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1章
覚醒
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「山本先生、深雪君?」
凛奈は困惑した。
「おやおや、いけませんねェ二階堂さんっ!良い子は帰る時間ですよ。」
山本がそう可笑しそうに言った。
「先生、早く逃げないと黒装束の男達が......」
「何を、寝ぼけたことを......」
このままでは芽生もろとも全員が影に呑み込まれてしまう。
「彼は私の優秀な部下なのですから、何故私が逃げる必要があるのでしょうか?」
山本はそうたまらなく意地悪に、愉快そうに、無邪気な子供が蟻を潰すかのようにそう言った。
「え?!何......言ってるの、先生?アイツ等私を殺そうとしたんだよ?」
「う~ん。どうやら失敗したようですねェ。彼にも失敗することがあるなんて、心底意外ですね~。」
山本が何を言っているのかわからない。凛奈はこの状況に戸惑いを隠せなかった。
考えもしなかった真実。血だらけの同級生。
それらが凛奈を唖然とさせた。
「しかし、実に素晴らしいっ!祝福は我等のもとに......あなたがソレを召喚したことは素晴らしいことだ!」
山本がそう言って、今にも凛奈に迫った時、
『お前の思い通りにはさせない。』
毅然とした声が響いた直後、黒い粒子が集まり巨大な渦を織り成した。
その巨大さは、次々と黒い粒子を生み出し、それらがぶつかり合い、消えるといったことを永遠と繰り返すほどで、残酷で穢らわしいものだった。
刹那、黒炎が辺り一面を包み込む。
「ああ、なんたる僥倖!貴女様にお会い出来るとはっ!この圧倒さ、威圧感っ!福音が我の手に......」
山本がそう言って見上げる先には__
六花を大切そうに抱る。圧倒的な存在、“サタン”がいた。
「ああ、悪魔の王よ!ついに召喚され申し上げましたかっ!」
山本はそう愛おしそうに発狂した。
『悪いけど、僕君達には興味無いんだ。』
「何故ですかっ!我々は全人類のために『勤勉』に愛を捧げているのですよ!何故。何故何故何故何故何故何故何故何故何故........」
『深雪........六花........』
『おっと、どうやらこちらを先に片ずけないといけないようだね。待たせてごめんね、“レヴィアタン”』
『憎い。憎い憎い憎い!』
“レヴィアタン”が「嫉妬」の言葉を六花に向かって投げつけると同時に、漆黒の粒子を煌びやかに中に讃えた氷柱が六花に向かって無数に投げつけられた。
『返してもらうよ......“彼女”を!この子のためにもね。』
“サタン”はそう言うと黒炎を氷柱に向かって放った。
氷柱と炎が飛び交う__
青の軌道が炎を突き抜ける__
刹那、周囲の炎がまとまり砲撃が放たれる__
爆煙の後、氷柱が六花目掛けて超速で駆ける__
『そうは、させるかっ!』
魔王の周囲を爆炎が取り囲み、燃え盛る黒炎の纏衣が形成され、それらを蒸発させる__
氷柱を圧倒的な力で破壊していく__
『脆い。脆い脆いっ!』
魔王はそれを木っ端微塵に砕け散らせていく__
『⁉︎』
氷柱を砕いた刹那、その中から漆黒の粒子が霧散し“レヴィアタン”が現れ、六花目掛けて突進してくる__
咄嗟に右腕を前に出し、六花を庇う魔王__
刹那、“レヴィアタン”と共に無数の氷柱が魔王を襲う__
『グハァッ!』
魔王の黒炎の纏衣は爛れ、黒炎は綻む__
『すまない、六花をよろしく頼む__』
右腕が消滅しボロボロの魔王が凛奈にそう言って、“レヴィアタン”を見上げる。
『僕が相手だ__“レヴィアタン”ッ!』
蒼と朱の軌道が無数に舞う__
まるで芸術作品のようだ、と凛奈は思った。
「嗚呼、魔王様よ!何故?何故ですか?我々に何故福音をお与えなさらないのですか!」
山本が醜くその鋭い眼を細めて発狂する。
「深雪六花......君に死んでもらう。そうだ!きっとそうすれば良いっ!魔王様もそうすれば我々を........逝けっ、我が同胞よ__深雪六花を、殺せ。」
山本がそう言うと同時に漆黒の霧が凛奈を襲う__
『我が主人に触れさせるものかっ!』
「傲慢」の怪物がそう言うと同時に、黄金の雷が凛奈を守るかのように展開される__
漆黒の霧が雷鳴と共に払われる__
「ルーシー........」
六花は未だに逃避している。
これ程の命の危機が迫っているというのに。
『ウオォーーーー』
「傲慢」が雷鳴を轟かせる__
しかし、圧倒的物量で迫ってくる黒装束にはその抵抗も虚しく__
「傲慢」は食い千切られた。
「いやっ!」
凛奈は「傲慢」が食い千切られるのを見た後、六花を抱き抱えた。迫り来る黒装束達に対する最後の抵抗を行った。
「ルーシー........ルーシー......」
