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第六章 解決への最短経路

第211話 教育&対話

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さて、場面は変わって俺は今第三王子のテレッド・ログワートの部屋へと移動していた。仲間はいない。この場にいるのは基本的に俺だけの場合が多い…たまに他の仲間も混ざっているが。

ここで俺が話すのは世俗的な事もあれば、勉学に関係することもある。この場において、俺は『伯爵家のアラン・ベネット』になるので余り冒険とかの話は出て来ない。勿論、求められたらするが。子供時代、学園生活時代と、まあ色々やらかしまくっていると有名な俺なので、子供に勉強を教える位ならば特に何も難しく無い。

…こっちの学問の発展度が乏しいと言うのもあるが。

転生して職を退いてから15年余り。すっかり腕など落ちてしまったが、知識として入っている学問は未だ健在だ。建築学、地質学、物理学、経済学、測量学etc…

三角関数が未だ未開拓なのは流石にビビったので、測量の面でも三角関数を学校に提案して来たのは良い思い出である。

「…であるから、差になる270を一回分の取り替えの30で割って?」
「えっと…9回分の取り替えになるから、150が4つの120が9つ?」
「はい正解!」

今は俗に言う鶴亀算を教えている。めっちゃ方程式とか使って終わらせたい気分だが、そう言うわけにもいかないからな。つか、王族ってやっぱ凄いな。テレッド君の歳でもうこんなこと教えるのか。

「うん、じゃあ次は歴史ですね。課題はまた別途で出すので次回までにやっておくよう。ここは…」

歴史は俺も一番苦手な教科だが、何とか覚えて教えている。とは言っても軽くだが。流石に子供に細かい歴史の一幕まで教えるのは憚られるからな。

「ここで、いわゆる魔石や鉱石というのが本格的に実用的な物となります。物質の中に入っていた魔力を取り出したり、入れたりする技術が確立されたからですね。これで自動生産、移動や装備品の増強もし易くなり、自動生産オートメーションの時代へ突入していった訳です」
「へえ~…あ、アランさん、魔石の実用化に成功したということは、それまでの動力より格段に性能が上がったということですよね?街ではまだまだ水車や風車を見かけますが…」
「それは、魔石や鉱石の希少性にあります。水車や風車が担っている動力をそれらで置き換えるには、かなりの応力が求められます。そんな力を発揮できる物質は、そもそも数が無いのです。だからこそ、そう言った資源が豊富な国は他国と差を付けられる訳ですね」

古い文献とかが余り残っていないので、歴史は産業、戦争、倫理など様々な方面から聞かれる。よって、前世では知りもしなかった産業史も必死こいて覚える必要があった。

「…さて、今日はここら辺で終わりにしましょう。後は雑談と行きませんか?」
「うん、分かった。テラスに移動してからで良い?」
「問題ありません」

俺たちはテラスに移動する。少し歩いて到着したテラスには、すでにティオの準備がされており、端に数名の侍女が待機していた。

「ね、僕にアランさんの冒険談を聞かせてくれない?君の話は僕の楽しみなんだよ!」
「勿論、殿下の楽しめるお話が沢山ありますよ。だいぶ前の話になりますが…」

話の間にも、たまに間を挟んで整理する時間を設ける。当然の気遣いである。

にしても…俺は少しの間テレッド王子の顔を見た。本当に可愛らしい顔だなぁ。将来は絶対誑しの素質を持ってそうだ。神の眷属化によりクリーム色に染まった髪、プラチナブロンドとでも言うのか…先に行くにつれ白味が増すと言うおまけ付きだ。メレットとか、正体さえ告げなければ髪の一束手に入れるためだけに金を積みそうで怖い。

「…どうかした?僕の顔に何かついてる?」
「いえ!何も。ふと、僕の中の力が思ったより浸透しているなと感じただけです」
「そう?君は僕の命の恩人だから。恩人に力を貰うばかりか、教えを請うなんて嬉しくてしょうがないんだ」

そう言ってテレッド君は顔を綻ばせる。うん、もの凄い破壊力。『幸せパンチ』in異世界だろコレ。

「そう言えば、セドリック神の眷属になってから、自然の声とかが感覚的に分かる様になったんだ。何と言うか…風が教えてくれたり、水が表してくれたりするの」
「ふふ、そうかも知れませんね。僕はセドリックの眷属と言うより直接的に神の力を持っているので分かりませんが、きっと彼も似たような事を口にするでしょう」

そう言うと、彼は少し目を伏せティオを飲んだ。…マズイ、なんか失言したか?
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