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第六章 解決への最短経路

第207話 帰還

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数日間の療養期間を経て、いよいよ王都エニスへベスに帰る時が来た。目覚めてから1日でベットの住人から復帰した俺は、竜都市の再建などを一部手伝って療養期間を過ごした。ちなみに、俺みたいに魔力も体力も使い果たした訳ではないが、体の負荷という面で大きく傷を負ったメレットもしっかり治療して復帰した。

再び旅に出ることになったレシアルドは、今度こそこのような事にはなるまいと2~3日に一回は必ずここに帰る事にし、更にライクルツに創作空間への立ち入りを許可する事でいつでも彼が思い立った時間に出会える環境を整えた。ライクルツの年齢は人間に換算すると15歳程度に相当するらしく、まさかの同年代であった事に俺は多少の親近感を抱いていた。

となると、レシアルドは…?彼曰く『わからぬ。そもそも最後に年齢を数えたのが2584でそこから先は老化が止まっていたからな。さしずめ45か幾つかと言う所か?』らしい。年齢を数えるって…数えないと老化しないのか?神代の時から生きる生命は自分で年齢を数えないと老化出来ないのか?俺は大いなる疑問を抱いたのだった。

《神王竜様、行ってらっしゃいませ》
《…とは言っても、すぐに戻って来るけどな》
《はは、そうですね》

ちなみに、反乱軍筆頭の飛竜根源竜であるベルオムリは現在処遇の審議中である。この場にはハルス、マセイタ、ライクルツなどの一部の高位の竜が見送りに来ている。一般人には『竜としての姿の俺達』が定着しているので、混乱が招かれるのを防ぐ為に人払いならぬ竜払いされている。

レシアルドは一通り挨拶をした後、改めてライクルツの方を見る。

《ライクルツよ、我はもう少しばかり旅に出る。このような時にお主の見送りが有ったのは心から嬉しい。礼を言わせてくれ》

視線を少しばかり彷徨わしながら言うレシアルドは親馬鹿の一路を辿りそうな雰囲気がプンプンしていた。これに対しライクルツは、少しばかりツンケンした態度をしつつも別れを惜しむ言葉を口にする。

《お父様、行ってらっしゃい。僕は別に…もういつでも会えるのだから、もうこうはならないから安心して行ってきて》

うんうん、この親子は未だに距離を測りあぐねているようだ。親子の間には大概の遠慮なんて無いのだぞ。俺はそう思ったが口にはしなかった。それは彼らが知るべき事である。

《うん。ではしばし行って来る。ライクルツを頼んだぞ、ハルス、マセイタ》

《ああそれと。神王竜と言う名は今後個人的に話す時には使わないで欲しい。我はレシアルドと言う名を得たからな》
《畏まりました、レシアルド様》

それを聞いて満足気に口角を上げた彼は、バサリと羽ばたき宙に浮かぶ。

《ではな、皆の者!》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「色々有ったけど、無事終わって良かったねぇ」

レシアルドの背の上でグデンと寝そべるブレアに胡座を描いて座っていた俺は答える。

「だね。帰ったらしばらくは何も無いと思うからゆったりとした日々に戻ると思うよ」

ちなみに、今の言葉にはカッコ付きでそう思うとかそう信じたいとか言う希望的観測が大いに入り混じっている。こんなの頻繁に有ってたまるか、と言うのが正直な感想である。

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