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第4章 娘は大人の階段を上り中?
サクラ○○
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「いってきます!」
「いってらっしゃい。あっ、マスクの予備は持ってる。」
「うん、カバンに入ってる。」
新しい年を迎え、A高校の受験日まであと残りわずかとなってきた。
今、世間ではインフルエンザが流行っているらしい。
妻も明莉も家に帰ってくると、必ず手洗いうがいをしている。
外出先はもちろん、家の中でもマスクをしている。
予防接種も受けているが、「今年は絶対にインフルエンザにはならない」と念には念を入れている。
少しでも規則正しい生活ができるようにと、妻はできるだけ早く帰って夕食を作るようになった。
忙しい時には惣菜に頼ることも多いが、風邪予防にいいと聞いたキノコ類やネギ、鮭などが食卓によく並ぶようになった。
受験が近づくにつれて、ますます健康面でのサポートに力を入れている。
明莉は、夏休みや二学期の間は各教科の内容の習得を目的とした問題集を解いていた。
甘い物の誘惑には妻と一緒に負けることが多々あったが、遊びの誘惑には打ち勝ち、勉強中心の毎日を過ごしていた。
一学期から二学期にかけてほど急激ではないが二学期中も成績は上がり、冬休み初日に行われた個人懇談では、最終的な第一志望校をA高校にすることが確定した。
ただ、A高校は毎年志願者が多く、競争率も偏差値も高いので油断はできない。
そして冬休みからは、志望校の過去問題や今年度の入学試験の予想問題集などを解いて本番に備えている。
「はあ、もっと早くから真面目に勉強しておけばよかった・・・」
夕食後、お茶を飲みながら明莉が言った。
「あら、どうしたの?三年生の夏からでも、何とかなりそうなところまできたじゃない?」
「もう、そういう油断が危ないんだよ。ママは楽観的なんだから。」
「だって過ぎたことをクヨクヨ考えても、しょうがないじゃない。」
明莉に楽観的だと言われた妻は、平気な顔をして答える。
時々、隠れて涙を流すことはあっても、家族の前では明るく元気に振舞っている妻。
その明るさに、俺は何度も救われたことがある。
「だけど、受験まであとちょっとしかないのに、やってないことや、やっておきたいことがいっぱいあるんだもん。全然時間が足りないよ。」
「焦ってもしょうがないわ。優先順位が高いものから一つずつやっていくしかないわよ。」
「そうだけど・・・何が一番大切かわからないんだもん。不安なことばかり、どんどん出てくるの。」
明莉も受験直前で、山のように広がる不安に心が押しつぶされそうなのだろう。
「じゃあ。思いついたことからでもいいんじゃない?とにかく、やった分だけ自信につながるんだから。」
「そうか。じゃあ、今日も、もうちょっと頑張ってから寝るね。」
明莉はそう言うと、椅子から立ち上がった。
「大丈夫かな。落ちてたら、どうしよう?」
疲れきった顔で、明莉がA高校の入学試験から帰ってきた。
そして、そのままソファーに倒れ込むと寝てしまった。
頑張ったね、明莉。お疲れさま。
俺はそっとソファーのアームに座って、明莉の頭を撫でた。
それから合格発表までの数日は、家中がソワソワしていた。
A高校が駄目だった時のために勉強しないといけないが、明莉はA高校の結果が気になって、勉強がはかどらない様子だった。
そして、迎えた合格発表の日。
郵便で結果が届いた。
明莉が恐る恐る封筒を開ける様子を、俺はドキドキしながら見ていた。
怖いけど、聞きたい、見たい。
矛盾する気持ちを抱えて見守った。
「合格」
「よかった・・・合格してた・・・」
「ニャー。(おめでとう。)」
「ありがとう、オト。」
明莉はローテーブルの上に封筒を置くと、俺を抱きしめてくれた。
夜、仕事から帰ってきた妻に合格通知を見せると、妻は、
