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不動ベイシン
そうかつリザルト6
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『ママ達は何も見てないよね?』
口々に見ていないと言ってくれる皆の言葉を僕は信じる。
危なかった。判断が少しでも遅かったら恥ずかしい姿を見られていたかもしれない。セーフ。
壁やんが床に落ちているiPhoneを靴の踵で踏みつけて画面を割る。
その念入りな行動は僕の警備の一環?
「それは釜茹でにするので貸しなさい」
吉野さんがそう言うので、壁やんがiPhoneを踏むのをやめて摘み上げる。
汚いものに触れるみたいな運び方。
受け取った吉野さんはグラグラと煮立った鍋にiPhoneを落とした。
迷いのない行動がちょっと怖い。
「ケンゾーに連絡してお嬢の映像は全て削除させなさい」
吉野さんの指示に壁やんが頷く。
壁やんもケンゾーさんと連絡取れるんだ。
でも、圭介さんがローカルに保存してる分はケンゾーさんでも消せないと思うよ。
「坊の溜め込んでるHDDはドリルで穴でも開けますか。どれに入ってるか分からないから手当たり次第に開けてしまいましょう。ディスクも残さず割りますよ」
吉野さんの判断が容赦ない。
ローカル保存しているデータも物理で壊すつもりだ。
どうしよう。僕はそこまでしなくても良いって思ってるんだけど。
『圭介さんの保存データの中にはLittle WOMAN関係のものがあるから全部を消しちゃうのは問題かも』
「ひとつひとつ中身をチェックして残すものを選別するのなら。誰がそれをします? お嬢ができますか? 私が見ても良いのですか? もちろん私は見たものを口外はしませんが。誰かに判断を託すのも自分で見て確認するのも嫌でしょう?」
たしかに自分で自分の痴態を見るのは嫌。
誰かにお願いして見てもらうのはもっと嫌。
でも、だからって。
全部を消しちゃうなんて乱暴だよ。
「Little WOMANに関するものなら私や松川が持っている。面倒だ。全てを消してしまえばいい」
鈴村さんはデータを全消しするのに一票。
「そうだな。必要なら私からデータを渡そう」
松川さんもそれに同意した。
玲司君はさっきから床に転がされたまま。
無言で非難の言葉を受け入れていた。
これが玲司君なりの反省の態度なのだと僕は受け取ったよ。
隠し撮りのデータは綺麗さっぱり消して。
僕達の関係もリセットし直そう。
最後に圭介さん本人にも聞いておこうかな。
話せるように巻いていたテープを剥がしてあげる。
『クラウド保存とローカル保存されている隠し撮りデータを全部消しても良いですか?』
「唯の思い出全部消すの?」
今にも死にそうな声で圭介さんは言う。
だけど、その思い出は僕に内緒で溜め込んだものじゃないか。
それって圭介さんが盗んだ僕の体験でしょ?
『僕の思い出は僕が持ってます。見たいならアルバムや卒業文集も貸してあげます』
「大学のレポートは?」
『Googleのストレージに残ってる分は読んでいいですよ』
レポートやノートのコピーを見せてほしいと頼まれることが何度かあったから。
簡単に共有できるようにGoogleドライブに項目を分けて保管していた。
当時の手書きノートの実物はもう捨ててるけど。
スキャンして電子書籍のようにPDF化したものなら残ってるよ。
「唯が新しくくれるなら、今ある分は全部消しても良い」
苦渋の決断みたいに絞り出した答え。
圭介さんにとっては僕のデータを集める行為が疑似デートのようなものだったのかな。
それなら本物のデートをこれからたくさんしよう。
古い歪んだ思い出はよい機会だと思って断捨離しましょう。
「それで唯が許してくれるなら。全部消して」
『最初から僕はそう言ってますよ。もう隠し撮りしないで、すでに撮ったデータを全部消してくれたらそれでいいって。まさか、そう言ってから2ヶ月経ったのにまだ消してなかったことにはビックリしたけど。これから消してくれるなら問題ないです』
これでこの話はおしまいね。
口々に見ていないと言ってくれる皆の言葉を僕は信じる。
危なかった。判断が少しでも遅かったら恥ずかしい姿を見られていたかもしれない。セーフ。
壁やんが床に落ちているiPhoneを靴の踵で踏みつけて画面を割る。
その念入りな行動は僕の警備の一環?