「しっかりしなさい!あなたが好きなのは“春野芽生”でしょう!」
“春野芽生”。その名を聞いて、六花は長い眠りから、目を覚ました__
凛奈は困惑した。
「おやおや、いけませんねェ二階堂さんっ!良い子は帰る時間ですよ。」
山本がそう可笑しそうに言った。
「先生、早く逃げないと黒装束の男達が......」
「何を、寝ぼけたことを......」
このままでは芽生もろとも全員が影に呑み込まれてしまう。
「彼は私の優秀な部下なのですから、何故私が逃げる必要があるのでしょうか?」
山本はそうたまらなく意地悪に、愉快そうに、無邪気な子供が蟻を潰すかのようにそう言った。
「え?!何......言ってるの、先生?アイツ等私を殺そうとしたんだよ?」
「う~ん。どうやら失敗したようですねェ。彼にも失敗することがあるなんて、心底意外ですね~。」
山本が何を言っているのかわからない。凛奈はこの状況に戸惑いを隠せなかった。
考えもしなかった真実。血だらけの同級生。
それらが凛奈を唖然とさせた。
「しかし、実に素晴らしいっ!祝福は我等のもとに......あなたがソレを召喚したことは素晴らしいことだ!」
山本がそう言って、今にも凛奈に迫った時、
『お前の思い通りにはさせない。』
毅然とした声が響いた直後、黒い粒子が集まり巨大な渦を織り成した。
その巨大さは、次々と黒い粒子を生み出し、それらがぶつかり合い、消えるといったことを永遠と繰り返すほどで、残酷で穢らわしいものだった。
刹那、黒炎が辺り一面を包み込む。
「ああ、なんたる僥倖!貴女様にお会い出来るとはっ!この圧倒さ、威圧感っ!福音が我の手に......」
山本がそう言って見上げる先には__
六花を大切そうに抱る。圧倒的な存在、“サタン”がいた。
「ああ、悪魔の王よ!ついに召喚され申し上げましたかっ!」
山本はそう愛おしそうに発狂した。
『悪いけど、僕君達には興味無いんだ。』
「何故ですかっ!我々は全人類のために『勤勉』に愛を捧げているのですよ!何故。何故何故何故何故何故何故何故何故何故........」
『深雪........六花........』
『おっと、どうやらこちらを先に片ずけないといけないようだね。待たせてごめんね、“レヴィアタン”』
『憎い。憎い憎い憎い!』
“レヴィアタン”が「嫉妬」の言葉を六花に向かって投げつけると同時に、漆黒の粒子を煌びやかに中に讃えた氷柱が六花に向かって無数に投げつけられた。
『返してもらうよ......“彼女”を!この子のためにもね。』
“サタン”はそう言うと黒炎を氷柱に向かって放った。
氷柱と炎が飛び交う__
青の軌道が炎を突き抜ける__
刹那、周囲の炎がまとまり砲撃が放たれる__
爆煙の後、氷柱が六花目掛けて超速で駆ける__
『そうは、させるかっ!』
魔王の周囲を爆炎が取り囲み、燃え盛る黒炎の纏衣が形成され、それらを蒸発させる__
氷柱を圧倒的な力で破壊していく__
『脆い。脆い脆いっ!』
魔王はそれを木っ端微塵に砕け散らせていく__
『⁉︎』
氷柱を砕いた刹那、その中から漆黒の粒子が霧散し“レヴィアタン”が現れ、六花目掛けて突進してくる__
咄嗟に右腕を前に出し、六花を庇う魔王__
刹那、“レヴィアタン”と共に無数の氷柱が魔王を襲う__
『グハァッ!』
魔王の黒炎の纏衣は爛れ、黒炎は綻む__
『すまない、六花をよろしく頼む__』
右腕が消滅しボロボロの魔王が凛奈にそう言って、“レヴィアタン”を見上げる。
『僕が相手だ__“レヴィアタン”ッ!』
蒼と朱の軌道が無数に舞う__
まるで芸術作品のようだ、と凛奈は思った。
「嗚呼、魔王様よ!何故?何故ですか?我々に何故福音をお与えなさらないのですか!」
山本が醜くその鋭い眼を細めて発狂する。
「深雪六花......君に死んでもらう。そうだ!きっとそうすれば良いっ!魔王様もそうすれば我々を........逝けっ、我が同胞よ__深雪六花を、殺せ。」
山本がそう言うと同時に漆黒の霧が凛奈を襲う__
『我が主人に触れさせるものかっ!』
「傲慢」の怪物がそう言うと同時に、黄金の雷が凛奈を守るかのように展開される__
漆黒の霧が雷鳴と共に払われる__
「ルーシー........」
六花は未だに逃避している。
これ程の命の危機が迫っているというのに。
『ウオォーーーー』
「傲慢」が雷鳴を轟かせる__
しかし、圧倒的物量で迫ってくる黒装束にはその抵抗も虚しく__
「傲慢」は食い千切られた。
「いやっ!」
凛奈は「傲慢」が食い千切られるのを見た後、六花を抱き抱えた。迫り来る黒装束達に対する最後の抵抗を行った。
「ルーシー........ルーシー......」
「しっかりしなさい!あなたが好きなのは“春野芽生”でしょう!」
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