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第35話 思いがけない再会 1
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【登場人物】
野咲あずき……十二歳。小学六年生。日本の英国のハーフ。
おはぎ……黒猫。あずきの飼い猫。
西園寺祥子……ルナリア魔法学校中等部二年生。
山をいくつか越えた辺りで、視界一面に広大な海が飛び込んできた。
太陽の光が反射し、眩しいくらいに海面がキラキラ光っている。
魚もふんだんに泳いでいるようで、それを狙ったカモメがたくさん飛んでいるのが見える。
久々に見た海の美しさに感動しながら箒で飛んでいると、程なく大きな港街が見えてきた。
一時間毎に軽く休憩を取りつつ箒で飛んで来たが、そろそろ本格的に休憩を入れるかと思っていたところに出てきた街だ。
太陽の位置からすると、既にお昼を回っているはずだ。
食人植物のところで思いがけず時間を取ってしまったから、暗くなる前に街が出てきてくれたのは正直ありがたい。
東京タウンで西園寺夫人から頂いた謝礼金もまだたんまり残っているから食事をするにしても宿泊するにしても、多少の贅沢は出来そうだ。
規則正しく並ぶオレンジ色の屋根を眼下に眺めつつ、あずきはゆっくりと高度を落とした。
港街だけあって、マリーナには最新型の船が沢山留まっている。
ホテルらしき大きな建物も含め、全体的に白壁にオレンジ屋根を乗せた家が多く、教会や灯台、鐘楼といった高めの建物も一揃いあるようだ。
よく見ると、道もアスファルト製だし、走っている車も最新の物ばかりだ。
あずきは、山を越えて一気に文明圏に飛び込んだ気がした。
石畳が綺麗に敷かれた広場にそっと降りたあずきは、その場で体を伸ばした。
一緒に箒から飛び降りて体を伸ばしていたおはぎが大声を上げる。
「ねね、あれ! あずきちゃん、あれ見てよ!」
おはぎがしっぽを振り振り、広場の隅に何台か停めてあるキッチンカーの方に向かう。
「ちょっとおはぎ、迷子になっちゃうよ? 勝手に行かないの!」
ため息を一つつき、あずきも付いていく。
でも正直、興味はあった。
なにせ月のキッチンカーだ。
どんなものを売ってるんだろう。
見てみると、どの店も盛況で列が長く出来ていた。
だが、内容はというと、これが普通だった。
勿論、車本体も設置看板もおしゃれなのだが、売っているものはといえば、ハンバーガーやホットドッグ系の軽食肉料理や、ピザ、パスタ等のイタリアン、台湾屋台料理、エスニック料理、ドリンクやチュロス、クレープやアイス等のスィーツ専門店といった、日本でも見かけるものばかりであった。
「……ケバブ屋さん、あるね」
「たこ焼き屋さんもあったよ」
「……ここ、月だよね」
「観光地の屋台なんてどこだって同じよ。キライリ渓谷で見たでしょ? 魚の塩焼き屋台」
「ひっ!」
不意に掛けられた後ろからの声に、あずきは反射的に飛び退った。
見るとそこに、あずきと同じ制服を着た女の子が一人立っていた。
涼しそうな目元。
ストレートロングの黒髪。
見るからにお嬢様然としていて、京人形のような美しさがある。
と、あずきの目が青色の校章に留まった。
――ひょっとして魔法学校の生徒?
