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第272話 お土産

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 ――そういえばホテルからお土産を貰っていたんだっけ。えっと……あぁ、これだ。うわぁ……。
 お? なんだなんだ?

 パパさんがリビングの隅に放り出しておいた紙袋をゴソゴソ漁っていたのでオレは傍に寄ってみた。
 中から出てきたものは、オレの嫌いな臭いカリカリだった。
 
 ホテルからそれ貰ったの? 高級らしいけど、食べないよ? オレ。
 ――『もなか』ちゃんは喜んで食べてたよな。よし、渡しに行こう。
 おぅ、それ、グットアイディア! 行こう行こう!

 
 ――そうですか、ペットも泊まれるホテルに。どうでした?
 ――とってもいい所でしたよ。『みたらし』も大興奮してましたよ。
 ――あらあら。うちも行ってみようかしら。
 ――ぜひ!

 オレとパパさんが早速『もなか』の家に行くと、あちらはご両親で出てきた。
 『もなか』がジャレてくる。

 ――あ、これホテルで貰ったお土産なんですけど、おすそ分けということで。
 ――あらあら、すみません。『もなか』、良かったねー。
 またな、『もなか』。お前もホテル行くといいぞ、楽しいから。
 
 良かったな、パパさん。
 そして例の臭いカリカリは、今回は早めに家から無くなったぞ。
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