恋愛サティスファクション

くらげ

文字の大きさ
上 下
347 / 429
不動ベイシン

カクテルまじっく4

しおりを挟む
ついこの間も記憶をなくすくらい飲んでしまったんだ。
お酒は危険。

「弱いお酒も作れるよ?」

圭介さんがささやく魅力的なお誘い。

「つまみはチーズ? クリームチーズとサーモンあるから、簡単なカナッペ作れるよ?」

圭介さんのBarは僕の欲しいものしか出てこない。

「だし巻き焼く? ワインベースのカクテルに合うよ?」

初めて聞く組み合わせ。すごく気になる。

「ビールのカクテルにスモークナッツでカジュアルに楽しむ?」

どの提案も素敵すぎて選べないよ。

「他に唯が好きそうなのだと……」

これ以上の選択肢は必要ないよ。
だってすでに選べないくらい、全部が素敵。

「どれも美味しそうで選べないです」
「じゃあ全部作ろ」
「そんなにたくさんは飲めないですって」

僕は圭介さんみたいにお酒強くないもん。
そんな残念そうな顔しないで。
僕のためのレシピをいろいろ考えてくれてたんだよね?

「今夜は1杯だけいただきます。それで明日もまた1杯作ってくれますか?」

毎晩の楽しみに。
一度に飲まなくても、ずっと楽しめるよ。
圭介さんが今夜にぴったりな究極の1杯を考え始めた。
あんまり悩みすぎてのぼせないでね。

お風呂上がりに仲良くキッチンへ行こうとと歩いていたら、廊下で成瀬さんに出会う。
通りすがりにすれ違うというより、ここで待ってた感じ。
僕達のお風呂が終わるのを出待ちしてた?

「佐倉さんとご一緒のところすいません。松川さんから何度か電話がありまして」

こんな時間に何度も?
それは急ぎの連絡だよ。
早くかけ直さなきゃ。

「圭介さん、早くお電話してあげてください。きっと待ってますよ」
「明日で良い。今は唯に酒を用意しなきゃ」

また僕を優先しようとする。悪い癖だ。

「お酒はまた今度にしましょう」

圭介さんは納得してない顔をしてる。困ったな。
松川さんはこんな夜遅くに電話を待っているのに。

「今夜の予定が明日になっただけです。楽しみが明日に伸びたってことは、僕は明日の夜までずっと圭介さんがどんなカクテルを用意してくれるのか。楽しみに待ち続けられるんですよ」

圭介さんのお酒を飲まないわけじゃない。
今日は飲めないだけ。
楽しい予定は延期になったんだ。

「だから、成瀬さんにも怒っちゃ駄目ですよ。成瀬さんは秘書としての仕事をしているだけなんだから」

松川さんからの電話を取り次いだのは仕事の範疇。
それに怒るのは理不尽な上司だ。
むしろこんな夜遅くまで対応してくれて、時間外手当を付けなきゃ。

「せっかくお酒を飲むなら、僕はポテトサラダが食べたいです。圭介さんの作るカリカリのベーコンが入ったやつ。大好きだから」
「分かった。明日はポテトサラダとそれに合う酒を用意する」
「楽しみです」

明日の予定が決まって、圭介さんはようやく納得した。
電話は人に聞かれないように離れでかけると言うので玄関まで見送りに行く。

今夜、圭介さんの作るカクテルを飲めないのはとても残念だけど。
僕は良い子だから我慢できるよ。
明日の夜は急ぎの仕事がないといいな。

「夜遅くまでお疲れ様です。僕は先に休みますね」
「おやすみ。唯」
「おやすみなさい、圭介さん」

誰もいないのを確認して。
そっと触れるだけのキスをした。
おやすみなさいといってらっしゃいの挨拶。

玄関の鍵を締めて。
ひとり部屋に戻る。

眠るための布団を敷いて。
明日も朝は早い。
いつまでも寂しがっていないで寝てしまおう。

太陽のペンダントを外して枕元に置く。
表面を軽く撫でて、1日の終りの挨拶。

「おやすみなさい。圭介さん。また明日」

部屋の電気を消して、布団に潜り込む。
肩までタオルケットをかぶって、目を閉じた。

「明日の家飲みが楽しみです。今度は急用の電話がないといいですね」

こういう事言うとフラグが立つって言うけど。
僕は希望を積極的に伝えていくことにしたんだ。
言葉には魂が宿る。
それなら願いも声に出していこう。
そうすれば叶いやすくなる。

「ポテトサラダに合うお酒ってなにかなー。やばっ。楽しみ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

初恋の幼馴染の女の子の恰好をさせられメス調教もされて「彼女」の代わりをさせられる男の娘シンガー

湊戸アサギリ
BL
またメス調教ものです。今回はエロ無しです。女装で押し倒されいますがエロはありません 女装させられ、女の代わりをさせられる屈辱路線です。メス調教ものは他にも書いていますのでよろしくお願いいたします

クラスの仲良かったオタクに調教と豊胸をされて好みの嫁にされたオタクに優しいギャル男

湊戸アサギリ
BL
※メス化、男の娘化、シーメール化要素があります。オタクくんと付き合ったギャル男がメスにされています。手術で豊胸した描写があります。これをBLって呼んでいいのかわからないです いわゆるオタクに優しいギャル男の話になります。色々ご想像にお任せします。本番はありませんが下ネタ言ってますのでR15です 閲覧ありがとうございます。他の作品もよろしくお願いします

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

トリビアのイズミ 「小学6年生の男児は、女児用のパンツをはくと100%勃起する」

九拾七
大衆娯楽
かつての人気テレビ番組をオマージュしたものです。 現代ではありえない倫理観なのでご注意を。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

処理中です...