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初陣アプレンティス
ようこそ保邸へ2
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「僕、信用出来ない相手の用意した食事は食べちゃ駄目って知ったんです。鈴村さんから気をつけなさいって言われて。だから食べられません。勿体ないから自分で召し上がってください」
僕は食べないけどみんなで食べたらいいんじゃない?
たくさん作ったみたいだし?
「だいたい。今日は何をやっていたんですか?」
「唯が帰ってくるの待ってたんだよ? 部屋を整えて、食事の用意して。風呂も沸いてるよ? 入る?」
お風呂。また覗き見されるのか。入りたいのに入れない。
ここまでくると嫌がらせとしか思えない。
ことごとく僕を邪魔してくる。
それに僕の事じゃなくて他にやることがあるだろう。
「あの子は? YouTubeの女の子は無事に保護できたんですか?」
「ああ。動画の女? 別にあれはどうでも良くない? いちおう泰葉さんが気にかけてあげてるし、そのうちライブ配信するのも飽きて止めるでしょ?」
「どうでも良くないです」
「唯はあの女をどうしたいの?」
どうしたいかって? 助けてあげたいよ。
「まずは配信するのをやめさせて。妊娠してるって話だったから病院で検査?」
「検査してどうするの?」
「どうするって言われても。産みたいって言ってたし、環境を整えるお手伝いをしてあげる感じで」
「あんな無計画に騒ぐだけの女がひとりで子育て出来ると思ってるの?」
ひとりで子育てしちゃいけない母親に育てられた人の言葉。
あの子がひとりで子供を育てられるのか。
高校生だと言っていた。とても若い子だった。
子供を産むなら学校は中退するのだろうか。
それで働くとしても中卒で働ける場所は限られる。
精神的にまだまだ未熟な10代の女の子が働きながら子育て出来るのか?
普通の夫婦が子育てをしていても産後うつになるときがある。
両親や元カレを頼れない孤独な子育てはお母さんになる女の子の負担が重すぎる。
もし生活保護などの支援を受けたとしても金銭的なサポートだけで大丈夫?
「子育ての支援も必要なら、そういうサポートとかも用意してあげて」
「それって生きた赤ん坊使ったままごとがしたいって言ってるのと同じじゃない? それが唯のやりたいこと?」
そんな言い方しなくても。
僕だってただ甘やかすんじゃなくて、ちゃんと自立に向けた支援をって考えてるんだよ。
アイデアが思いつかないだけで。
「唯がままごとしたいなら、新生児用意するけど?」
なんでそういう発想になるの?
会話が成り立たない。膝から崩れそうになる。
でも倒れちゃいけない。
気をしっかり持て。
「僕は子育てをしたい訳では無いです。あの子の子供を産みたいという希望を叶えてあげたいんです」
「叶えたあとは? デジタルタトゥーが刻まれた母親の元で育てられる子供に希望はあるの?」
あの感情的にまくし立てていた配信動画はネットに残る。
僕が見た時の視聴者数は2000を超えていた。
面白半分にキャプチャーされるかもしれない。
悪意ある人がアーカイブを残して拡散するかもしれない。
それを産まれてきた子供が大人になってから見るかもしれない。
「本当に妊娠してるかも怪しいし。してたとしても今回に限っては諦めるべきだと俺は思ってる」
高校生がひとりで子供を産み育てるなんて現実的ではない。
そんなこと分かってる。
Little WOMENの判断と逆のことをしたいと意地を張っている自覚もある。
綺麗事じゃ生きていけないことも理解して、それでもあの子の願いを叶えてあげたいって思うんだ。
でもそれって僕の気分が良くなるだけで、あの子に対して本当に正しい行いになるのかって聞かれたら。
自信がなくなってきた。
今回は赤ちゃんを諦めるのが正しいのかもしれない。
でもお腹の中で生きているんだよ。
生きている命を簡単に切り捨てるなんて僕には難しい。
僕は食べないけどみんなで食べたらいいんじゃない?
たくさん作ったみたいだし?
「だいたい。今日は何をやっていたんですか?」
「唯が帰ってくるの待ってたんだよ? 部屋を整えて、食事の用意して。風呂も沸いてるよ? 入る?」
お風呂。また覗き見されるのか。入りたいのに入れない。
ここまでくると嫌がらせとしか思えない。
ことごとく僕を邪魔してくる。
それに僕の事じゃなくて他にやることがあるだろう。
「あの子は? YouTubeの女の子は無事に保護できたんですか?」
「ああ。動画の女? 別にあれはどうでも良くない? いちおう泰葉さんが気にかけてあげてるし、そのうちライブ配信するのも飽きて止めるでしょ?」
「どうでも良くないです」
「唯はあの女をどうしたいの?」
どうしたいかって? 助けてあげたいよ。
「まずは配信するのをやめさせて。妊娠してるって話だったから病院で検査?」
「検査してどうするの?」
「どうするって言われても。産みたいって言ってたし、環境を整えるお手伝いをしてあげる感じで」
「あんな無計画に騒ぐだけの女がひとりで子育て出来ると思ってるの?」
ひとりで子育てしちゃいけない母親に育てられた人の言葉。
あの子がひとりで子供を育てられるのか。
高校生だと言っていた。とても若い子だった。
子供を産むなら学校は中退するのだろうか。
それで働くとしても中卒で働ける場所は限られる。
精神的にまだまだ未熟な10代の女の子が働きながら子育て出来るのか?
普通の夫婦が子育てをしていても産後うつになるときがある。
両親や元カレを頼れない孤独な子育てはお母さんになる女の子の負担が重すぎる。
もし生活保護などの支援を受けたとしても金銭的なサポートだけで大丈夫?
「子育ての支援も必要なら、そういうサポートとかも用意してあげて」
「それって生きた赤ん坊使ったままごとがしたいって言ってるのと同じじゃない? それが唯のやりたいこと?」
そんな言い方しなくても。
僕だってただ甘やかすんじゃなくて、ちゃんと自立に向けた支援をって考えてるんだよ。
アイデアが思いつかないだけで。
「唯がままごとしたいなら、新生児用意するけど?」
なんでそういう発想になるの?
会話が成り立たない。膝から崩れそうになる。
でも倒れちゃいけない。
気をしっかり持て。
「僕は子育てをしたい訳では無いです。あの子の子供を産みたいという希望を叶えてあげたいんです」
「叶えたあとは? デジタルタトゥーが刻まれた母親の元で育てられる子供に希望はあるの?」
あの感情的にまくし立てていた配信動画はネットに残る。
僕が見た時の視聴者数は2000を超えていた。
面白半分にキャプチャーされるかもしれない。
悪意ある人がアーカイブを残して拡散するかもしれない。
それを産まれてきた子供が大人になってから見るかもしれない。
「本当に妊娠してるかも怪しいし。してたとしても今回に限っては諦めるべきだと俺は思ってる」
高校生がひとりで子供を産み育てるなんて現実的ではない。
そんなこと分かってる。
Little WOMENの判断と逆のことをしたいと意地を張っている自覚もある。
綺麗事じゃ生きていけないことも理解して、それでもあの子の願いを叶えてあげたいって思うんだ。
でもそれって僕の気分が良くなるだけで、あの子に対して本当に正しい行いになるのかって聞かれたら。
自信がなくなってきた。
今回は赤ちゃんを諦めるのが正しいのかもしれない。
でもお腹の中で生きているんだよ。
生きている命を簡単に切り捨てるなんて僕には難しい。
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