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可視化ライブラリ
こうどうマーチ11
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「これは“サクラの彼氏”としてアカウントを育てるから気になるなら唯もフォローして時々確認してよ。顔出しはしないで匂わせ程度の呟きをする予定だよー」
匂わせアカウント。
バランス感覚が問われる運用になりそう。
その記念すべき最初の投稿が僕の持つお盆の中のお昼ご飯。
それならもっと彩りとか意識して盛り付けたら良かったな。
圭介さんの好きそうな物を優先して選んじゃった。
「いいねー。彼シャツ着て昼食の用意をしてくれる恋人」
「用意って言っても今日はデリバリーのタイ料理ですよ?」
「鈴さんとお揃いのね」
鈴村さんと同じカレーは用意してないよ。
あれは人の食べるものじゃなかった。
「鈴さんもさっきカレーの写真投稿してたよ。これはもう電話をかけてくるなっていうメッセージかな」
圭介さんがパソコンの画面で見せてくれたのは『カレーだいすき』のコメントに添えられた真っ赤な劇物の写真。
「あれが好きなんておかしい」
「えっ!? もしかして食べたの?」
「一口だけ。だってあーんってしてくれたし。鈴村さんがすごく美味しそうな顔してたから」
「あれは鈴さん専用のレッドカレーで、作る時にゴーグル付けて調理するぐらいの劇薬だから食べちゃ駄目だよ」
危険物通り越して劇薬。
そんなもの食べさせるなよ。殺す気か。
「唯は可愛いなー。劇薬食べさせられてプンプンしてるよって呟きたい」
「くだらないことを世界に発信したら嫌いになりますよ」
「それは困るなー。内緒にしとかなきゃ」
そうです。そんな恥ずかしいことはいちいち呟かなくて良いんです。
「午後からも俺は部屋にこもっちゃうけど、出掛けたかったら鈴さんや尾壁と遊びに行っていいからね」
「圭介さんが仕事するのに僕だけ遊びに行っても楽しくないです」
名古屋観光に行くなら圭介さんと玲司君が一緒がいい。
動物園に行ってライオンとコアラを見たい。
ライオンはソラくんって名前らしいよ。
成瀬さんと同じ名前でちょっと親近感わくよね。
そのあとは名古屋グルメを食べたい。味噌カツと手羽先。
でもそれをするにはまず圭介さんの仕事が落ち着かないと無理で。
「僕も圭介さんの仕事を手伝えたら良かったのに」
「何言ってるのー? 唯の活躍で俺の仕事めっちゃ有利になったんだよ。まだ言えなくて本当にごめんだけど、あと少しで話せるようになるはずから」
僕は何もしてないよ?
「鈴さんがこっちに付いてくれたのが本当にでかい。それまでの均衡、いや、押され気味でどうしようかなってとこだったのが流れ変わったからねー」
それぐらい強い鈴村さんのもつコネクションの力。
僕がこれから引き継ぐ予定のもの。
「それぐらい強いカードだから、鈴さんは基本的に中立であることを強いられるし、自分の意思だけで動けないこともある。こっちも一枚岩ではないからね。好き勝手振舞っているようで、結構気を配って場を支配してたりするんだよ」
「そんなの僕に出来るのかな」
魔女見習いの仕事を引き受けてみたものの、僕に務まるのか不安になる。
「そのための俺や玲司だから。唯ひとりに判断させたりしないよ。ちゃんと唯は俺達に意見も言えるだろ? 昨日みたいに悪いことは悪いって拒否できる。そういうとこが鈴さんのお眼鏡にかなったんだと思う」
合議制だとしても。僕がその一翼を担っていいのだろうか。
「僕まだ24歳なのに。そんな政治的な判断は出来ないです」
「誕生日きたら25だろ? 衆議院議員や県議会議員、その他地方議員は25歳から立候補できるし唯が若すぎるってことはないよー」
そういうもの?
立候補できても実際に立候補する人は少なくない?
