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1章
コクハク
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「え、なん......て?」
「だから、六花をコロしタイって言ってるの。」
その均衡の取れた美しい顔をぐにゃっと歪めて春野芽生は笑っていた。
「な、何言ってるんだよ......もしかして、怒ってるのか?芽生?」
「怒るって何に怒るの?六花?」
「じゃ、じゃあなんで俺を__」
「六花はいたずら電話のことで私を心配してくれたじゃん。そんな優しい六花になんで私が怒るの?」
「じゃあ、なんで、なんで俺を殺したいなんて言うんだよ!」
「どきなさい。深雪君!」
「えっ?!」
六花の目の前を漆黒の粒子を纏っ
た物体が通り過ぎて行く。
ズチャ。ズサ、ズチャズチャ。
六花の後ろで鋭利な刃物が肉に刺さるような音がした......
「芽......生......?」
六花は後ろにいるはずの最愛の人の名前を呼んだ。
__返事は、無かった。__
そこには春野芽生の姿はなく、六花は先程の残酷な音を思い出し絶望しかけたところ、
「いやー、危なかったよ、深雪くぅん。実に危険だった。」
「山本ォっ!」
憤怒しながら、自分の最愛の人を奪った山本を睨みつけた。
「そう邪険になるなよ、深雪くぅん。君の命の恩人だぞ。」
「ふざけんな!お前が芽生を殺すことと俺の命を救うこととなんの関係があるってゆうんだよ!」
「君、何か勘違いしていないか?アレは......春野芽生じゃァない。」
「何......言ってんだ!あれは......」
「もう一度言ってやろうか!アレは春野芽生じゃない!いや、正確にはもう春野芽生じゃなかった。」
「ふざけるなよ、山本ォ!」
「アレは春野芽生じゃないって理由はちゃんとあるんだよ、深雪くぅん。アレは、さっき君に「いたずら電話」のことについて言っていたよねぇ。春野芽生はそのこと
を知り得たのかな?」
山本の言葉は確かに筋が通っていた。六花は芽生に心配をかけさせないためとゆう配慮によって電話のことが芽生の耳に入ることを避けてきたのである。
しかし、長年思いを寄せていた幼馴染を刺殺された六花にとってそのことを考える心の余裕がなっかった。
「二階堂が、教えたんじゃないのか?」
「ほう、ここで二階堂の名が出て来るのか......」
山本は興味深そうにそう呟いた。
「だが、安心しろ。二階堂の方は既に手が打たれてある。」
「お前は一体何を__」
「それにアレはまだ死んではいない......」
「え......?」
六花は胸が熱くなるのを感じた。
「対象ごと僕を刺すだなんてよっぽど癪に触ったんだね、“レヴィアタン”。」
六花の胸からは真っ赤な血が流れていた。
『コロス、コロスコロすコろすころす殺す殺す殺す殺す__殺ーーーーーす』
「芽......生...?」
後ろを振り返った六花の目には__
「だから言ったじゃないか、アレはもう春野芽生ではないと......」
そこには全身から先程山本が放った漆黒の粒子と似たものを纏った何かが......いた。
「アレは反転体と言ってだね、“アクマ”に憑依された存在なんだよ、深雪くぅん。」
__反転体?__アクマ?__何を言っているんだこのおっさんは......アレが芽生.......だと?そんな訳があるか。そうだこれはきっと悪い夢に違いない。そうだ。そ
のはずだ__
その時芽生と目が合った。
「ぐハァー」
六花は芽生に抱かれていた。
しかし、そこには人肌の温もりなどなく、六花はただ抱かれているだけなのに意識が朦朧とした。
寒い、寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒いさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいサむいサむいサむいサむいサむいサむいサむいサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイ____
『汝、知を望むか______
汝、力を望むか______』
「………っ」
体が熱い。
目を開けるとそこには、
悪魔がいた__
「お前、何だよ、お前等一体何なんだよォーーー」
『落ち着きなよ、六花__』
腰まで伸ばした紫がかった白髪を小さく白い指先で弄りながら意地悪にソレは六花の名を呼んだ。
『まず、そうだね......君の幼馴染のことについて教えてあげようか__
山本ってゆう男からアレが反転体だってゆうことは聞いただろ?』
反転体__アクマがどうとか言っていたが、一体どんな意味なのか?
『そうだね。アクマってゆうのは人間の悪意の根源のことだよ。
まあ、アクマと人間は全く別物なんだけどね。
アクマはただ人間に知識や力を与えるだけさ。
その知識や力を得て何を行い、何を願うかは人間次第なんだ。
兵器のようなものだと思ってもらえれば良いよ。』
「じゃあ、お前は芽生が、自分の意思であんなことしてるって言うのか?」
『いいや、残念だけど......』
「何だよ!何とか言えよ!」
『あの娘は......アクマを顕現させているんだ。
アクマは普通、契約者の魂を死後に思いのままにすることを条件に権能を与えるんだ。
そして半永久的に君達が“地獄”と呼んでいる場所でコキ使うのさ。
「悪魔に魂を売る」ってわけさ。
しかし、あの娘の場合、生前に魂を捧げているんだ。
いや、正確には奪われたんだ__
君が契約した「嫉妬」の大悪魔__
“レヴィアタン”によってね。』
「だから、六花をコロしタイって言ってるの。」
その均衡の取れた美しい顔をぐにゃっと歪めて春野芽生は笑っていた。
「な、何言ってるんだよ......もしかして、怒ってるのか?芽生?」
「怒るって何に怒るの?六花?」
「じゃ、じゃあなんで俺を__」
「六花はいたずら電話のことで私を心配してくれたじゃん。そんな優しい六花になんで私が怒るの?」
「じゃあ、なんで、なんで俺を殺したいなんて言うんだよ!」
「どきなさい。深雪君!」
「えっ?!」
六花の目の前を漆黒の粒子を纏っ
た物体が通り過ぎて行く。
ズチャ。ズサ、ズチャズチャ。
六花の後ろで鋭利な刃物が肉に刺さるような音がした......
