179 / 228
第五章 竜族との戦い
第179話 人竜会議 2
しおりを挟む
始めに声を上げたのはジャルクガマルである。
「武力行使、こちらからは出来ない。なれば、向こうから来るのを待つしか、無い」
「それは無理じゃ無い?もし仮にそれをして、戦力差は向こうのほうが確実に上よ。相手の三尾竜3体の内、一体は私だけで請け負えるけど、もう一体でもデルガ、ジャルクガマル、モルトスが総出でかかっても拮抗にすら持ち込めない相手。神王竜はライクルツとの交渉に出る必要がある」
マセイタは冷静に戦力を分析する。
「…私はそこの御仁方の強さを知らないけれど。失礼を承知で言えば、どれだけ行っても人族が個人で竜族、ましては三尾竜と張り合うなんて不可能が過ぎる話よ」
ま、そりゃそうなるわな。エニスへベス侵攻を撃退した話はしたが、それでも心配なのだろう。そこで、レシアルドが言った。
「マセイタ、主達を余り低く見ない方が良い。少なくとも皆、三尾竜と互角を張る実力を持った人間にして超越者だ。汝であっても正面から複数とぶつかり合えば打ち負かされるは必至だぞ」
マセイタはそれを聞いて、信じられないと言う目でこちらを見る。視線の先にいたブレアは曖昧な笑みでそれに応じた。
「まあ、自分が平均より強い自信は有りますが…どうでしょう。俺の魔力で何かしら感じれますかね?」
ブレアはそう言いながら軽く魔力を放つ。純粋に魔力のみを放ったにも関わらず、それはテーブルの上に乗っていた水の入ったコップを倒し、中の水をドバドバと垂れ流しにした。セドリックがそれに軽く意識を向け、溢れた水とコップを元通りにする。
今ブレアがした事はここにいるメンバーには何の苦もなく出来る芸当であったが、それを人族が成した事に竜たちは大いに驚き、そしてレシアルドの言葉を信用した様であった。
「確かに、この調子で魔法を行使出来るならば実力は十分。神王竜様の見る目は間違い無いだろう。二尾竜などいと容易く捻じ伏せる人族…か」
モルトスがどうも他人事の様にそう言う。いやいや、全然自分事だと思って貰わないと困るんですけど……
と、ここでレシアルドが話した。
「我から一つの方法を提案したい。まず、デルガ、ジャルクガマル、モルトスは二尾竜以下の竜を押さえ付け、マセイタ、それと主以外のメンバーで三尾竜の接敵、最後に我と主でライクルツとの交渉に出向くと言う方法だ。いかんせん戦力差が有り過ぎる。これから死地に向かうとなっては、我等も相応の準備をしなければなるまい」
これに一番最初に乗っかったのはデルガである。
「儂はそれに賛成じゃ。儂等二尾竜が集まった所で三尾竜には及ばぬ。なれば、僅かにでも勝機のある戦力をぶつけるのが筋と言うものじゃな」
次にモルトスが賛同する。
「私も賛成だ。人族の者達に大変な労力を割かせる羽目になるのは承知であるが…私らには到底勝ち得ない相手。あなた達に賛同を頂けるのであれば、これ以上良い案は無い」
「そうね…来たばかりの御仁方に責任を押し付け過ぎやしないかとは思うけれど、私もこの案が最初に浮かんだわね。どうかしら?受け持って貰えない?」
「俺からも、頼む。この通り」
…こう懇願されて、俺たちの取れる判断、そんなの一つしか無い。そもそも元々俺たちだけで解決するつもりでいたので、こうして助っ人を得られたのは望外の収穫だ。
「喜んで」
セドリックが神の威光を四方に振り撒きながら言った。最近になって神の力を表に出すのを躊躇しなくなって来たな、この男。ほら、見ろ。竜の方々が息するの忘れて注目してるじゃん…
俺は事態の収集をセドリックに全部投げる事にした。自分で蒔いた種だもの、自分で何とかして欲しい。
そんなこんなで人と竜が向かい合って語り合う会議は終わりを迎えた。会議が始まったのが夕方だった事もあり、外はすっかり夜が更け、宝石の様な星々が輝いていた。
拠点(?)に戻った俺らは、そこで仮初の姿に戻り寝に入る。即席で用意した藁を敷き詰めてその上に毛布を敷いたので、そこまで寝床は硬く無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。各々の武具を整えた俺たちは、今まさに羽ばたかんとライクルツの根城を見ていた。主に外で戦うことになるデルガ、ジャルクガマル、モルトスは竜の姿に、不特定な時間を建物内で過ごす事になる他は人の姿でいた。
「では、皆の者。準備は出来たな?行くぞ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
全員一斉に飛び立つ。そのまま、然程離れていない根城へと移動を開始した。
その頃。
「ふん、攻めて来たか…何人来ようと構わない。纏めて放ってくれる」
ライクルツは不敵に笑った。
「武力行使、こちらからは出来ない。なれば、向こうから来るのを待つしか、無い」
「それは無理じゃ無い?もし仮にそれをして、戦力差は向こうのほうが確実に上よ。相手の三尾竜3体の内、一体は私だけで請け負えるけど、もう一体でもデルガ、ジャルクガマル、モルトスが総出でかかっても拮抗にすら持ち込めない相手。神王竜はライクルツとの交渉に出る必要がある」
