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第11話 雨の日の散歩

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 オレの名前は『みたらし』。
 二歳の柴犬だ。

 雨が降っている。
 パパさんが、オレの前に、そっとペットシートが敷かれたトレイを置く。
 何これ。
 この上で用を足せと?

 どうやらパパさんは、この雨の中、出かけるのが嫌らしい。
 だが残念、そんなものの上でトイレなんか、絶対しないぜ。

 オレはリードを咥え、パパさんの前に置いた。
 テコでも動かないオレを見て根負けしたパパさんが、お出かけの用意をし始める。
 よし、散歩だ!


 なぜだか、今日はどうにもトイレの場所が決まらない。
 よし。もうちょっと歩こう。
 パパさんがウンザリ顔でついてくる。

 さっきからパパさん、ずっと、早く帰ろう、って言ってる。
 いやいや、待て待て、トイレの場所が決まらないんだ。
 もうちょっと付き合ってくれよ。

 帰宅したとき、パパさんは、びしょ濡れになっていた。
 濡れた服を脱ぎながら、深いため息をついている。

 どんまい、パパさん。
 そして今日も日が暮れる。
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