「芽......生......?」
六花は後ろにいるはずの最愛の人の名前を呼んだ。
__返事は、無かった。__
そこには春野芽生の姿はなく、六花は先程の残酷な音を思い出し絶望しかけたところ、
「いやー、危なかったよ、深雪くぅん。実に危険だった。」
「山本ォっ!」
憤怒しながら、自分の最愛の人を奪った山本を睨みつけた。
「そう邪険になるなよ、深雪くぅん。君の命の恩人だぞ。」
「ふざけんな!お前が芽生を殺すことと俺の命を救うこととなんの関係があるってゆうんだよ!」
「君、何か勘違いしていないか?アレは......春野芽生じゃァない。」
「何......言ってんだ!あれは......」
「もう一度言ってやろうか!アレは春野芽生じゃない!いや、正確にはもう春野芽生じゃなかった。」
「ふざけるなよ、山本ォ!」
「アレは春野芽生じゃないって理由はちゃんとあるんだよ、深雪くぅん。アレは、さっき君に「いたずら電話」のことについて言っていたよねぇ。春野芽生はそのこと
を知り得たのかな?」
山本の言葉は確かに筋が通っていた。六花は芽生に心配をかけさせないためとゆう配慮によって電話のことが芽生の耳に入ることを避けてきたのである。
しかし、長年思いを寄せていた幼馴染を刺殺された六花にとってそのことを考える心の余裕がなっかった。
「二階堂が、教えたんじゃないのか?」
「ほう、ここで二階堂の名が出て来るのか......」
山本は興味深そうにそう呟いた。
「だが、安心しろ。二階堂の方は既に手が打たれてある。」
「お前は一体何を__」
「それにアレはまだ死んではいない......」
「え......?」
六花は胸が熱くなるのを感じた。
「対象ごと僕を刺すだなんてよっぽど癪に触ったんだね、“レヴィアタン”。」
六花の胸からは真っ赤な血が流れていた。
『コロス、コロスコロすコろすころす殺す殺す殺す殺す__殺ーーーーーす』
「芽......生...?」
後ろを振り返った六花の目には__
「だから言ったじゃないか、アレはもう春野芽生ではないと......」
そこには全身から先程山本が放った漆黒の粒子と似たものを纏った何かが......いた。
「アレは反転体と言ってだね、“アクマ”に憑依された存在なんだよ、深雪くぅん。」
__反転体?__アクマ?__何を言っているんだこのおっさんは......アレが芽生.......だと?そんな訳があるか。そうだこれはきっと悪い夢に違いない。そうだ。そ
のはずだ__
その時芽生と目が合った。
「ぐハァー」
六花は芽生に抱かれていた。
しかし、そこには人肌の温もりなどなく、六花はただ抱かれているだけなのに意識が朦朧とした。
寒い、寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒いさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいサむいサむいサむいサむいサむいサむいサむいサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイ____
『汝、知を望むか______
汝、力を望むか______』
「………っ」
体が熱い。
目を開けるとそこには、
悪魔がいた__
「お前、何だよ、お前等一体何なんだよォーーー」
『落ち着きなよ、六花__』
腰まで伸ばした紫がかった白髪を小さく白い指先で弄りながら意地悪にソレは六花の名を呼んだ。
『まず、そうだね......君の幼馴染のことについて教えてあげようか__
山本ってゆう男からアレが反転体だってゆうことは聞いただろ?』
反転体__アクマがどうとか言っていたが、一体どんな意味なのか?
『そうだね。アクマってゆうのは人間の悪意の根源のことだよ。
まあ、アクマと人間は全く別物なんだけどね。
アクマはただ人間に知識や力を与えるだけさ。
その知識や力を得て何を行い、何を願うかは人間次第なんだ。
兵器のようなものだと思ってもらえれば良いよ。』
「じゃあ、お前は芽生が、自分の意思であんなことしてるって言うのか?」
『いいや、残念だけど......』
「何だよ!何とか言えよ!」
『あの娘は......アクマを顕現させているんだ。
アクマは普通、契約者の魂を死後に思いのままにすることを条件に権能を与えるんだ。
そして半永久的に君達が“地獄”と呼んでいる場所でコキ使うのさ。
「悪魔に魂を売る」ってわけさ。
しかし、あの娘の場合、生前に魂を捧げているんだ。
いや、正確には奪われたんだ__
君が契約した「嫉妬」の大悪魔__
“レヴィアタン”によってね。』
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