The.RESEARCH ~呪縛~

稲葉 兎衣

文字の大きさ
上 下
6 / 9
【絶命】

4.みそ

しおりを挟む

俺、死ぬのか…。

ここで、、。

リュウキが死を覚悟したその時、音楽室の扉が勢いよく開いた。

すると、不思議とリュウキを確かに囲っていた三人の霊が姿を消した。

「……何してんの。」
無愛想に見下すように言うのはヨゾラ。そんな彼女の後ろに付いているのはサトムであった。

「俺、、見たんだ。」
リュウキは、動揺を隠せないまま今さっき起きたことを話し出した。


______________________________

何だか上から悲鳴のようなものが一瞬だけ聞こえたような気がしミサトが黙々と学舎の中を調べ回る神代教授に「悲鳴聞こえませんでした?」と問いかけた。

神代は「いいや」と一言首を振り、興味津々に徘徊する。十分に一階の調査を終えると階段で上の階へ向かった。
その様子を見ていたマナブはこの間にとある件を済ませると少し急ぎ目に二人の後を追った。

神代とミサトはやたらと距離が近い。
中学や大抵の高校と違い、大学は生徒と職員という関係であっても生徒や職員がその気になれば簡単に距離が縮まり多少のご飯やプライベートで会うという事も普通に起こりうる。

マナブはミサトがオカルトサークルに入ってから、容姿もだがオカルトに対しての熱や女性なのにも関わらず時として女子力を良い意味で捨てている姿に好意を持った。

それからの事、マナブはミサトの生活を監視するようになり機械に詳しい知り合いに盗聴器等を報酬を与え作ってもらったりした。

すると、ある日聞き覚えのある男の声をミサトのカバンに仕込んだ盗聴器がキャッチし聞こえてきたのだ。

「ここが私の家、」
「思った通り整頓されているね」
その声の人間が神代という根拠はなかった。
【教授】や【神代】と言った名前も読んでいない。だが、会話から推測するにその声の正体が神代だと言う自信はあった。

許せない……。

ミサトは、僕のものだぞ……。

サトムがこの学舎を調査しよう。
と言い出した時、マナブは早々に計画を立て始めた。何の計画なんて説明不要である。

神代教授の殺害計画だ。

オカルト好きがオカルトを利用して殺人計画を立てる。好きな事でやり遂げる。これぞマニア。

〝マニアなら好きな物を汚すような事をするな”

と言いたい人もいるだろうがマナブは違う。
何をするにも好きな事を活かせる時があるなら活かしたいのだ。

生憎、この学舎の中で人がよく死んでいる事は彼も知っていた。

こないだも合宿でやってきた写真部の生徒と顧問の先生が奇妙な死を遂げ、過去にまだ中学校として機能していた時にその学校に通う男子生徒がクラスメイトの他、音楽教師等を殺害した事件も彼は知っていた。

オカルトマニアなら当然の知識である。

それからこの学舎は過去に呪われた学校と言われたように今では呪われた学舎と呼ばれるようにもなっている。

「神代さんよぉ~?」
お前も俺の手で奇妙な死を遂げてくれ。


「神代教授!!大変です!!」
「ん?どうしたんだ?」
マナブは、大粒の汗を流しながらゼェゼェと吐息を漏らして教授を呼ぶ。

「付いてきてください!」
先陣を切って階段を降り一階にある技術室へ何かを潜るようにして中へ入っていった。

「教授!!早く!凄い事を見つけたんですよ!」
教授だけが急かされるが、神代は悪い気はしていない。寧ろ何を見つけたんだ?と気になり少し小走る。そして、技術室の中へと足を踏み入れようとした時、何か首に痛みを感じた。

キュッとした痛み。そして、何か神経が途切れ軽くなった気がした。


そう、首が取れたのだ。


「ん?」

血しぶきの音、神代の殺害に成功したことを喜ぶ束の間に急いで入口に仕込んだ目では中々認識しにくい細いワイヤーを急いで取り外した。
愛しい彼女までも死なないようにする為に、。

「ぁああああ゛あ゛あ゛!」
少し演技を噛ましておく。
遅れて愛しいミサトがやってきた。

「きょ、教授!!」
「僕が見つけたある鏡を見せようとしたんだけど、その時に怪奇的な何かが起きて教授だけが霊に殺されたんだ…。その時に鏡も割られちゃって、、畜生、!!」
テーブルを拳で強く撃ち込むようにして叩き、悔しがる“演技”をする。顔はミサトに向けないようにしたついついニヤついてしまうからだ。

それにしても彼女の震える声は素敵だ。
滅多に聞くことができない。目を瞑り耳を済ませて記憶に焼き付けて置かなければ……。

「ぁ、、ぁ、あぁ、あぁ、」
彼女のその恐怖で我慢しきれず漏れてしまうその声が、、あぁ、僕の息子を刺激する。

ビクンっ、ビクンっ、、。

「ま、、まな、、ぶ先……輩ッ、の近くに」


【霊が】



え???


何かが砕かれるような音、、
ん?何が砕かれた?頭がぐらつくような…。
激しい頭痛がする。

もしかして、、頭が砕かれた?
じゃぁ、何故まだ意識があるんだろう。
手足の感覚がないし、前は真っ暗だ。

まるで、何も無い空間に居るようだ。



あ、そういう事?分かったぞ。


さっきの衝撃で頭部が粉砕し、
脳みそが飛び出てしまったんだ。



ブチュッ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

廃屋詛~はいおくそ~

黒駒臣
ホラー
ミンナワタシトオナジ―― 廃屋に行ったことがすべての始まりだった。

もらうね

あむあむ
ホラー
少女の日常が 出会いによって壊れていく 恐怖の訪れ 読んでくださった方の日常が 非日常へと変わらないとこを願います

煩い人

星来香文子
ホラー
陽光学園高学校は、新校舎建設中の間、夜間学校・月光学園の校舎を昼の間借りることになった。 「夜七時以降、陽光学園の生徒は校舎にいてはいけない」という校則があるのにも関わらず、ある一人の女子生徒が忘れ物を取りに行ってしまう。 彼女はそこで、肌も髪も真っ白で、美しい人を見た。 それから彼女は何度も狂ったように夜の学校に出入りするようになり、いつの間にか姿を消したという。 彼女の親友だった美波は、真相を探るため一人、夜間学校に潜入するのだが…… (全7話) ※タイトルは「わずらいびと」と読みます ※カクヨムでも掲載しています

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

魔女

ホシヨノ クジラ
ホラー
これは、現代を生きる魔女の話 魔女であることが不幸を招く 苦い結末の物語 読み終えた時に何とも言えない後味の悪さを 残せますように ーーーーーーーーーー 不定期最新です。連載中

肖像

恵喜 どうこ
ホラー
とある主婦が殺害された。彼女を取り巻く被疑者たちの尋問はしかし謎ばかりが深まっていくのである。隣人の男、ママ友、夫、息子、娘。犯人はいったいだれであったのか。主婦はどうして殺されねばならなかったのか。その真相は『藪の中』のごとく、謎のヴェールで覆われていて―― 様々な人の様々な人生の恐怖を描いたオムニバス短編。

小さな鏡

覧都
ホラー
とある廃村の廃墟検証の映像配信者の映像から始まる恐怖のお話です。

だれも聞こえない新鮮な香。だれも見えない深遠な味。

まいまい@”
ホラー
 暗闇に響く声。それが、始まりの合図。祭りのはじまる時間。 現世と幻世の挟間の少し詩的なホラー系?

処理中です...