「それは釜茹でにするので貸しなさい」
吉野さんがそう言うので、壁やんがiPhoneを踏むのをやめて摘み上げる。
汚いものに触れるみたいな運び方。
受け取った吉野さんはグラグラと煮立った鍋にiPhoneを落とした。
迷いのない行動がちょっと怖い。
「ケンゾーに連絡してお嬢の映像は全て削除させなさい」
吉野さんの指示に壁やんが頷く。
壁やんもケンゾーさんと連絡取れるんだ。
でも、圭介さんがローカルに保存してる分はケンゾーさんでも消せないと思うよ。
「坊の溜め込んでるHDDはドリルで穴でも開けますか。どれに入ってるか分からないから手当たり次第に開けてしまいましょう。ディスクも残さず割りますよ」
吉野さんの判断が容赦ない。
ローカル保存しているデータも物理で壊すつもりだ。
どうしよう。僕はそこまでしなくても良いって思ってるんだけど。
『圭介さんの保存データの中にはLittle WOMAN関係のものがあるから全部を消しちゃうのは問題かも』
「ひとつひとつ中身をチェックして残すものを選別するのなら。誰がそれをします? お嬢ができますか? 私が見ても良いのですか? もちろん私は見たものを口外はしませんが。誰かに判断を託すのも自分で見て確認するのも嫌でしょう?」
たしかに自分で自分の痴態を見るのは嫌。
誰かにお願いして見てもらうのはもっと嫌。
でも、だからって。
全部を消しちゃうなんて乱暴だよ。
「Little WOMANに関するものなら私や松川が持っている。面倒だ。全てを消してしまえばいい」
鈴村さんはデータを全消しするのに一票。
「そうだな。必要なら私からデータを渡そう」
松川さんもそれに同意した。
玲司君はさっきから床に転がされたまま。
無言で非難の言葉を受け入れていた。
これが玲司君なりの反省の態度なのだと僕は受け取ったよ。
隠し撮りのデータは綺麗さっぱり消して。
僕達の関係もリセットし直そう。
最後に圭介さん本人にも聞いておこうかな。
話せるように巻いていたテープを剥がしてあげる。
『クラウド保存とローカル保存されている隠し撮りデータを全部消しても良いですか?』
「唯の思い出全部消すの?」
今にも死にそうな声で圭介さんは言う。
だけど、その思い出は僕に内緒で溜め込んだものじゃないか。
それって圭介さんが盗んだ僕の体験でしょ?
『僕の思い出は僕が持ってます。見たいならアルバムや卒業文集も貸してあげます』
「大学のレポートは?」
『Googleのストレージに残ってる分は読んでいいですよ』
レポートやノートのコピーを見せてほしいと頼まれることが何度かあったから。
簡単に共有できるようにGoogleドライブに項目を分けて保管していた。
当時の手書きノートの実物はもう捨ててるけど。
スキャンして電子書籍のようにPDF化したものなら残ってるよ。
「唯が新しくくれるなら、今ある分は全部消しても良い」
苦渋の決断みたいに絞り出した答え。
圭介さんにとっては僕のデータを集める行為が疑似デートのようなものだったのかな。
それなら本物のデートをこれからたくさんしよう。
古い歪んだ思い出はよい機会だと思って断捨離しましょう。
「それで唯が許してくれるなら。全部消して」
『最初から僕はそう言ってますよ。もう隠し撮りしないで、すでに撮ったデータを全部消してくれたらそれでいいって。まさか、そう言ってから2ヶ月経ったのにまだ消してなかったことにはビックリしたけど。これから消してくれるなら問題ないです』
これでこの話はおしまいね。
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