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第四章 脚光を浴びる

第152話 イタズラと検証

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本日、少々ネタに走っています。肌物が嫌いな方はご注意下さい。真ん中辺りにあります。(線を挟んで下側はストーリーが絡んでいます。読み飛ばしても問題ありませんが、そこだけ読むのも良いかもです)

作者より

**********


「え、何この子!すっごく庇護欲そそられる!え、待って、家で引き取らない!?一人暮らしって凄いじゃない!1人増えても大丈夫でしょ!アラン君もそう思わない!?」

怒涛の言葉攻撃を食らい俺はフラフラである。アラン君は顔を引き攣らせて言う。無理も無い…入れ替わってなかったら自分がコレの餌食になっていたんだから。ちなみにセドリックやブレアは遠巻きに見ていた。俺からしたら今すぐ助けて欲しい。

「いやぁ…それはコメット君も困ると思うよ。流石にこの場では決めちゃダメな気が…。後そろそろ離してやってあげて、凄く苦しそうだから」
「た…助けて…」

それを聞いて一応メレットは拘束の力を緩めた。がしかし、今度は頬をメチャクチャにスリスリしてくる。個人的には美人な女性にここまで甘やかされるのは至福なのではないかと思っていたが、それは幻想である事をしっかりと知った。

俺は知った。この女…メレット・タエリスは俗に言う『ショタコン』と言う物であると。しかも重度の。俺は撫でくり回され、スリスリされ、その度に吐き気を催しながら怒涛の攻撃に耐え続けるのだった。本当に…コレはやばい。


解放されたのは凡そ10分の後だった。それ即ち、10分間俺は地獄甘えに晒され続けていた事となる。俺たちはまず風呂に入ってこいと言われ、大人しく大浴場に移動していた。どっかの誰かさんのせいで皺が寄ってしまった服を軽い調子で伸ばし、ハンガーに丸ごとかける。両者とも腰にタオルを出来るだけ見ない様にしながら巻いて、最低限の防御をした。と言う訳で、レッツ風呂!

「え、大っきい!」

口調変換も忘れ、純粋な驚きを溢すのはアラン(コメット)君である。まあ、俺の趣味で旅館の温泉と同じ位の設備を用意してあるからそこらの風呂に比べれば訳が違う。俺は魔法でフワリと浮き上がりアラン君の目線と同じ高さに調整した後、風呂の縁で降り立ちそのまま入る。そしていつもの調子で座ろうとした時に気付く。

(背が足りない!)

顔はギリギリ水面上に出るが、波一つ来たら直ぐに顔面に直撃してしまう。仕方ないので俺は膝立ちで風呂に入る事にした。

体を温めた後、ワシャワシャと髪を洗い、桶に溜めた水で纏めて流す。すると、緩くカールしていた少し長めの髪が顔にくっ付いてぺったんこになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。

「全然バレなかったね」
「うん、何か裏があるんじゃないかと思う程に」

俺たちは元の姿に戻り早朝から話していた。時々笑い合いながら、俺たちは話す。

「けど…今度僕を誘う時はメレットさんが居ない時にしてね。アレを毎回食らってたら僕の身が持たない気がするから」
「まあ、それは勿論。最悪ブレア位の年齢に見える様にしたら良いと思うし」

特にメレットはこの検証の全容を伝えるべきでは無いと俺の第六感が叫んでいた。なんか『定期的にショタになってくれない?』とかマジトーンで言われそうで怖い。けどまぁ、俺が身を張って経験したお陰でテレッド君に合わせるのはよそうと心に誓ったのだった。まさか王族にをする事は無いと思うが、断言出来ないのが怖い。

「ちなみに、データは取れた?良い結果が取れたなら幸いだけど」
「うん、もうバッチリ。これでもうちょこっと踏み込んだ事も出来そう」

…実は、俺もただ面白がる為だけにこんな事した訳では無い。この検証で同時に“あるデータ”と“ある事の実現性”を検証したかったのだ。以前から少しづつ作業を進めていたが、検証する人が自身しか無い為にデータとして弱かったが、これだけデータの元があればより捗るだろう。

俺は数週間前のレシアルドとの話を思い出す。


『ねぇレシアルド、少し聞きたい事あるんだけど』
『何だ、アラン殿』

レシアルドは読んでいた天文学の本を閉じる。

『その、レシアルドで普段は人の姿で過ごしてるじゃん?それって竜種が全員出来るの?』
『いや、全員が全員と言う訳では無いぞ。竜種と一口に言っても様々な種があってな、2枚の翼に4足を基とする所謂いわゆる我から1番最初に発した竜種…我ら間では古竜と呼んでおるが、それらは皆人化の術式を持っておる。そこから2翼2足の翼竜、0翼4足の脚竜、多翼0足の飛竜が生じ、彼らは飛竜のみが人化出来ん。翼竜は初めは出来んが訓練を積めば出来るようになる。最後に亜竜だな。亜竜は出来る奴もいれば出来ん奴もいる、そこに特徴とかは基本絡まない』

レシアルドは特に考える素振りも無くするすると説明する。俺は内心それに驚きながらも言葉を続ける。

『成程。人化の術式ってどんな原理で動いているの?』
『ううむ、我らからしたら生まれた時から持っている性質であるからハッキリとは説明出来ぬが…己の細胞を変化させ人間に寄せる、これ位しか分からぬ』
『へええ~。細胞、細胞か…』

少し考える俺に、今度はレシアルドが聞いた。

『なぜ急に気になったのだ?こんな事』
『いや、今後潜入捜査とかする事になったらさ、変装とか出来る様にしておきたいじゃん?だから姿を変えれるレシアルドに聞いたって訳』
『ほほう、成程な』


時間は現在に戻る。

「じゃコメット君、協力感謝するよ。何かお礼させてくれない?」
「う~ん、そうだなぁ。じゃあ…」

コメット君は俺をチラリと見る。彼は昨日の悪いニマニマ笑顔で近くにあった紙にお願いを書いた。それを見た時、内心で『冗談キツイぜ…』と項垂れた男がいたとかいなかったとか。

真実はここでは語るまい
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