204 / 228
第五章 竜族との戦い
第204話 在りし日の記憶 レシアルドside有り
しおりを挟む
再びを目を覚ますと、視界には土と木材で作られたバラック小屋の天井が目に入ってきた。俺は僅かに視線を動かし、ここがエデンケテルの住居の一つである事を察する。きめ細やかな繊維の草を絡めた寝台の上に俺は寝かされていた。俺がモゾモゾ動いたのを感じたのか、近くにいたブレアが近寄って来る。
「アラン、起きた?調子はどう?」
「んあ、大丈夫だ。よいしょっ…と」
俺は起きて直ぐに時間を確認する。3日間位寝てたか?俺は竜都市を取り巻く空気が比較的穏やかになっているのを感じ取り、ブレアに詳しい状況を聞く。
「あれから何かあった?」
「ああ、それは沢山。まず、レシアルドとライクルツは無事に気持ちを伝え合ったよ。これからじっくりと親子としての時間を取り戻していくみたい。それに倣って対立していた2つの竜グループも終戦したよ。全員神王竜の帰還とライクルツの敗北を受けて、上手いこと収まったらしい。大体のゴタゴタは収まっていると見ていいと思う」
「成程。まだ日数が経っていないから、本当に終戦を宣言した訳では無さそうだね。それで…バリエドは?」
俺が最後に見たのは、地面へと一直線に落下していくバリエドの姿。どうなっていようが、多少なりとも気になる。
「バリエドは…死んだよ。間違い無くね。俺たちの方で魂を輪廻に送るのは終わらせた。セドリックは殺してしまった事に対して結構自責の念も有るらしくて、アランが寝てる間殆ど姿を見てないな」
「そっか、分かった。セドリックには俺も顔を出しとく」
俺は若干沈んだ表情を浮かべるブレアの肩をポンポンと叩き、寝台から起きた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アランがイナガと人知れず接触している時。レシアルドはライクルツが特別保護されている一室に赴いていた。無事バリエドから力を取り戻し、全盛期に近い領域まで生命としての格を跳ね上げたレシアルドは人の姿で同じく人の姿で寝ているライクルツを見ていた。
(どう話すべきか、謝るべきか、一回発散させてやるべきか…)
完全に自業自得であるが、ライクルツと余り家庭という物を育んで来なかったレシアルドは、ライクルツとどう接すれば良いのかを測りあぐねていた。ましてや、相手は自分に相応の怨恨を抱いている筈。起きた瞬間飛び掛かられる可能性も考えていた。
フーッと長い息を吐いた。その時、ゆっくりとライクルツの瞳が開かれた。彼は視線で周りを確認し、側に居たレシアルドと目が合う。
「……」
「………」
「…何のつもりだ?」
一件が終わった後、やはりバリエドにより反乱軍には怨恨を増長する認識阻害が掛けられていることが判明していた。だが、それを抜きにしても彼がレシアルドに抱えている怒りは大きい。隠そうともしない殺気を全力で叩き付ける彼は、もし身体が普段通り使えるなら即座にレシアルドの顔面を殴り飛ばしていただろう。
レシアルドはここまで苦しめてしまった事に対し深い後悔の念を滲ませながら、言葉を何とか紡ぎ出した。
「…すまない。ライクルツ、本当にすまない」
それを聞いたライクルツは、何とか千切れるのを抑えていた堪忍袋をブチィと引き千切った。
「今更謝るつもりか!父親面してすり寄ってくるのか!」
「…ごめんな…!!」
心から拒絶しても離れる気配の無いレシアルドに我慢し切れなくなった彼は、思わず寝台から立ち上がり胸元を掴もうとする。しかし、全身に走る痛みがそれを制した。
「っ!!」
「ライクルツ…すまない。だが今は…寝ててくれ」
「…ッチ」
父親の言う事を聞くのは嫌だったが、流石に従わないと自分の体が悪化するだけなので渋々従った。痛みにより少し頭の冷えた彼は、怒りこそそのままだが事情を聞く姿勢を取る。
「アラン、起きた?調子はどう?」
「んあ、大丈夫だ。よいしょっ…と」
俺は起きて直ぐに時間を確認する。3日間位寝てたか?俺は竜都市を取り巻く空気が比較的穏やかになっているのを感じ取り、ブレアに詳しい状況を聞く。
「あれから何かあった?」
「ああ、それは沢山。まず、レシアルドとライクルツは無事に気持ちを伝え合ったよ。これからじっくりと親子としての時間を取り戻していくみたい。それに倣って対立していた2つの竜グループも終戦したよ。全員神王竜の帰還とライクルツの敗北を受けて、上手いこと収まったらしい。大体のゴタゴタは収まっていると見ていいと思う」
「成程。まだ日数が経っていないから、本当に終戦を宣言した訳では無さそうだね。それで…バリエドは?」
