恋愛サティスファクション

くらげ

文字の大きさ
上 下
39 / 429
恋愛サティスファクション

バレンタインぱーりーぴーぽー9

しおりを挟む
「そんなに圭が好きかよ」

うん。好きだ。
だけど男同士の恋愛は駄目かな? 気持ち悪い?
玲司君とは仲良くなりたかったから、ちょっと凹む。
でも、これが僕だから。
こんな僕では玲司君の友達になれないかな。

「佐倉がダメなんじゃねえ。あんな趣味悪いヤツはやめて、オレにしとけってハナシ」

もう。冗談はほどほどにして。
お友達になるつもりだったのが、いきなり恋愛対象とかジョークが過ぎるよ。

って、腰を撫でないで。腕の中に抱き寄せないで。耳元で囁くの禁止。
耳たぶ甘噛みはギルティです!
玲司君がRoi君だって分かってから、そのギャップで余計にドキドキなんだから。
僕で遊ぶのはやめてっ。
こういう仲良くなり方は求めてない。

「にしても、圭遅いな。佐倉はもうそろそろ帰った方がいいだろ。朝までいる気か?」

玲司君の言葉を受けて時計を確認すると、すでに深夜0時を過ぎている。
明日も仕事だ。
いつまでもここにはいられない。
帰るべきなんだろう。

だけど、圭介さんとはまだ連絡がとれない。
会いたかった相手に会えるつもりでいたのに会えないのは、会えないって分かっているときに会えないのより寂しい。

「そんな顔すんなよ。帰るのは圭の家で良いか?」

うん。

「オレも一緒に行ってやるから。案外忘れて寝てるだけかも知れねぇし」

うーん。だと良いけど。

帰り支度の前にご飯を食べ終わったから帰りますと連絡しておく。
すれ違いは嫌だからね。

「もう帰るんですか? 圭さん来てないですよ」
「来ねぇ方が悪いんだよ。これ以上、ウサギを置いとくわけにもいかねぇから圭の家まで届けとく」
「ちゃんと送り届けてくださいよ」
「へいへい」

入るときに会ったハデな髪型のお兄さんが席まで来て、玲司君とお話中。
玲司君とはYESとNOでお話出来るようになったけど、スタッフのお兄さんとは難しいかな。
黙って2人の会話を聞いておく。

だいたい、今日のDJの人の盛り上げ方がどうとか、バレンタインイベント用に特別な飾り付けにしたフロアのこととか。
僕にはさっぱり分かんないから。
強いて言えばハートがいっぱいで可愛いってぐらいだけど、それも圭介さんがいないから寂しさ倍増。
普段の様子を知っている玲司君は良いところとそうでもないところをスタッフのお兄さんに話してる。
すごいな。遊び慣れてる感じだ。

「入り口にタクシー呼んでおくんで行きましょう」

そう言ったスタッフのお兄さんが耳につけたインカムで他のスタッフさんに指示を出した。
へぇ。スタッフさんに頼むとタクシーを呼んでおいてくれるの?
すごいね。ホテルのコンシェルジュみたい。

来たときよりも人がいっぱいなクラブの中をスタッフのお兄さんと玲司君に挟まれて移動する。
人が多すぎて、場慣れしてない僕は玲司君にがっしり掴まれてないと、どこかに流されてしまいそうだ。

玲司君にしがみついて何とか見覚えのあるエントランスにたどり着いた。
あの分厚い扉が閉まると、音が遮断されてホッとする。
なんでフロアを歩くだけで疲れるの?
階段使ってないよ。エレベーターだったよ。
あの音と光が僕には合わないのかもしれない。

「ウサギちゃんもまた遊びに来てくださいね。今日は玲司さんに付き合ってご飯食べただけで終わっちゃったでしょ? もっと楽しいこといっぱいあるから、いつでも歓迎しますよ」

クラブの名前が印刷された紫色のカードを受け取る。
同じようなものを今日も持ってきたけど、こっちには日付とかイベントの名前は書いてない。

「あー。そんなもん渡して」
「なんですか? また遊びに来てくださいと言ってるだけですよ」
「言葉通りに受け取って、こいつ独りでノコノコ来たらどうすんだよ」
「もちろんサービス満点のおもてなしで歓迎します」
「ケーキの花火でビビってるウサギに何する気だよ」
「えー!? フォンダンショコラの花火ダメでした? 席に置いておいたメガネかけるとハート型に見えるって女の子のウケが結構良いんですけど」
「そんなメガネあったか?」

どうだろう? 僕に聞かないで。

「マジですか」

ごめんなさい。次はハートの花火も楽しみたいと思います。

ごめんなさいのジェスチャーにもらったカードを指先で指し、最後に指でハートを作る。
僕がクラブでの正しい楽しみ方を知らなかっただけで、スタッフのお兄さんは悪くないから。
そんなに落ち込まないで。
うん。お兄さんもハデめで僕の好みとは違うけど格好良いんだから、ヘコんでる顔より笑ってる方が良いよ。

「是非とも次は完璧なおもてなしをさせてくださいね。お待ちしています」

はい。ご丁寧にありがとうございます。

スタッフのお兄さんともジェスチャーでお話出来そうだし、次は玲司君のフォローがなくても大丈夫かな。
でも、このお兄さんが次の時もいるとは限らないか。
居てくれると来やすいんだけど。
やっぱり、知ってる顔がいる方が安心だよね。

「オレ、知ーらね」

僕がもらったカードを鞄に仕舞っていると、玲司君がこう言ってたけど。
どうしたの? 僕、クラブの雰囲気から浮いてた? やっぱり、もう来ない方が良い?

「まあ、遊びたくなったら来れば良いんじゃね。飯も旨いし」

うん。ご飯美味しかった。

「ただし、来るときは圭に言ってから来いよ。それかオレが一緒のときか」

うん。圭介さんに内緒で来るわけないじゃん。次は圭介さんと来たい。

「じゃあ、OK。そろそろタクシーも着いてるだろ。オレら行くから。またなー。ごちそーさん」

玲司君に腰を抱かれながら階段を上がる。
スタッフのお兄さんもお見送りで外まで来てくれた。
タクシーに乗って、窓越しに手を振ってバイバイ。
すごいなぁ。VIPなチケットだとお見送りまでついてくるとか、三ツ星ホテルみたいだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

初恋の幼馴染の女の子の恰好をさせられメス調教もされて「彼女」の代わりをさせられる男の娘シンガー

湊戸アサギリ
BL
またメス調教ものです。今回はエロ無しです。女装で押し倒されいますがエロはありません 女装させられ、女の代わりをさせられる屈辱路線です。メス調教ものは他にも書いていますのでよろしくお願いいたします

クラスの仲良かったオタクに調教と豊胸をされて好みの嫁にされたオタクに優しいギャル男

湊戸アサギリ
BL
※メス化、男の娘化、シーメール化要素があります。オタクくんと付き合ったギャル男がメスにされています。手術で豊胸した描写があります。これをBLって呼んでいいのかわからないです いわゆるオタクに優しいギャル男の話になります。色々ご想像にお任せします。本番はありませんが下ネタ言ってますのでR15です 閲覧ありがとうございます。他の作品もよろしくお願いします

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

トリビアのイズミ 「小学6年生の男児は、女児用のパンツをはくと100%勃起する」

九拾七
大衆娯楽
かつての人気テレビ番組をオマージュしたものです。 現代ではありえない倫理観なのでご注意を。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

処理中です...