「鈴さんの世襲として頑張ろうねー。俺も内助の功を頑張るよー」
なんか違う気がするけど。
やる気になってくれてるのに水を差すのも悪いし。ほっとこう。
それより料理の味見をして。
辛過ぎないか確認してくれないと僕が安心して食べられないんだ。
圭介さんにタイ料理を一通り味見してもらって、ようやく僕もお昼ご飯を食べられるようになった。
パクチーおいしい。
匂わせアカウント。
バランス感覚が問われる運用になりそう。
その記念すべき最初の投稿が僕の持つお盆の中のお昼ご飯。
それならもっと彩りとか意識して盛り付けたら良かったな。
圭介さんの好きそうな物を優先して選んじゃった。
「いいねー。彼シャツ着て昼食の用意をしてくれる恋人」
「用意って言っても今日はデリバリーのタイ料理ですよ?」
「鈴さんとお揃いのね」
鈴村さんと同じカレーは用意してないよ。
あれは人の食べるものじゃなかった。
「鈴さんもさっきカレーの写真投稿してたよ。これはもう電話をかけてくるなっていうメッセージかな」
圭介さんがパソコンの画面で見せてくれたのは『カレーだいすき』のコメントに添えられた真っ赤な劇物の写真。
「あれが好きなんておかしい」
「えっ!? もしかして食べたの?」
「一口だけ。だってあーんってしてくれたし。鈴村さんがすごく美味しそうな顔してたから」
「あれは鈴さん専用のレッドカレーで、作る時にゴーグル付けて調理するぐらいの劇薬だから食べちゃ駄目だよ」
危険物通り越して劇薬。
そんなもの食べさせるなよ。殺す気か。
「唯は可愛いなー。劇薬食べさせられてプンプンしてるよって呟きたい」
「くだらないことを世界に発信したら嫌いになりますよ」
「それは困るなー。内緒にしとかなきゃ」
そうです。そんな恥ずかしいことはいちいち呟かなくて良いんです。
「午後からも俺は部屋にこもっちゃうけど、出掛けたかったら鈴さんや尾壁と遊びに行っていいからね」
「圭介さんが仕事するのに僕だけ遊びに行っても楽しくないです」
名古屋観光に行くなら圭介さんと玲司君が一緒がいい。
動物園に行ってライオンとコアラを見たい。
ライオンはソラくんって名前らしいよ。
成瀬さんと同じ名前でちょっと親近感わくよね。
そのあとは名古屋グルメを食べたい。味噌カツと手羽先。
でもそれをするにはまず圭介さんの仕事が落ち着かないと無理で。
「僕も圭介さんの仕事を手伝えたら良かったのに」
「何言ってるのー? 唯の活躍で俺の仕事めっちゃ有利になったんだよ。まだ言えなくて本当にごめんだけど、あと少しで話せるようになるはずから」
僕は何もしてないよ?
「鈴さんがこっちに付いてくれたのが本当にでかい。それまでの均衡、いや、押され気味でどうしようかなってとこだったのが流れ変わったからねー」
それぐらい強い鈴村さんのもつコネクションの力。
僕がこれから引き継ぐ予定のもの。
「それぐらい強いカードだから、鈴さんは基本的に中立であることを強いられるし、自分の意思だけで動けないこともある。こっちも一枚岩ではないからね。好き勝手振舞っているようで、結構気を配って場を支配してたりするんだよ」
「そんなの僕に出来るのかな」
魔女見習いの仕事を引き受けてみたものの、僕に務まるのか不安になる。
「そのための俺や玲司だから。唯ひとりに判断させたりしないよ。ちゃんと唯は俺達に意見も言えるだろ? 昨日みたいに悪いことは悪いって拒否できる。そういうとこが鈴さんのお眼鏡にかなったんだと思う」
合議制だとしても。僕がその一翼を担っていいのだろうか。
「僕まだ24歳なのに。そんな政治的な判断は出来ないです」
「誕生日きたら25だろ? 衆議院議員や県議会議員、その他地方議員は25歳から立候補できるし唯が若すぎるってことはないよー」
そういうもの?
立候補できても実際に立候補する人は少なくない?
「鈴さんの世襲として頑張ろうねー。俺も内助の功を頑張るよー」
なんか違う気がするけど。
やる気になってくれてるのに水を差すのも悪いし。ほっとこう。
それより料理の味見をして。
辛過ぎないか確認してくれないと僕が安心して食べられないんだ。
圭介さんにタイ料理を一通り味見してもらって、ようやく僕もお昼ご飯を食べられるようになった。
パクチーおいしい。
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