俺が最後に見たのは、地面へと一直線に落下していくバリエドの姿。どうなっていようが、多少なりとも気になる。
「バリエドは…死んだよ。間違い無くね。俺たちの方で魂を輪廻に送るのは終わらせた。セドリックは殺してしまった事に対して結構自責の念も有るらしくて、アランが寝てる間殆ど姿を見てないな」
「そっか、分かった。セドリックには俺も顔を出しとく」
俺は若干沈んだ表情を浮かべるブレアの肩をポンポンと叩き、寝台から起きた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アランがイナガと人知れず接触している時。レシアルドはライクルツが特別保護されている一室に赴いていた。無事バリエドから力を取り戻し、全盛期に近い領域まで生命としての格を跳ね上げたレシアルドは人の姿で同じく人の姿で寝ているライクルツを見ていた。
(どう話すべきか、謝るべきか、一回発散させてやるべきか…)
完全に自業自得であるが、ライクルツと余り家庭という物を育んで来なかったレシアルドは、ライクルツとどう接すれば良いのかを測りあぐねていた。ましてや、相手は自分に相応の怨恨を抱いている筈。起きた瞬間飛び掛かられる可能性も考えていた。
フーッと長い息を吐いた。その時、ゆっくりとライクルツの瞳が開かれた。彼は視線で周りを確認し、側に居たレシアルドと目が合う。
「……」
「………」
「…何のつもりだ?」
一件が終わった後、やはりバリエドにより反乱軍には怨恨を増長する認識阻害が掛けられていることが判明していた。だが、それを抜きにしても彼がレシアルドに抱えている怒りは大きい。隠そうともしない殺気を全力で叩き付ける彼は、もし身体が普段通り使えるなら即座にレシアルドの顔面を殴り飛ばしていただろう。
レシアルドはここまで苦しめてしまった事に対し深い後悔の念を滲ませながら、言葉を何とか紡ぎ出した。
「…すまない。ライクルツ、本当にすまない」
それを聞いたライクルツは、何とか千切れるのを抑えていた堪忍袋をブチィと引き千切った。
「今更謝るつもりか!父親面してすり寄ってくるのか!」
「…ごめんな…!!」
心から拒絶しても離れる気配の無いレシアルドに我慢し切れなくなった彼は、思わず寝台から立ち上がり胸元を掴もうとする。しかし、全身に走る痛みがそれを制した。
「っ!!」
「ライクルツ…すまない。だが今は…寝ててくれ」
「…ッチ」
父親の言う事を聞くのは嫌だったが、流石に従わないと自分の体が悪化するだけなので渋々従った。痛みにより少し頭の冷えた彼は、怒りこそそのままだが事情を聞く姿勢を取る。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
楽しい転生
ぱにこ
ファンタジー
大往生で亡くなった主人公。次の転生先は……あれ?これ前世でプレイした乙女向けRPGゲームじゃない?
しかも、私……悪役令嬢!!
回想にしか登場しない悪役令嬢に転生したルイーズ。いずれ召喚される巫女様(ヒロイン)が恋愛せず、帰還EDを迎えると、この世界の終焉になることに気付きました。世界の行く末を巫女様の恋心に委ねるのは、あまりにも危うい。これは、どのEDを迎えても良いよう攻略対象者を強化せねばいけませんね。
目指すは邪神討伐!
前世の知識をフル稼働し対策を練るも、まだ少女……儘なりません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
オカルトな現代への転生ライフ ~神様からあらゆる前世の知識をもらえました~
十本スイ
ファンタジー
ある雪の日に交通事故により命を落とした主人公。気づけば目の前に女神と名乗る存在がいて、主人公が悲惨な最期を迎える悲運過ぎる宿命を背負っていることを知らされた。それは今世だけではなく、前世、前々世、さらにその前、主人公の魂が誕生したその時から、その人生の末路は決まって理不尽に命を奪われてきたらしい。そんな魂の持ち主である主人公を不憫に思った女神は、ルール違反と知りつつも、彼に加護を与えて次の人生を送ってもらおうとした。そこで主人公は願う。志半ばで散っていった自分の前世たちの〝魂の知識〟が欲しいと。彼らが所持していた能力をフルに使い、今度こそ満足のいく生を全うすることが、前世たちの無念を晴らすことだと思った。そして女神に加護をもらい、主人公は転生した世界で、万能すぎる知識を使って、いろんな技や術を編み出したりして楽しむ。しかしどうやらここはパラレルワールドで、オカルトが存在する地球だったのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる