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初陣アプレンティス
かいぎストラテジー3
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「内部告発ルートは魅力的だけど他に方法はないかな。二上さん、塀の外側の人の意見とかないですか?」
鈴村さんとかから何かアドバイスは来てない?
「お二人の会議はまだ外に伝えていませんよ。復縁されたことも伏せてます」
「なんで? 二上さんは伝言係じゃないんですか?」
「俺は佐倉さんと圭さんのことを報告するように命令されてますが、リアルタイムで伝えるようには言われてません。ずっと一緒にいるわけにもいかないので、午後の活動報告は夕方の検温時に聞き取りをした内容を報告することが多いです」
午後は洗濯や掃除、やることいっぱいで二上さんは忙しいもんね。
僕も手伝いたいのにお義父さんと一緒にいろって部屋に押し込まれてる。
僕はもう元気だから雑用を任されたいのに。
「夕方の血圧測る時にお昼ごはんのあと何してたか聞かれてたのはそのためだったんですね」
健康管理のためだと思っておやつに食べた物を伝えてた。
あとは部屋で大人しくしてたよっていうアピール。
だって叱られたくないもん。
二上さんはすぐに怒るから。
「佐倉さんは素直に答えてくれて助かってます。そういうわけなので、夕飯までにある程度の見通しを立ててください。それに合わせて俺も外に報告します」
会議を終わりまで見届けてから。
内容をどこまで報告するか見定めて伝えるつもりなんだ。
「今話している内容を本当に実行されるなら誰にどれだけ情報を流すかも含めて計画を立てる必要があるでしょう?」
この部屋から情報戦が始まるのか。
すごいなあ。カルピスソーダ飲んでる場合じゃない。
お義父さんに届いたお歳暮のなかにカルピスを見つけて懐かしくなったから飲んでたけど。
「会議を始めたことすら伝えちゃ駄目なのか。難しいな。鈴村さんや泰葉さんになら直接相談してもいいですか?」
やっぱり僕達だけじゃ不安だよ。
大人の意見がほしいよ。
「どうですかね? 俺が報告している内容。多分ですけどLittle WOMANに流れていますよ。どこからかは分からないけど体感でかなりの上流から漏れてる気がしますね」
情報流出を肌で感じとっていたから、僕達の作戦会議を伝えずに止めてくれている。
二上さんは意地悪なように見えて僕達を応援してくれてるのかな?
「二上の報告って誰に渡してる?」
圭介さんの質問に二上さんが答える。
「一斉送信の時は先日のリモート会議の5名です。他にも内容にあわせて個別にメールしますけど」
その会議とは僕がうっかり写り込んでしまったリモート会議のことだろう。
NPOこころのやどり木代表で圭介さんの腹違いのお姉さん、泰葉さん。
与党民自党の衆議院議員、衣笠農林水産省大臣。
厚生労働省の官僚で圭介さんの倫理面の指導員、前川さん。
何かあったら頼りなさいと紹介された夏目さん。
そして、元ヤクザの構成員で現ダブルフォルド総括プロデューサー、魔女の鈴村さん。
この5人の中にスパイがいるってこと?
「夏目さんは鈴村さんに軽く紹介はされてますがどんな人なんです?」
スパイがいるなら見つけないと。
そのためにも全員のことを教えてほしい。
「夏目さんは鈴さんの顧問会計士だよ。キャバに入れ込んで借金重ねてたとこを鈴さんが拾ってきたんだって。頭は良くてもモテなかった男は一線超えると谷底まで一直線に落ちるんだって実体験で教えてくれた。今は鈴さんの紹介した相手とお見合い結婚して娘が2人いる」
「鈴村さんはお見合いのセッティングまでしてるんだ。それって僕もしなきゃ駄目なのかな?」
魔女の仕事っていろいろあるんだな。
「唯はしなくても良いと思うよ。お見合いさせるのは鈴さんの趣味だし」
「仲人さんをするのが趣味?」
「鈴さんの第六感がこの人達を番わせたいって囁くらしいよ。その声に従って縁談を組むとうまくいくことが多いから、今ではいい人を紹介してくれって頼まれることも増えてる」
「本当に魔女みたい。人を見る目があるから勘が働くのかな」
僕はすぐに騙されちゃうし、人を見る目のなさは自覚してる。
「夏目さんは一生働いても返せないくらいの恩があるから忠誠の誓いも強くて。女に引っかかった以外は基本的には有能な人で、今は親父の金配りの全体像を監督する立場だよ。整合性の取れた帳簿を作るのうまくて、鈴さんが拾ってくる人は一芸がある人ばっかりだよね」
偽帳簿を作るプロ。
それは褒められた特技なのか?
お義父さん達のしていることに必要不可欠な技能ではあるけど。
「そういうわけで、夏目さんが鈴さんを裏切るとは思えない。でも奥さんや子供を人質に取られて脅されたら分からないね。大事な家族を守るためなら俺達の情報ぐらい安いものかも」
“夏目さんはスパイの可能性あり”
鈴村さんとかから何かアドバイスは来てない?
