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第四章 脚光を浴びる
第119話 Aブロック決勝戦、開始 三人称視点有り
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「さあさあ盛り上がって参りましたぁ交流戦!今日の大目玉、Aブロック決勝戦
が今より始まります!」
観客がひとしきり雄叫びを上げる。それと同時に、ただの岩造りの闘技場が
変化して戦いの場へと変化した。
「今回のフィールドは火山の火口!熱い熱いマグマの流れる決勝に相応しい
場所となっております!」
観客たちの息を呑む音が聞こえた。成程、確かに決勝に相応しい雰囲気だなぁ。
そしてルフィノは声を上げた。
「では選手の入場です!アラン・ベネット対メフディ・クーパーだぁぁぁぁ!」
俺は転移魔法陣で移動する。その瞬間、常人なら肌が焼かれる程の熱さを
感じた。…俺からしたらお湯に浸っている程度だが。
「両者出揃いました!オードラさん、彼らをどう分析しますか?」
今回はノーヒントで行くので念の為聞いておく。オードラさんは一つ唸ってから
解説を始めた。
「そうですね…メフディ氏は言わずもがな魔法と剣技を両立して行使出来る
魔法剣士です。先程から見せてくれる魔法も一級品で属性も多数所持している
物と考えられます。加えて、今回は地の利がメフディ氏に回っているので有利
は確実でしょう。アラン氏は先試合から魔法と剣技を見せてくれていますが、
どちらかと言うと魔法は補助的に使っていると思われます。なので、
魔法をメインで扱うメフディ氏には苦戦を強いられるでしょう」
「成程~しかし、アラン氏には第二試合で見せたあの切り札があります。それに
ついてはどうお考えですか?」
「あれについてはヒントが少な過ぎるので正直分析は難しいです。アラン氏があれ
を使ったら勝負は分かりません」
そう言われては使いたくなるなぁ。俺はチラッとメフディを見る。さて、
どれ位なら解放しても問題ないだろうか。俺は期待を高まらせながら戦闘開始の
合図を待つ。
「腰に付けたその剣を使うの?」
「ええ、決勝なので不躾な武器は使えませんよ」
ふーんと言ってメフディも剣に手をかける。メフディは局所を金属の鎧で覆った
身軽そうな姿をしていて、そこから漏れ出る気配は第一回戦で当たったエリックに
似通った物があった。ただ…彼は最初こそかなり余裕があったなぁ。俺が
ナックルなんて言う武器持ってった事もあるだろうが。
「それでは、Aブロック決勝戦…初めぇ!!」
言うが早く、メフディは身体強化で爆発的に加速をかけて俺に切り掛かってきた。
(早っ)
一瞬で距離を詰めて勢いそのまま切り掛かってくる。俺は剣の付け根でそれを
受ける。俺は瞬間的に移動してそのまま飛び上がり空中に足場を出して蹴り、
一気に上空から斬り払う。
「はあっ!」
「へぇ」
メフディは俺の剣筋をしっかり見切り受けた。俺は落下の勢いを使いがら空きの
胴に一撃入れてやろうとする。
しかし…
「四打・衝撃!」
「!?グハッ!」
突如正体不明の衝撃が体を駆け抜けると共に、俺の視界が一回転した。俺は即座に
魔力を周囲に行き渡らせ、自分の状況を把握する。
…どうやら俺は何らかの理由で吹き飛ばされて、マグマに頭から突っ込もうと
しているらしい。俺は瞬間移動で地面に立つ。
怪我は?右腕に切り傷が一つ…どうやら衝撃に耐え切れなかった皮膚が少し切れた
らしい。ううむ、これは想定外。
すると、メフディがはぁ…と溜め息を吐いた。
「エリックの一撃に耐える所を見たから只者では無いと察してたけど…これに
反応を示さないとはね…」
俺からしたら俺の魔力防護を突き破って切り傷を付けれた時点で大分凄いけどな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、『アランが血を出す程の怪我を負った』と言う事実の重大性に目を
見開いている者が約3名。彼の仲間達である。
「アランが怪我を負うなんて…余程の魔法の使い手だね」
セドリックの呟きに、ブレアは静かに頷く。
「幾ら手を抜いてるからって、アイツに傷を付けるなんて…」
「如何様な手を使ったのだろうか、メフディとやらは」
たかだか血がチョビっと出ただけのつまらない傷。アランの能力にかかれば
瞬きの時間で治癒する事が出来る。ただ…傷を負った事が問題なのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いえ、俺に傷を付けれただけでも凄いと思いますよ」
「…その言い方だと、まるで傷一つ付けずこの大会で優勝すると言う風にも
聞こえるわよ?」
メフディは顔を顰めながら言う。俺は苦笑いして言う。
「いえ、そんな事では。全ての攻撃を受け切ってやろうと言う一戦士の小さな
目標とでもお受け取りをして頂けると。でもまぁ…あなたとは望んだ戦いが
出来そうです」
「望んだ戦いってー…もしかして、今までのは全部?そうなの?」
「ええ、その『そう』ですよ」
メフディは最高に重く深く大きい溜め息を吐く。
「私的に見てたら随分互角に見えたけれど…『互角に見せていた』って訳ね。
まあ良いわ、それならば私も全霊を捧げ応じましょう。本来はエリックに
舐めさせられた苦汁をそのまま返したかったけど、それは見なかった事に
するわ」
ん?エリックに舐めさせられた苦汁?去年負けたとかそんな感じ?
