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4章

強力

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「そこまでだ」

甲高い、魔王の声はそう告げる。

「お前の狼藉はな」

「アンタが、アンタが殺したのね……」

「なんだ、君か。良く生きていたね。てっきり死んだかと思っていたよ」

虐殺は続く。十字架は上がる。

「待て」

魔王がそう言った頃にはもう遅かった。

「システム____オン」

マナを自身に撃ち込む。

電池の様にマナを貯めた凛奈の体は淡く光る。

「良いよ。受けて立とう」

これが走馬灯という奴だろうか?二階堂凛奈は過去の自分を振り返った。

「二階堂さんって凄い」

二階堂凛奈という人間は超人だった。

だからか、彼女は孤独だった。

「そうよ。私は凄いのよ」

「だから、全部一人でやらなくちゃ。アンタ達なんて要らない」

この結論に至った。彼女はただ他人よりも優れているだけで他人を無視したのだ。

言うなれば、二階堂凛奈は傲慢だったのだ。

彼と出会う程に。

「許さない」

「可笑しな奴だなぁ。許すかどうかは僕が決める事なのに」

筋肉が躍動する。凛奈の体は宙を裂いていた。

破壊し尽くす。敵の肉体を。

「いくら君が頑張ったところで、結果は変わらないよ」

太一の体も淡く光を出し始める。

「そんな……ミカエル」

天使の輪の様な、しかし不気味な無機質な象徴が現れる。

「生物としてのスペックが違うからね」

青年の瞳は烱々と輝く。否、それは光を反射している様なものではなく、光を放っていた。

「コード____ロンギヌス」

ソレは自身の手にする聖遺物を掲げてそう言う。

「人じゃない……人を超えた天使に。本来の姿で受肉するとは」

恐る様にサタンは言う。

「それじゃあ、さようなら」

凛奈の攻撃は凄まじいものであった。その違いは人か魔獣かのそれであった。

一閃。

血が空を駆けていた。

「さあ、殺し合いと洒落込もうじゃないか……姉さん」

地獄に天使が降臨した様な構図だった。

地獄をつくったのはその天使なのだけれど。

「ここで、お前は止める」

宙を蹴る。二人の距離は10メートル程だろうか。

二人にとってはその距離は無いも等しかった。

彼等は存在しない、無いものなのだから。

一瞬にして詰める。

「困った弟だ。手グセの悪いものよ……」

ソレは既に人語を介さない。

元より介していなかったのかもしれない。

彼は既に超えていたのだ、人間を。裁きを始めた時から。

____人間を処刑するのは人間だ。

奇しくも、彼の言葉は又しても嘘となったのである。

「消えろッ、神よ。元の座に戻るが良いッ」

魔王の焔が燃え上がる。

ロンギヌスの槍が一瞬、縮小する。マナを込めるソレは獄炎を涼しげに仰ぐ。

放たれる。その爆風により人間の作った人理は捲れ上がる。

二つのマナは膨大なエネルギーとなって爆発した。

キノコ状の、それだけはいやに人間臭い光の渦が彼等を呑み込んだ。
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