「驚かせちゃったかしら。わたしはルナリア魔法学校中等部二年の西園寺祥子。祖母から連絡を受けて、ここなら会えるかと思って待ち構えていたのよ。読みが当たって良かったわ」
「西園寺って、まさか」
「えぇ。東京タウンで祖母を助けてくれたって聞いてるわよ? ありがとう」
そうして見ると、西園寺婦人と雰囲気がとてもよく似通っている。
夫人は、京都で呉服屋をやっていると言っていた。
その孫たるこの人も、和服が似合いそうだ。
「祖母のお礼、というわけでもないけれど、せっかく観光地に来たんだから案内してあげる。クレープでも食べながら、ね」
祥子がニッコリ笑った。
◇◆◇◆◇
「ここはヴェンティーマ。ヨーロッパの港街に似てて、こちらでは結構有名な観光地なのよ」
あずきと祥子は広場の中央に設置されている噴水の縁に腰を掛けて、クレープを食べた。
「後ろを見てご覧なさい。噴水の中央に彫刻があるでしょう? それは、月の女王ルーナリーアと賢者エディオンの像なのよ。賢者エディオンは知ってるわよね?」
「月と地球を繋ぐゲートを開いた人ですよね」
「そう。そのゲートが繋がった月側の地がここ。ここで女王と賢者の初会合が開かれたの」
噴水に目をやると、その中央に大理石で出来た二体の像が設置されていた。
月兎族の若く美しい女性と、ローブを着て跪く男性だ。
つまり、これが月の女王と賢者なわけだが、あずきの中で賢者というと老人のイメージがあったが、これは思ったより若かった。
三十代に見える。
あずきは像に近寄った。
賢者の顔をまじまじと眺め……やがて、あずきはため息を一つついた。
「……そういうことか」
「え? なになに? どうしたの? あずきちゃん」
足元でアイスを食べていたおはぎが、あずきを見上げる。
「ううん、何でもない」
あずきがおはぎを見て微笑む。
次にあずきは、月の女王の像に近寄った。
こちらも、まじまじと眺める。
女王は足首まで隠れるロングドレスを着、その上に、長い毛皮のマントを羽織っている。
背中まである長い髪。
頭には、宝石をいくつもハメた、精緻な意匠を施した王冠が乗っている。
勿論、白一色の彫像ゆえ実際の色がどんなだったかは想像するしかないが、とても素晴らしく、絵になるような会合だったのだろう。
そして最後に。
女王の胸が、ドレスを着てさえ分かるくらい大きかった。
あずきは苦笑いを浮かべた。
「後で、文句の一つも言ってやらなくっちゃね……」
ボソっとつぶやく。
「時間はあるんでしょ?」
「え?」
思わず物思いにふけっていたあずきは、祥子の問いかけに、ふと我に返った。
「この街にうちの別荘があるの。ちょうどいいから泊まっていくといいわ。おばあさまも来てて、あなたに会いたがっていたことだし。それに、制服もボロボロじゃない。ルナリア魔法学校は格式高いのよ? そんな汚れた格好のまま街をうろついていちゃダメ。明日はいよいよルナリアタウンでしょ。その前に、うちで疲れを癒やしていきなさい」
「あ、あの、西園寺……先輩?」
「そうと決まったら、早速行きましょう。ついてらっしゃい」
祥子が、いつの間にか出した箒に跨り、その場で上昇する。
「行くしかないよね」
「だね」
あずきも箒にまたがり、空へと飛び上がった。
野咲あずき……十二歳。小学六年生。日本の英国のハーフ。
おはぎ……黒猫。あずきの飼い猫。
西園寺祥子……ルナリア魔法学校中等部二年生。
山をいくつか越えた辺りで、視界一面に広大な海が飛び込んできた。
太陽の光が反射し、眩しいくらいに海面がキラキラ光っている。
魚もふんだんに泳いでいるようで、それを狙ったカモメがたくさん飛んでいるのが見える。
久々に見た海の美しさに感動しながら箒で飛んでいると、程なく大きな港街が見えてきた。
一時間毎に軽く休憩を取りつつ箒で飛んで来たが、そろそろ本格的に休憩を入れるかと思っていたところに出てきた街だ。
太陽の位置からすると、既にお昼を回っているはずだ。
食人植物のところで思いがけず時間を取ってしまったから、暗くなる前に街が出てきてくれたのは正直ありがたい。
東京タウンで西園寺夫人から頂いた謝礼金もまだたんまり残っているから食事をするにしても宿泊するにしても、多少の贅沢は出来そうだ。
規則正しく並ぶオレンジ色の屋根を眼下に眺めつつ、あずきはゆっくりと高度を落とした。
港街だけあって、マリーナには最新型の船が沢山留まっている。
ホテルらしき大きな建物も含め、全体的に白壁にオレンジ屋根を乗せた家が多く、教会や灯台、鐘楼といった高めの建物も一揃いあるようだ。
よく見ると、道もアスファルト製だし、走っている車も最新の物ばかりだ。
あずきは、山を越えて一気に文明圏に飛び込んだ気がした。
石畳が綺麗に敷かれた広場にそっと降りたあずきは、その場で体を伸ばした。
一緒に箒から飛び降りて体を伸ばしていたおはぎが大声を上げる。
「ねね、あれ! あずきちゃん、あれ見てよ!」
おはぎがしっぽを振り振り、広場の隅に何台か停めてあるキッチンカーの方に向かう。
「ちょっとおはぎ、迷子になっちゃうよ? 勝手に行かないの!」
ため息を一つつき、あずきも付いていく。
でも正直、興味はあった。
なにせ月のキッチンカーだ。
どんなものを売ってるんだろう。
見てみると、どの店も盛況で列が長く出来ていた。
だが、内容はというと、これが普通だった。
勿論、車本体も設置看板もおしゃれなのだが、売っているものはといえば、ハンバーガーやホットドッグ系の軽食肉料理や、ピザ、パスタ等のイタリアン、台湾屋台料理、エスニック料理、ドリンクやチュロス、クレープやアイス等のスィーツ専門店といった、日本でも見かけるものばかりであった。
「……ケバブ屋さん、あるね」
「たこ焼き屋さんもあったよ」
「……ここ、月だよね」
「観光地の屋台なんてどこだって同じよ。キライリ渓谷で見たでしょ? 魚の塩焼き屋台」
「ひっ!」
不意に掛けられた後ろからの声に、あずきは反射的に飛び退った。
見るとそこに、あずきと同じ制服を着た女の子が一人立っていた。
涼しそうな目元。
ストレートロングの黒髪。
見るからにお嬢様然としていて、京人形のような美しさがある。
と、あずきの目が青色の校章に留まった。
――ひょっとして魔法学校の生徒?
