恋愛サティスファクション

くらげ

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恋愛サティスファクション

カワイクじゃんぷあっぷ9

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何とか手をほどこうと引っ張ってみてもキツく結ばれた紐が緩む気配はなくて。
右手で拳をつくって、左手でそれを包むようにキツく握り絞めて。
何度も何度も繰り返し、手首が痛くなるのも構わずに引っ張った。

「嫌がる唯も可愛いなー」

圭介さんは笑いながら僕のスカートの中に手を入れてきた。
もしかして、このままSEXしちゃうの?
それは嫌。紐をほどいて。
咄嗟に足を跳ね上げて圭介さんの肩を蹴っちゃったけど。
本当に駄目なときは仕方がないよね。
やめてくれない圭介さんが悪いんだ。
それでも、本気で蹴るわけにもいかなくて、手加減したのが駄目だった。

バタバタと暴れる足を簡単に捕まえられて。
長いロープみたいなもので膝の裏側を掬うように固定されて、持ち上げられた。
今の僕は目隠しされてて見えないから、それが本物のロープかなんて分からない。
ただ、僕の足は大股に広がったまま。
足の間に圭介さんがいるせいで閉じることも出来ない。
あられもない姿に固定されたのは、嫌というほど分かった。

もう無理。

喉が締め付けられるように苦しい。
嫌なのに。こんなことやめて欲しいのに。
なんで分かってくれないの。
涙が後から後から湧いてくるから、目隠しに使われたヘッドドレスはグショグショに濡れて顔に張り付いてくる。
それでも収まらない涙は仰向けになっていたせいで耳の中に入ってきた。
気持ちが悪くて首を横に向けて、せめて止まらない涙をシーツに擦り付ける。

もう嫌。

シーツと擦れてヘッドドレスがずれて隙間ができる。
その隙間から圭介さんを窺っても、涙で滲む視界では何も見えなくて。
朧気に目線が噛み合っているようにも感じたけれど。
それは僕の願望かもしれない。

目に見える色も、耳に聞こえる音も、肌に触れる熱も。
何もかも全部、もうどうでも良いや。
諦めた僕は身体中の力をだらりと抜いて。
ゆっくり瞳を閉じた。

「ちくしょう」

それは僕への言葉なのか。
自分自身に向けた言葉なのか。
圭介さんが短く一言吐き捨てる。

僕の身体を拘束していた紐が解かれて。
瞳を覆うヘッドドレスも外された。

僕の自由になった身体を圭介さんは覆いかぶさるように抱きしめた。
僕も抱きしめ返す。
お願い。もう乱暴なことはしないで。
いまならまだ後戻りは可能。

「ごめん。今さら優しくするほど、余裕ない。先に謝っとく。でも、気持ちよくするから。許して」

それで許しちゃいけないと僕の中の審判が叫ぶ。
警告の指導は止まらない。
だけど普段優しい圭介さんがこんなに乱暴な振る舞いをするのは、きっと理由があるはずだから。
僕と肌を重ねることで、荒んだ気持ちが落ち着くなら。
それで良いかなって思っちゃったんだ。

始まりはいつもと少し違ったけれど。
始まってしまえばいつもと同じ。
愛し合っているふたりでやることは変わらない。

圭介さんがいつもより激しい気がする。
気のせいかもしれないけど。
疑問は快楽に沈み。気持ち良すぎて何も考えられなくなっていく。

「はぁっ。きもちよすぎて……だめぇ」

僕の意思関係なく勝手に跳ねる身体をどうにかしたくて圭介さんの首に抱きつく。

「駄目じゃないだろ?」

その質問には答えられないよ。
今宵何度目かの絶頂に僕は言葉を忘れてしまったから。

「唯」

圭介さんに四つん這いの姿勢を取るように促される。
腕に力が入らなくて、おしりだけを高く突き上げた格好しかできない。

それでも構わないと圭介さんは僕の中に入ってくる。
僕は享楽に溺れ、甘えた鳴き声をあげる。

恥じらいを捨てた猫のような姿勢で与えられる熱。
本当に獣の交尾みたいだとはしたなくも興奮した。
何度目かの絶頂に意識がふわりと浮いて。
自分の輪郭が曖昧になる。

「け……すけさ……んんっ。だいすきっ」

ヒトであることを捨てても。
大切な人の名前は忘れない。
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