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第四章 脚光を浴びる
第143話 何故赦して貰えると?
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試合が終わって暇を持て余していた俺は、ふとブレアの帰りが遅い事に気がついた。丁度その時、ブレアから念話が飛んで来る。
(アラン~なんかヴィドの野郎に棄権しなきゃ家を潰すとか言われてる~)
(よし、社会的に殺すか)
ただでさえイライラが溜まっていたのにアチラから態々爆発させに来てくれるのならばしょうがあるまい。俺は直ぐに準備を整えた。まずブレアの魔力の近くに俺の魔力を飛ばし、極小のカメラとマイクを出現させ浮かせた。次に観客全員が見える様に正八角形を描く様に上空に巨大スクリーンを出し、中心にスピーカーを出す。更に魔力で作ったマイクとマイク経由で声を届ける送音機を作り、送音機を誰にでも使える様に光の球に偽装し、それを王族用の観客席に飛ばす。
飛んで行ったのを確認した俺は、マイク片手にセドリックに頷き、そして駆け出した。
さぁ、公開処刑の時間だ。
直ぐに現場に到着し、しばらく奴の話に耳を傾ける。聞いていれば出るわ出るわ下衆い文句。挙句セドリックにも棄権させると言い出し、俺は怒りが頂点に達してしまった。しかしここで勘付かせるのは不味い為、慌てて自分の魔力同士で相殺する。
丁度そこに今日は王族の番だった筈のコメット君がいつも通りの黒いローブに身を包んだ姿で俺の隣に音も無く降り立った。降り立って直ぐに彼は『手話信号』と呼ばれる合図の様なものを俺に見せる。昨日の朝彼が俺に教えてくれた物だ。
(ふむ…ス、デ、ニ、ホ、ウ、イ…既に包囲か)
俺は手話信号で“ありがとう”と送った後グットマークを作る。コメット君がマスク越しでも顔を綻ばせたのを確認し、俺は何気ない感じでマイク片手にブレアの反対側、即ちヴィドの背後に登場した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「た、頼む!悪かった!だから、コレを無かった事にしてくれ!詫びなら払う、幾らでも払うから!」
ロゼスト陛下の登場後急にさっきまでの自信を無くしたヤツは俺の足元でしきりにヘコヘコする。俺は自然と拳に力が入り、それのせいでマイクが粉々に砕けた。
「何で俺に謝るんだ。それよりもっと謝るべき人が居るんじゃねえのかこの場に!!」
自分でも驚く位に怒気の含まれた声にヴィドは震え上がる。そしてブレアの方を向いてヘコヘコしだす。
「申し訳ありませんでしたブレア様!どうかお慈悲を!何でもします!しますから、お願いします!」
「そう言われてもねぇ…俺もこれ以上無く怒っているからどっちみち何だけど…お前の国のトップを怒らせた時点でお前、詰んでんだよ」
一言一言で周囲が凍り付きそうなブレアの発言に、捕らえに来た黒騎士達も震え上がっている様だった。
「ただまぁ…何でもするって言うなら…」
「お、お赦しを?」
何故その結論を出せた。この状況では天地がひっくり返って自転の向きが変わって昼が突如夜にでもならない限り有り得ないだろ。ブレアも呆れ口調で言う。
「つくづく脳内花畑だな。せめてロゼスト陛下に貴族位を剥奪されて奴隷にでも落ちて反省して来い」
「い、い、嫌だあああぁぁぁぁ!!」
「お願いします」
ブレアは近くに居た騎士に会釈する。すると地面にへばり付くヴィドを強引に引き剥がし片手で抱えて持って行った。
数秒後、俺とブレアとコメット君は同時に溜め息を吐く。
「「「はあああぁぁぁぁ~~……」」」
ひとしきり息を吐いた後数秒の沈黙を挟み、俺が最初に口を開く。
「コメット君ありがとうね?頼んでも無いのにわざわざ来る事も無かったのに」
「いや、全然!ステージにスクリーンが出た時はビックリしたけど、内容を知って直ぐに動いちゃった」
褒めて褒めてとマスクを取りフードを脱いだ彼に俺は困った顔で優しく髪を撫でる。その光景を見て、彼と同じ黒騎士団の団員は目を丸くした。
「え、ちょ…?団長、こど…え、素顔、ええ!?え、何で…あ、は、何で!?」
「団、長…?子供?素顔…え?可愛い…じゃ無くて何で?」
彼らの驚く原因は主に3つだろう。
1、コメット君が全然幼い子供だった事。
2、今まで素顔を見せなかった(と思われる)コメット君が突如顔を見せた事。
3、コメット君が俺にメッチャ懐いている事。
それを知ってか知らずか、コメット君はニコニコしながらブレアに話しかける。