「驚かせちゃったかしら。わたしはルナリア魔法学校中等部二年の西園寺祥子。祖母から連絡を受けて、ここなら会えるかと思って待ち構えていたのよ。読みが当たって良かったわ」
「西園寺って、まさか」
「えぇ。東京タウンで祖母を助けてくれたって聞いてるわよ? ありがとう」
そうして見ると、西園寺婦人と雰囲気がとてもよく似通っている。
夫人は、京都で呉服屋をやっていると言っていた。
その孫たるこの人も、和服が似合いそうだ。
「祖母のお礼、というわけでもないけれど、せっかく観光地に来たんだから案内してあげる。クレープでも食べながら、ね」
祥子がニッコリ笑った。
◇◆◇◆◇
「ここはヴェンティーマ。ヨーロッパの港街に似てて、こちらでは結構有名な観光地なのよ」
あずきと祥子は広場の中央に設置されている噴水の縁に腰を掛けて、クレープを食べた。
「後ろを見てご覧なさい。噴水の中央に彫刻があるでしょう? それは、月の女王ルーナリーアと賢者エディオンの像なのよ。賢者エディオンは知ってるわよね?」
「月と地球を繋ぐゲートを開いた人ですよね」
「そう。そのゲートが繋がった月側の地がここ。ここで女王と賢者の初会合が開かれたの」
噴水に目をやると、その中央に大理石で出来た二体の像が設置されていた。
月兎族の若く美しい女性と、ローブを着て跪く男性だ。
つまり、これが月の女王と賢者なわけだが、あずきの中で賢者というと老人のイメージがあったが、これは思ったより若かった。
三十代に見える。
あずきは像に近寄った。
賢者の顔をまじまじと眺め……やがて、あずきはため息を一つついた。
「……そういうことか」
「え? なになに? どうしたの? あずきちゃん」
足元でアイスを食べていたおはぎが、あずきを見上げる。
「ううん、何でもない」
あずきがおはぎを見て微笑む。
次にあずきは、月の女王の像に近寄った。
こちらも、まじまじと眺める。
女王は足首まで隠れるロングドレスを着、その上に、長い毛皮のマントを羽織っている。
背中まである長い髪。
頭には、宝石をいくつもハメた、精緻な意匠を施した王冠が乗っている。
勿論、白一色の彫像ゆえ実際の色がどんなだったかは想像するしかないが、とても素晴らしく、絵になるような会合だったのだろう。
そして最後に。
女王の胸が、ドレスを着てさえ分かるくらい大きかった。
あずきは苦笑いを浮かべた。
「後で、文句の一つも言ってやらなくっちゃね……」
ボソっとつぶやく。
「時間はあるんでしょ?」
「え?」
思わず物思いにふけっていたあずきは、祥子の問いかけに、ふと我に返った。
「この街にうちの別荘があるの。ちょうどいいから泊まっていくといいわ。おばあさまも来てて、あなたに会いたがっていたことだし。それに、制服もボロボロじゃない。ルナリア魔法学校は格式高いのよ? そんな汚れた格好のまま街をうろついていちゃダメ。明日はいよいよルナリアタウンでしょ。その前に、うちで疲れを癒やしていきなさい」
「あ、あの、西園寺……先輩?」
「そうと決まったら、早速行きましょう。ついてらっしゃい」
祥子が、いつの間にか出した箒に跨り、その場で上昇する。
「行くしかないよね」
「だね」
あずきも箒にまたがり、空へと飛び上がった。
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