マセイタは冷静に戦力を分析する。
「…私はそこの御仁方の強さを知らないけれど。失礼を承知で言えば、どれだけ行っても人族が個人で竜族、ましては三尾竜と張り合うなんて不可能が過ぎる話よ」
ま、そりゃそうなるわな。エニスへベス侵攻を撃退した話はしたが、それでも心配なのだろう。そこで、レシアルドが言った。
「マセイタ、主達を余り低く見ない方が良い。少なくとも皆、三尾竜と互角を張る実力を持った人間にして超越者だ。汝であっても正面から複数とぶつかり合えば打ち負かされるは必至だぞ」
マセイタはそれを聞いて、信じられないと言う目でこちらを見る。視線の先にいたブレアは曖昧な笑みでそれに応じた。
「まあ、自分が平均より強い自信は有りますが…どうでしょう。俺の魔力で何かしら感じれますかね?」
ブレアはそう言いながら軽く魔力を放つ。純粋に魔力のみを放ったにも関わらず、それはテーブルの上に乗っていた水の入ったコップを倒し、中の水をドバドバと垂れ流しにした。セドリックがそれに軽く意識を向け、溢れた水とコップを元通りにする。
今ブレアがした事はここにいるメンバーには何の苦もなく出来る芸当であったが、それを人族が成した事に竜たちは大いに驚き、そしてレシアルドの言葉を信用した様であった。
「確かに、この調子で魔法を行使出来るならば実力は十分。神王竜様の見る目は間違い無いだろう。二尾竜などいと容易く捻じ伏せる人族…か」
モルトスがどうも他人事の様にそう言う。いやいや、全然自分事だと思って貰わないと困るんですけど……
と、ここでレシアルドが話した。
「我から一つの方法を提案したい。まず、デルガ、ジャルクガマル、モルトスは二尾竜以下の竜を押さえ付け、マセイタ、それと主以外のメンバーで三尾竜の接敵、最後に我と主でライクルツとの交渉に出向くと言う方法だ。いかんせん戦力差が有り過ぎる。これから死地に向かうとなっては、我等も相応の準備をしなければなるまい」
これに一番最初に乗っかったのはデルガである。
「儂はそれに賛成じゃ。儂等二尾竜が集まった所で三尾竜には及ばぬ。なれば、僅かにでも勝機のある戦力をぶつけるのが筋と言うものじゃな」
次にモルトスが賛同する。
「私も賛成だ。人族の者達に大変な労力を割かせる羽目になるのは承知であるが…私らには到底勝ち得ない相手。あなた達に賛同を頂けるのであれば、これ以上良い案は無い」
「そうね…来たばかりの御仁方に責任を押し付け過ぎやしないかとは思うけれど、私もこの案が最初に浮かんだわね。どうかしら?受け持って貰えない?」
「俺からも、頼む。この通り」
…こう懇願されて、俺たちの取れる判断、そんなの一つしか無い。そもそも元々俺たちだけで解決するつもりでいたので、こうして助っ人を得られたのは望外の収穫だ。
「喜んで」
セドリックが神の威光を四方に振り撒きながら言った。最近になって神の力を表に出すのを躊躇しなくなって来たな、この男。ほら、見ろ。竜の方々が息するの忘れて注目してるじゃん…
俺は事態の収集をセドリックに全部投げる事にした。自分で蒔いた種だもの、自分で何とかして欲しい。
そんなこんなで人と竜が向かい合って語り合う会議は終わりを迎えた。会議が始まったのが夕方だった事もあり、外はすっかり夜が更け、宝石の様な星々が輝いていた。
拠点(?)に戻った俺らは、そこで仮初の姿に戻り寝に入る。即席で用意した藁を敷き詰めてその上に毛布を敷いたので、そこまで寝床は硬く無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。各々の武具を整えた俺たちは、今まさに羽ばたかんとライクルツの根城を見ていた。主に外で戦うことになるデルガ、ジャルクガマル、モルトスは竜の姿に、不特定な時間を建物内で過ごす事になる他は人の姿でいた。
「では、皆の者。準備は出来たな?行くぞ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
全員一斉に飛び立つ。そのまま、然程離れていない根城へと移動を開始した。
その頃。
「ふん、攻めて来たか…何人来ようと構わない。纏めて放ってくれる」
ライクルツは不敵に笑った。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
楽しい転生
ぱにこ
ファンタジー
大往生で亡くなった主人公。次の転生先は……あれ?これ前世でプレイした乙女向けRPGゲームじゃない?
しかも、私……悪役令嬢!!
回想にしか登場しない悪役令嬢に転生したルイーズ。いずれ召喚される巫女様(ヒロイン)が恋愛せず、帰還EDを迎えると、この世界の終焉になることに気付きました。世界の行く末を巫女様の恋心に委ねるのは、あまりにも危うい。これは、どのEDを迎えても良いよう攻略対象者を強化せねばいけませんね。
目指すは邪神討伐!
前世の知識をフル稼働し対策を練るも、まだ少女……儘なりません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる