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第四章 脚光を浴びる

第121話 王都巡りwith my friends! レシアルドside有り

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我、レシアルドは“年末大祭り”と言う人間たちの祭りに参加していた。
人間族は竜族が考えもしない様な物を何食わぬ顔で生み出すから実に面白い。
我ら竜族は古来より自らを至高の存在と勝手に思い込み、多種族の優れた行いに
まるで興味を示して来なかった。今でこそこの程度だが、私が竜族の長として
統治…と言う程の事もしていないが、君臨していた時は未だそれ程ふんぞり返って
いた訳では無かったのだが、近頃の若者は実にその傾向が強い。

何を恨まれたのかとんと見当が付かないが、我に怒りを向けた青年…否、彼は
男と言うだけで具体的な姿が定まっていないからどう言うべきか分からないが、
その者により封印される前に会った者でさえその傾向を持っていたから恐らく
今も変わっていないだろう。

我は自身また他者も口を揃えて認める『知に貪欲な者』なのでこう言った祭りごと
は極めて好むのだが…どうやらこの祭りでは得られる物が
ありそうだ。

「気の所為であろうか、それとも彼方あちらが気にしていないのか…あの和順な者の
 事だから、音沙汰無しと言う事はあるまい」
「ん?レシアルドどうかした?」
「いや、何でも無い。知己が近くにいるかも知れないと思っただけだ」
「そう?会いたいなら行ってきても良いけど」
「いや、放って置いてもいずれ彼方あちらから会いに来るだろう。その時に話そう」

我が生まれし時と時間を置かず生まれた三体の始まりの生物、その一体。
我が『神王竜』そして…彼女が『古天鳥』。かつてそう呼ばれた者がこのなり
では、流石の彼女も見抜けないか?主の前では強がって十分の一と言ったが…

「ただいま~」

おっと、アラン殿が帰って来た。まずは労ってやらねば。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいま~」

俺は席に腰掛けながら言う。すると各々労いの言葉を言う。

「アランお疲れ~ひとまずAブロック突破おめでとう!」
「ま、予想してたけどね。傷を負ったのは驚いたけど」
「それに関しては俺も驚いたよ。こういう言い方は失礼だろうけど、正直
 怪我を負うつもりが毛頭なかったから普通に、ね」

俺は苦笑いしながら言う。レシアルドも試合を見た感想を言う。

「まあ、アラン殿からしたら余り楽しめない試合だったかもしれないが、見物
 した我らからしたらそこそこ盛り上がる物だったぞ。酒のつまみにはもってこい
 であったな」

…酒飲んだの?俺はレシアルドからセドリックに視線を向ける。すると彼は
困った顔で笑った。

「うん、2~3杯だけどね。仮にも未成年者いるから遠慮して欲しかったけど」
「俺は気にして無いよ。酒の匂いぐらい嗅いだ事あるし」

ま、気にして無いなら良いだろう。この世界での成人年齢は15歳だから、俺や
セドリックも別に飲んでは良いのだが、セドリックは酒に鬼弱く、俺はそもそも
酒の味が余り好きでは無い為飲まない。

「あ、この後どうする?王都巡る?」

俺はこの後の予定を決めようと話を切り出す。するとセドリックは少し考えた後、
言った。

「う~ん、どうする?メレットの呼び出しと、後国王陛下にも一度挨拶しておく
 べきだよね。今で無くとも良いだろうけど、それが終わればみんなで
 タウンフェスやレストランストリートは見たいよね。」
「前2つは今でなくとも良いと思うよ。だって、時間指定無いでしょ?」

ブレアは俺を見て聞く。俺は頷いて肯定する。

「となると、やはり王都巡りか。丁度正午であるし、昼飯を食ってから行くのは
 どうだ?」

やっぱりそれが良いかな。俺は鞘ごと剣を創作空間に仕舞う。

「じゃあ移動する?」
「おう」

セドリックの呼び掛けで全員席を立つ。今日はもう俺たちが出る試合は無いので、
ゆっくり王都を巡れるな。

観客席を降り、そのまま出入り口の方へ向かう。


王都の街に繰り出した瞬間から、俺たちは王都のいつもとは違った雰囲気に
身を投じていた。

まず向かったのはレストラン街。いつも営業している店はこの期間だけは完全に
営業を辞め、露店を開き諸外国及びライバル店としのぎを削り合う。いつもは
小洒落た雰囲気を持つ高級レストランも喧騒の絶えない定食屋も、この期間は
全て同じ条件で戦う、一種の戦場であった。

更に、タウンフェスにせよレストラン街にせよ、この祭りで良い収益や評価を
得られるとその後の営業にも影響する。
タウンフェスでは商会や店舗単位での商品の売上成績や商品の素晴らしさ、
レストラン街ではそれに加えサービスの良さなども評価基準。

だから…

「凄まじい熱気…本当に同じ王都?」

などとブレアが言う程その宣伝の声が絶えず響き渡っているのだ。

「さあさあさあ!お得だよ~!」
「うちの料理は絶品だよ~!」
「選ぶなら是非私達の店を!」
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