「ブレア君、大丈夫だった?大丈夫だろうけど、怪我とかして無い?」
「ええ、大丈夫です。それにしても…お仲間さんに説明をした方がいいんじゃあ…」
「…あ」
(アラン~なんかヴィドの野郎に棄権しなきゃ家を潰すとか言われてる~)
(よし、社会的に殺すか)
ただでさえイライラが溜まっていたのにアチラから態々爆発させに来てくれるのならばしょうがあるまい。俺は直ぐに準備を整えた。まずブレアの魔力の近くに俺の魔力を飛ばし、極小のカメラとマイクを出現させ浮かせた。次に観客全員が見える様に正八角形を描く様に上空に巨大スクリーンを出し、中心にスピーカーを出す。更に魔力で作ったマイクとマイク経由で声を届ける送音機を作り、送音機を誰にでも使える様に光の球に偽装し、それを王族用の観客席に飛ばす。
飛んで行ったのを確認した俺は、マイク片手にセドリックに頷き、そして駆け出した。
さぁ、公開処刑の時間だ。
直ぐに現場に到着し、しばらく奴の話に耳を傾ける。聞いていれば出るわ出るわ下衆い文句。挙句セドリックにも棄権させると言い出し、俺は怒りが頂点に達してしまった。しかしここで勘付かせるのは不味い為、慌てて自分の魔力同士で相殺する。
丁度そこに今日は王族の番だった筈のコメット君がいつも通りの黒いローブに身を包んだ姿で俺の隣に音も無く降り立った。降り立って直ぐに彼は『手話信号』と呼ばれる合図の様なものを俺に見せる。昨日の朝彼が俺に教えてくれた物だ。
(ふむ…ス、デ、ニ、ホ、ウ、イ…既に包囲か)
俺は手話信号で“ありがとう”と送った後グットマークを作る。コメット君がマスク越しでも顔を綻ばせたのを確認し、俺は何気ない感じでマイク片手にブレアの反対側、即ちヴィドの背後に登場した。
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「た、頼む!悪かった!だから、コレを無かった事にしてくれ!詫びなら払う、幾らでも払うから!」
ロゼスト陛下の登場後急にさっきまでの自信を無くしたヤツは俺の足元でしきりにヘコヘコする。俺は自然と拳に力が入り、それのせいでマイクが粉々に砕けた。
「何で俺に謝るんだ。それよりもっと謝るべき人が居るんじゃねえのかこの場に!!」
自分でも驚く位に怒気の含まれた声にヴィドは震え上がる。そしてブレアの方を向いてヘコヘコしだす。
「申し訳ありませんでしたブレア様!どうかお慈悲を!何でもします!しますから、お願いします!」
「そう言われてもねぇ…俺もこれ以上無く怒っているからどっちみち何だけど…お前の国のトップを怒らせた時点でお前、詰んでんだよ」
一言一言で周囲が凍り付きそうなブレアの発言に、捕らえに来た黒騎士達も震え上がっている様だった。
「ただまぁ…何でもするって言うなら…」
「お、お赦しを?」
何故その結論を出せた。この状況では天地がひっくり返って自転の向きが変わって昼が突如夜にでもならない限り有り得ないだろ。ブレアも呆れ口調で言う。
「つくづく脳内花畑だな。せめてロゼスト陛下に貴族位を剥奪されて奴隷にでも落ちて反省して来い」
「い、い、嫌だあああぁぁぁぁ!!」
「お願いします」
ブレアは近くに居た騎士に会釈する。すると地面にへばり付くヴィドを強引に引き剥がし片手で抱えて持って行った。
数秒後、俺とブレアとコメット君は同時に溜め息を吐く。
「「「はあああぁぁぁぁ~~……」」」
ひとしきり息を吐いた後数秒の沈黙を挟み、俺が最初に口を開く。
「コメット君ありがとうね?頼んでも無いのにわざわざ来る事も無かったのに」
「いや、全然!ステージにスクリーンが出た時はビックリしたけど、内容を知って直ぐに動いちゃった」
褒めて褒めてとマスクを取りフードを脱いだ彼に俺は困った顔で優しく髪を撫でる。その光景を見て、彼と同じ黒騎士団の団員は目を丸くした。
「え、ちょ…?団長、こど…え、素顔、ええ!?え、何で…あ、は、何で!?」
「団、長…?子供?素顔…え?可愛い…じゃ無くて何で?」
彼らの驚く原因は主に3つだろう。
1、コメット君が全然幼い子供だった事。
2、今まで素顔を見せなかった(と思われる)コメット君が突如顔を見せた事。
3、コメット君が俺にメッチャ懐いている事。
それを知ってか知らずか、コメット君はニコニコしながらブレアに話しかける。
「ブレア君、大丈夫だった?大丈夫だろうけど、怪我とかして無い?」
「ええ、大丈夫です。それにしても…お仲間さんに説明をした方がいいんじゃあ…」
「…あ」
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