごく高いんだけど。これって何で?」
『うぬ? ああ、それはじゃな。出現するモンスターのレベルは階層ごとに設定できないからじゃ。出現するモンスターのレベルを上げると全ての階層に反映されるから、階層が多くなればなるほど、必要DPは多くなるのじゃ』
「そういう事か」

 という事は、下手に階層を増やすのも悪手ってこと? 一気に18層まで成長させてしまったんだけど、これは大丈夫なの?

 現在、1層目で出て来るモンスターのレベルは1で、18層目が……21と。ううむ。さすがに21レベルだと簡単にクリアできる範囲だよね。最前線に到達していない私ですらレベルが30を超えているのだから、大半のプレイヤーは余裕で最深層まで行けてしまうだろう。

 なら、1層目のモンスターのレベルを20くらいにしておけば18層目は40レベルくらいにはなるかな? とりあえずそれくらいで設定してみよう。

 出現モンスターのレベルを20になるように設定を弄る。

 必要なDPはこれで80890。残りのDPを考えれば多いけどこれくらいレベルを上げないと不安だから仕方がない。DPはまた課金して増やせばいいから問題は無いのだけも。今日の上限は達してしまっているから、再課金できるようになったらすぐに課金してダンジョンの強化はしておかないと。

 レベルの設定が終わったから出現させるモンスターの設定に移る。

 さっき決めた通り、1層目はスライムだけにする。数はどうするか。スライムだと1匹出現させる度に10DP必要になるようだ。

 残りのDPが20万あるから1層当り10000DP分出現させればいいか。となると、1層目はスライムが1000匹と。ゲートキーパーはレアスライム100匹にしよう。これに使うDPは5000DPだ。

 こんな感じで後の階層も決めて行こう。

 

 こんな物かな。15層目まで設定するのに1時間近くかかってしまっているので、早く残りの階層の設定を終わらせないとプレイヤーが入ってきてしまうかもしれない。

 5層目にシュラ、10層目にぷらてあ、15層目に朱鞠をゲートキーパーとして配置して、5層ごとに強いゲートキーパーを配置するという構造にしてみた。

 正直、ぷらてあと朱鞠のレベルが微妙だけど、ゲートキーパーに設定すると多少強くなるらしいので、何とかなるかなぁ、といったところ。でも、少しでも攻略されないようにするには、この設定が終わったらすぐにでも通常フィールドに出てレベル上げと先に進む必要があるよね。
 さっきは急がなくてもいいかと思ったけど、そんなこと言えないくらいには不安がある。

 あとは、16層目から18層目だよね。

 16層目からは今までに設定したモンスターをまとめて出現するように設定しよう。空間の設定は……草原、にしておこう。

 それで、16層目が1~4層目に出て来たモンスターを出現させて、17層目には6~9層目のモンスターをと言った感じにする。ゲートキーパーは該当する階層のゲートキーパーを全部出現させる感じで、DPは多く消費してしまうけど、他には思い当たらないのでこれで決定。

 18層目は11~14層目に出て来たモンスターをモブとして設定して、この層は最下層なのでゲートキーパーではなくダンジョンボス、もしくはダンジョンマスターとして私とシュラたち全員を設定しておく。

 アンゴーラ曰く、ゲートキーパーとダンジョンボスのお供は兼任可能らしいので、問題なくシュラたちもダンジョンのボスとして設定することが出来た。

 まあ、これで一応は設定が終わったかな。

「ふう」
『ぬ? おお、設定が終わったようじゃな。これからどうするかはわからぬが、何時でも設定の変更可能じゃから、気軽に設定を変更してみるのじゃぞ』
「うん? ああ、わかった」

 私がダンジョンの設定を終えたことに気付いたアンゴーラが声を掛けて来た。

 いや、気軽に、とは言うけど設定するにはDPが必要なんだよね? 気軽にするのは無理なのじゃないかな? と思いつつも、おそらくダンジョン補助AIとしての定型文かなにかだろうなと、判断して返事を返した。

 さて、それじゃあ通常フィールドに戻って攻略を進めて行こう。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

処理中です...