「明莉、よく頑張ったわね。おめでとう。」
と言って、明莉を抱きしめた。
「いってらっしゃい。あっ、マスクの予備は持ってる。」
「うん、カバンに入ってる。」
新しい年を迎え、A高校の受験日まであと残りわずかとなってきた。
今、世間ではインフルエンザが流行っているらしい。
妻も明莉も家に帰ってくると、必ず手洗いうがいをしている。
外出先はもちろん、家の中でもマスクをしている。
予防接種も受けているが、「今年は絶対にインフルエンザにはならない」と念には念を入れている。
少しでも規則正しい生活ができるようにと、妻はできるだけ早く帰って夕食を作るようになった。
忙しい時には惣菜に頼ることも多いが、風邪予防にいいと聞いたキノコ類やネギ、鮭などが食卓によく並ぶようになった。
受験が近づくにつれて、ますます健康面でのサポートに力を入れている。
明莉は、夏休みや二学期の間は各教科の内容の習得を目的とした問題集を解いていた。
甘い物の誘惑には妻と一緒に負けることが多々あったが、遊びの誘惑には打ち勝ち、勉強中心の毎日を過ごしていた。
一学期から二学期にかけてほど急激ではないが二学期中も成績は上がり、冬休み初日に行われた個人懇談では、最終的な第一志望校をA高校にすることが確定した。
ただ、A高校は毎年志願者が多く、競争率も偏差値も高いので油断はできない。
そして冬休みからは、志望校の過去問題や今年度の入学試験の予想問題集などを解いて本番に備えている。
「はあ、もっと早くから真面目に勉強しておけばよかった・・・」
夕食後、お茶を飲みながら明莉が言った。
「あら、どうしたの?三年生の夏からでも、何とかなりそうなところまできたじゃない?」
「もう、そういう油断が危ないんだよ。ママは楽観的なんだから。」
「だって過ぎたことをクヨクヨ考えても、しょうがないじゃない。」
明莉に楽観的だと言われた妻は、平気な顔をして答える。
時々、隠れて涙を流すことはあっても、家族の前では明るく元気に振舞っている妻。
その明るさに、俺は何度も救われたことがある。
「だけど、受験まであとちょっとしかないのに、やってないことや、やっておきたいことがいっぱいあるんだもん。全然時間が足りないよ。」
「焦ってもしょうがないわ。優先順位が高いものから一つずつやっていくしかないわよ。」
「そうだけど・・・何が一番大切かわからないんだもん。不安なことばかり、どんどん出てくるの。」
明莉も受験直前で、山のように広がる不安に心が押しつぶされそうなのだろう。
「じゃあ。思いついたことからでもいいんじゃない?とにかく、やった分だけ自信につながるんだから。」
「そうか。じゃあ、今日も、もうちょっと頑張ってから寝るね。」
明莉はそう言うと、椅子から立ち上がった。
「大丈夫かな。落ちてたら、どうしよう?」
疲れきった顔で、明莉がA高校の入学試験から帰ってきた。
そして、そのままソファーに倒れ込むと寝てしまった。
頑張ったね、明莉。お疲れさま。
俺はそっとソファーのアームに座って、明莉の頭を撫でた。
それから合格発表までの数日は、家中がソワソワしていた。
A高校が駄目だった時のために勉強しないといけないが、明莉はA高校の結果が気になって、勉強がはかどらない様子だった。
そして、迎えた合格発表の日。
郵便で結果が届いた。
明莉が恐る恐る封筒を開ける様子を、俺はドキドキしながら見ていた。
怖いけど、聞きたい、見たい。
矛盾する気持ちを抱えて見守った。
「合格」
「よかった・・・合格してた・・・」
「ニャー。(おめでとう。)」
「ありがとう、オト。」
明莉はローテーブルの上に封筒を置くと、俺を抱きしめてくれた。
夜、仕事から帰ってきた妻に合格通知を見せると、妻は、
「明莉、よく頑張ったわね。おめでとう。」
と言って、明莉を抱きしめた。
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