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第242話 喜びのダンス

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 ――あら、おめでとう!

 ママさんがスマホに向かって話しかけている。
 あれ? 通話じゃないっぽいぞ。ねね、それ、動画じゃないの?

 オレがママさんの傍でお座りをすると、ママさんが背中を撫でながら、オレにスマホの画面を見せてくれた。

 ――ほら見て、『ぜんざい』ちゃんの動画。登録者数が千人いったんだって。

 『ぜんざい』っていうのは、六畳一間に住む柴犬だ。ママさんはこの動画がお気に入りなのだ。
 でも、千人ねぇ。パパさんの動画の登録者数は二十人だっけ?

 動画の中で飼い主のオジサンが、変なメロディを口ずさみながら、奇妙な踊りを踊っていた。
 字幕テロップには喜びのダンスって書いてあるんだけど、なんかこう、心がざわざわするような微妙なヘタクソさ加減で踊ってて……あぁもぅ!
 『ぜんざい』はそんなご主人の奇妙なダンスをジっと座って見ている。
 ……我慢強い?

 がんばれ、パパさん。
 そして、とりあえず登録者数を増やせるような面白い動画を撮るこった。
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