「お二人の会議はまだ外に伝えていませんよ。復縁されたことも伏せてます」
「なんで? 二上さんは伝言係じゃないんですか?」
「俺は佐倉さんと圭さんのことを報告するように命令されてますが、リアルタイムで伝えるようには言われてません。ずっと一緒にいるわけにもいかないので、午後の活動報告は夕方の検温時に聞き取りをした内容を報告することが多いです」
午後は洗濯や掃除、やることいっぱいで二上さんは忙しいもんね。
僕も手伝いたいのにお義父さんと一緒にいろって部屋に押し込まれてる。
僕はもう元気だから雑用を任されたいのに。
「夕方の血圧測る時にお昼ごはんのあと何してたか聞かれてたのはそのためだったんですね」
健康管理のためだと思っておやつに食べた物を伝えてた。
あとは部屋で大人しくしてたよっていうアピール。
だって叱られたくないもん。
二上さんはすぐに怒るから。
「佐倉さんは素直に答えてくれて助かってます。そういうわけなので、夕飯までにある程度の見通しを立ててください。それに合わせて俺も外に報告します」
会議を終わりまで見届けてから。
内容をどこまで報告するか見定めて伝えるつもりなんだ。
「今話している内容を本当に実行されるなら誰にどれだけ情報を流すかも含めて計画を立てる必要があるでしょう?」
この部屋から情報戦が始まるのか。
すごいなあ。カルピスソーダ飲んでる場合じゃない。
お義父さんに届いたお歳暮のなかにカルピスを見つけて懐かしくなったから飲んでたけど。
「会議を始めたことすら伝えちゃ駄目なのか。難しいな。鈴村さんや泰葉さんになら直接相談してもいいですか?」
やっぱり僕達だけじゃ不安だよ。
大人の意見がほしいよ。
「どうですかね? 俺が報告している内容。多分ですけどLittle WOMANに流れていますよ。どこからかは分からないけど体感でかなりの上流から漏れてる気がしますね」
情報流出を肌で感じとっていたから、僕達の作戦会議を伝えずに止めてくれている。
二上さんは意地悪なように見えて僕達を応援してくれてるのかな?
「二上の報告って誰に渡してる?」
圭介さんの質問に二上さんが答える。
「一斉送信の時は先日のリモート会議の5名です。他にも内容にあわせて個別にメールしますけど」
その会議とは僕がうっかり写り込んでしまったリモート会議のことだろう。
NPOこころのやどり木代表で圭介さんの腹違いのお姉さん、泰葉さん。
与党民自党の衆議院議員、衣笠農林水産省大臣。
厚生労働省の官僚で圭介さんの倫理面の指導員、前川さん。
何かあったら頼りなさいと紹介された夏目さん。
そして、元ヤクザの構成員で現ダブルフォルド総括プロデューサー、魔女の鈴村さん。
この5人の中にスパイがいるってこと?
「夏目さんは鈴村さんに軽く紹介はされてますがどんな人なんです?」
スパイがいるなら見つけないと。
そのためにも全員のことを教えてほしい。
「夏目さんは鈴さんの顧問会計士だよ。キャバに入れ込んで借金重ねてたとこを鈴さんが拾ってきたんだって。頭は良くてもモテなかった男は一線超えると谷底まで一直線に落ちるんだって実体験で教えてくれた。今は鈴さんの紹介した相手とお見合い結婚して娘が2人いる」
「鈴村さんはお見合いのセッティングまでしてるんだ。それって僕もしなきゃ駄目なのかな?」
魔女の仕事っていろいろあるんだな。
「唯はしなくても良いと思うよ。お見合いさせるのは鈴さんの趣味だし」
「仲人さんをするのが趣味?」
「鈴さんの第六感がこの人達を番わせたいって囁くらしいよ。その声に従って縁談を組むとうまくいくことが多いから、今ではいい人を紹介してくれって頼まれることも増えてる」
「本当に魔女みたい。人を見る目があるから勘が働くのかな」
僕はすぐに騙されちゃうし、人を見る目のなさは自覚してる。
「夏目さんは一生働いても返せないくらいの恩があるから忠誠の誓いも強くて。女に引っかかった以外は基本的には有能な人で、今は親父の金配りの全体像を監督する立場だよ。整合性の取れた帳簿を作るのうまくて、鈴さんが拾ってくる人は一芸がある人ばっかりだよね」
偽帳簿を作るプロ。
それは褒められた特技なのか?
お義父さん達のしていることに必要不可欠な技能ではあるけど。
「そういうわけで、夏目さんが鈴さんを裏切るとは思えない。でも奥さんや子供を人質に取られて脅されたら分からないね。大事な家族を守るためなら俺達の情報ぐらい安いものかも」
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