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くらげ

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ライこうかい3

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「ヤクザのシノギとしての生活保護ビジネスだとホームレスとか拾ってきて、タコ部屋押し込んで、死なない程度に食わせて、終わり。ただ生きてるだけ。趣味を楽しんだりする自由なんてもちろんない」
「そんな生活を強制するなんて人権侵害ですよ」
「ヤクザのシノギだよ? 受給者の人権なんて無視だって」

お義父さんそんなことしてたんだ。
ショックを隠せないでいた僕を玲司君が優しく抱きしめてくれた。

「圭が話してるのは昔の話だ。親父っさん、今は改心して真っ当な生活保護ビジネスしてっからさ。タコ部屋仕切ってたヤツも上前津抗争のときに捕まって、今じゃ坊さんやってんだよ」

お坊さんってお寺の?
罪を償って新しい道に進んでる。
お義父さんもだけど極端だな。
それぐらい振り切れないとヤクザとは縁が切れないのか。
きれいさっぱり切れているようにも見えないけど。

「今はちゃんと人間らしい生活をさせて、自立できる人には自立を促して。自立できない人にも、その人にあった人生の目標っていうかやりがいみたいなものを用意してやってるからさ。唯はあんまり悲観しないで」

それは僕の想像してた生活保護ビジネスだ。
困っている人に寄り添った支援の形。

「人それぞれの目標。たとえばどんなものがあるんですか?」

生きていく上で指針となるもの。
それがなければ太平洋の真ん中に小さなボートに乗せられて放置されたも同然となる。
人生を遭難しないように。寄り添う支援。

「たとえば仕事が出来ない理由にもいろいろあって。怪我や病気、知的に問題がある人もいるね」

知能の問題。圭介さんのお母さんにも当てはまる理由。

「やっぱり人間は誰かと関わりたいんだよ。やれることは子供の手伝い程度のことしか出来なくても感謝されたい。そういう人達にはボランティアでも良いから何か習慣になるようなことに誘うんだ」

小さなことでも感謝されるのは僕も好き。
だから僕もいっぱいありがとうを言うようにしてる。

「それは街のゴミ拾いボランティアでも良い。ありがとうの一言がきっかけで社会復帰することもあるしね」

ありがとうは言った人も言われた人も元気になれる魔法の言葉。

「正直言うと補助スタッフ用意して受給者にゴミ拾いさせるほうが面倒なんだけど。今ってそういう福祉サービスに青天井の予算付くからさ。補助金もらえるうちは黒字になるからやってもいいかな。雇用もうまれてWIN WINな関係だし」

お金のためにしていると圭介さんは言うけど。
それで助かる人がいるのなら。それは善行だ。

「親父がやれることなんて国の財布に手突っ込んで金ふんだくってくることぐらいなんだよ。それを実際に現場で頑張ってくれる人に流すにしても中間マージン取られまくって目減りさせて。それでもやる偽善だって金配り爺さんやり続けるの、良い根性してるよね」

国からもらった補助金を現場の人達に届ける仕事。
直接現場の人達が国に申請して補助金を受け取ることは出来ないんだろうか。

「あとは親の信心の犠牲になる子供減らそうと新興宗教まで用意してる。どうせ騙される人間ならひとまとめに世話してやるって自分で囲い込んで仕事与えて食わせてやるんだ」
「壁やんが売ってた太陽光パネルの製造元の宗教。もしかして、それですか?」
「尾壁から聞いたんだ。そうだよ。“太陽の道”はそうやって親父が用意した受け皿。じゃあ聞いてるよね。宗教2世問題のケアも万全だって」

本当は日々の生活を犠牲にするほど宗教にのめり込まないのが一番だけど。
沼にはまるように信じてしまう人が一定数いるから。
そういう人達がある意味で安全に信じられる神様を用意したのか。

「何が正しくて、何が間違ってるのか。僕は分からなくなってきました」
「俺にも分かんない。ただ、Little WOMANみたいな奴らがデカい顔して堂々としてるのは間違ってるって言えるよ」

それはそう。
彼らは明確に分かりやすく悪である。

「親父はやらなくなった唯の言う人道的でない支援の方法をLittle WOMANは今でも続けてるし。反面教師にしてる」

正しい支援には手間も時間もお金もかかる。
でも支援をしているフリだけして上前はねちゃえば。簡単に儲かる。
福祉がシノギになる理由。
そして、本当に必要な人達にお金が届かない理由。
お義父さんがLittle WOMANとやりあって予算を取ってこないといけないのはそのせい。

「そんな悪いことしてるのに告発できないなんて」

困っている人をさらに傷つけるようなことしてるなら、それは犯罪だ。
それなのに逮捕すらされない。

こんなのおかしいよ。
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