俺からしたら関係の無い話ではあるが、もしそうなら腕も上がっているのかな。
俺は剣を持ち直し、そして言った。
「では行きますね」
が今より始まります!」
観客がひとしきり雄叫びを上げる。それと同時に、ただの岩造りの闘技場が
変化して戦いの場へと変化した。
「今回のフィールドは火山の火口!熱い熱いマグマの流れる決勝に相応しい
場所となっております!」
観客たちの息を呑む音が聞こえた。成程、確かに決勝に相応しい雰囲気だなぁ。
そしてルフィノは声を上げた。
「では選手の入場です!アラン・ベネット対メフディ・クーパーだぁぁぁぁ!」
俺は転移魔法陣で移動する。その瞬間、常人なら肌が焼かれる程の熱さを
感じた。…俺からしたらお湯に浸っている程度だが。
「両者出揃いました!オードラさん、彼らをどう分析しますか?」
今回はノーヒントで行くので念の為聞いておく。オードラさんは一つ唸ってから
解説を始めた。
「そうですね…メフディ氏は言わずもがな魔法と剣技を両立して行使出来る
魔法剣士です。先程から見せてくれる魔法も一級品で属性も多数所持している
物と考えられます。加えて、今回は地の利がメフディ氏に回っているので有利
は確実でしょう。アラン氏は先試合から魔法と剣技を見せてくれていますが、
どちらかと言うと魔法は補助的に使っていると思われます。なので、
魔法をメインで扱うメフディ氏には苦戦を強いられるでしょう」
「成程~しかし、アラン氏には第二試合で見せたあの切り札があります。それに
ついてはどうお考えですか?」
「あれについてはヒントが少な過ぎるので正直分析は難しいです。アラン氏があれ
を使ったら勝負は分かりません」
そう言われては使いたくなるなぁ。俺はチラッとメフディを見る。さて、
どれ位なら解放しても問題ないだろうか。俺は期待を高まらせながら戦闘開始の
合図を待つ。
「腰に付けたその剣を使うの?」
「ええ、決勝なので不躾な武器は使えませんよ」
ふーんと言ってメフディも剣に手をかける。メフディは局所を金属の鎧で覆った
身軽そうな姿をしていて、そこから漏れ出る気配は第一回戦で当たったエリックに
似通った物があった。ただ…彼は最初こそかなり余裕があったなぁ。俺が
ナックルなんて言う武器持ってった事もあるだろうが。
「それでは、Aブロック決勝戦…初めぇ!!」
言うが早く、メフディは身体強化で爆発的に加速をかけて俺に切り掛かってきた。
(早っ)
一瞬で距離を詰めて勢いそのまま切り掛かってくる。俺は剣の付け根でそれを
受ける。俺は瞬間的に移動してそのまま飛び上がり空中に足場を出して蹴り、
一気に上空から斬り払う。
「はあっ!」
「へぇ」
メフディは俺の剣筋をしっかり見切り受けた。俺は落下の勢いを使いがら空きの
胴に一撃入れてやろうとする。
しかし…
「四打・衝撃!」
「!?グハッ!」
突如正体不明の衝撃が体を駆け抜けると共に、俺の視界が一回転した。俺は即座に
魔力を周囲に行き渡らせ、自分の状況を把握する。
…どうやら俺は何らかの理由で吹き飛ばされて、マグマに頭から突っ込もうと
しているらしい。俺は瞬間移動で地面に立つ。
怪我は?右腕に切り傷が一つ…どうやら衝撃に耐え切れなかった皮膚が少し切れた
らしい。ううむ、これは想定外。
すると、メフディがはぁ…と溜め息を吐いた。
「エリックの一撃に耐える所を見たから只者では無いと察してたけど…これに
反応を示さないとはね…」
俺からしたら俺の魔力防護を突き破って切り傷を付けれた時点で大分凄いけどな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、『アランが血を出す程の怪我を負った』と言う事実の重大性に目を
見開いている者が約3名。彼の仲間達である。
「アランが怪我を負うなんて…余程の魔法の使い手だね」
セドリックの呟きに、ブレアは静かに頷く。
「幾ら手を抜いてるからって、アイツに傷を付けるなんて…」
「如何様な手を使ったのだろうか、メフディとやらは」
たかだか血がチョビっと出ただけのつまらない傷。アランの能力にかかれば
瞬きの時間で治癒する事が出来る。ただ…傷を負った事が問題なのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いえ、俺に傷を付けれただけでも凄いと思いますよ」
「…その言い方だと、まるで傷一つ付けずこの大会で優勝すると言う風にも
聞こえるわよ?」
メフディは顔を顰めながら言う。俺は苦笑いして言う。
「いえ、そんな事では。全ての攻撃を受け切ってやろうと言う一戦士の小さな
目標とでもお受け取りをして頂けると。でもまぁ…あなたとは望んだ戦いが
出来そうです」
「望んだ戦いってー…もしかして、今までのは全部?そうなの?」
「ええ、その『そう』ですよ」
メフディは最高に重く深く大きい溜め息を吐く。
「私的に見てたら随分互角に見えたけれど…『互角に見せていた』って訳ね。
まあ良いわ、それならば私も全霊を捧げ応じましょう。本来はエリックに
舐めさせられた苦汁をそのまま返したかったけど、それは見なかった事に
するわ」
ん?エリックに舐めさせられた苦汁?去年負けたとかそんな感じ?
俺からしたら関係の無い話ではあるが、もしそうなら腕も上がっているのかな。
俺は剣を持ち直し、そして言った。
「では行きますね」
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